深海のとある姫サマ   作:エンゼ

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大遅刻ごめんなさい。

今回もちょっと…いや、かなり読みにくいかもです。

では…どうぞ。


リンチの刻

 ───少し時が戻って、少女の部屋。

 

 夜はかなり更けてきたのだが、まだ少女の寝る時間ではない。いつものように椅子に座って本を読みながらその時間がくるまで過ごしていた。

 

 時間帯が夜であることを除けば、いつも全く変わらない景色。ただ一つ違う点があるとするならば──少し外が騒がしいことぐらいだろうか。

 

「……」

 

 しかし少女はそんな音など気にすることなく──いや、それは言い過ぎかもしれない。とても無視できる音ではないのだから。

 

 おそらく多少は気にしてはいるであろうが、敢えて無視をしているのだろう。表情は無から変わることなくじっくりと本を味わっていた。

 

 ──すると突然、基地が…少女の部屋がガクンと揺れる。速いスピードで何かが衝突してきたかのような衝撃が少女の部屋を襲った。

 

 同時に爆発音のようなものが聞こえる。敵の砲撃がこっちに飛んできているような感じだった。

 

「…! …!!」

 

 少女の部屋に飾ってある装備達も部屋の揺れに合わせて動き、装備同士が衝突していく。その影響で大事にしてきた装備たちに傷が入り始めた。

 

 それが発生したことにより少女は突然本を読むのを止め、キョロキョロと速いペースで首を振って装備たちを見つめる。表情こそ変わらないものの、どこかパニックになっているようであった。

 

 そして、専用のケースに入れられていた烈風が……ケースごと倒れてしまって、床と衝突してしまったのを最後に───

 

 

 

 ──プツン──

 

 

 

 ───切れてはいけない何かが、切れる音がした。

 

 そう、それは例えるなら解いてはいけない封印を解いてしまったかのような、目覚めさせてはいけないものを目覚めさせてしまったかのような……そんな感覚。

 

 少女は艤装を一瞬で展開、同時に艤装を含む全身が黒く、純粋で淀みのない漆黒へと染まっていく。

 

 さらに負の感情が織り混ざった黒の炎を纏う。突然、この負の感情とはただ一つ…『怒り』である。

 

 

「GRUUUUU…」

 

 

 ベキッ、ビキッと床が少女の放つ圧力に耐えきれなくなり崩壊を始めている。そのまま少女は上を向き、天井の、破壊したとしても大切な装備たちへの影響が最も少ないところを見つめたかと思えば──

 

 ──少女はもう部屋からいなくなっており、そこにはたった今破壊されたとしか思えない穴が一つ空いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───────────!!!!!」

 

 

 叫ぶ。己の本能が赴くままに。自身の怒りを燃やし尽くすために。

 

 しかし、怒りは収まらない。この怒りを引き出してきたやつらを叩きのめさなくては気が済まない。

 

 少女は眺める。この基地を囲むようにして『敵』がいることを。自分の大事なものに傷をつけやがった『敵』が。

 

 自分の基地にいる他のやつらはこちらへと砲は向けていない。『敵』の範囲は軽く絞られる。

 

 

『敵』は全て滅ぼしてしまえ。

 

 

 少女が動き出した。最初は北側戦線へ。艦娘側で最も速い島風の出す何倍ものスピードで北側の敵艦隊へと突っ込んでいく。

 

「は、はや───」

 

 艦娘たちはあまりの速さに目が追い付くことが出来ずに次々と轟沈一歩手前の航行不能状態へと追い込まれていき、ついにそこに立っているものは少女一人だけになった。

 

 

 そして次は西側戦線。ここには艦載機や潜水艦がいるという対処の難しいエリアだ。

 

 少女はある地点に立ち、思い切り拳を振り上げて海面へ殴りかかる。するとその衝撃で津波が発生。海中にいる潜水艦たちにまでその振動が伝わっていく。基地への影響は殆どないという殴り方も忘れていない。

 

「こ、これは無理でち!!」

「浮上するのぉ!!」

 

