ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ   作:グレン×グレン

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 はい、と言うわけで大体これでラストバトルになります。

 どこもかしこも大激戦ですが、逆言うと派手な戦いぐらいしか出せなかったので、出せない人物も結構いるのが難点でした。

 やはり、上級悪魔や転生悪魔を主要オリキャラにするのはこういうところが難点だなぁ。


停止教室のヴァンパイア20 幸希「あれ? 決戦タイムなのに私いない?」朝野「俺たちスルーされた!?」

 

 そして、激戦はクライマックスを迎える事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く面倒だな!」

 

 曹操は状況がひっくり返りかけていることに気づき、即座に本腰を入れることにした。

 

 これまでは様子を確認する程度の心持だったが、想定外の事態が起きたこともあれば、本腰を入れるべきだろう。

 

 聖槍使いという理由でガイアメモリを使うべきではなかったと、痛感しつつ曹操は正一に迫る。

 

「なら、そろそろ自前の神器()で挑ませてもらう!」

 

 それと同時に、曹操の身体能力は大幅に向上する。

 

 その強化度合いは、アドルフ・ヒトラードーパントの力を使っている時の比ではない。

 

 しかし、それに対して紅真正一は慌てない。

 

 この身に宿る力が、己を愛し慈しんでいると確信できる。

 

 かのアドルフ・ヒトラーが、正しく生きようという強い思いに応えてくれる。

 

 それが、この上なく嬉しくて涙が出る。

 

「彼のような者にも、正しくあろうとする心がある。ああ、それが確信に変わったことが、ここまで嬉しく思えるだなんて」

 

 その言葉と共に、突き出される曹操の聖槍を真っ向から迎撃する。

 

 星辰光によって踏み込みは最大効率。身体能力は先ほどを遥かに上回る。そしてこの緊急事態によって、曹操自身の正一を倒すという気迫はとても強い。

 

 それらすべてをもってして、正一はその一撃を真っ向から弾き飛ばす。

 

 その種は単純明快。炎による噴出と身体機能の限界突破である。

 

 紫色の輝く炎が、ジェット噴射のように正一の動きを補佐するように放出。それにより、正一の動きはより速くより強靭にブーストがかかっている。

 

 更に正一の身体能力自体が向上している。挙句の果てに脳のリミッターを解除しているのか、その動きは反動による損壊を考慮されていない過剰なものだ。

 

 そして、それらによって発生する火傷や筋繊維の断裂などが、瞬時に修復されていく。

 

「聖杯と聖十字架の力を再現しているのか!」

 

 その事実に、曹操は瞠目する。

 

 自分ですら聖槍の出力向上を図る程度しかできなかった。だが、正一は聖十字架や聖杯の力すら再現している。

 

「これが、天命の簒奪者の力なのか、朝野!」

 

 彼は詳しく語れないと言っていた。しかし、曹操にとって最大の怨敵となるのが彼だと言っていた。

 

 それはすなわち、彼がいなければ自分が聖槍を宿していた可能性があるということ。

 

 ならば、目の前にある男は聖槍を自分以上に使えなければ興覚めだとすら思っていた。

 

 そういう意味では、この強大なパワーアップは褒め称えられるべきもの。そして賞賛されるべきもの。

 

 ゆえに―

 

「だから、俺も更に見せるとしよう!」

 

 ―その決意と共に、神器を全力で開放する。

 

 瞬時に具現化されるは濃密なオーラ。

 

 生命力を極限まで高めるか、それとも仙術を高めるか。どちらにしても傑物中の傑物に鳴れる才覚を持つ者だけが出来る、生命力の可視化を曹操は具現化する。

 

「……お前如きがそんなことが出来るとは思えないな。神器か?」

 

 正一の判断は正しい。

 

 彼が思うより遥かに、曹操という男は傑物である。

 

 しかし彼に仙術の適正はない。そして力押しより技量で打倒するタイプの曹操に、生命力を可視化させるような方向性の身体能力強化は本来起こりえない。

 

 だがしかし、それをなせる力はこの世に存在する。

 

「ああ。これが俺の神器、戦神の代行者(ファイティング・オーバーライザー)。能力は生命エネルギーを可視化可能なレベルに高めることさ」

 

 その発言と共に、攻撃はお互いに激しくなる。

 

