一番アンケートで多かった〈少女 in 艦これ始めたて提督の鎮守府〉については、思ったより構想が膨らんでいって番外編でやるの勿体ねぇなって感じたので本編でやりたいと思います。
なので今回は二番目の〈『仮令の刻』の続き〉をどうぞ。
これは続き。もしかしたら起こったかもしれない可能性の延長である。
さて、食事にて腹を満たした少女。用意されてるベッドのようなところに腰を下ろし、単身で捕らえられたはずなのに何故か所持していた鞄からお気に入り装備といつもの布巾を取り出しお手入れ開始。
この場が敵地であることを理解しているのだろうか。いや、してないわけではないだろう。だがそれがどうしたと言わんばかりの振る舞いだ。
『……』
みるみるうちに輝いていく。元々も丁寧に保管されていた故か輝きはあったものの、磨かれることでその光はさらに増していき、装備も喜んでいるようだ。
今日も少女は我が道を往っているようで何よりである。
「工廠棲姫」
そんな中、別室から少女が映る画面を見ながらマイクに語る者が一人。正体は殴られ気絶していたが、どうやら復活したらしい大淀。直接姿を少女に見せることをなくすことで安全性を確保しているみたいだ。
しかし、少女は聞こえてるのか聞こえてないのか無視し続ける。
「これより、貴方のその装甲の耐久テストを開始します。銃や爆弾、多くの兵器を試させていただきますよ」
『……』
「どれだけ痛くても苦しくてもこちらが結果を十分に得られるまで止めるつもりはありません。覚悟はいいですか?」
『……』
「……まぁ、いいでしょう」
脅すための事前予告。少しでも反応を見れたらいいかと思ってのことではあったが、完全無視。装備磨きに熱心な様子。カメラ越しで様子を確認している大淀だが、ここまで無反応なのは想定外のようで、少し不満げ。
しかしそれはそれとして置いておき、進めるようだ。
次の瞬間、少女の背後にある天井の一部が一つ開き、そこから巨大なショットガンが出現。銃口は少女に向けられている。加えてこの動作により生じた音はほぼない。
対して未だ少女は作業に夢中。銃の配備が完了したことにすら気がついていないかもしれない。
「(工廠棲姫にこういった類いの武器による攻撃は効かないとされてます。しかしそれは、全て工廠棲姫が手で受け止めてしまうから。正面から対峙して弾を放ってもどういうわけか反応されてしまう。おそらく、意識の中に存在したから)」
思わずにやりと笑みを浮かべる大淀。この銃は勿論深海棲艦対策として作られたものであり、実際に深海棲艦に対して効くことが証明されている。ちなみに妖精さん産だ。
「(なら意識の外から撃てば効く可能性もある! 加えてこれはショットガン。弾は分散するから尚更反応できるはずがない!)」
ただしこれは巨大故に持ち運びが困難であるということと、生産が容易ではないということを踏まえて、こうして捕らえられた深海棲艦の処刑の一つとして用いられている。
「っ!!」
勢いよく起動スイッチをオン。刹那、大量の対深海棲艦弾が散弾し少女に襲いかかっていく。そのまま装備もろとも命中してしまう────わけがなかった。
『……』
布巾を装備のほうに落とし、空いた片手で全弾キャッチして回収。視線は装備にやったまま。手を開きその場に弾を落とす。
じゃらじゃらと音を立てるその数は一発に込められてる弾数に相違ない。
「……はぁッ?!」
別室で見ていた大淀、たまらず叫ぶ。
角度的に見えるはずのない弾なのに確かに全て手に収まっている。いくら規格外とされる少女だとしても、死角からの攻撃にも容易に対応できると誰が分かるだろうか。
少女は布巾を持ち手入れ再開。気に入らない箇所があったのか、ある場所を執拗に磨き続けている。
「……な、なら数を増やせば!」
ボタンを押す。すると今度は少女を円で囲むようにして天井が開きそこからガトリングが出現。数にして六。
銃と弾。それらの数を増やせば火力も増える。単純の話だ。
「これで……ッ!」
スイッチオン。同時に射撃開始。弾が尽きるまで。
射撃音のみが響き、爆煙で映像から部屋を確認出来ない。しばらくして弾が尽きたのか音が止み、煙も段々薄くなっていく。
「──やりましたか……?」
次に大淀が見た光景は──大量の銃弾が刺さった何かであった。
「……は? いやですがしかし……」
照準は少女に向けられていたし、そのように設定した。ならなんか銃弾の山と化した何かは少女で違いないはずだ。人によっては集合体恐怖症になってしまいそうである。
普通、銃弾は刺さらない。貫通する、もしくは内部にめり込むものだ。開発中に不具合が生じたなどの報告はなかったため異常はないはずだし、以前行われた実験ではちゃんと貫通したりして撃たれた肉体はぐちゃぐちゃになっていた。
となると少女が問題なのは確か。そもそも深海棲艦自体謎が多いのだから全てが想定通りにいくようなものではないと大淀は考える。
今重要なのはこの攻撃で工廠棲姫にダメージ、もしくは致命傷、あわよくば死を与えられたかどうかだ。
何度も確認する。それは動かない。停止している。先ほどのように手入れをしているなんて動作も見られない。完全に動きが止まっているのだ。
そうなれば、目的を達成した可能性は高いと誰が見ても思うだろう。
「となるとこれは……本当にやったのでは? 人類の勝利なのでは……?」
ただし、その“誰“は人類側の存在であろう。
大淀は知りもしない。連射の音に混じって、爆発音が発生したことに。
大淀は気が付かない。それの足元に、少女が持っていた装備の破片が落ちていることに。
大淀は悟れない。弾同士が衝突して軌道が変わる偶然が生じたために、手入れ真っ最中だった装備に数発命中していたことに。
大淀は感じ取れない。──徐々に、刺さった銃弾が黒い炎に呑み込まれていっていることに。
ゴオオオオォォォ!!!!
「!? 地震ですか?!」
途端、地面が非常に激しく揺れ始める。思わず立っていられなくなりしゃがむ大淀。
「いえ、これは地震にし、て……は──」
思わず視線を映像のほうに向けた瞬間、大淀は恐怖で倒れ込んでしまう。前に殴られる前に感じたあの感覚以上のものによって。
『───』
黒いそれが、こっちを見ていた。存在を認識していた。
しかし向こうからしたら、カメラを見ているだけのはず。自分ではないはずだと言い聞かせて落ち着きを取り戻そうとするが、明らかにその目はカメラというより“大淀“を見ていた。
『GRUUUUU……』
切れてはいけないものはもう切れてしまった。取り返しはつかない。よりにもよって最悪の方に舵を切ってしまったから。
「ひ、ヒィッ!」
これは一種の災害である。一度起こってしまえば誰にも止めることは出来ない。だから事前に起こさないための努力をするべきだったのだが、引き金は引かれてしまった。
これは、もう仕方がないことなのだ。
「■◼◼■◼■◼◼■■────!!!!!」
───その日、ある島のある区画が地図から消えてしまったことは言うまでもないだろう。
使い回し?
知らない子ですね……
続きの本編に期待することは?
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戦争を深掘りする系シリアス
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少女が天上天下唯我独尊するだけ系シリアル