せっかくバンドリの世界に転生したので全力で百合百合を眺めようと思ったら全員がノンケで絶望しました。   作:月白猫屋(つきしろねこや)

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最終話

 

 

 

 

 長い暗闇のトンネルを抜けるとそこは……当世の理想郷(パラダイス)であった。

 

 

 

「陽気に帰って来たかと思ったら急に感慨に耽りだすとか、お前の感情ジェットコースターかよ」

 

「有咲が冷たい、いやこれはこれで有り難き日常なのかもしれませぬ」

 

 

 腕を組み呆れ顔を見せた金髪ツインテール美少女にジト目を向ける。

 

 まぁ有咲の気持ちも分からなくはないのですがね。

 出演者の控室へ香澄と共に無事の帰還を果たし、扉を開けるやいなや優しくお帰りと言ってくれた微笑みの天使りみりんの背後に素早く周りこんだ。

 突然の行動に驚きで固くなったりみりんの身体を強引に抱き寄せて癒やしと香しさの安らぎ恩恵を満喫する為に無言で頭ナデナデを開始したら、それを見た沙綾がわたしの背後に忍び寄り無言で頭を撫で始めるという謎のナデナデ二段活用が展開され始め、更にこの流れに乗ろうとおたえは沙綾の背後で仁王立ちをするという中々にカオスな空間が生まれつつあったのです。

 

 

「有咲と香澄もほら、仲間に入らないと」

 

「止めろおたえ、控室でトーテムポールを作ろうとすんな」

 

 

 慌てふためいた有咲のツッコミで控室の中に優しい笑い声が溢れ出した。

 声の主へと顔を向けると、既に始まっている合同ライブでの出番を控えた新人バンドの皆さんがこちらを向いて微笑んでおられました。

 アルバイトの時に練習スタジオを度々利用してくれていたバンドの皆さんがポピパと同時期にライブハウスデビューとは、直接的な関係はないのですが大切な娘の旅立ちを迎える親御さんのような感慨を覚えてしまいますよ。

 

 ふとベース担当で明るい栗色のショートカットがトレードマークの(みなみ)さんと目線が合うと、彼女は少し首を傾げながらヒラヒラと優しく手を振ってくれました。

 大学生である南さんはわたしがカウンター係をしていた時にはよく気を遣って話しかけてくれた優しいお姉さんで、女の子同士の尊い絡みが大好きというこれまた良い趣味をお持ちの心の同士なのです。

 しかもわたしが創設した『秘密結社百合百合を眺める会』にも御入会なのですよ、まぁ名前だけで実体のない秘密結社なのですが。

 とても気さくで明るいお姉さんなのですが、ただ話をする時に手を撫でまわす悪癖だけはどうにも恥ずかしいので直していただきたいものです。

 

 太腿に柔らかな痛みが走る。

 やれやれこれはヤキモチ焼きの我が嫁の仕業ですかね、と視線を戻すと大天使りみりんが後ろ手で太腿をつねっていたので驚いてしまった。

 

 

「えええっ、りみりん?」

 

「今はポピパだよ、優璃ちゃん」

 

 

 俯いたまま耳まで紅くした超天使りみりんが可愛すぎて強く抱きしめてしまった。

 華奢な体型なのに柔らかな肌感とシャツ越しに伝わる温もりはしっかりと女性らしさを感じさせてくれる、香澄がりみりんに抱きついているのをよく見かけますがそれも納得の抱き心地の良さです。

 

 

「またね、美月ちゃん」

 

 

 控室を出ようとしていた南さんが声をかけてくれたので頷きながらサムズアップをお返しすると、それを見たバンドメンバーの皆さんが部屋を出て行く時に次々とわたしの頭をポンポンと叩いていき、最後の南さんだけは頬を撫でるように指を這わしてから行かれました。

 それにしても南さん達のような陽キャラ大学生のスキンシップは距離感が近いこともあって対応に困りますね、純真無垢な女子高生には刺激が強いのでお姉様方には少し自重していただきたいものです。

 

 部屋が静けさを取り戻した瞬間、脇腹に雷撃を思わせるような強烈な痛みが走った。

 激痛に耐えながら震える視線を脇腹に向ければシャチの牙が如く深々と食い込んでいる女性の指、この握力の持ち主が誰かなど考える迄もないですが恐ろしいので顔は向けない事にします。

 

 

「りみりん、もうちょっと強めでも良いと思うな」

 

「そうだよね、沙綾ちゃん」

 

「いやいやお二人さん、わたし悪くないよねぇ」

 

 

 二重の責め苦に悶絶しながら助けを求めたら、やれやれと言いたげな表情の有咲が手を引いてくれて拷問トーテムポールからの脱出を果たせました。

 

 

「本当、優璃が居ると緊張感が無くなるよな」

 

「おっと有咲たん、これはもしかして?」

 

「褒めてねえから」

 

 

