壊れた空の最果てへ   作:緒河雪那

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諸事情に因り、1ー3終盤の対戦表を変更しました


1ー5

~~恵斗視点開始~~

 

クラス代表決定戦も中盤戦に差し掛かる第5試合、次は俺と紅葉の試合だ。俺がピットを抜けアリーナに出ると、学園から借りた量産型IS打鉄を装備した紅葉が、本来ISは浮遊している筈なのに地面に足を付けて立っていた。

浅く色づいた褐色肌に上下のセパレート……薄っすら見える引き締まった腹筋もだが、それ以上に遠目にも判る下乳が堪らんな。先にゲームで遊んだ紫織もだが、俺が予想した通りスゴいデカい。などと観察していると、紅葉が俺に声を掛けてきた。

 

「来たな」

「ISが地面に足付けるなんて、気でも狂ったのかよ?」

「君のISはスペックこそ秀でてるものの基本飛べないそうじゃ無いか? 合わせてあげるよ」

「何だと……!?」

「それより君も早くISを展開……君風に言うなら変身したまえ。急かすつもりは無いが、闘う意思を見せないなら不戦敗だぞ」

「言ってくれるじゃねえか……心が踊る」

 

奴の挑発に乗る訳では無いが、俺はガシャットギアデュアルを取り出し起動、ゲームエリアと化したアリーナ内に無数のエナジーアイテムが飛び散る中、既に腰に巻いてあるゲーマードライバーにガシャットギアデュアルを装填した。

 

デュアルガシャット!

The strongest fist! What's The next stage?

 

「マックス大変身」

 

ガッチャーン! マザルアーップ!

赤い拳強さ! 青いパズル連鎖! 赤と青の交差! パーフェクトノックアーウト!!

 

「ほう……紫織と闘った時の金色(きんいろ)とはまた違う奴だな?」

「仮面ライダーパラドクスパーフェクトノックアウトゲーマーレベル99。ゲームエリア内のエナジーアイテムを自在に操るパズルゲームと、相手をKOするまで叩きのめす格闘ゲーム。二つが合わさって混ざった」

「御高説どうも」

 

ゲームの紹介を終えるのに併せて俺は距離を詰め、炎を纏った拳を繰り出すも、紅葉は無造作に払いのけ、同時に上体を反らして攻撃を回避する。初手は失敗したが、そのまま掌を拓いて腕を横にずらせば魅惑の膨らみに手が届………!

 

「! が……! ぐ……! くそ!!」

 

……くかと思った瞬間、紅葉は上体を反らした勢いを利用して俺の脇腹を蹴り上げ、怯んだ所に側頭部を削りながら肩へ踵落とし、更には肩に置いた足を軸に跳躍、反対側の足で俺の胸を蹴って後方宙返りで距離を開ける。

着地を狙って詰め寄り再び炎を纏った拳で連打を見舞うも、流れる様な動きで薙ぎ払われ、逆に俺ばかりが、お返しとばかりに放たれたフックやアッパー、肘鉄に裏拳を総て受ける。

ああ、糞!! 目の前、それももう少しで手が届きそうな処で漢の夢(爆乳)が揺れてるのに……! 前回の紫織もそうだったが、漢の性を利用して(ひとをおっぱいで油断させといて)その隙に攻撃とか、何て卑劣な奴らだ……。織斑一夏の様な頭悪い奴の女は何故こうも悪知恵が働くのか?

 

「最初の踏み込みは悪くは無かったが、追撃にカッコつけて触ろうというのは感心しないぜ。それと、エナジーアイテムとやらは使わないのか? 特性を活かせない奴は三流だ」

「誰が三流だ、誰が!! 俺の心を滾らせたな……」

 

透明化! 伸縮!

 

アリーナ内に散らばるエナジーアイテムを操り引き寄せ、取得した透明化の効果で姿を消せば、呆気に取られたか紅葉は無反応。戸惑い慌てふためくなり慌てて攻撃するなりするかと思ったが、これはこれで好都合。

すかさず後ろに跳んで距離を開け、伸縮自在となった身体を駆使して掌をその怪しからん我が儘ボディーに伸ばす。皆の前で恥描かされた分、たっぷり揉みしだいてやる!!

 

「!」

 

しかし俺の掌が紅葉のはち切れそうな膨らみに触れるかと思われた瞬間、紅葉の手が武装を展開(オープン)する時特有の光を一瞬だけ発し振るわれ、俺の腕に鋭い痛みがはしり弾き返される。

何だと戸惑う俺の眼に写ったのは、打鉄の標準装備である日本刀型の近接ブレード「葵」を手にした紅葉だった。何が起こった……? 

