前回のシンフォギア!
作者が復活した。
さぁーってこのカオスな状況、どうしたものか……
「あの、差し入れ―――」
ピンク色の可愛い容器を持って若干苦笑いの入った笑顔を浮かべて扉からこちらへと顔を見せるウェル博士。
「‥‥ッ!」
そうしてそれを警戒しながら困惑した感じで見てると思う小日向さん。
「……」
その間に居て冷たく、そして無機質に無反応を貫く俺。……うん、なんとも気まずい! もし今の俺が自由に動けたとしらこの空気に耐えられず胃が痛すぎてぶっ倒れるぐらいには空気が重いぜ!
なぁ~んて能天気な事を考えながら見守ってるとウェル博士はそのまま小日向さんの前へと来た。あ、不味い、俺が動く。
「ウェル博士、現在捕虜への面会はDr.ウィルにより禁止されています。即刻退―――「割り込みコード、B19」―――命令は了解されました」
うわすっご。俺は体がマリアの時と同じように警告する前にウェル博士が放った命令を了承、敬礼しだした事に俺はビックリ。マジか、ウェル博士ったら無理矢理命令に割り込み入れて自分のいう事を聞かせやがったゾ。
「あなたは一体……ッ!」
俺へと命令をしたウェル博士をさらに警戒する小日向さんですが、まぁ~まぁ落ち着いて小日向さん。心の中で小日向さんへ届くはずもない呼びかけを促し俺の状態を再度確認する。どうやらウェル博士の言った命令によって俺を縛っていた一部の拘束が緩まり体への負担も軽くなったみたいだ。それによってルンルンな気持ちになるんだけど……仕方ないじゃん、ずっと縛りプレイ状態だったんだものルンルンにもなるさ。
それから驚く小日向さんと久しぶりのルンルン気分を味わう俺達へウェル博士は語り始める。彼曰く
「そんなに警戒しないでください。同じ目的を持つ彼には悪いと思っていますがこれも彼女を助ける為、プログラムの一部を改変させていただきました。これによって彼女は自由に思考できるはずです」
「橘さん……」
ウェル博士の言葉を聞き心配そうに俺を見つめると思う小日向さん。あ、俺ってば後ろを振り返る手段を持ってないから音でしか確認方法がないんだよね。あと自由に思考っておま、そんな事最初から出来てましたが?
何だか変な事を言うウェル博士……ん? ってかこの博士―――
「それに私は彼女の味方で貴方の力になりたいと思っている者です、少しお話しませんか?」
俺は小日向さんへと笑いかけるウェル博士をじっくりと見てみる―――アレ? 確かウェル博士って右じゃなくて左に髪をまとめてたような……な?
俺が疑問を抱いている間にも状況は進み博士は小日向さんへと優しく語り掛け続ける。
「私の力?」
「そうです。すべてを、そして彼女を救う、そういう力です」
そう言って博士が取り出すのは俺達シンフォギア装者が身に着けし見慣れたギア・ペンダント……――――ってマジか!? 俺はこの行動と事前に知っていたアイツの言っていた事を掛け合わせた結果、覚った。コイツ、ウェルじゃなくて顔面自己成形変顔生成暴力狂人サイコパスのウィルだと。
勘だけどウェル博士はこんな小日向さんのような民間人を戦いに巻き込むようなド畜生じゃないと思う。それにウィル博士は小日向さんを人質に取る際に何かしらよからぬ事を企んでいた。だからこそ俺はコイツの正体に気付く事が出来と思うがよりにもよって双子の、それも性格の真反対な彼を装って来るとかタチが悪い。大方、いざとなった時の保険で小日向さんへの印象操作としてウェル博士を装っているって思うが本当にクソだな、コイツ。
それからは聞いていて正直、気分が悪かった。
まるで詐欺師の様に言葉巧みに小日向さんを誘導してギアを纏わせる方向へと誘導していく博士。何も知らない小日向さんは博士の詐欺同然の言葉に騙されギアを纏い、響をこれ以上戦わせないためにそして俺自身を救う為に覚悟を決める。