 聖杯と聖十字架による絶大化した身体能力と、生命力を可視化するほどにまで向上せることによる圧倒的な身体能力向上。

 

 その攻撃が、文字どおり絶技レベルで聖槍を振るい合う形になる。

 

 悪魔の飛翔能力と魔力が、万物を足場へと変える星辰光が、それを補佐して高め合い、そして全力の振り下ろしがぶつかり合う。

 

 その瞬間、余波で校庭に半径十メートル以上のクレーターを発生させる。

 

 その衝撃でお互いに弾き飛ばされた二人は、然し曹操がバックステップをとることで距離が更に離れてきた。

 

 反撃の態勢をとっていた正一は、思わず面食らう。

 

「逃げる気か!?」

 

「逃げる気さ。撤退指示が出たし、今日は俺達はあくまでゲストなんでね」

 

 そういうと共に、曹操は更に飛び退る。

 

 彼としては、今回はいい意味で収穫もあった。

 

 もし天命が自分に聖槍を宿すというのなら。

 

 それを奪った者がいるのなら。

 

 その者は、身命を賭して超えようと挑むに値する手合いでなければいけない。

 

 少なくとも戦闘能力では十分なものがあった。それだけでも十分だ。

 

「また会おう、紅真正一! その時は俺も禁手に到達しておくとするさ!」

 

 そう言って姿を消す曹操を、あえて正一は追いかけない。

 

 うかつに追撃すれば、何かしらの策がある可能性がある。英雄派とはそういうものだ。

 

 そして、正一は静かに手元を見る。

 

 世界は自分に都合がいいように出来てはいない。真なる主人公を求める神の意思ですら、全てを思いのままにすることは出来ない。

 

 だが、彼に共感し背を押してくれる者がいるのだから、諦めるのはまだ早い。

 

「見ててくれ、アドルフ・ヒトラー。あなたが見失った正しき世界という理想を、俺が形にして見せる」

 

 その一人となってくれた者が、せめて己ではなく己が力を貸した者が正しさをなすことで無念を晴らせるように。

 

 紅真正一は、諦めない曲がらない。

 

 己の在り方に一切の疑念を挟むことなく、己が信じる正義を邁進し続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リースリアが駆る兵器型人工神器「蒼穹二型」は、神器技術の再現において、SWと同様のアプローチがとられている。

 

 むろんロマンに生きる神の子を見張る者ゆえに、量産性以上に性能を重視する方向はある。それ以外にもいくつもの理由はあるが、結果としてグラヴィトルはもちろん通常型のSWより小型になっているのもその一つだ。

 

 だが、それは決して蒼穹二型がそれらより弱いことを意味しない。

 

『チッ! やはり空戦主体か!』

 

「どちらかというと宇宙戦闘も可能な仕様なんだけれどね」

 

 敵のボヤキにそう返答するリースリアは、それに対して少し苦笑する。

 

 宇宙君間での戦闘が可能というのは、実にアレな性能ではあるだろう。

 

 生物同士の戦いが主体な今の異形社会で、宇宙君間での戦闘能力は主体として運用するようなものでもない。

 

 にも関わらずこんなことになっているのは「人型ロボットものなら、宇宙とか水中とかできないと!」という完全なロマン思考だ。

 

 現実的に考えれば、宇宙から地上まで全領域過ぎる対応力をもつ機体を作るより、宇宙と地上でしっかりと分けた兵器を作った方が手っ取り早いし効率的である。

 

 これに関しては蒼穹二型の開発班……というより、開発担当者のロマン思考が原因ともいえる。

 

 あくまで個人が使用する能力や装備の範疇内を人工神器研究の基本形としている神の子を見張る者にとって、この大型化した人工神器研究は本命ではない。アプローチが独特かつ興味を惹かれるものであるがゆえに、本命に至るまでの一種の参考にする事も兼ねて資金や設備を融通してもらっているが、あくまで本命ではないのだ。

 

 だが、まさか禍の団に与する側にそれを主体とする者がいるとは思わなかった。

 

 これは、事実上の自分の相方の評価が増すのではないだろうか。

 

 彼には実に恩がある。意図したものではないのだろうが、しかし彼の研究は二つとも自分はとても助かっている。

 

 そういう意味でも負けられない。ここで自分が目の前の兵器と渡り合うことは、間違いなくそれをなした彼の評価を大きく上昇させると分かっているのだから。

 

