深海のとある姫サマ   作:エンゼ

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お久しぶりです。
何故か続きのようなものが書けたので、投稿します。

出来はちょっと悪くなってますが、よろしければどうぞ。



到来の時間


「がふっ……ねぇ、どうして……!? どうしてこんなことするの……!?!」

 

「……それが、あなたの役割だから」

 

「違う……!! 私のやるべきことは、深海棲艦を倒して海域を奪還すること……! ただただ仲間の盾になり続けるようなことじゃない……!!」

 

「……恨むなら、そういう鎮守府に着任した自分を恨みなさい」

 

「がはぁっ……!! ぁ……れ、れんそう、ほう、ちゃん……にげ……て……」

 

「……もう、倒れたのか。まぁ、ちゃんと盾の役割を果たしてくれたからいいわ。このまま置いていきましょう」

 

「──────」

 

 

 

 

 

 

 ───────────────────

 

 

 

 

 

 

 艦娘たちから自分達の基地へと総攻撃を仕掛けられてボロボロになってしまい、最近ようやくその復興作業が完遂して、現在は遠征で復興作業にて失ってしまった資源を取り返そうと全員が奮闘しているという状況下においても───我らが少女のやることは変わらない。

 

 いつものように自身の部屋の中心にある椅子に腰をかけ、楽な姿勢で装備に関する本を読み続ける。

 

 ただ、なんとなくいつもより少女の部屋の外が妙に騒がしいところがあるのだが……少女は気にもとめず、自分の世界にめり込んでいた。

 

 すると、少女の部屋の戸が三回優しく丁寧にノックされた。

 

「──姫サマ! リ級デス!」

 

 いつもよりも声を出してからゆっくりと戸を開けて中にリ級が入ってきた。

 

「姫サマ、報告デス。基地付近に、艦娘カ深海棲艦カ見分ケガツカヌ人型ノモノ、ソシテ見知ラヌ連装砲ト思ワシキ装備ガ──」

 

 そこまで告げた瞬間、少女はパンッと持っていた本を閉じて置き場にしまいこみ、ジッとリ級のほうを見た。艦娘という単語には一切反応せず、後半の装備という単語に興味を抱いたらしい。

 

「……」

 

 その目は暗に、さっさとそこへと案内しろと告げているようであった。

 

「……デハ姫サマ。コチラデス」

 

 一瞬いきなり見つめられたことにリ級は怯んだものの、なんとか持ち直して案内を開始する。部屋を出て、今のところ殆ど使われていなかった医務室へと到着した。

 

 中に入るとそこには──長めの金色と少しの白色が混じったような髪で、少女と同じかそれより下ぐらいの背丈をし、極薄橙色と、ところどころに白色が混合した肌を多く露出している服を纏った女の子が寝かされていた。隣には、連装砲だと思われる謎の何かが一緒に寝ている。

 

「姫サマ、コチラガ…………姫サマ?」

「………」

 

 少女の目にはもう隣の何かにしか映っていない。無表情ではあるものの、興味深そうに見てるなぁとリ級は感じていた。

 

「……」

 

 そこからの少女の行動は早かった。何も言わずに連装砲っぽい何かをすっと手にとって、そのまま医務室から出ていく。

 

「チョ、姫サマ!?」

 

 後ろからの声なんてお構い無し。歩いているはずなのに何故か異常なほど速いスピードを出しながら少女は自分の部屋へと戻っていった。

 

「アノ、待ッテクダサイィ!!」

 

 リ級はさっさと出ていってしまった少女を追って医務室から出ていく。

 

 医務室には、女の子のみが残されるのだった。

 

 

 

 ────────

 ─────

 ───

 ─

 

 

 

 

「んぅ……ぁれ……?」

 

 目が覚める。そうして初めて目に入った景色は全く知らない天井。

 

「ここは……?」

 

 ゆっくりと身体を起こし、周りを見渡してみる。鎮守府……とはまた違う構造の医務室のような場所。

 

 見覚えなんて全くないこの場所になんでいるのだろう。そう考えた時、彼女──島風の頭に痛みが走り、昨晩の記憶が呼び起こされる。

 

「っ……そうだ、私は……私は……」

 