その後檻から出され調整の為だとか言われ連れて行っていかれてしまう。それを後ろから見つめるウェル博士を演じるウィル、その時の表情はまさに外道と言って良いほど酷い笑顔を浮かべていた。
すまない小日向さん。俺がッ、俺が自由に動けてさえいれば……
そしてそれを見ている事しか出来ない今の俺ではそう、心の中で悔しがるしかできる事はなかった……
※※※
「未来にゴーストさん、待っててね。絶対助けるから」
私は師匠の行う厳しい訓練で心身ともに鍛えながらその決意を固める。でも今のままでは操られているゴーストさんに勝つことは絶対に無理。
理由は腕が上な私自身と戦っていると言って良いほど戦い方までも瓜二つだからだ。元々から私達の連携に合わせるように戦うスタイルであるゴーストさんは私やクリスちゃん、翼さんが万一抜けた場合でも問題がないように変幻自在な戦い方をする。だけれどその戦い方は私の戦い方を見様見真似で学んで基礎とした戦い方らしいので本当のスタイルは格闘がメインだと思う。そして今の操られたゴーストさんは効率よく敵、つまり私達に勝つ戦い方しかしていない為にその戦い方を全面に出して戦っている。
だからこそ私が相手にするとゴーストさんもそして私も、両者どちらも次の手を読む事が出来て簡単にいっちゃえば格闘ゲームでの同じキャラ同士のミラーマッチに近い状況だと思う。でも腕は私よりもゴーストさんの方が上だからこのままでは勝つことは不可能なんだよね。
悩み、そして勝つ方法を模索しているうちに私だけでは思いつかないと考え付き師匠に相談したら以外な事にシンプルな答えが返って来たのには驚いちゃったなぁ。
「同じ戦い方同じ戦術同士で自身が弱いから勝てない? はっははは」
「師匠! 笑い事ではないんですよ!」
「はっはは、すまない響くん。でもそれの答えは簡単だ」
「簡単…ですか」
「あぁ、つまりは相手が思いつかないような奇策を撃ちだせばいい」
そう奇策。つまりこれまで私がやらなかったような事をメインで戦えば良いと言う事。その言葉を聞いた私はまさしく目から鱗、すぐに師匠に修行を頼んだ。師匠は私が胸の侵食してくるガングニールの爆弾を抱えてなお、戦おうとする私の意思を尊重してくれて有難い事に本気で稽古をつけてくれた。
結果、一日と言う短すぎる期間であったけど厳しすぎる修行を終えた私は対ゴーストさん用の戦い方を付け焼刃ながらマスターできた。これも師匠とこれまで行って来た修行が土台となってくれたおかげだ。
「師匠、これで勝てます!」
「響君…確かに君は勝てるだろう、けれど侵食しつつある胸の聖遺物、つまりはタイムリミットがある事を忘れてはならない。だから倒すなら短期決戦でいけ!」
「はい師匠!」
私は師匠の言葉を胸にその時を待つ。
「本当に大丈夫なのかよ」
「うん! へっちゃらだよクリスちゃん!」
「立花はそうやって自身の無理を隠そうとするからな……本当に無理はしてないだろうな?」
「翼さんは心配性ですね~、立花響はこのこの通りだいじょぉ~ぶっです!」
「なら、いいのだが……」
「……無理して死ぬんじゃねぇぞ」
クリスちゃんや翼さんが抱く私への心配の気持ちもわかる。二人は私が戦う事に最後まで反対してたからね。でも私自身がそれを押し切ってここに居る。死ぬ可能性だってもちろんわかっているけど死ぬ気なんてさらさらないよ。だって、クリスちゃんに翼さん、ゴーストさんに未来といった皆でまたごはんでも食べながら楽しく笑い合いたいから死ぬわけにはいかないからね!
そう心に誓いながら艦内に響くアラート音を私は耳にするのであった。
おやすみなさいー
次回予告
仮設本部内に響くアラート音。それは近海を哨戒していた米国艦からの応援要請であり響の待っていた戦いへの烽火でもあった。
次回【決戦・フロンティア1】