ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ   作:グレン×グレン

35 / 44
 直接戦闘は全開で終了。今回はいうなれば撤退フェーズですね。


停止教室のヴァンパイア21 正一「ないこいつヤバイ!?」レディッド「えぇええええ!? なんでぇえええええっ!?

 

 灼熱を纏った左の拳。それが顔面に叩き込まれ、ヴァーリ・ルシファーは地面に叩き付けられる。

 

 軽く百メートル近いクレーターを作りながら、ヴァーリは然し土煙を纏いながら起き上がった。

 

 しかし、口からは血反吐を吐き出しあばらも折れている。更に意識が一瞬解けた所為で、禁手も新技も一時的に解けていた。

 

「ふ、ふふふ……っ。装備込みとはいえこの白夜の定覇龍(ドレッドノート・クルーズ・ドライブ)を使った俺を超えるとはね。レディッドといい君といい、今回の赤龍帝は色々と、面白い」

 

 盛大なダメージを受けながら、ヴァーリは然し心から楽しそうだった。

 

「……楽しそうだな、おい」

 

 うんざりとした表情を浮かべるイッセーに対して、ヴァーリは不思議そうな顔をする。

 

「それはそうだろう? 敗北は悔しいが、それ以上に宿命のライバルである二天龍がこうも強く不確定要素の強い存在になったんだ。将来が楽しみでたまらないさ」

 

 そう告げるヴァーリに、然しそれを阻まんと足音が響く。

 

「あ、悪いんだけど流石にちょっと危険すぎるわ。放置できない」

 

「同感だな。例えこの先がどうなろうと、だからってお前を放っておくことを選ぶ気はねえよ」

 

 レディッドは星天アサルトトレーサーを構え、そして和正もHEATランスを構える。

 

 双方共に、ヴァーリを心から警戒するがゆえに行動だ。

 

 レディッドはヴァーリが今後の原作で行動する要素を知らないがゆえに危険視し、和正は原作の流れを分かっていても見過ごせなかった。

 

 原作を知っているからという理由で安心できるわけがない。この世界は大きく不確定要素があり、だから原作通りになるなどという、盲信をしていい環境ではない。

 

 だから、ここでこの男は取り押さえることに躊躇がなかった。

 

「イッセー下がってろ。あとは俺達で決める」

 

 和正はHEATランスを構え腰を落とす。

 

「同感だな。オーバーヒートも終わったし、ここで一気に潰しておこう」

 

『トレースライズ クラッシングバッファロー!』

 

 同時に、レディッドもアサルトレーサーから牛の角のようなランスを展開し、突撃の態勢に入る。

 

「「悪いがお前は、ここまでだ!」」

 

 そして同時に二人は突撃し―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、それはダメ」

 

「ダチをやらせるわけにゃぁいかねえなぁ!」

 

 真上から、炎を纏った拳と気を纏った棍が、二人のランスを同時に打ち砕いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだ、おい。

 

 俺のHEATランスが砕かれたのはいい。元から使い捨てだからそれはいい。

 

 だけどなんで―

 

「プロテクターまで……っ!?」

 

 今のランスが砕かれた衝撃で、プロテクターまで何故か結構砕けてるぞ!?

 

 しかも修復も試みてるのに遅い!? おいおい冗談だろう!

 

 まるで、星辰光そのものがジャミングを受けてるような―

 

「っとぉバックステップぅ!!」

 

 ―そう思った瞬間、レディッドが俺をかっさらうようにして引きはがす。

 

「やばいやばいやばい! あれはやばい! イッセーもそいつに近づくな!!」

 

 思いっきり全力でイッセーのところまで後退し、俺をイッセーの近くに置くと、素早くアサルトトレーサーを構えて警戒する。

 

「ちっ! お前ら何者だ!」

 

「……ん? タウゼントだけど、何言ってるの?」

 

 きょとんと首を傾げて言われましても。こっちが困る。

 

 めっちゃ不思議そうにそんな態度をとるのは、蒼い髪を結構無造作に首を後ろで束ねた少女。

 

 たぶん十代前半ぐらいなんだが、どうなってんだこれ。

 

 俺達がどう反応したものかと思ってると、棍を振るった方の猿っぽい兄ちゃんが、ぽんぽんとタウゼントとかいう女の子の頭を軽く叩きながら片手を誤る感じに立てて見せる。

 

 たぶん、あいつ美候だよな?