 ……どうなったのだろう。あの後、自分がどうなってしまったのか。自分は助かっているのか、逆にここは死後の世界であったりするのだろうか。

 

「……でも、意識ははっきりしてる」

 

 自分の身体の感覚がしっかりとある。頬をつねると痛い。つまりこれは現実なのだと分からされる。

 

「……そうだ、連装砲ちゃん……連装砲ちゃんは……!?」

 

 意識を失う直前まで一緒だった自分の装備であり相棒である連装砲ちゃんを探す。しかし、この医務室にはいないようだ。

 

「……いない。ってことは、逃げ切れたのかな……?」

 

 嬉しいような寂しいような。複雑な気持ちを抱きつつ、一旦それは置いておいて、改めてここはどこなのかを考えてみることにした。

 

「普通に考えたら、別の鎮守府だけど……」

 

 あたりをキョロキョロしながら考えていると───ふと、そこにあった鏡の中の自分と目が合う。

 

「───え?」

 

 そこにいた自分は、見慣れたものじゃなくなっていた。自慢だった金色の髪に白色が混じってて、さらに肌も一部白く変色している。さらに目の色も黒色でなく、赤色になっていた。

 

 まだ完全にとは言えないものの、これではまるで、艦娘というより……

 

「深海、棲艦……!」

 

 事実が、受け入れられない。驚きの感情に比例して、目の前の鏡の中の自分が信じられないものを見たような顔をしていることでこれが鏡なのだと理解させられる。

 

 自分は深海棲艦を倒すために艦娘として生まれたのに……まさか当の自分が、それになってしまうなんて。

 

「う……そ……」

 

 身体がベッドへと崩れ落ちる。

 

「……そうだ、これは夢なんだ。寝ればきっと、この悪夢からも解放されるんだ。だから、早く寝ないと……っ!!」

 

 そうして、島風は無理矢理眠りにつく。

 全てが、悪い夢でありますように。起きたら全てが嘘だったんだと分かりますように。あの幸せだった日々に戻れますように───

 ……そう、願いながら。

 

 

 

 ─

 ───

 ──────

 

 

 

「……」

 

 部屋に戻った少女は、とりあえずまずは目の前の連装砲のようなものを修理することにした。

 

 今まで数えられないほどの装備を見てきた少女である。そのため目の前のこれが壊れているのかどうかの判別ぐらいは当然つく。

 

 当初、そのままコレクションの一つに加えようと考えていたようだが、それが壊れているとすぐに分かり修理することを決意。久々に艤装を展開し、本気の修理態勢へと入ったようだ。

 

 ちなみにだが、追いかけてきたリ級は追い返されていた。修理に集中するのに邪魔だという理由である。

 

 どうやら、砲撃や雷撃によるものであろう破損は一部あるが、それ以上に海水によって中身がぐちゃぐちゃに濡れてしまい、機能しなくなってしまっている様子。

 

 蓄えている鋼材で使えなくなったパーツを新調したり、まだ使えるものは乾かして再設置したりと……修理することおよそ7時間。ようやく修理が完了したようだ。

 

 これには少女もふぅとため息。珍しくほんの少し無表情が崩れた瞬間であった。

 

「……キュー?」

「……!」

 

 突然、目の前のそれが喋り……否、鳴き出した。まさか生きているとは思っていなかったのか、少女は少々驚いたようだ。表情は変わらないが。

 

「キュー、キュー……」

 

 すると、それは何かを探すような様子を見せた。いや、これは誰かを探しているという方が正しいか。

 

「…………………………」

 

 明らかに医務室にいたあの存在を求めているかのような素振りを見せている。それに対し少女は……

 

「…………………」

 

 ……なんだか、嫌そうに、

 

「…………」

 

 とぉぉっても嫌そうに、

 

「……」

 

 ……自分の方へとついてくるようにと、それに手を振って知らせた。

 

 連装砲であろうそれは、少女を警戒することなく少女へとついていった。

 

 そのまま少女とそれは、医務室の方へと共に歩み始めるのだった。




これからの話は、後日談やアフターストーリー的立ち位置のつもりなので、毎日投稿はせず、続きが書けたら投稿するみたいなスタンスを取らせていただきます。

どうかよろしくお願いします。
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