 照れを隠すように顔を背けた有咲が、その視線の先に映った香澄の姿に怪訝そうな表情を浮かべた。

 

 

「部屋に入った時からずっと機嫌が良いよな、何かあったのか香澄?」

 

「えへへ分かる? 実は……ゆりにプロポーズされちゃってぇ」

 

 

 恥ずかしそうに頭を掻きながら身体をくねらせる香澄とは対照的に、その場に居た香澄以外の全員で『はあ?』という間抜けだけど綺麗に揃った合唱(コーラス)を奏でてしまった。

 

 

「ちょまま待てプロポーズってマジなのか、優璃?」

 

 

 流石の有咲も信じられないと言った表情で此方に顔を向けましたが当然ながらそんな事をした記憶も予定もごさいませんよ、なので取り急ぎ通常の三倍の速度で手を振りナイナイと言っておきました。

 香澄も冗談がすぎますねと言いながらポピパトーテムポールの方を確認すると、沙綾達三人が呪いの人形かと見間違う程に瞳を見開きながら顔を向けていたので思わず吹き出すように笑ってしまった。

 

 

「もう香澄さんや、恐ろしい冗談は止めてくださいな」

 

「ゆり言ったもん、香澄がお嫁さんが良いって」

 

「あれはお嫁さんが似合いますよって話で」

 

「あーはいはいお前達が仲良いのは知っているけどな、頼むから本番前くらいは緊張してくれ」

 

 

 呆れなのか優しさなのか諭すように有咲が香澄の肩に手を添える。

 するとそれを合図にしたのか華やかな笑い声が部屋に戻りひと安心したのですが、若干一名の乾いた笑い声が片仮名表記のような平坦さで響いてくるのが微妙に怖いのでそれは確認しないでおきます。

 

 

「おい、そろそろ準備すっぞ」

 

 

 有咲の声にアイアイサーと応えたメンバー達はメイクや衣装のチェックを始めた。

 みんなの真剣な姿を観察すればする程、女の子ってメイクが好きなんだなと思う。

 興味を持てないわたしは普段からノーメイクなのですが、先日姉さんに勧められ挑戦してみたらドーラン(ファンデーション)でも()塗ったのかな(塗り過ぎ)と笑われてしまいましたからね、プンスカコンチキショーな気分になったものですよ。

 

 みんなが最終チェックに夢中になっている隙に、気配と足音を消しながら物陰に移動してそそくさと衣装であるバンドのロゴ入りシャツに着替えた。

 着替えを見られるのが恥ずかしいというか、身に付けている下着も胸に付いたままの爆撃痕も色々とツッコミ処が満載ですので危機管理としての賢い立ち回りなのです。

 

 全ての準備が整い、わたし達だけとなった控室で円陣を組んだ。

 大きく深呼吸をした香澄がヨシッと気合いの声を発してから中央に手をかざし、笑顔のメンバー達も想いを紡ぐように手を重ねていった最後にわたしもゆっくりと手を乗せた。

 

 

「走り出そう未来へ、撃ち抜こうわたし達の夢を、いっくよぉ!」

 

 

 香澄の言葉に全員で頷いた。

 一斉に息を吸って、バンドの新しい掛け声を全力お披露目です。

 

 

 ポピ(パ!)

 ピポ(パ!)

 ポピパパピポ(パー!)

 

 

 全員で重ねた手を宇宙に向かって弾かせた。

 わたしがこの世界に来たのも、ポピパのみんな、素敵な姉さん、楽しい友達と出会えたのも全てが小さな奇跡の欠片との巡り合わせなのかもしれない。

 だから全力で楽しみたい、青春だなんて思う暇もないくらいにみんなで駆け抜けたい。

 夢を追いかける、いえわたし達はバンドリの名のもとに夢を撃ち抜く高校生バンドpoppin'party。

 

 キラキラドキドキという不思議な宝物を探す冒険への扉が開いていく、未知なる旅路に高鳴る鼓動と僅かな武者震いを感じた、感じ続けていた。

 

 

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 ポピパのみんなもステージに向かい無人となった控室を整理整頓する。

 元スタッフの(さが)と言いますか、散らかっていると強面オーナーに叱られてしまうので過剰に片付けしてしまう癖が身についてしまったのですよね。

 テーブルを拭き掃除していたら、不意に扉を開く音がした。

 身体を向けながら入口を確認すると、扉に寄りかかるような姿勢で沙綾が立っていました。

 

 

「沙綾どうしたのですか、忘れ物でも……」

 

 

 近づきながら問い掛けたら、急に動き出した沙綾に背中に手をまわされて強く抱き寄せられた。

 突然だから驚いたけれどもうキスを何回もした仲です、そのまま受け入れるように力を抜いて身を預ける事にしました。

 

 顔を埋め温もりを確かめ合った後、身体を離した沙綾が僅かに目線を逸らす。

 

 

「甘えたくなったのですか、沙綾?」

 