 ゆえに―

 

「流石にこの程度に負ける気はないわ!」

 

 ―敵の全ての攻撃を回避し、そして敵SWの五機目を撃破する。

 

 これにはいくつもの好条件があると言ってもいい。

 

 操作システムが違う。対応する戦場が違う。かけられた金も違う。

 

 だがそれでも、部隊単位で襲い掛かる敵と互角以上に渡り合えれば、それは評価を上げることに繋がるのだ。

 

『なめるな女ぁ!』

 

 そして、業を煮やしたグラヴィトルが攻撃を開始する。

 

 四肢が現存している個体が接近戦を挑み、他の四肢の一部が破損している機体が、小型のSWとともに銃芸で逃げ道をふさぐ。

 

 それに対して、あえてリースリアは弾幕を食らってでも安全を確保するという選択肢をしない。あえて敵の攻撃が来ることが分かっている偽りの安全地帯に残ることを選択する。

 

 その答えは単純明快。

 

 それを指し示すため、リースリアは的確に蒼穹二型を操作し、敵のフラッシャーファングに自機の手を組み合う様にぶつける。

 

『馬鹿か! 機体サイズの差は馬力の差に繋がって―』

 

「ええ、力比べをする気はないわ」

 

 相手の言葉を遮り、リースリアはトリガーをひく。

 

 その瞬間、蒼穹二型の手が光り輝く。

 

 そしてその光の波動は、接触していたグラヴィトルの両腕を粉砕した。

 

「……デモンストレーションは、これでいいですか、総督?」

 

 そう告げるリースリアの目的は一つ。

 

 この蒼穹二型の本命の武装。光力を具現化することで攻撃力上昇だけでなく、掴んだ相手を粉砕する特殊武装「攻式粉砕両腕部」のデモンストレーションを、敵部隊の兵器相手に行うということ。

 

 それにより、この蒼穹シリーズの研究費用や権限を増やしてもらおうという、至極単純なことであった。

 

 むろん、それで負けてしまえば逆効果になるのは見えている。

 

 だが、ある程度の戦闘で勝算は十分あると確信した。そしてこの程度で躓くようでは、この研究を形にすることなどできはしない。

 

 そして、その成果をしっかりと示すことは、これで出来た。

 

 だからこそ―

 

「―ああ、上出来だぜ、リースリア」

 

 ―アザゼルという男は、それを否定するようなことはしないのだ。

 

 それに対して距離をとったグラヴィトルは、然し反撃の態勢を取らずに一瞬だけ沈黙する。

 

『……指揮部隊より撤退命令が送信。申し訳ありませんが室長。これより我々は撤退を選択します』

 

 どうやら、この作戦は失敗と判断されたらしい。

 

 そしてテンションを上げていたウォタラという室長に問い質すが、返答は苛立ちどころか、労りのそれが返ってきた。

 

『ん? ああ問題ないよ。むしろ生きて帰ってきて、その生の情報をこっちに伝えてくれると助かる。……ねぎらいはティータイムかやけ酒かどっちがいいかな?』

 

『では、安酒でいいので部下の分も。あと、献杯もしたいので戦死者の分もお願いします。もうよろしいでしょうか?』

 

 そう苦笑しながら返すパイロットに、ウォタラは「あ、ちょっとだけ」と返す。

 

 そして、その意識の矛先はこちらに向けられてきた。

 

『……技術者として、君達の成果に敬意を。あと、この敗北の借りは必ず返させてもらうよ』

 

 技術者として成果を上げたものに賞賛を覚えながらも、自分が負けた分はしっかり返すつもりらしい。

 

 その在る意味分かり易い技術バカの態度に、リースリアは苦笑する。

 

「それはどうも。総督としては?」

 

「悪いが勝ち越させてもらう。と言っておこうか」

 

 その態度に、相手は返答することなく離脱する。

 

 そしてその光景を見ながらリースリアは思う。

 

 ……ああ、これは忙しい生活を送ることになりそうだと。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、最後の激戦区でもまた、激戦の音が響き渡る。

 

「行くぜ、ヴァーリぃいいいいい!!!」

 

「面白過ぎる。まさかここで、ドライグの意思が宿主以外に宿るとはね!」

 