まさか紅葉は俺の手が自分の胸に触れる瞬間、「葵」を抜刀して俺の腕を斬ったのか? 否偶然だ、こっちは今透明化の効果で姿を消してるんだぞ。見えない相手にどうやって当てる、紛れ当たりに決まっている。

そう結論付け、今度は両手を使って胸だけでなく太股や尻も触ってやると再び伸ばす俺の手を、紅葉はこっちが透明で見えないなど、それも背後からだろうと関係無いとばかりに的確に斬り刻み、時に柄頭で殴る。

やがて効果時間が切れ、俺の姿が再び見える様になり、腕も伸びなくなる。

 

「クソ! 何で視えるんだ!! こっちは透明だったんだぞ!?」

「狙いがあからさま過ぎ。それと、ISは可視光だけで周囲の状況を識別している訳では無い」

「こうなったら……」

 

ガシャコンキースラッシャー!

 

ジェットコンバット! ゲキトツロボッツ! ガシャット!! 決め技!!

 

ガシャコンパラブレイガン! 十連打

 

分身! 鋼鉄化!

 

俺はガシャコンキースラッシャーを呼び出すと起動したジェットコンバットとゲキトツロボッツを装填、続けてガシャコンパラブレイガンを呼び出すと同時にガンモードへ変形させ、自分に分身をガシャコンパラブレイガンに鋼鉄化を付与する。勿論Bボタン十連鎖で攻撃力を最大まで上げるのも忘れない。

俺のダブル装填ガシャコンウエポン二丁拳銃の必殺技コンボに流石の紅葉も危険を感じたか、慌てた様子で駆け出しゲームエリア内を走り回るが、もう許しやしねえ……! 倒した後はハメ倒してヤる!!

 

コンバットロボッツ              

         クリティカルフィニッシュ!!

  パーフェクト               

 

ガシャコンキースラッシャーから弾頭が拳型のミサイルが連続発射されたのを合図に、紅葉の周囲を分身体が取り囲みガシャコンパラブレイガンからのホーミング弾を一斉射、止めに鋼鉄化された十連鎖ホーミング弾を放つ!!

紅葉の方も逃げ惑いながらショットガンとアサルトライフルの二丁拳銃で迎撃を試みるが、最初の拳型ミサイル群は兎も角、分身体が全方位から撃ち込むホーミング弾全てを撃ち落とすなんて不可能で、ましてや最後の一撃、鋼鉄化された十連鎖ホーミング弾を撃ち落とす術なんて無い!

 

「ふ……呆気な……!?」

 

分身! 高速化!

 

だが紅葉は迎撃し損ねたホーミング弾が当たる直前にエナジーアイテムを続け様に取得。ホーミング弾は紅葉の分身を追って明後日の方向へと散り散りに四散し、本命の鋼鉄化された十連鎖ホーミング弾こそ高速で逃げる本体を追ってくれたものの、命中したのは打鉄の象徴とも言える特徴的な両肩の盾だった。

そして吹き飛ばした先には回復のエナジーアイテム。だが大丈夫、俺は女神に愛された男。取得前にシールドエネルギーを削りきれたと信じてる。

やがて煙が晴れ、そこにいたのは両肩のシールドを失い各所の装甲を欠損しながらも平然と佇む紅葉だった。なん……だと……? チート転生者である俺のお祈りが通じなかっただと!? そんな馬鹿な話があるか、何かの間違いだ、ゲームのバグだ!!

 

「どうした、そんなに驚いて? 相手のISにも後付けの効果を与える。そんな仕様にしたのはそっちだぜ?」

「テメエ……!?」

 

コイツ、俺の必殺技コンボから焦って逃げ回る降りしてゲームエリア内に散らばる俺のエナジーアイテムを勝手にパクった癖して何悪びれず平然としてる! 何処まで(きたな)い女なんだ……誅を下さねば!! 

 

ガッシューン

 

ギリギリチャンバラ! ドレミファビート! ガシャット!! 決め技!!

 

十連鎖           

   高速化! マッスル化!

 

ガシャコンキースラッシャーからジェットコンバットとゲキトツロボッツを取り外し、代わりにギリギリチャンバラとドレミファビートを起動して装填。そしてガシャコンパラブレイガンをアックスモードに切り替えBボタン十連打、自分自身に高速化を、ガシャコンパラブレイガンにマッスル化を付与する。

 

チャンバラビート              

        クリティカルフィニッシュ!!