 

「悪ぃな。こいつなんていうか天然でよ。挑発とかじゃねえから許してほしいねぃ」

 

 そう返す美候は、戦闘意欲はなさそうだけど……どうしたもんか。

 

「美候にタウゼントか。どうしてここに?」

 

「ん、お迎え。あとピンチだから助けた」

 

 ビシッと親指を立てるタウゼントに、ヴァーリは苦笑を浮かべる。

 

 その態度に、タウゼントは小首を傾げた。

 

「……迷惑?」

 

「いや、助かったと言っておくべきかな? 美候も、一応礼を言っておくさ」

 

「お、素直でいいねぇ。ま、それに他の連中がアースガルズと一戦交えるって言ってるんでな。どうも失敗みたいだし、今日のところは帰ろうや」

 

 そう言いながら、しかし美候はちょっとこっちに興味深げな顔を向ける。

 

 あれ? もしかして3on3で第二ラウンド?

 

 俺が警戒するが、美候は苦笑しながら一歩を下がる。

 

 ―その瞬間、半透明な魔剣が付き立った。

 

「……闘仙勝仏の末裔、美候。まさか須弥山の仙人になりえる奴がテロリストとは、世も末のようだな」

 

 そう告げるのは、俺達の後ろに近づいてい来る一人の美少女。

 

 悪魔っぽいから年齢は分からないけど、外見年齢は十代後半ぐらいか?

 

 っていうか、誰?

 

「……美候? それって誰? っていうか、この人誰?」

 

「イッセー。新米だから仕方ないけど、猿の方はともかくそこの人については知っといた方がいいんだけど」

 

 レディッドが苦笑すると、二人を交互に指さしながら答える。

 

「そっちの猿は分かり易く言うと孫悟空の末裔。で、こっちのお姉さんはオタクの主と同じ特式上級悪魔で、大王派所属の最上級悪魔になったばかりの実力者さ」

 

「えええええええ!? 孫悟空!? って、幸希さんと同じ特式上級悪魔ぁ!?」

 

 面食らって驚くイッセーだけど、俺も驚いたわ。

 

 いや、そういえばそんなこと幸希が言っていた気がするけど、ここで来るかよ!

 

「……聞け、狼藉者。任務は防衛ゆえに引くなら追わぬ。されどこれ以上仕掛けるようなら―」

 

 その一瞬の溜めと共に、周囲を六人ほど囲む日影が見える。

 

 三人ぐらい俺と同じぐらいの外見年齢だけど、他の三人はそこそこの歳っぽいな。

 

 俺がそんな風に感心していると、ヴァーリ達は顔を見合わせて頷いた。

 

「出来れば一戦交えたいが、この状態では失礼に値するか。美候、任せる」

 

「OK相棒。んじゃ、俺達はこの辺だぜぃ」

 

 そう言って美候は棍を地面に叩き付ける。

 

 その瞬間、地面が泥のようになって三人が沈んでいく。

 

「こらヴァーリ! 逃げるのか!?」

 

「はいはい追いかけない! あのお嬢ちゃん、どうも君や和正君と相性悪いっぽいから、我慢しような!」

 

 追いかけようとするイッセーを、レディッドが羽交い絞めにする。

 

 そして沈んでいくヴァーリは、嬉しそうな表情でイッセー達に告げた。

 

「俺ももっと強くなる。だから、君達も強くなってくれ。そうなれば、二天龍の戦いはもっと素晴らしいものになるはずだ」

 

 ああそうかい。そんなに殺し合いが楽しいかい。

 

 戦闘狂ってのは本当にめんどくさいなぁ、ほんと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方幸希は、道間朝野と幸希は、睨み合いの態勢だった。

 

 想定外の赤龍帝の()()()の覚醒に、二人ともあっけにとられて我に返るのが遅れたのだ。

 

 そして、我に返ってにらみ合いになっていた。

 

「……まったく、原作主人公は俺が何もしなくても覚醒しやがったよ」

 

「想定外の喜びね。眷属にした私も鼻が高いわ」

 

 苦笑と微笑を交わし合いながら、二人は気を取り直して戦闘態勢を取ろうとし―

 

「失礼、どうやらこれ以上は無理の様だ」

 

 その言葉とともに、四人の聖槍使いがそこに集う。

 

 朝野をカバーするように、部下を引き連れて着地した者達は、然しそれと同時に新たなる参入者に囲まれる。

 

「ここまでだ。増援も来た以上、これ以上は君達が不利だろう」

 

「まったくなのよん。」

 

 最強の魔王であるサーゼクス・ルシファーに、女性魔王セラフォルー・レヴィアタン。

 