 本心から歓喜の表情を浮かべながら、ヴァーリはイッセーの拳を受け止める。

 

 そして、似て異なる歓喜を体中から放ちながら、アルビオンもまた上空から強襲を仕掛ける。

 

『このような形で会えるとは思っていなかったぞ、赤いの!』

 

『俺もだよ白いの。だが、歓喜のあまりに大事なことを忘れてるぞ?』

 

 そのドライグの忠告に合わせ、銃撃がアルビオンをけん制すると同時に、レディッドの飛び蹴りが叩き込まれる。

 

「いやいや、神器としての本体を忘れないでくれよっと!」

 

「あと悪いな。お前相手に全部任せるとかないんでな!!」

 

 更にそこをついて、無想和正が突貫する。まずはアルビオンにHEATランサーを叩き付け。それを棒高跳びの応用で利用し、方向を変換してヴァーリに突撃。

 

 ヴァーリは迎撃しようとするが、近距離で攻防を繰り広げるイッセーによって妨害される。

 

 そしてその胴体に、円筒が叩き付けられる。

 

「近代文明、なめるなよ?」

 

 そして信管が起動し、一気に爆発が叩き込まれる。

 

 モンロー効果によって一点に集まった爆風が、ヴァーリの鎧に損傷を与える。それそのものはすぐに修復されるが、余波で宝玉が何個か零れ落ちた。

 

 そして、それを和正は見逃さない。

 

「……っしゃ確保ぉ! そして、組み込んで……完成!!」

 

 その行動は即席でも何でもない。

 

 原作知識を利用して最初からアイディアは構想済み。そして設計図を見たアジュカの手直しによって、十全な利用が可能なるレベルで完成されたそれは、対白龍皇用の切り札ともいえる。

 

 組み上げられるは、宝玉を組み込んだ大口径ソードオフショットガン。

 

 それを即座に構えた和正は、ヴァーリに向けてこう告げる。

 

「自分の力を食らいな!」

 

「何?」

 

 怪訝の表情を浮かべたヴァーリの防御が完成するのを無視し、和正は引き金を引いて散弾を叩き込む。

 

 そして散弾の殆どが叩き込まれたその瞬間、ヴァーリの力は大きく減衰する。

 

『まさか、我が半減の力を取り込んだ兵器だと!?』

 

「へぇ~。ならこういうのはどうだ? ドライグ、いいか?」

 

 驚くアルビオンから距離をとりつつ、レディッドは自身の鎧から宝玉を外す。

 

 それを見て意図を読んだドライグは、苦笑しながらも本来宿主であるはずの男に同意を示す。

 

『いいさ。お前が使い手なんだから好きにしろ』

 

「ありがとな。ほら、こっちも使え!!」

 

 そして宝玉は、和正へと投げつけられる。

 

 そして同時、その意図を読んだ和正を見たイッセーもまた、アイディアに思い至る。

 

「ドライグ! 俺のイメージ通りのこと、出来るか!?」

 

『まあ出来るが……寿命が削れるどころか、死ぬかもしれんぞ?』

 

 ドライグは当然の懸念を示すが、然しイッセーは躊躇しない。

 

 目の前の男をどうにかしなければ、どうせ死ぬと何となくだが思う。

 

 そして何より、負けられないと強く願うのだ。

 

 だから―

 

「死ぬはいやだけど、痛いのは我慢する! それに、一万年も生きる気はないさ!」

 

 そう、馬鹿正直に答えを返した。

 

 それに対して、ドライグはおろか、和正も苦笑する。

 

 何せ和正は、何をする気か薄々感づいているのだ。むろん必ず原作通りに成功するなどとは思わないが、それでもそれぐらいやってのけなければならないと思っている。

 

 だから―

 

「やってみろイッセー! レディッド、イッセーが気合を入れるまで俺達でしのぐぜ!」

 

 和正はそう吠え、そして宝玉を自身のプロテクターに組み込んだ。

 

 そして具現化するのは赤いオーラ。赤龍帝の力を、疑似的にだが取り込んだ装甲が完成する。

 

 そしてその瞬間、レディッドとドライグも苦笑した。

 

 ああ、前例まで出来たらやるだろう、と。

 

「OKだ和正! ドライグ、彼のサポートは任せたぜ!」

 

