今日はちょっと読みづらいかもしれません。お気をつけを。
では、どうぞ。
工廠棲姫という脅威が一先ず去り、再び大本営の会議室にて会議が開かれていた。参加者は例の元帥六人+艦娘六名である。勿論その六名とは、工廠棲姫と戦闘をした『第一迎撃部隊』の者達である。
「……さて、ギリギリのところでなんとかなったわけだが」
「あぁ……皮肉なことに工廠棲姫から受け取った資源によって大和達の修復が殆ど間に合ってしまったため、殆ど被害はなかったのだがな」
「寧ろ少しだけ増えているとまである……無様なことだな…」
工廠棲姫から渡された資源に関しては受け取った瞬間から何か仕掛けられていないかという警戒がされ、先ほど全ての検査を終えたところであるのだが…全くもって異常など発見されなかった。自分達のもっている資源と何ら変わらないものだったのだ。
「…少し、よろしいでしょうか」
元帥たちが頭を悩ませて唸っている時、呼ばれた第一迎撃部隊の旗艦が…大和が遠慮がちに手を挙げた。元帥たちはおぉ! と返事をし大和のほうを向く。
「実際に対峙した君たちの意見はとても貴重だ。そんなに遠慮することはない」
「そうだとも。是非とも聞かせてほしい」
「では…一つ」
大和が深呼吸をし、続けた。
「…工廠棲姫は、人類と深海棲艦との戦争自体に興味をもっていない可能性があります」
『!』
意見を耳にした全員が驚いたような表情を作るのだが…直ぐ様納得をしたような表情へと変化していった。
「なるほど、工廠棲姫から全く攻撃を仕掛けなかった理由はそれか」
「そういえば、工廠棲姫が積極的に艦娘を沈めたという記録は存在していない…」
「とするならば、大和達に攻撃をしてきた理由は『やられたからやり返した』だけ、というわけか…」
ふむぅ、と思考を続ける元帥たち。だかその中の一人がある疑問を呈した。
「仮にそれが真だったなら、何故艦載機やそれを発進させた空母の赤城や加賀に対して攻撃をしなかった? 大和達が砲撃を仕掛ける前から艦載機に攻撃をされていたはず…」
「──それはやはり、烈風を求めていたからではないでしょうか」
次に発言したのは空母赤城。いきなりの発言を誰も咎めることなく、全員が赤城の声を聞く姿勢を取っている。
「工廠棲姫は、ある本に掲載されていた写真を私たちに見せてきました。それが烈風であったのです。つまり、工廠棲姫は烈風が艦上戦闘機であると知っていたということになります」
「…ふむ、それで?」
「自分達が私達の海域に近付いたときから出てきていた艦載機を見て、おそらく工廠棲姫は近くに空母がいることを悟っていたのでしょう。だから艦載機達を攻撃せず、どこから来たのかなどの観察をし、私達の場所を特定したとおもわれます」
「…続けて」
「私達を見つけ次第工廠棲姫は私達に烈風を要求してきました。怒っているような素振りは一切見せずにです…」
一度間を置き、赤城は続ける。
「まとめますと、私達が空母であり、烈風を所持している可能性があったからこそ攻撃をしなかったのだと考えます。やり返すことよりも、烈風を得ることを優先したというわけです」
赤城の発言が終了、再び全員が思考していく。
「…筋は通ってる」
「感情論に近いものを感じるな…工廠棲姫は我々の考えている以上に幼いのかもしれない」
「私もそう感じました」
「加賀…」
普段あまり積極的に発言をしない空母加賀が発言。少し驚く周りだが、聞く姿勢を取った。
「工廠棲姫は私が渡した烈風に対して何も警戒を抱くこと無く……そう、まるで子どもが新しいオモチャを貰ったときのように慎重に、丁寧に、そして大切そうに扱っていました。表情が変わらなかったため確信には至れませんが…」
