深海のとある姫サマ   作:エンゼ

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多分今日が一番の無理矢理展開だと思います。読みづらいかもしれません。
でもこれが私の限界でした許してください。ではゆっくり見ていってください。


航海の刻

「……」

 

 今日の舞台は珍しく海上。艤装を展開し手提げカバンを持ってスイーッと滑るかのように少女はそこにいた。少女の後ろには少女を追ってきたリ級、あとはなんとなくで付いてきたレ級と北方棲姫の姿があった。

 

「…姫サマ。ドチラニ行カレルノデスカ?」

「……」

 

 リ級の言葉には無視。目をある方向から動かすことはなく一直線にその方向へと進み続けている。

 

「…コノ先ニ何カアルノカ?」

「ウーン…ワカラナイノ…」

「ワタシモ正直…姫サマハ一体何処ニ…?」

 

 付いてきている三人は少女の行動を不思議に思いつつも、リ級は大切な上司だから、レ級や北方棲姫はなんか気になるからという理由で最後まで付いていくことにしたみたいだ。

 

 工作艦らしからぬ速力で移動を続ける少女。スピードは変わることなく、どこか目的の場所へ向かおうとしていることはほぼ確実だと三人は認識していた。

 

「……マダ、掛カルノデスカ?」

 

 日が暮れても、また朝が来ても、少女は減速はせず同じ方向に進み続けている。そろそろ燃料が尽きかけてきていることを自覚しつつも、ここまで来たのだからという意思で三人は付いてきていた。

 

「…ココ、ナンダカヘン…」

 

 ふと、北方棲姫が何かを感じとった。それを見たレ級やリ級は目を瞑り、自分にもそれが感じられるかを確かめてみる。

 

「…他ノ深海棲艦ノ気配ガ無イ?」

「エエ、殆ドアリマセンネ…」

 

 深海棲艦は、おおよそどこに同族がいるかを気配で感じとることができる。海の大部分を占領している彼らにとってそれらが感じられることは当たり前のことであった。

 

 だが、現在の場所ではそのような気配が感じられない。いつも当たり前に感じているものが消えてしまった喪失感やそれに対する不安感。北方棲姫の感じた違和感はこれであろう。

 

 前述したように、深海棲艦は海の大部分を占領している。そのため占領していないところ、あまり深海棲艦のいないところというはある程度場所が絞られてしまう。

 

 その場所とは、人も深海棲艦も寄り付かない竜巻などの災害の多い場所。もしくは─────実力のある艦娘がいる鎮守府付近。あるいはその本部である大本営。

 

「…マサカ、姫サマ…」

 

 リ級はある一つ結論にたどり着いてしまった。考え得る限り悪い方向の、そして可能性が非常に高いとある結論に。

 

 少女以外の三人に不穏な空気が流れ始める。もしかして自分たちは少し大変な状況になってしまっているのではないか、薄々と本能ながらそう感じてしまっていた。

 

 残りの燃料は本当にあまりない。これから基地へ帰還しようにもその前にどこかで必ず燃料が尽きてしまうだろう。もし戦闘になってしまえば不利なのはこちら。色々と不安を抱いてしまうが……リ級は少女を信じることにした。

 

「…姫サマガイレバナントカナリマス。キット…」

 

 リ級には祈り続けるしか道は残されていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───ここは大本営。突如現れた謎の脅威、深海棲艦に対する人類最後の砦であり、最高戦力が集結している場所である。ここから提督の選抜や指名を行ったり、各鎮守府に資源をある程度援助したり、任務や大規模な作戦を命じたりなどをする。

 

 そこの頂点に立つのは六人の元帥。戦争の始まりから艦娘を指揮しており、現在深海棲艦から奪還できた海域の8割はこの六人の力といっても過言ではないほどであった。

 

「…深海棲艦との戦争から大体七年。おおよそ深海棲艦の全貌は掴めてきたな」

「だが、まだ未確認がいないという保証はない。さらにまだ奪還していない海域も数多くある…こちらとしても戦争は早めに決着をつけたいところだが…」

「国民には不自由な生活を送らせてしまっている。取り戻すためにも我々含め一致団結し、協力していかねばなるまい」

 

 その言葉に全員が頷く。会議室に漂う重々しい雰囲気にその険しい表情から、彼らが本心でそれらを語っていることが窺えた。

 

「だがそのためには───」

「…あぁ、あの『化け物』をどうにかせねばなるまい」

 

 その言葉と共に全員が手元の資料を眺める。そこには、とある深海棲艦の名前が刻まれていた──

 