『やれやれ。今回は特殊すぎる流れだな。……いいだろう、やって見せろ、兵藤一誠!』

 

 その後押しと共に、イッセーは宝玉を自身の鎧に叩き付ける。

 

 直後、想像を絶するほどの激痛が走るが、イッセーはそれをやめようとはしない。

 

「ぐぉおおおおおおおおお! こ、根性ぅうううううううう!!!」

 

 その光の明滅とオーラを取り込もうとする流れに、アルビンは驚愕する。

 

『正気か!? 相反する力を取り込むなど、死ぬぞ貴様!!』

 

「さてどうかな? 案外成立するかもしれないぜ?」

 

 アルビオンの接近を飛龍を使って阻みながら、その驚愕するアルビオンにレディッドがそううそぶく。

 

 そして面白そうに視線を向けるヴァーリに、そんな隙など与えないと和正はランスチャージを敢行する。

 

「よそ見してていいのかよ!? それは余裕じゃなくて油断だぜ!」

 

「おいおい。今いいところなんだから邪魔しないでくれよ」

 

 そう告げるヴァーリは和正の攻撃をいなしていくが、然しその肩に手が置かれた。

 

「……安心しろよ。もう終わった」

 

 そして、振り向きざまに増幅されたオーラが拳ごと叩き込まれ、一気に白い鎧の力が下がっていく。

 

 その光景を見て、レディッドとアルビオンは共に別種の驚きを浮かべる。

 

『馬鹿な、本当に取り込んだ……だと!?』

 

「やるぅ! いや、これが本来の流れか?」

 

 その言葉と共に地面に叩き付けられたヴァーリは、然し砕けた鎧から歓喜の表情を浮かべながら跳ね起きる。

 

「いいね! 最高だ! こういう戦いがしたかったんだ!!」

 

「クソッタレ! そんなに戦うのが楽しいかよ!」

 

 イッセーはそう吐き捨てるが、ヴァーリはそれこそ望み通りといわんばかりに歯を向いて笑う。

 

「当然だとも! やはり戦いは強者が相手でないと張り合いがない! ……だからこうしよう」

 

 そして飛び上がるとともに、ヴァーリは光翼を羽ばたかせる。

 

 そしてその瞬間、周囲にある存在そのものが小さくなっていく。

 

 とっさにまずいと思って飛び退る和正とイッセーを見ながら、ヴァーリは微笑みと取っていい表情すら浮かべてきた。

 

「さあ、俺を倒さないならこの辺り全部が半分になってしまうぞ?」

 

 その言葉に、イッセーはきょとんとして、和正は複雑な表情をそれぞれ装甲越しに浮かべる。

 

 イッセーは単純にたとえの意味がよくわかっていないだけ。しかし、和正の場合はこの状況をひっくり返す、ヴァーリが敗北フラグを立てたことに気が付いたのだ。

 

 言おうか、言わないか。

 

 和正は真剣に考えて悩み、最終的に言うことに決めた。

 

 ヴァーリがここまで想定外の進化を遂げている以上、言わない方が危険だと判断したのだ。

 

「イッセーよく聞け。あいつの言葉を極限までわかりやすくお前向けにかみ砕くとな?」

 

 そして三秒ほどやはり躊躇して―

 

「幸希さんやリアス・グレモリーのおっぱいが、半分になる」

 

 ……………五秒後、爆発的なオーラが発生する。

 

「―――てぇえええめぇええええええええ!! 許さねえ、許さねえぞヴァーリぃいいいいい!!!」

 

「へぶらぁああああ!?」

 

 あまりのオーラに、近くにいた和正が吹っ飛ばされた。

 

 そしてその直後、イッセーのこぶしがヴァーリに突き刺さる。

 

「ぬぉ!?」

 

「あの素晴らしいおっぱいを半分にするだとぉ!? そんなことは、たとえ神が許しても俺が許さねぇ! いや許した神は俺がぶちのめす!!」

 

 その全力のこぶしで叩きのめされながらも、然しヴァーリは止まらない。

 

 むしろこの楽しみを否定するなど論外だと、全力をもって殴り合いというコミュケーションを堪能する。

 

「おもしろすぎる。単純な怒りといった感情が龍と相性がいいのは知っていたけど、そこに関しては君の方が向いているらしい!」

 