「ヤキモチばっかりしてる、私って」

 

「プロポーズの事ですかね、流石にそれは有り得ませんって」

 

「本当に心が狭いよね、自分でも不思議に思うよ」

 

 

 椅子を引いて沙綾を座らせ、髪型が崩れないように意識しながら頭を撫でてあげる。

 

 

「確かに香澄は特別な人です、これからも応援していくしずっと一緒に居ると決めてもいます」

 

 

 俯いてしまった沙綾の顎に手を添えて軽く持ち上げ、出来るだけ優しい表情を作り瞳を見つめた。

 

 

「だからと言って沙綾が特別じゃないなんて思っていません」

 

 

 少しの潤みと共に瞳に輝きが戻ってくれた気がした。

 

 

「沙綾も居てくれなきゃ嫌ですよ」

 

「ゆりって本当……ズルいなぁ」

 

 

 沙綾が腕を掴みクイクイと小刻みに引っ張る、それは偶にする何かを要求する合図なのはよく知っていた。

 瞳を閉じた沙綾に顔を近付けて舌先で唇の表面を悪戯に突ついてみると、驚きで瞳を丸く見開いた後に優しく微笑んでくれた。

 僅かに見つめ合い今度はお互いに顔を寄せながら瞳を閉じる。

 

 軽く触れ合わせた後に、確かめ合うように重ね合わせた。

 胸の奥底が沸き立つように熱くなってくる、恥ずかしさは霧の中に消え去り沙綾の柔らかさに引き寄せられる。

 繋がりが離れそうになっても沙綾がそれを許さない。

 わたしからの筈なのに、いつの間にか沙綾に絡め取られてしまっているみたいな気分だ。

 逃げられないし、最初から逃げるつもりも無い。

 求められるのは嬉しいし、受け入れられるのはもっと嬉しい。

 今のわたし達の関係をどう表現していいか分からないけれど、少なくとも今は満ち足りた気分、何だかそれだけでも良いやと思えた。

 

 唇を離した後の沙綾を見やれば、唇を綺麗に彩っていた筈のリップとグロスはすっかりと剥げ落ちてしまっているようだった。

 それでも不思議な事にグロスの落ちた唇は濡れそぼるように潤んで光り、表面を覆う瑞々しいバラ色のコーティングは天然とは思えない程の魅惑的な色香に彩られている。

 

 

「これヤバいかも、胸が苦しくなるほどキュンって言ってる」

 

 

 顔を離した沙綾が息を切らすように零した熱っぽい言葉も、まだまだ甘え足りないと言いたげに絡みつく視線も言葉に出来ないくらいに可愛い。

 沙綾がヤキモチなんて妬く必要はないのです、だってキミが思っているよりも大切な人だとわたしは認識しているのですから。

 

 

「でもそろそろ行かないと、みんなから変に思われちゃうよね」

 

「何と言って抜け出して来たのですか?」

 

「ちょっとお花を摘んでくるって」

 

「それだとかなりの便秘とおもわ……」

 

 

 椅子から立ち上がった沙綾に頬を軽く抓られ、同じ場所へ今度は優しく唇を押し当てられた。

 覚束ない足取りで沙綾は鏡台の前に行きポケットから取り出したリップで手早くお色直しを済ませると、歩きながらヨシっと気合いの入った声を漏らして控室のドアノブに手を掛けた。

 

 

「キスすると安心しちゃうって、単純だよね私」

 

「可愛いと思いますよ、どうやらわたしは甘えられるのが好きなようです」

 

 

 ドアに向かって立ち止まったまま、一瞬だけ肩をすくめた沙綾がポニーテールに束ねた髪をふわりと揺らしながら振り返る。

 

 

「私ね、やっぱりゆりが好き、大好きなんだ」

 

 

 真っ直ぐに見つめてきたその顔は全体的に紅みを帯びていて、普段の頼もしい雰囲気とは違いまるで穢れを知らない無垢な少女のように幼く見えた。

 

 

「もう照れますよ沙綾、わたしだって大好きですよ大切な嫁ですからね、これからもポピパみんなで頑張りましょうね」

 

 

 一瞬だけ驚いた表情を作った沙綾が、腰に両手を充てながらクスリと笑う。

 

 

「もう……ゆりのバーカ」

 

「ええぇ、先程まで仲睦まじい雰囲気だったのに手のひら返しの罵倒ですか?」

 

 

 可愛らしいウィンクを残し、足取りも軽くなった沙綾は控室を出て行ってしまった。

 静かになった部屋に取り残されたような気分に浸りつつ、苦笑いをしながら頭を軽く掻いた。

 甘えてきたかと思いきや急に罵倒してきたりと、女の子って何を考えているのやら本当に摩訶不思議で理解に苦しみますよ。

 