 

 

「『工廠棲姫』……我々が深海棲艦壊滅のためにまず討たなければならない相手だ」

 

 

 

 ───工廠棲姫。それは六年前に存在が初めて確認されて以来現在に至るまで目撃がされておらず、確認されている深海棲艦の中で最も硬く、最も強いとされている工作艦の深海棲艦である。

 

 六年前。ようやく艦娘の性質や艦娘専用の装備が少しずつ理解されていき整備され始めた頃、唐突に本部が襲撃を受けた。

 

 相手は一隻。怒り狂ったかのような目付きや全てを破壊しつくしてしまうかのような怪力を持ち、謎の黒いオーラのようなものを纏っていて、更に動くものは何でも片っぱしから壊して回っていたという。

 

 まだ建造ができる艦娘が少ないことも影響してか、その被害は本部が壊滅する一歩手前であった。当時本部にいた全ての艦娘が轟沈寸前にまで追い込まれ、対象は無傷のままであったという。

 

 そのまま本部の者全員が、この深海棲艦に皆殺しにされ人類は終わるのだと悟ったその時──────突如、その深海棲艦の目が『装備』に関する資料の方へとやられた。

 

 資料に手を取り読み始めていき、それと共にその深海棲艦の黒いオーラのようなものが段々と消えていった。すぐ後にその深海棲艦は近くの者に無言且つ無表情で装備の資料の装備の写真一覧のページを見せてきた。

 

 その者はそれらの場所を尋ねているのだと咄嗟に判断し、装備格納庫のほうを指差した。正解だったのか、急にその者らや破壊活動に興味を失くし、指された場所に一直線に障害物を破壊しながら向かっていった。

 

 その後、その深海棲艦の存在が消失。同時に装備に関する資料数冊と、格納庫にあった装備全てが何者かによって強奪されていた。

 

 この直後にその深海棲艦が工作艦であったことから、『工廠棲姫』と命名。自分たち側の装備が解析されることを恐れてか『工廠棲姫』の居どころを掴み装備を奪還しようという作戦が立てられたが、現在までその場所は発見が出来ていない。

 

 並行して近々また襲撃されるのではないかということで、二年間ほど警戒態勢が敷かれていたが、現れることはなく結局は解除された。

 

 つまり、人類は艦娘という戦力を多数保持していたのにもかかわらず、一隻の深海棲艦に大敗北をしてしまったのだ。

 

「とはいえ、それらは六年前の話。現在の戦力は六年前のそれを遥かに凌駕していることは言うまでもあるまい」

「そうだ。だから簡単に沈めれるとは言わないが、多大な損傷を負わせることは可能であろう」

「そもそも工廠棲姫は生きているのか? いや、生きていてほしいなどとは思わないが」

「どこからも邂逅し沈めたという報告は出ていない。生きているとして考えていく他ないだろう」

 

 話合いが着実に進行していっている最中─────突然館内放送が本部内に鳴り響いた。

 

『本部近海に深海棲艦が発生、第一迎撃部隊は出撃準備を直ちに行ってください。繰り返します──』

 

「驚いた。まさかこの辺りに深海棲艦がやってくるなど…」

「どうせはぐれた駆逐艦程度であろう。大和率いる第一迎撃部隊が何故──」

 

『目標は『重巡リ級』、『戦艦レ級』、『北方棲姫』そして──────こ、『工廠棲姫』です!!!』

 

 その名前が出た瞬間、全員が目を見開き動きを止めた。何故今になって。今度は四隻で強襲か? やつらの意図が見えない…

 思考していると会議室の扉が開かれ、艦娘の大淀が入ってきた。

 

「げ、元帥方!! 避難をお願いします!!」

「…レ級に北方棲姫、そして工廠棲姫か。一筋縄ではいかないやつらが集まってきてはいるが…」

「大淀、心配はあるまい。第一迎撃部隊は最高火力を誇る艦娘六隻を集めた艦隊だ。必ず相手に大きな傷痕を残せるであろう」

「寧ろどれほど相手が抵抗出来るかというのも確認したい。我々はここから見守らせてもらおう」

「そ、そうですよね!」

 

 元帥達はそこから動く気配を見せず、戦いを見守るという判断を下したようだ。大淀は少しほっとした様子で元帥達に同意する。

 

 惜しみ無く最高戦力を投げつけるのだ。負けることはあり得ない。誰もがそう確信していたのだ。

 

 

 

 工廠棲姫艦隊と第一迎撃部隊が邂逅するまで後───

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