 更に二人の後ろに控える形で、グレイフィア・ルキフグスまで存在する。

 

 状況は明らかに面倒な方向になっていると、朝野が思うのも当然だった。

 

「……あ~。たぶん撤退するんだろうけどさ、俺が置いてけぼりってのはないよな?」

 

「当然だとも。君には禍の団の拠点まで案内してもらわねばならないからな」

 

 そういうネオスは、同時に指をパチンと慣らす。

 

 そこに現れる……というより駆け寄るのは、戦闘を生き残った神聖十字軍団の者たちだった。

 

 その数にサーゼクスたちも幸希も警戒するが、しかし誰も攻撃を仕掛けようとはしない。

 

 つまり、これは本当に撤退するということだ。

 

「できれば一人ぐらいは打ち取りたかったが、理想世界に至るまでの過程が途中まで共通する共闘相手はできた。今回はそれで十分ということにしよう」

 

「―――そうですか。では、一つ伺いたいことがあります」

 

 ネオスの言葉に応えるのは、空から舞い降りるミカエルだった。

 

 彼は複雑な感情を視線に込めて、ネオスだけでなくその周りにいる者たちを見渡した。

 

「……大型の人間界の施設を利用した悪魔と協力する人間ごと相手にする際に、カバーを行うための事実上の専属傭兵組織「免罪旅団」。その強化兵士中隊長、クーマ・リムゾン」

 

「うっす」

 

 ミカエルの言葉に、男が片手を上げて軽く対応する。

 

「須弥山の仙人でありながら教会に改宗し、その能力を戦士たちに生かすため、骨髄移植の応用で仙術の使い手となった「仙十字小隊」の小隊長、孫 白鈴(スン バイリン)

 

「はい」

 

 そしてまた、中国の民族衣装を着た女も悲しげにうなづく。

 

「そして、悪魔の力を借りたり味方をする神器使いを中心に対処を行う、暗部組織「ミゼリコルデ中隊」。そして小隊長であるイストリカ・クラウディウス」

 

「……ええ」

 

 同じように、そっけなく悪魔払いの恰好をした女性もうなづいた。

 

「それぞれが暗部に属するとはいえ、神聖十字軍団に与するとは。……わかっていますがあえて聞きます。本気ですか?」

 

「「「当然」」」

 

 即答で、三人とも同じように答える。

 

「すんませんがおらぁ、人殺しにはまったイカレ野郎でしてねぇ。外見同じな悪魔を堂々と殺せるから参加してるんで、和平って時点でこうなりまさぁ。スカウトしてくれた枢機卿にはいいましたぜ、「俺は信仰心なんてありませんぜ」って」

 

 クーマ・リムゾンはそう答え、銃についた返り血をなめとる。

 

「いずれ須弥山を制圧し、世界に聖書の教えを広めることこそ我が望み。正すのではなく対等に扱う時点で、背教者はあなた方です。……嘆かわしい話だと思っております」

 

 孫白鈴はそう告げ、本心から嘆き悲しんでいるのか涙をこぼす。

 

「堕天使や悪魔の力を借りてまで生きながらえさせるなど愚の骨頂。人の魂に地獄の切符を押し付けるその外法、苦しむしかない人に慈悲の一撃を送るミゼリコルデ中隊が見過ごすどおりはないと知りなさい。背教者」

 

 そしてイストリカ・クラウディウスは敵意を込めて、軽蔑の視線をミカエルにたたきつける。

 

 そして三人の言葉を待ってから、ネオスははっきりと告げる。

 

「そういうことだ。もはやバチカンにもセラフにも、聖書を語る資格なし。そんな弱腰こそが人々に正義を示すことが出来ぬのなら、我らがすることは決まり切っている」

 

 そして指を鳴らしたネオスの周囲から、黒い霧が生じあたりを包み込む。

 

「……え、あれ、絶霧(ディメンション・ロスト)!? なんで、ゲオルグ無事だぞ!?」

 

 戸惑う朝野に、ネオスは落ち着かせるように肩に手を置く。

 

「安心するといい。彼らと同じことをしている者はあと四人いるのだよ。それに、これから数人増える予定だ」

 

 その言葉に、幸希は内心で舌打ちをする。

 

 少なく見積もっても七人は確実。ルーラーというサーヴァントのクラスは監督役で本来は独立していることから、おそらく八人分のクラスカードがあるとは踏んでいた。

 

 だがおそらく、さらなる追加生産が可能であることは間違いない。それも狂信者といえるものか、聖なる宝具を持ち合わせる者たちがごろごろと集まるのだろう。

 