 沙綾から移っているかもしれないリップの取り残しがないように、ティッシュを取って鏡台に向かう。

 鏡に映る頬は先程までの熱を覚まし切れていないような淡い紅色を残し、唇も少しだけグロスの輝きが残っているのか潤んで見える。

 手に持ったティッシュで唇を拭おうかとも思ったけれど、何となく丸めてゴミ箱にスリーポイントシュートよろしく投げ入れた。

 

 唇を指でなぞると繋がっていた感触が鮮明に思い出されて身体が震える。

 友達同士にしてはやたらと濃厚だった気もするけれど、お互いに証を刻んだようなあの時間は心がポワポワと温かくなって夢見心地な気分でした。

 

 まぁそれにしてもですが、わたし。

 いくら気分が盛り上がったとはいえ、流石にあんなのはやり過ぎだと思うのですよ。

 ま、まさかですがそれ故のバーカという罵倒、いやいやそれは考えすぎでしょう触れてしまった時も嫌がる素振りはなかったですしって……はう、もしも沙綾に嫌われたらと思うと悲し過ぎて泣いちゃいそうですわたし。

 

 

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 CiRCLEのライブスペースは地下空間、普段とは違い今日はラストダンジョンに挑む冒険者の気分で通路を進む。

 歩を進めた先に待っていたのは五人の勇者、尊敬し大切に想っている素敵なパーティーメンバー。

 

 

「衣装まで揃えるくらいなのにバンドはしない、理解に苦しむね」

 

「あれれぇ、どうしてダンジョンに入る前にラスボスが出現しているのですかね?」

 

 

 客用とは別の演者が入る扉の前に、メンバー達と一緒に何故か杖をついた詩船オーナーが立っておられました。

 

 

「なんだいその『ラスボス』っていうのは?」

 

「格好良い登場人物という意味です」

 

 

 顔を背けそれらしい誤魔化しをかました時に急に内側から扉が開き、とんでもない熱風を引き連れて南さん達が姿を現した。

 アルバイトをしていた身からすれば見慣れていた光景とはいえ、演奏を終え全身から滴る程に汗を噴き立たせているバンドメンバーさん達の姿を見る度に、ライブという物にいったいどれだけの熱量が必要なのかと感心しながら思い知るのです。

 

 

「あっオーナー、お疲れ様です」

 

「どうだいあんた達、やりきったのかい?」

 

 

 オーナーの問い掛けに南さん達は声を出す事はなく、その代わりとして目配せをした後に全員が満面の笑みを返した。

 

 

「そうかい、なら良いさ」

 

 

 それに応えるようにオーナーも優しい微笑みを返す。

 おやおやいったい何ですかねこの格好良く大人なやり取りは、これではまるでオーナーが人の善いオバチャンみたいではないですか。

 いやいや悪い人でないのは既に存じているのですが普段からわたしにこう、もう少し甘くしてもバチは当たらないと思うのですよ。

 

 

「客席は暖めておいたから、頑張ってね」

 

「はい、絶対にキラキラドキドキさせてみせます!」

 

 

 熱気を纏ったままのリーダーにバトンを託された形の香澄が瞳を輝かさせながら声を張り上げ、わたし達も顔を見合わせてから全員で深く頷きを返す。

 

 

「美月ちゃぁぁん、お姉さんに頑張った頑張ったしてぇ」

 

 

 急に肩を掴まれた驚きで顔を向けると、何故か南さんが最敬礼のような姿勢で頭を突き出していました。

 

 

「本当はギュウってされたいけど、お姉さん汗まみれだからヨシヨシで我慢するからぁ」

 

 

 突き出された頭に向かって腕を伸ばし、乱れていた髪を直すように優しく撫でてあげる。

 それにしても普段の南さんは物腰も落ち着いていて素敵なお姉さんという感じなのにこれもまたライブの魔法ですかね、まるで子供のようにはしゃぐ姿も新鮮で中々に良きものです。

 

 

「こら南、美月ちゃんに迷惑をかけるな。ゴメンね、こいつ末っ子気質の甘えん坊だから」

 

「オーノー、マイガールミヅキ、プリーズ、ナデナデプリーズ!」

 

 

 見間違う程に騒ぎ続ける南さんの首根っこを掴み、引き摺るようにして出番を終えたメンバーさん達はその場を立ち去って行かれました。

 それにしても南さんの異常なテンションはどこか既視感がありますなと朧げな記憶を巡ってみたら、りみりんのお姉さん達のバンドにも危ないテンションをお持ちの方が居られたような……うん、詳しくは思い出さないでおくとしますかな。

 

 

「ほらほら早く行きな、客が覚めちまうよ」

 

「よし行こう、みんな」

 

 

 オーナーの言葉を受けた香澄が発した号令に、全員が力強く頷く。

 緊張を振り払うようにひと呼吸を置いた香澄が扉を開け、わたし達は誰ひとり躊躇する事なくその背中に続き薄闇が支配する決戦の地へと足を踏み入れた。

 