 潜航するのが困難になってしまうほどの衝撃。思わず潜水艦たちは海面へと浮上してしまうが……それが少女の狙い。浮上してきた艦娘をガシッと片手で鷲掴みにし、艦載機を狙って上へと次々にブン投げていく。

 

「嘘でしょぉぉぉ!!!??」

 

 怒り狂っていてもその狙いは必中。一石二鳥どころではなく一石十鳥レベルに艦載機をキレイに全て墜としていき、最終的に艦載機を飛ばしてきた空母達までも狙われ潜水艦もろとも轟沈一歩手前航行不能状態に追いやられてしまった。

 

 

 

 続けて基地の壁を突き破って進んで東側戦線。ここも北側戦線同様敵艦隊へ突撃をし、すれ違いざまに、一隻一隻に大打撃を与え轟沈一歩手前航行不能状態へと追い込んでいく。

 

「こ、このぉ!!」

「くらえぇ!!」

 

 ただ、艦娘たちもここまで少女がやってくるのを黙って見ていたわけではない。というよりも艦娘たちは少女を目標として動いていたのだ。最初の咆哮には怯んでしまったものの、ここで少女を仕留めなくては…と、動ける全員が全力で攻撃を仕掛ける。

 

 少女に少しずつ反攻をし、雷撃や砲撃をしてダメージを与えようとするが──

 

 

「そ…そんな……!!」

 

 

 少女は放たれた砲弾全てをキャッチ。雷撃にかんしては蹴り返していた。

 

 圧倒的力の差。自分たちの力があっさりと受け止められ、これまでの努力が一瞬にして無へと還されたかのような感覚。

 

 未だ攻撃を仕掛ける艦娘はいるものの、絶望をし、恐怖して動けなくなった艦娘たちも少なからず出てき始めた。

 

 

 

 

「──皆さん!! 怯んではいけません!!」

 

 

 

 

 ここで、南側戦線からの増援。声を発した旗艦大和を含めた『第一迎撃部隊』をはじめとした人類の主力達が駆け付けたことにより、絶望していた艦娘たちに希望の灯火が宿る。

 

 ──そうだ、まだ大和さんたちがいる。大和さんたちがきっとこいつを沈めてくれる。だから私は…私たちは大和さんたちの手助けをしないと!!

 

 動ける全員で少女を攻撃し続ける。その間に大和も、その他の主力たちも、一斉に主砲を少女へと向けた。

 

 

「──皆さん、一斉射撃です! ここ以外の皆さんも私たちに合わせて砲撃を行ってください!!」

 

 

 駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、戦艦……全ての艦娘たちが少女を囲み、全員で少女へ重たい一撃を与えようとしている。

 

 先ほどから少女はと言うと───唸り声をあげながらじっくりと身構えていた。正面から受けて立つようだ。

 

 

 

「3…2…1──0ォォォ!!!!」

 

 

 

 大和の合図で、全ての砲撃が同時に少女へと襲いかかる。その威力は以前の砲撃の何万倍ほど。深海棲艦一人を滅ぼすのにそれほどの戦力が本当に必要なのかと疑ってしまうレベルである。

 

 だがそこに誰も疑問を抱かない。この少女になら、これぐらいの戦力ではないと敵わないと悟ってしまってしたから。

 

「──やったかっ!?」

 

 激しい爆発。立ち込める煙。姿の見えなくなった少女に対し誰かがそう呟く。そこに誰もいないことを願いつつ、煙が晴れる時を待つ。

 

 そして、その時はやってきた。人影が、ある。先ほどと殆ど同じ姿勢でその場に立っている───無傷の少女が。

 

「─────」

 

 最早、誰も何も発することがない。できない。本気の本気。人類の、艦娘の全力。それらを駆使しても……この少女に、一切のダメージを与えることが不可能であった事実が、理解できないから。

 

 

「───────────!!!!!!」

 

 

 少女の雄叫びが響き渡る。

 

 

 無傷で砲撃を受けきった少女は、そのまま残りの艦娘に突撃して────────




次話でこの小説は一区切りです。
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