 ノックアウト               

 

ガシャコンキースラッシャーを指揮棒よろしく振るえば音符型のエネルギーが刃となって次々と紅葉を襲い、そして盾を失い防御が選べない紅葉は当然回避を、否またも逃走を選択してゲームエリアを走り回る。そして目指す先には二つのエナジーアイテム!! 

確実に取得させない方法はエナジーアイテムを操りどこかへ移動させる事だが、今は決め技の発動中で、加えてあの距離と速さではその猶予は無いに等しい。ならばその前に斬る! と、俺は背後からガシャコンパラブレイガンの高速斬撃を紅葉に横一文字に見舞う。着いてこれるか、このパワフルな速さに!?

 

鋼鉄化! マッスル化!
 

 

「!!」

 

だがあろうことか、運の良い事に紅葉は鋼鉄化とマッスル化のエナジーアイテムを紙一重で取得。更に紅葉は迎え撃つつもりか、足を止めこちらに振り向いた。そして電光石火の反応速度でもって肘を振り下ろし同時に膝を蹴り上げ、ガシャコンパラブレイガンの刃を挟み込み止めやがった!! 

 

「な……!」

 

確かに紅葉の打鉄もエナジーアイテムの恩恵で防御力と攻撃力を上げてるだろうが、こっちだって攻撃力と速度を上げた状態で、更に俺は専用機で紅葉は量産機、地力の差は歴然だ。それなのに反応して止めるなんて……。

 

そして俺が余りの事態に言葉を失ってる隙に紅葉はその場を離れ、三度(みたび)エナジーアイテムを勝手にパクりやがった。しかも今回は回復を二枚もだ。

 

「鋼の硬度に剛力……先の分身と速度上昇、そして回復もだが実に素晴らしいな、君のISが持つエナジーアイテムとやらは」

「そ……そうか?」

 

自分のISが褒めれて悪い気はしないが、分身に高速化、鋼鉄化とマッスル化、そして回復二枚……どんだけ勝手に俺のエナジーアイテム使ってるんだこのアマ!! 

エナジーアイテムの一つ『混乱』のデバフ効果を与える為にも致し方ないとはいえ、他のISでもエナジーアイテムを使えると言う副次効果は仕様としては致命的なバグだな。

 

それよりも今は……!

 

「フィニッシュは必殺技で決まりだ」

 

      ガッチャーン!        裏技!

 

ドラゴナイトハンターZ! ガシャット! 決め技!

 

ゲーマードライバーのアクチュエーションレバーを一旦閉じて必殺技待機状態にし、更に追加でドラゴナイトハンターZを起動して左腰の決め技スロットに装填、二つの必殺技を同時に起動する!!

 

ガッチャーン!

 

   ドラゴナイト         ストライク!!

            クリティカル       

パーフェクトノックアウト      ボンバー !!

 

そしてシステム音声を合図に俺がジャンプしたその直後、紅葉に必殺のキック(フィニッシュ)を決めるべくカットインをバックにした瞬間、ブザーと共にアナウンスが流れた。

 

『試合終了。タイムアップ』

「は……?」

 

フィニッシュ決めてる最中(さいちゅう)に時間切れでゲームオーバーとか……おいおいおい、まてまて、今一番良いとこだぞ、空気詠め。一気に白けたじゃねーかよ。

だが一度発動した必殺技の跳び蹴りは既にジャンプした後という事もあって俺の意思では止められず、向こうも想定外だったのか初めてまともに紅葉に命中。急所に当たった事を示すGREAT! の文字は皮肉だろうか?

それにしても……どうなるんだ、この結末の判定?

 

~~恵斗視点終了~~

 

 

 

 

 

 

 

 

~~一夏視点開始~~

 

「もみ姉……」

 

試合終了の合図が鳴るのと、神野のIS「ライド」が放つゲーム染みたエフェクトを伴う跳び蹴りがもみ姉の打鉄に決まったのはほぼ同時、僅かながら後者の方が遅かったものの、本当に無いも同然の差だった。

不意に閃くモノがあり頭を下げると、今まで俺の後頭部があった場所を出席簿が後ろ髪を巻き込みながら風を切る音と共に通過した。生徒に対して躊躇い無く暴力行為に出る犯人は言わずもがな、織斑先生である。

 

「チッ……避けるな織斑兄。今は……」

「授業の一環で織斑先生の管轄する時間だから、自分が気に食わない相手を心配するな、でしょ? そうやって直ぐ暴力に訴えて……」

ーー言葉にして伝えないから狂信的信者しか集まらないんですよーー

 

そう言おうとしたところでまたヤバイ予感がして、反射的に避けると同時に、俺の頭部があった場所目掛けて出席簿が振るわれる。殺意の乗らない必殺の一撃とか……この教師は生徒を自分の思う通りに成らないからって暗殺する気か?