 そこは演者のみが立ち入れる特別なステージ、淡い照明に包まれた中で粛々と準備に取り掛かり始めたメンバー達の姿は、まるで夜陰の宴を待ち切れない妖精の踊り子みたいに楽しげだ。

 それに引き換え演奏もしないわたしといえば、ライブスペースに蔓延している熱気に押されて微かに手を震わせてしまっている。

 情けない話ですが、これも覚悟を持つ者と持たない者の差なのでしょうね。

 

 各楽器がスタンバイを終え香澄がスタンドマイクの前に立つと、頭上のスポットライトは息を吹き返したかのように強烈過ぎる光を取り戻す。

 ステージ上の熱も会場の熱気も爆発したように膨れ上がっていく、何度か味わっているこの瞬間がわたしは堪らなく好きなのです。

 何かが生まれ出る期待感に鳥肌が立つ、本能が叫ぶのです、弾けてしまえと。

 

 

初まりまして、わたしたちぃぃ

 

 

 ライブの開始を宣言した香澄が後方を向き、それを合図にした五人は舞台袖に立つわたしに一度だけ視線を送り、もう一度深く頷き合ってからしっかりと客席を見据えた。

 香澄が客席に向かってターンを切る。

 五人が最高の笑顔で息を合わせ、大きく口を開く。

 

 

 どれだけの緊張の中、キミタチはこの場所に居るのだろう。

 流し続けた汗は無駄じゃない、零した涙は伊達じゃない。

 間違いないよ、キミタチはこの場所に立つ資格が有るんだ。

 だって、わたしが信じるこのフロントメンバー五人は……。

 

 

〝poppin'partyです!〟

 

 

 夢を撃ち抜き絆を紡ぐ、最強無敵のガールズバンドなのですから。

 

 

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 流星の形を模した深紅のギターと青き海色のギターが闇夜に輝く。

 踊るシンバルは星の瞬き、可愛らしいピンクのベースは大地に咲く一輪の花、純白のキーボードは……えっと、有咲はとても美少女さんです、はい。

 

 

最初の曲『STAR BEAT!』でした、皆さん初めましてわたし達

 

香澄、お前それ二度目だぞ

 

あれっ、そうだっけ?

 

 

 香澄の軽快なボケと有咲の迅速なツッコミで、会場を包んでいた緊張が解きほぐされたのか客席に軽い笑いが起きる。

 一曲目の演奏を終えて始まったMCに対する会場の雰囲気を確かめて、漸く胸を撫で下ろす事が出来た。

 演奏中の観客のリアクションも上々、無邪気に振舞う香澄の雰囲気も好意的に受け入れられているようで何よりな気分です。

 

 

「それだけ入れ込んでいるのに舞台には上がらない、何があんたをそこまで(かたくな)にさせるのかね」

 

 

 いつの間にか横に立っていた詩船オーナーからの声に、どうしてか顔を向ける事が出来なかった。

 

 

「わたしは()るよりも()る方を選んだのです、後悔はありませんよ」

 

「とても本音には見えないね」

 

 

 百戦錬磨の人生経験を持つオーナーには見透かされているのかもしれない。

 百合百合とした光景を眺めていたいというのは嘘じゃない、そしてポピパのみんなが何を望んでいたのかを理解していなかった訳でもない。

 それでもこれは転生という特典を得たわたしへのペナルティ、ポピパは五人でポピパという形を崩すつもりはないのです。

 

 二曲目が始まった。『前へススメ!』、ポピパで頑張るという香澄の決意が記された歌だ。

 子供の頃に体感したキラキラドキドキな星の鼓動と呼んでいたもの、それを彼女はポピパという煌めく星の下で見付けられたのかな。

 

 そういえば不思議な事に、本当の優璃ならどちらの道を選ぶのだろうって今まで考えた事がない。

 優璃として生きるのなら想定して然るべきなのに、優璃の存在を蔑ろにしていた訳じゃないのにこれが正解だと特に迷いもしなかった。

 

 ずっと心に引っかかっている疑念が頭をもたげてくる。

 前世では男だった筈なのに、どうして今のわたしは女の子である事に全く違和感を覚えないのだろう。

 普通なら性差に戸惑うだろうにいくら何でも順応が早過ぎる、これではまるで最初から女の子だったみたいじゃないですか。

 

 最初はわたしが優璃を乗っ取ってしまったと罪悪感を覚えていた、けれど今は少しだけ違う推論に辿り着いている。

 もしかして今のわたしは以前の俺ではなく以前の優璃でもない、お互いが混ざり合ったようなまったく新しい存在ではないのかなって。

 

 やり直しではなく、新しい未来を掴み取る為に……。

 

 

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 二曲目が終わり最後の曲が始まる前に香澄がポピパのメンバー紹介を始めると有咲が今更かよとすかさず返す、すっかりと息の合った夫婦漫才のようなやりとりに会場は温かな雰囲気だ。

 

 改めて思うとポピパの曲ってバンド名に違わず明るい曲調が多いのですが、意外と香澄が描く歌詞って渇望に近い青春への憧れを綴っている事が多いような気がする。

 無邪気で明るい性格なのにどこか不思議な魅力の女の子、まるで恒星のように世界を明るく照らしつつ、その身に持つ強力な重力でわたし達の心を掴んで離さない。

 どこまで走るんだろう、どこまで行くんだろうって思わせてくれる、そんな女の子がわたし達のリーダーなんだよね。

 

 

真っ赤なギターの女子高生、ギターボーカルの戸山香澄です!

