現代日本に転生したと思ったら、ペルソナ5だった。   作:ずばば

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誤字脱字の報告をしていただいた方、本当にありがとうございます。
なるべく誤字脱字の無いようにしたいとは思っていますが、発見した際にはご報告いただけるとありがたいです。

日間ランキングを眺めて小説を読んでいたらこの作品があって驚きました。見切り発車で書き始めた小説ですが、非常に嬉しいです。読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。


意志の化身

細道を歩きながら考える。これからどうするべきか。原作通りに行けば、このまま鴨志田のパレスに入り、捕らえられて牢屋に入れられる。そして、そこで主人公がペルソナに目覚める...という展開になるはずだ。

理想は俺が何もせずともこの展開になることだが、そうなるとは限らない。とはいえ、無理に介入して原作をねじ曲げれば、今後の物語にまで影響が出てしまう恐れがある。

今回達成しなければならないことは、

 

1.主人公がペルソナに目覚めること。

2.主人公がモルガナと出会うこと。

3.主人公と竜司が死ぬことなく、出来れば重傷を負うことなくパレスから出ること。

 

大きく分けてこの3つだろう。

1つ目に関しては疑問の余地もない。主人公がペルソナを出せなければ戦えるやつがいない。

先にモルガナに出会っておく...というのも選択肢としてなくはないが、うろ覚えの記憶でモルガナのいる場所にたどり着けるかということ、鴨志田の従えるシャドウのことを考えると、かなり難しいだろう。

更に言うなら、ここでペルソナに目覚めなければ後々の物語に影響が出ることは間違いないだろう。モルガナと協力することも難しくなる。

 

2つ目もほぼ同じ理由だ。主人公の力だけでパレスから脱出するのは難しい。そもそもここでモルガナに出会わないと、今後パレスに関わるための接点が無くなる可能性が高い。

 

3つ目も物語の進行に大きな支障をきたすだろう。死ぬのは勿論、重傷で今後自由に動けなくなることも出来れば避けたい。

...それ以上に、間接的でも俺が原因で人が死ぬなんてごめんだ、というのもあるが...

 

とにかく、これらを達成するには、パレスに入り、鴨志田に捕まり、脱出しながらモルガナに出会う必要があるだろう。要は原作通りに進ませればいい。そう考えていると、いつの間にか鴨志田のパレスの前に着いていた。

 

「なッ!?」

 

パレスを見た竜司が、驚いて声を上げる。そして来た道を振り返り、

 

「道...間違えてねーよな。」

 

「...やっぱ、合ってるよな。」

 

確認するように呟いた。

目の前にあるのは、見知った高校ではなく。

現代の街には明らかに浮いている、大きな城が建っていた。

 

「どうなってんだ...?」

 

「中入って、聞くしかねぇか。」

 

驚きながらも、ここが秀尽高校であることは間違いないと確信した竜司は、俺と主人公の方を見て言った。

 

俺は頷いて、竜司の後ろを歩き出した。

 

そうして、鴨志田のパレスへと入っていく。

 

パレスの中も外観と同じように、

 

見知った高校ではなく煌びやかな装飾が施され、シャンデリアが吊るされた、いかにも、という感じの内装になっていた。正面に、大きな鴨志田の絵が見える。

 

「お...おっかしいな...学校が...」

 

竜司が言った。

1日でいつも通っている高校が城に変わっていたのだから、当然の反応ではある。

 

「ここが学校?」

 

主人公が竜司と俺に尋ねた。

 

「そのはずだぜ...門に『秀尽』って書いてあったしよ...」

 

「...あぁ。それに1年以上も同じ道を通って登校しているんだ。今更間違えるとは考えにくい。」

 

竜司に続いて、俺も言う。我ながら白々しいと思った。

とはいっても、ここで真実を伝えるのは得策ではない。そもそも信じてもらえるかどうかが怪しいし、なぜそんなことを知っているのかを説明出来ない。これがゲームの世界だから、なんて高校生にもなって言っていたら、幾ら友達の竜司でも頭の病気を疑うだろう。

 

その後も竜司はここが秀尽であることを確認するように、主人公や俺と問答する。

そんなことをしていると、部屋から鎧を着て、剣と盾を持った、騎士のような出で立ちの...恐らくは、シャドウが出てきた。

顔は青い仮面を被っていて、肌が全く見えない。

 

「ビビらせんなよ...」

 

どうやら何かの催しだと考えた竜司は、ため息をつきながら言った。

とりあえずここまでは原作とほとんど変わりがない。

 

「誰だお前、生徒なのか?」

 

そう言いながら、竜司は動く鎧へと近づく。

 

「つーか、カッコすげーな...鎧、ホンモンか?」

 

「...。」

 

竜司の問いかけに、鎧が答えることは無い。

 