「なにが単純だ! つまりバカ扱いか! どうせ俺はおっぱい馬鹿だし、だからこそ許さねえ!!」

 

 渾身の殴り合いをぶつけ合う中、然し趨勢はヴァーリに傾いている。

 

 単純にヴァーリの方が素体の性能がいい。単純にヴァーリの方が神器の扱いに慣れている。そして単純にヴァーリの方が、神器の段階が上なのである。

 

 その明確な差に対して、怒りで食い下がるイッセーは十分すごいのだが、今回はそれがあだになっている。

 

「う、うぉおおおお!? 近づけな……い……っ」

 

「くそ! こうなったら俺……がっとぉ!?」

 

『ヴァーリの楽しみの邪魔はさせないさ!』

 

 和正はオーラの出力の高さに近づけず、然しレディッドはアルビオンに邪魔されて動けない。

 

 ゆえにイッセーが一人で何とかするほかなく、然しイッセーとヴァーリでは、明確にアドバンテージにさがある。

 

 精神的な適正一つしかヴァーリを超えられないのであれば、それ以外のすべての高さを利用した総合力でしのがれるのは自明の理であり―

 

「……いや、ある!」

 

 ―だからこそ、他のアドバンテージをたたきつけるほかないのだ。

 

「気合を入れろよ、相棒!」

 

『わかっているさ、俺も白いのに勝ちたくて―』

 

「ごめんドライグ、お前じゃない!」

 

 呼応してくれたドライグに詫びながら、然し彼ではないと否定する。

 

 そう、イッセーは一人ではない。そして、それはドライグだけではない。

 

 他の誰が何と言おうと。

 

 原作かこうだと誰が言おうと。

 

 兵藤一誠にとって、その身に宿る相棒とは―

 

「気合を入れろよ朱炎龍(フレイム・ドラゴン)!! お前だって、俺の力なら、根性ぐらいは出してみろぉおおおおお!!!」

 

 その声に、左腕が鼓動を放つ。

 

「俺の主を! 仲間を! 友達を! 後輩を! そしてこの街を!! 俺に守る力を、俺にくれ!!」

 

 その声に、誰かの手と瞼がピクリと動く。

 

「なあ頼むぜ。俺の思いに、応えてくれぇえええええええ!!」

 

 その声に、応えるものは―

 

『……グォオオオオオオオオオオン!!!』

 

 ―そこにいる。

 

 膨れ上がる炎が左腕から燃え上がり、そしてイッセーの拳を焼くことなく、絶大な出力の炎が左腕に纏わりつく。

 

 その絶大な出力を前に、それを叩き付けるべくヴァーリに向かって振りかぶる。

 

「面白い、面白すぎる!! ああ、そういうのを待っていたんだ!!」

 

 そしてまた、ヴァーリも拳を振りかぶり、オーラを込める。

 

 絶大な天龍の位階に一歩近づいているヴァーリ・ルシファー。

 

 天龍だけでなく朱炎龍の力も借り、それに追いすがる兵藤一誠。

 

 二人の拳は同時に放たれ、しかし一瞬だけヴァーリが速い。

 

 これは残酷なまでの現状の差だ。

 

 何年間も戦う技術を鍛えていたヴァーリが、同じ条件で全く戦闘訓練を受けていないイッセーに負ける要素など本来ない。

 

 だからこそ、必然的にこの戦いはヴァーリに軍配が上がるものであり―

 

「―――ん?」

 

 ――気づいた時、ヴァーリが追い抜いていた拳までの到達距離。それをイッセーが圧倒的に引き離していた。

 

 おかしい。これは明らかにおかしい。

 

 コンマ0,1秒にも足りないが、しかし明確に自分が止まってでもないと、こんなことにはなりえない。

 

 そう思ったその時、ヴァーリは気づいた。

 

「……イッセー先輩っ!」

 

 顔色は真っ青。体中が震えている。

 

 そんな状態で、然し強い思いを込めた目でこちらを睨むハーフヴァンパイアがいる。

 

 そして彼は、停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)という、相手の時間を止める神器を持っている。

 

 その事実を思い出したその瞬間―

 

「ありがとうよ、ギャスパー!!」

 

 ―兵藤一誠の拳が、ヴァーリ・ルシファーの鎧をぶち抜いた。

 




 初戦イッセーはおっぱいドラゴンである。
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