 

「減らず口を叩くな、目上の者には敬意を払え」

 

なら先ずは敬いたくなる振る舞いをして欲しい所だが、口にすればもとより、そんなこと考えるだけで殴られるのは経験的に解っているので、今は違う事に思考を回す。

 

それにしても凄いな、もみ姉もしお姉も。

神野のISはガシャットと呼ばれる外付けの後付装備(イコライザ)を切り替え組み合わせる事で、外装(姿)特徴(能力)を役割や対戦相手との相性に併せて切り替え、そして更にエナジーアイテムと呼ばれるメダルでコアから分配されるエネルギーに一時的にブーストを付与するのが特色だ。

二人が試合で闘ったの神野のISは、いずれも先日まで学園に未登録のガシャットを使っていた……言うなれば、事前の研究も対策もしようの無い未知のISを相手に闘うも同然だった。

それでもしお姉は無敵の装甲を持つ金色のISを相手に終始圧倒して一方的に試合を運び、もみ姉も炎を操りエナジーアイテムを活用する赤と青のISに対してISの機能を活かし更に逆に相手の力を利用する事で対処してみせた。

俺もいつか、この二人や三人の妹達に追い付けるだろうか…………?

 

~~一夏視点終了~~

 

 

 

 

 

 

 

 

~~秋春視点開始~~

 

さあ、いよいよこれから皆が待ちに待った、真の主人公であり神童であるこのぼく織斑秋春と、ぼくの為だけに造られたぼくの専用機白式のデビュー戦だ。期待に少しばかりの不安を混ぜた視線を向ける千冬姉に見送られてアリーナに飛び出せば、そこには学園の量産型IS打鉄を装着した紫織がいた。

 

「…………っとと。流石は最強のIS、一筋縄じゃ行かないか」

「最強……ですか? お前に活かせれば、ですけどね」

 

神童のぼくが危うく制御を失いそうに成るとか、最強のISだけあってとんでもないじゃじゃ馬だ。流石はIS世界一の稀代の天才束さん謹製、相変わらず良い仕事するな。

そうぼくが感心していると、紫織は冷ややかな視線を向けてぼくを馬鹿にしてきやがった。箒よりおっぱい大きいからって、何て態度の悪い奴だ……生意気な。それともあの屑に毒されたのか? もしそうなら、ぼくが療治してあげなければ。

 

「言ってくれるね、君。この雪片弐型は、かつてブリュンヒルデと唄われた千冬姉が現役時代に乗っていたISの装備の後継。これが何を意味するか……君に解るかい?」

 

手元に呼び出してみれば、何て美しいんだ雪片弐型。持ってるだけで画になるなんて、正に神童にして真の主人公であるぼくが振るうに相応しい。

 

「お下がり自慢がしたいだけなら他所でどうぞ、危険物を試合に持ち込まない様に」

「何……!」

「そんな絡繰りも仕組みも、そして欠点も明白な得物一つで渡り合えると思ってるなら、思い上がりも甚だしい。……来なさい。身体に教育して差し上げます」

 

そんな生意気な物言いと共に、紫織は打鉄の初期装備(プリセット)である日本刀型の近接ブレード「葵」を抜刀。

もう我慢の限界だ……。ぼくだけで無く、託してくれた千冬姉まで馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして!!

 

「ぼくはぼくの家族を、千冬姉の名前を守る! 零落白夜、起動! おおおおっ……!!」

 

白式の唯一仕様(ワンオフ)特殊才能(アビリティー)零落白夜を起動した証であるエネルギー刃を限界まで伸ばし、裂帛の気合いと共に斬り込めば、紫織は大口叩いた癖して全くの無反応。でも仕方無いね、相手はこのぼく、神童にして真の主人公! 