 

 

 深紅のランダムスターを掻き鳴らした後にマイクを握った香澄が一息を入れたタイミングで有咲がキーボードから離れ、向かう先は……。

 

 

では最後のメンバーを紹介します

 

 

 一直線に向かって来た有咲に手を掴まれる、何がいったいどうしてこんな?

 

 

「ほら、行くぞ」

 

「いや有咲たん、わたしはステージには」

 

「お前もpoppin'partyだろ、全員が揃わないとパーティーが始まらないだろうが」

 

 

 無意識に足を踏ん張って耐えようとしたら、それを打ち破るような力強い何かが背中を押した。

 

 

「えっ、ちょっとオーナー?」

 

「何が起きるか解らないのもライブの醍醐味だ。信じてみな、自分の仲間達とやらを」

 

 

 舞台袖の暗闇から手を引かれ、フラフラな足取りで光の中に一歩を踏み出す。

 

 

わたし達の大切なサポートメンバー、美月優璃!

 

 

 有咲に背中を押されてステージ最前部、センターに立つ香澄の横に千鳥足で並び立った。

 前を見れば困惑した表情の観客達、後に振り返ればニコニコ笑顔のメンバー達、どうやらこれは信じていた仲間達に計画的に嵌められた可能性が高いのは間違いないようです。

 

 

えへへ、呼んじゃった

 

「じゃねぇですよ!」

 

 

 慌ててツッコミを入れたら少しだけ落ち着く事が出来た。

 途端に感じ始めるスポットライトから降り注ぐ灼熱の暑さ、それと同時に額を流れ始める冷や汗。

 観客がわたしに注目している雰囲気がハッキリと分かる、新しい何かが始まるのかという期待感のようなものがヒシヒシと伝わってくる。

 このプレッシャーの中にみんなは居たのかと肝が冷える、わたしは自分が思っていた以上にライブというものを軽く考えていたのかもしれませんね。

 

 固まっちゃいけない、せっかく盛り上がった熱を冷ませちゃいけない。

 今や自分でも説得力が無くなったと自覚していますが、元男たるもの背中を見せちゃいけない戦場もあるのですよ。

 

 おたえが持って来てくれたスタンドマイクを鷲掴み、右手を伸ばして粋なパーティー会場を舐めまわすように指差し睨みつける。

 やってやんよ、吹っ切れた女の勢いを見せつけてやんよ。

 

 

出る予定は無かったけれどサポートメンバー美月優璃、頑張るので罵声は勘弁でヨロシク!

 

 

 静まり返る会場(スペース)、呆気に取られた観客(オーディエンス)

 消え去りたい走って逃げ出したい、これは盛大に滑ってしまったのは最早疑いようのない事実です。

 

 その時、会場の一角から優璃という切り裂くような通る声と共に何本かのサイリウムが振られるのが見えた。

 切っ掛けは些細な事でも空気はガラリと変わったりする。

 あれって店員さんじゃねとか可愛いとかいう声が漏れ始め、点在した声は静かな海が急激に荒ぶり始めたように波を打つ歓声へとその姿を変えていった。

 ふと以前にオーナーが呟いた言葉が頭を過ぎる、嬉しそうに言っていたんですよライブは生き物なんだって。

 

 

それでは最後の曲です、聴いてください

 

 

 香澄が声を張り上げてからおたえと同時に後方へ軽やかターンを決める。

 それを見てわたしもメンバー達の方へと身体を向けた。

 視界の先には優しく微笑むベース担当のりみりん、何故か投げキッスをしてきたドラム担当の沙綾、苦笑いを浮かべるキーボード担当の有咲、横で悪戯っ子のように笑うリードギター担当のおたえ、そして……。

 

 

「もう逃がさないから」

 

 

 煌めく太陽のような笑顔、ギターボーカル担当の香澄。

 きっと二度とないステージの為に六人で鼓動と呼吸を合わせる。

 

 

〝せーの!〟

 

 

 全員で最後の曲名を叫ぶ、世界の隅々まで響き渡るくらいに気持ちを乗せて。

 

 

 

 

 

 第六十九話〝Yes! BanG_Dream!〟

 

 

 

 

 

 さあ、飛び出そう! 明日のドア ノックして

 

 解き放つ 無敵で最強のうた!

 

 in the name of BanG_Dream!

