あとまたまたまた遅れてすみません。今回番外編でございます。
ではどうぞ。
───これはもしもの世界の出来事。偶然に偶然が重なり続けた結果の世界でのお話。
少女は
石か鉄かで出来たとても頑丈な壁と床。そしてシングルベッドがギリギリ二つほど入る程度の狭い部屋。空間は薄暗く、あまり衛生的でないように感じる。
さらに極めつけには……鉄格子が設置されており、部屋から簡単に外へ出ることが出来ないようになっていた。完全に牢屋に入れられている状況であった。
「…目覚めましたか。工廠棲姫」
外からの声。少女はこれに反応に発声された方向に対して目を向ける。
彼女は軽巡洋艦大淀。陸上であるはずなのに艤装を展開し物凄く警戒した様子で少女へと話しかけていた。
「……」
「状況をあまり理解していないみたいですね…あなたは我々に捕らわれたのです。今後はあなたには我々の実験に付き合って頂きます」
「……」
「正直、あなたは生きているだけで我々の脅威。今すぐにでも息の根を止めたいところでしたが、上から実験に使いたいから生かすように言われました……上に感謝してくださいね」
「……」
暗に命令が変わればいつでも殺せるぞと宣言されたにもかかわらず少女の表情は変わらない。少しくらい反応してもいいのではないだろうかと大淀はそれに疑問を持つ。
「あなたが対物理攻撃に特化していることは知っています。私達の兵装はあまり効かないようですからね」
「……」
「ですから、あなたがどこまで物理攻撃を耐えきれるのか。そしてあなたに何が効くのかという実験を主にしていきます。電気ショック…毒ガスや毒薬でもいいでしょうね。あとはレーザービームなど、色々方法は────」
グゥー。
話を遮るようにどこからか腹のなる音がした。大淀は自分ではないことは分かっているため、発したのは目の前の少女ということになる。
しかし大淀はここで思い付いた。お腹が減るということは飢えで殺せる可能性もあると。よって敢えて放置してみることにした。
「…話はいじょ」
グゥー。
「…ではま」
グゥー。
「……」
「……」
大淀は悟った。
「(あ、これ飯もってこいって訴えてますね)」
しかし相手は捕獲されて収容されてなお警戒がされている工廠棲姫。易々とそうこちらの食糧を渡すわけにはいかない。それに思い付く限りだと深海棲艦の餓死など聞いたことがない。どうなるのか気になるという好奇心もあった。
だからまた意識してその訴えを無視することにした。
大淀は今度は一言も発することなくその場から立ち去ろうとする。するとどこからか────ブチッと何かが切れる音がした。
大淀はそれが聞こえた瞬間、無意識の内に全力疾走をしていた。
「(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!! あの音はヤバい!!!)」
表情を恐怖に染め、艦娘としての自分が持つ全力の力を振り絞ってその場から逃げ出していた。大淀自身何故自分がこうしているのかは理解していない。とにかくあの場に居続けるのは危険だということは分かっていた。
───突然、破壊音と同時に壁から手が生えて来て大淀をガシッと掴んだ。あまりの力強さに大淀の走りは完全に止められてしまう。震えが止まらない。おそるおそるその壁の方を見てみると……壁を破壊して出てきた少女がいた。
その表情はいつもの無ではなく顔全体にシワがより完全に怒りのものへと成っている。
「(何故、私はかなりの速さで逃げていたはず……っ!!!)」
初動が遅れたはずの少女がどうやって自分に追い付いていて今鷲掴みにされているのか大淀には理解出来てない。少女のやってきたほうをみてみると、ここから少女のもといた部屋まで壁が破壊されていた。
大淀は少女が特別な能力なんか使わず完全に馬鹿力だけでここまでやってきたことを理解してしまった。
「ば、化けも…」
言い終わる前に、大淀は一発殴られそのまま気絶。マンガのようなたんこぶが形成されていた。
すると今度は外から別の足音がし、施設に誰かが入ってきた。
「大淀! どうし……た?!」
「工廠棲姫!? 何故貴様が…!」
他の艦娘たちであった。咄嗟に艤装を展開して大淀が傷つかないよう少女に攻撃を仕掛けようとしていくが、それらは少女にとってストレス発散先が増えただけであった。
「………」
少女は怒りの表情を変えぬまま艦娘たちに特攻していき─────
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──時は進み、場所は戻って最初の部屋。少女は椅子に座り、ナイフとフォークを用いて目の前の間宮特製ステーキを食べやすい大きさにカットしてそれらを食べていた。
「……」
目を瞑り、ゆったりとその味を吟味している。傍から見ればそれも無表情ではあるのだが……うっすらと、幸福の感情が見え隠れしているようにも見えた。
大淀さんファンの皆さん本当にすみませんでした。