「敵から渡されたものに対して無警戒とは…これは大和の説が本格的に正しい可能性が出てきたな」
これらを聞いていたある元帥に、とある考えが過る。
「『触らぬ神に祟りなし』……これは工廠棲姫を敢えて放置しておくべきなのでは?」
今までの説が本当に全て正しいならば、工廠棲姫と関わらなければその理不尽な力を振るわれることはないだろう。
「だが、今回我々は工廠棲姫の出現前に特に何かしたわけではない。しかし工廠棲姫はやってきた。そしてまたいつこちらに来るか分かったものじゃない」
「めちゃくちゃな説になるが…もし工廠棲姫が気分屋で、たまたまストレスが溜まっていたときの捌け口にここが選ばれたとしたらたまったものではない」
「それに我々の目的は深海棲艦の完全殲滅。工廠棲姫という深海棲艦もいずれは倒さねばならん」
最もな反論ではある。しかしまたここでそれへの反論が出てきた。
「だったら工廠棲姫は最後に滅ぼせばいい! 今のうちに別の深海棲艦を全て滅ぼし、残った深海棲艦を全戦力で叩いてしまえばいいはずだ!」
「忘れたのか。今まで何度も工廠棲姫以外の深海棲艦に艦娘たちが沈められてきたのを。君の気持ちはよく分かるが、一度落ちつくべきだ」
工廠棲姫以外の深海棲艦を全て滅ぼす。言葉にするの簡単に聞こえてしまうが、これまで空母棲姫や戦艦棲姫、駆逐古鬼を始めとした姫級深海棲艦や鬼級深海棲艦、さらに重巡リ改flagshipや戦艦レ級eliteなどの強深海棲艦などに沈められてきた艦娘は数多くいる。
まだ未確認な深海棲艦も含めれば、工廠棲姫が最後の深海棲艦になるころには戦力は今よりも大きく減っている可能性は十分に考えられる。そうなれば結局工廠棲姫に勝てないままになるのだ。
「だったらどうすれば!」
「『工廠棲姫を潰すにはもっと数が必要』…君が言った言葉だ」
「!」
告げられたその元帥はハッとした。そうだ、どうして忘れていたのだろう。自分で言った言葉であったのに。
「もう既に工廠棲姫のいる海域の位置は特定が出来ている……加賀」
「はい」
スクリーンに海域のある場所に点が打たれている海図が表示される。
「烈風に発信器をつけさせてもらいました。気付かれないように電池をギリギリにしてあり、無くなると音無く自壊する仕組みのものですので現在は反応はありませんが…」
「構わない。場所は…ここで間違いはないな?」
「はい。『地点ラの九』…この位置が工廠棲姫の基地の可能性が高いです」
「なんと……」
全員が驚く。今まで特定が難しかった工廠棲姫の居場所をあっさりと特定出来てしまったのだから。
「『地点ラの九』に集ることが可能な全鎮守府の全戦力を用いて、工廠棲姫の撃破を狙う」
「ぜ、全戦力…!」
「そうだ。爆撃や砲撃でも、それこそ雷撃でも構わない。とにかく我々の…人類の持つ全戦力を投入し、確実に始末するのだ!」
「っ!」
『縛り』は一切無し。全戦力を振り絞った真っ向勝負。大和やその他の艦娘も、リベンジを果たすという意味合いで身に力が入り始めていた。
「内容はいたってシンプル…だからこそ分かりやすい」
「出撃艦は全てか……これは燃えるな」
同じく元帥たちにも気合いが入り始める。過剰戦力ではとは誰も言うことはない。寧ろ過剰戦力であってくれと願うほどなのであるのだから。
「───以降、本作戦を『ラ九作戦』と命名。さぁ同志たちよ…人類の本気、見せてやろうではないか!!」
戦争は量ですからね(白目)
それと地点に関しては適当です。へぇこの世界ではそんな場所があるんだー程度に見てくれると嬉しいです。