 

 Yes! BanG_Dream!

 

 

 香澄の横に立って一緒に歌う。

 何度もパートを別けて練習していたから流れもスムーズだ。

 もしかしてこの歌の練習にだけ付き合わされていたのって、香澄達は始めからこうするつもりだった、なんて流石に考え過ぎですよね。

 

 

 交わした約束が呼んでいる

 

 ドキドキステキにときめいてる

 

 驚かせてもいいかな? そろそろいいのかな?

 

 

 香澄のソロパートでは軽いステップとターンで間を作らないようにする。

 こんな事が出来るのもこころや美咲や結衣、ハロハピのみんなに出会えてアンジェラが生まれたおかげだ。

 

 優しい瑠璃姉さん、ライブの熱を見せてくれた蘭やアフターグロウのみんな、弦巻家の妖怪おばぁちゃんのハンナ、愉快で温かい一年A組のクラスメイト達、様々な出会いが今のわたしを形作っている。

 相変わらず神様は許すまじだけれど、みんなとの出会いという奇跡を演出してくれた事には感謝したいなって素直に思うよ。

 

 見渡す客席で星空のように煌めいている無数のサイリウムの輝き、わたしにはそのひとつひとつが観客の持つ夢の欠片に思えた。

 胸の奥に抱えた小さな夢の欠片達、それがpoppin'partyの音楽で輝きを解き放ち始める。

 観客も含めた全員で夢の欠片を掲げて、いつか大きな夢の結晶を造ろう。

 香澄の歌から、メンバー達の指先から溢れ出す音が、ポピパの音楽がそう語り掛けてくれているみたいだ。

 

 夢は叶うかなんて誰も知らない、だけど夢を持つ事が未来への楽しみに繋がっていくのは間違いない。

 夢が見えないのなら、一緒に探しに行こうよ。

 わたし達は夢先案内人のpoppin'party、そして今この場所に居るみんなも。

 in the name of BanG_Dream!(バンドリの名のもとに)、集った仲間達なのですから。

 

 

 さあ、飛び出そう 明日のドア ノックして

 

 解き放つ 無敵で最強のうたを!

 

 キミだけに ホントの声きかせたい

 

 夢とキミを繋ぐ メロディ♪

 

 in the name of BanG_Dream!

 

 Yes! BanG_Dream!

 

 

 歌の最後に右手で拳銃の形を作り軽快に撃ち抜くポーズを決めた。

 どうか誰かの心に届きますように、わたし達の始まりの弾丸がキミの夢を撃ち抜く始まりとなりますように……。

 

 

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 怒涛の新人合同ライブから数日が経った。

 花咲川女子学園も夏休みに入り、我等がpoppin'partyは有咲の蔵に入り浸るようにして日々の練習に打ち込んでいた。

 

 あのライブの日、どうやら蘭達アフターグロウのみんなも来ていたようでスマホにメールが残されていた。

 

 お疲れ様、頑張ったご褒美をあげなくちゃね、とのメッセージ。

 優しい蘭と笑顔のメンバー達の顔が浮かぶようです、本当に素敵なバンドですよアフターグロウも。

 楽しみにしてると返すと、優璃も勇気を出していいからねとの返信。

 えっと、蘭さん。どれだけ考えてみてもちょっとこのメッセージの意味が分からないのですがね。

 

 それとライブにはこころや美咲達も来てくれていたみたい。

 残されていた美咲からのメッセージには、結衣が感極まって泣きじゃくっているから顔は出せないとあった。

 結衣らしいし美咲の優しさも垣間見える、まぁこころのライブ熱が高まってヤバイ助けてという箇所は無視しておきましたが。

 でもライブの感想も聞きたいしで、次のハロハピ会議件アンジェラ練習日が少しだけ楽しみだとは思っている。

 

 

「おやっ、えらくニコニコ顔のゴキゲンサマだね」

 

「まぁデビューライブ、楽しかったですからね」

 

 

 暗くした香澄の部屋で二人仰向けで寝転び、窓越しに夏の夜空を見上げていた。

 湿気のせいか少し滲んだ空は満天の星とまではいかないけれど、散りばめた宝石のように輝きながら点在する星々を眺めるというのもまた、中々に(おつ)な気分というものです。

 

 

「ゆりもステージに立てば良いのに」

 

「それは遠慮しますよ。ステージに立っていたら、眩しいくらいに輝く五つの星が眺められないじゃないですか」

 

「勿論わたしが一等星なんだよね?」

 

「全員が一等星でしょ」

 

 

 太腿を何度も叩かれた、痛い。

 

 

「香澄ちゃんが一番可愛いって言うまで許さないよ」

 

「ちょっと痛いって。わざわざ言わなくても香澄は可愛いに決まっているでしょうが、笑顔とか本当に可愛くて仕方がないのですから」

 

「えっそうかなぁ、ゆりも可愛いと思うよ、うん」

 