 間違いなく、神聖十字軍団は聖遺物系神滅具のバーゲンセールとなりえる。

 

「まあ、バチカンにおいても宣戦布告と人材募集は行っている。彼らの方もそろそろ離脱のころ合いだろうが、一つだけいいだろうか?」

 

 と、ネオスは幸希に視線を向ける。

 

 嫌な予感はするが、おそらく断ったからどうなるというものでもないだろう。すでに終わっていると踏むべきだ。

 

 だから、あえて問いただす。

 

「いいわ。聞くだけ聞いてあげる」

 

「そうか。なら君の眷属に言伝を頼みたい」

 

 その言葉に、幸希は一つの可能性に思い至る。

 

 神聖十字軍団が、自分の眷属にわざわざ何かを告げる可能性があるとするならだれか。

 

 兵藤一誠か? しかし彼は赤龍帝ではなくなっており、教会に喧嘩を売るような発言は正一がやったので可能性は低い。

 

 にもかかわらずイッセーに何かを言うような、馬鹿な手合いでもない。それは彼がこの数十年間の地道な下準備をしてきたことで明らかだ。

 

 ならば、非合法実験の生き残りであるトレイヤか。

 

 その可能性も低い。というより、いくら枢機卿といっても非合法実験の内容は知っていても個人の名簿や顔まで把握できている可能性はそこまで高くない。そうだとしても、それなら祐斗について何か言うはずで、ならばリアスがいないとはいえ、その兄であるサーゼクスにも言伝を頼むはずだ。

 

 となれば消去法で残りは一人。

 

「―――ゼノヴィアかしら?」

 

「その通り。彼女に伝えてほしいことがある」

 

 あっさり肯定したネオスは、霧の中に消え去るまでにこの言葉を伝える。

 

「七騎士の一角足る剣士からの伝言だ。「えこひいきで選ばれたうえに、悪魔に与した売女(ばいた)に告げる。偉大なる聖騎士(パラディン)より託されたこの力で、俺は貴様に裁きを下す」とね」

 

 その言葉とともに消え去るネオス達を見据えながら、幸希は二つ確信できたことがあった。

 

 一つ目。神聖十字軍団には、もう一人転生王者がいることは確実。

 

 二つ目。その男はまず間違いなく、クラスカードの力でローランを宿しているということ―

 

「まさか、絶霧(ディメンション・ロスト)とデュランダルに選ばれたあの聖騎士の力が、神聖十字軍団に与えられるというのですか……っ!?」

 

「ふぼぉ!?」

 

 ―ミカエルの発言で「しかもローランは絶霧持ち」という三つ目の確信を得たことで、思わず幸希はむせた。

 




 全く持って想定外の乱入者により、あえて踏み込もうとした原作崩壊が阻止された和正。

 ちなみに乱入者であるオリキャラの女、少しすればどれぐらいかの指標がわかりますが、とある原作世界にいたらかなりヤバイキャラです。最悪のジョーカーになりかねないとんでも存在です。



 そして増援としてきた金髪少女。もうわかっていると思いますが、ヴァーリの目の前に突き立った剣を投げた人でもあり、ついでに言うとアザゼルに麻酔弾撃った人たちに同情した人でもあります。キャラが違うのは少ししたら説明されます。

 彼女……というより彼女の組織は、転生王者ではなく転生落伍者によるバタフライエフェクトの最たる例ですね。前からD×D二次創作小説で書いてみたかったコンセプトの一つを担当する者たちであります。





 そして神聖十字軍団は十字軍団で基本取り逃がします。

 彼らは何というか、禍の団編における難敵ですね。思想が思想なので禍の団が敵となる戦いではほぼ確実に一人は出てきます。

 現段階でもクラスカード(基本七クラス+ルーラー)に+αがありますし、更に怪人ポジションを何人か出したいと思っています。とりあえず基本七クラスの残りはヘルキャット編に出てくる予定です。

 なお、今回のクラスカード持ちには色物率が高かったと思っているでしょうが、実は色物は他にもいます。とりあえずこのクラスカード持ち、基本コンセプトは「全員暗部より」となっているため、来歴が基本的にイロモノなっていることをご了承ください。

 そしてまあ、ほぼ確実に予想できる範囲内ですが、あえて書きます。

 エクスカリバー編のラストあたりでネオスと会話していたゼノヴィア嫌い。奴がセイバー担当でローラン担当です。ちなみに奴との最終決戦では、ゼノヴィアに星辰光の詠唱をさせようと思っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。