そして原作ではISの知識なんて全く無い屑が、初期設定の状態で専用機に乗るイギリス代表候補生のセシリアと決闘を行い、実戦の中で一次(ファースト)移行(シフト)を終えてセシリアを後一歩の所まで追い詰めたんだ。

機体は原作の屑と同じ白式でも、何が出来るか欠点含めて識っていて、更に最初から一次(ファースト)移行(シフト)が終わった状態の白式に乗るぼくが、訓練用の量産機打鉄に乗った屑なんかを選ぶおっぱいだけの頭悪い奴に負ける訳が無い。

このままバリアー無効化攻撃でシールドエネルギーを切り裂いて本体を直接一刀両断、試合終了だ!!

 

だけど紫織はぼくの攻撃が当たる瞬間、姑息にも肩のシールドをタックル気味に突き出して実体剣部分に当て雪片弐型を弾き、間髪入れず身体を独楽の様に回転させて勢いを付けた「葵」で雪片弐型の峰部分に一閃、卑怯にもぼくの手から雪片弐型を叩き落とした!!

 

「な……」

 

余りの事に理解が追い付かない。いかに紫織が卑怯で姑息な手段を使ったとは言え、神童のぼくが千冬姉から受け継いだ最強の力がああも簡単に奪われるなんて……。

否、今は呆けてる場合では無いと直ぐ様意識を切り替えたぼくは、咄嗟に地面に落ちた雪片弐型を追い掛け回収する。再び零落白夜のエネルギー刃を伸ばした雪片弐型を構えれば、紫織は疑問符を浮かべた表情をぼくに向ける。

 

「またそれですか? 対処法も攻略法も確率された技を考え無しになぞるだけの、それも速さも鋭さも太刀筋の正確さも劣る劣化版なんて、あたくしには届きませんよ」

「うるさい黙れ! もう許さないぞ……オオオっ!!」

 

背部の翼状スラスターから最大限吹かして斬り込み、中腰に引いて構えた雪片弐型を横一閃。紫織が苦し紛れに放つ逆袈裟を迎え撃って「葵」を弾きとばし、直ぐ様頭上から縦に断ち斬る。一足目に閃き、二手目に断つ。これぞ一閃ニ断の構……

 

「ぐふっ!!」

 

腹に猛烈な一撃を受け、吹き飛ばされる。何とか体勢立て直したぼくが見たのは、掲げた右脚を無造作に下ろす紫織だった。け……蹴りだと!?

 

「どこまで姑息で卑怯なんだお前は!! 他人(ひと)の武器を奪ったりぼくが攻撃してる最中に蹴りとばしたり……正々堂々と闘え!!」

「ISバトルで攻撃の妨害も武器落としも、体術や徒手空拳技も禁止されてませんよ?」

「ああ言えばこう言う!!」

 

ぼくが紫織に制裁を加えるべく、三度(みたび)零落白夜を起動した所で、決着を告げるブザーが鳴り響く。

 

『試合終了。勝者、伊吹紫織』

 

そして消失するエネルギー刃。ふと見れば、白式のシールドエネルギーの残量が0だった。零落白夜がその特殊能力と引き換えにシールドエネルギーを消耗するのは識ってたけど、たったの三度で? しかも三度目は発動しただけで!?

 

「そんな……こんな形の決着納得出来るか!? 千冬姉、ぼくはまだ闘える!」

『織斑先生だ、馬鹿者。それに試合は終わった、貴様も……』

 

憤りを隠せないぼくの抗議の声を、教師モードの千冬姉は一刀両断に切り捨てる。その後に続く千冬姉の指示が、唐突に途切れる。事態が飲み込めないぼくの白式が強制解除され、そして一瞬の浮遊感。

 

「は…………」

 

墜ちていた。

生身で。

 

冗談じゃ無い!! ぼくは唐変木の屑からヒロイン達を解放して救って……まだナニもしてないのに、こんな所で…………! と死の恐怖にパニックを起こしたぼくを、地面に激突する寸前でナニかが受け止めてくれた。

 

『大丈夫……?』

「あ……ああ…………」

 

ぼくを受け止めてくれたナニかは紫織だった。た……助かった……。ああ、それにしかもおっぱい柔……

 

『離れなさい』

 

気付けばぼくは襟元を掴まれ引き剥がされ、アリーナの地面に下ろされていた。

 

『助けない方が良かったでしょうか……?』

 

~~秋春視点終了~~

 

 

 

 

 

 

 

 

~~一夏視点開始~~

 

一年一組のクラス代表を決める投票の参考にする為の試合も、これから行われる俺ともみ姉との試合をもっていよいよ折り返し地点と成った。そして俺の次の対戦相手もみ姉は、対戦カードが組まれてないしお姉を別にすれば、俺にとって今回一番の障害だ。