 

 途端に照れ出す香澄さん、ちょいとチョロ過ぎて将来が心配になるレベルですわ。

 

 

「それよりも壊れたイヤリングはどうしますかね、また新しく買うとか?」

 

「うーん、イヤリングは止めとくかな」

 

「こりゃまた意外な反応ですな」

 

 

 コロリと転がるようにして香澄が腕に顔を寄せてきた。

 途端に広がるように包み込む爽やかな香りが気分を落ち着かせてくれる、まぁ真夏なので代償としてかなり暑いというのは問題なのですが。

 

 

「漸く見つけて優璃と一緒に買ったものだから、同じ物はもう無いから」

 

 

 優璃との思い出の品という事ですか、確かにそれなら似たような品を買ったとしても意味がないですよね。

 

 

「意外と高くてビックリしたんだよ。でもちょっと嬉しかった、わたしの為に無理したんだなって知れたから」

 

 

 アレってそんなに高価だったのですか。いやぁアクセサリーの価値なんて全くもって興味が湧かないですね、たとえあのイヤリングがプラスチック製だったとしてもわたし的には何の問題もありませんよ。

 

 

「でも思い出の品が無いというのも寂しいものですな」

 

「ちゃんとプランは考えてあるんだよ」

 

 

 顔を上げた香澄がえへへと笑う。

 

 

「大人になったらシンプルなシルバーリングをお揃いで買うの、それで小さい頃に約束した星空の見えるあの場所でお互いの指輪を交換する。そしてゆりは言うのです、香澄を一生涯大切にしますって」

 

「プランが具体的過ぎる」

 

 

 香澄は身体を動かして馬乗りの体勢になり、慣れた手つきでわたしのシャツをスルスルと捲っていった。

 

 

「その時がくるまで、ポピパで青春を全力で楽しもうね」

 

「いや言葉の格好良さと、あからさま過ぎる行動との対比が酷くない?」

 

「本日のキスマークノルマが未達成なので」

 

「今度、ポピパで海に遊びに行くのですが?」

 

 

 そうだったぁ、と言いながら香澄が背中から倒れてしまった。

 起き上がり今度はわたしが馬乗りの体勢をとると、香澄は素早く腕を廻して強引に抱き合うような形となった。

 女の子の質感って柔らかいものだけれど、今日の香澄の感触は普段にも増して柔らかくて上質なクッションみたいだ。

 もしかして普通のブラじゃなくてナイトブラなのかな、何だか裸で抱き合っているような気恥ずかしくて照れてしまう感覚に陥りそうです。

 

 首元に深く頭を埋めると抱き締められている腕の力が自然と強まった。

 香澄にだけ感じるこの包み込むような不思議な安心感は唯一無二だ。

 沙綾と抱き合う時は安心感よりも高揚感の方が勝っている気もするしと、まぁどちらにしてもわたしにとって二人は特別な存在なんでしょうね。

 

 

「キミが約束を果たしてくれたんだから、わたしも優璃との約束を守らなくっちゃ」

 

「優璃との約束って?」

 

「……ヒミツだよ」

 

 

 顔をずらした香澄が頬に唇を寄せた、ってキスマーク以外での普通のキスってこれが初めてじゃ。

 

 

「これからも約束をいっぱいしよう。沢山の約束が沢山の夢になって、星空のような沢山の夢を撃ち抜いていこうね」

 

「そうですね……って、それって雁字搦め過ぎないですか?」

 

「ムードが無いよ」

 

 

 お尻から甲高い炸裂音のようなものが響き渡り、湧き上がる痺れのような痛さに堪らず転がるようにして香澄から飛び退いてしまった。

 

 

「うぅ……プリティーなお尻が腫れあがってしまいますよ」

 

「もう、今日はいっぱい愛しちゃうからね」

 

「あっちゃんが聞いたら誤解して部屋に飛び込んで来そうな表現はヤメテェ」

 

 

 身体を起こした香澄がフワリと微笑む。

 わたしはやっぱりこの笑顔が好き、というかポピパみんなの笑顔が大好きだ。

 

 もう一度窓を見やり、星空の向こうに思いを馳せる。

 季節は夏本番。夏の海も夏祭りも、肝試しだってどんと来いですよ。

 poppin'partyの青春はスタートラインを切ったばかり、今はただ走り続けよう、重ねた約束という夢を叶える為に!

 

 

 

 

 見ていますか? 我が胸に棲まう空想妖精モヤットくん。

 高校に入学してからの今までを共に過ごしてくれてありがとう。

 まぁこれからも精々一緒に眺めていきましょうや。

 

 なにせわたしとキミの青春も、まだまだ動き始めたばかりなのですから。

 

 

 

 

 

 ⭐︎おしまい⭐︎

 




 本編はこれにて完結です。

 長々のお付き合いをさせてしまいましたが、ここまで読んでくださった全ての方に心からの感謝を。
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