政府が用意した方の専用機「黒式」を展開して、予測通りだった欠陥への対策として山田先生に相談しながら色々と用意をした後、ピットからゲートを通り抜けアリーナに出る。ちなみに「黒式」は名前が示す通り、秋春の専用機「白式」の姉妹機だ。

アリーナの中央付近では俺の師匠の一人もみ姉が、既に学園から借りた量産機ラファールリバイブを装着した状態で待っていた。なんと言うか、セシリアの時とは圧が違う。

先程専用機に乗る代表候補生との試合を乗りきった俺は、ISバトルの空気と言うものをその身で感じて多少なりともその空気に成れた気でいたが、とんでもない思い違いだったかも知れない……。

 

『待ってたぜ、一夏。この時を……』

「お……お手柔らかに……」

 

もみ姉の獰猛な笑みに、俺は苦笑を返すしか出来なかった。俺自身は曲がりなりにも第三世代の専用機に乗っていて、対して相手は借り物の第二世代量産機なのに、正直勝てる気がしない。恋人の一人である女の子が、今は捕食者にしか見えねえ……。

 

いつまでも後ろ向きなままじゃ駄目だと気持ちを切り替え、試合開始と同時、俺は直接手に持っていたアサルトライフル「焔備(ほむらび)」を構えもみ姉を狙い射撃。当然の様に全弾躱され、お返しとばかりに俺が持ってるのと同じ武器から撃ち返される。

 

「く……!!」

 

俺の時とは違い、半数以上の弾が俺に命中する。俺も射撃を終えた時点で反撃を想定しその場を離れ、緩急付けた不規則な移動でもみ姉の攻撃に備えたんだが……。やはり経験の差は歴然だ。

 

「守ってたら負ける……」

 

意を決して、残る弾をばら撒きながら被弾覚悟で吶喊。途中弾の切れた「焔備」を持ち変え振りかぶり、接近する勢いのままストックで殴り掛かるも、もみ姉の抜く手も見せぬナイフの一閃に軌道を逸らされ有効打叶わず。高速(ラピッド)切替(スイッチ)……早い。

 

「まだ……!」

 

「焔備」を手放し、黒式の専用装備にして唯一の武装「雪片参式」を抜刀。途端、目に見えて黒式のシールドエネルギーが消費される。

 

「解ってはいたけど、ここまで早いか……!」

 

手早く決めないと、しお姉相手に敗れた秋春の二の舞だな。

 

雪片参式は黒式が持つ初期装備(プリセット)にして、ある特殊能力の影響で拡張(バス)領域(スロット)が埋ってる関係で後付装備(イコライザ)が無い黒式にとって、唯一量子変換(インストール)可能な武装だ。

その特殊能力とは、織斑先生がかつて現役時代に乗っていたIS暮桜の唯一仕様(ワンオフ)特殊才能(アビリティー)零落白夜を再現し、更には第一(ファースト)形態(シフト)の段階でも使用可能としたもの。

…………攻撃力を補って有り余る多大な欠点も含めて。そしてこれらの特長と欠点は、黒式の姉妹機白式にも言える。

 

『思い切りが良いのは結構だが焦るな。太刀筋が乱れる。全てを戦いに集中した状態であっても常と同じ呼吸を心得ろ』

 

もみ姉の持つナイフに弾かれ反らされ、同時に振るわれた反対側の拳が俺の腹を貫くのを、身体をくの字に曲げる事で回避。詰めすぎた間合いを空け距離を離すついでに、零落白夜のエネルギー刃を伸ばした雪片参式を投擲。

これは予想外だったのか、もみ姉は肩の物理シールドで受け止め、結果打鉄のシールドエネルギーを大きく削ぐ事に成功した。それでも自らのシールドエネルギーと敵のシールドエネルギーを相殺する零落白夜の特性の影響で、黒式のシールドエネルギー残量が三割を切ってる俺の不利に違いないけど。

 

『剣士改め拳士か? 否、合わない武器を棄てる勇気はむしろ賢士かな?』

 

拳を軽く握り締め、改めてもみ姉に挑む。

 

結果? シールドエネルギーを七割以上残したもみ姉の勝ちだよ、言わせんな恥ずかしい。

 

~~一夏視点終了~~




神野恵斗のISの名前「ライド」は仮面ライダーエグゼイドの量産型ライダー「ライドプレイヤー」から
その他の設定は後日設定集にて
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