「黙ってねぇで何とか言えよ。お前...」

 

そこまで言いかけた時、もう1人の同じ格好をした鎧が現れ、こちらに近づく。

 

「...お、おい、何だよ。」

 

とても催し物とは思えない雰囲気に思わず竜司もたじろぐ。

 

そんな雰囲気の中、

 

 

「ドッキリだ。」

 

 

という、状況を理解出来ていないのか、はたまたふざけているのかは分からないが、少なくともこの場で言う言葉では無いであろう台詞を、主人公が言った。

 

「そんな空気か、これ?」

 

思わず竜司もツッコミを入れる。

 

「...どう見ても『ドッキリ大成功!』なんてプラカードを持った仕掛け人が出てくるような空気ではないな。」

 

思わず俺もツッコミを入れる。

 

「...だよな、とにかくコイツらやべぇ。逃げるぞ!」

 

そう言って竜司が俺と主人公の方へ顔を向ける。

 

「分かった。」

 

そう言って主人公と竜司が入口の方へ駆け出す。

俺も少し遅れて後に続くが、同じような鎧がぞろぞろと俺たちを取り囲み、逃げさせまいとする。

 

「くそ、何なんだよこいつら!」

 

竜司が叫ぶ。危機的な状況とは裏腹に、俺は安堵していた。俺の記憶が正しければ、原作と変わりはない。この後は竜司が鎧の持つ盾で殴りつけられ、その後主人公と竜司が捕らえられ、牢屋に連れていかれる。

そして記憶の通り、鎧の内の一体の腕が動き...

 

 

俺の背に、勢いよく盾がぶつけられた。

 

「ゔッ!?」

 

鈍い痛みに声が漏れ、そのまま床に倒れる。

 

「海人!?」

 

竜司の叫ぶ声が聞こえる。

芯に響くような痛みを感じながら、頭を回転させる。

想定外ではあったが、ここで誰が殴られるかなんて関係はない。

むしろ、竜司が殴られなくてよかった、とさえ思っている。

そんなことを考えている最中も、竜司と主人公を鎧たちが捕らえ、運んで行く。

 

「連れて行け!」

 

鎧たちが言う。

 

原作通りの台詞を聞き、ひとまず安心した俺は、そのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

「おい!起きろ、このゴミが!」

 

罵る声と、腹部に感じる痛みで目が覚めた。

段々と目が開いていく。目の前にいたのは、顔は鴨志田だが、ハートが1面に描かれた趣味の悪いマントに、頭には安っぽい王冠。

間違いなく、鴨志田のシャドウだ。

チラリと周りを見ると、どうやら牢屋のようだが、竜司も主人公も見当たらない。

 

「どうした?仲間のことでも気にしているのか?」

 

「安心しろ。あいつらは今頃、隣の牢屋で処刑を言い渡されている所だ。」

 

「不法侵入者は即刻処刑。それが、この俺様の城でのルールだ。」

 

シャドウ鴨志田が喋る。

...そうか。なら、安心だ。

鴨志田はその場に立ち会わせていないものの、竜司の死の危機に主人公はペルソナに目覚めるに違いない。

 

計画の達成に思わずフッ、と笑いがこぼれる。

 

それを面白くないと思ったのか、鴨志田が顔を顰めて叫ぶ。

 

「貴様ァ...貴様のそういう所が癇に障るんだよ!」

 

「俺様に逆らうゴミ虫など、絶望して下を向いて生きていればいいのだ!」

 

「なのに貴様は...いつもいつも、俺様の邪魔をする!」

 

「坂本を助けやがって!居場所を無くしてやろうと思っていたのに、貴様のせいであいつは今も呑気に生きてやがる!」

 

本気の蹴りやパンチが俺に突き刺さる。1年前と違って、ここはパレスだ。周りの目など気にする必要も無いようで、顔も身体もお構い無しに殴打する。

涙が出るほどの激痛。口の中に滲む血。青くなっていく肌。そんな中でも、責任を果たせた安堵からか、余裕のある態度のままだ。

そんな態度を取ったままだからなのか、鴨志田の怒りは更にエスカレートして行く。どこから取り出したのか、鴨志田は剣を握っている。鎧達が手にしていた剣だ。

 

「しばらくいたぶってやろうと思ったが、もういい。この場で貴様の死刑を執行する!」

 

そう言って、痛みで動けない俺に剣を構える。

 

そこで、牢屋の外から竜司と主人公が見える。

 

「おい、海人!」

 

竜司が叫ぶ。その隣にいる主人公は、ゲームで何度も見た怪盗服。どうやら、無事にペルソナに目覚めたようだ。

 

「なに!?貴様ら、どうやってここに...あの、無能共めが!」

 

「だが、まぁいい。貴様らはこの後、俺が直々に処刑してやる。今は指をくわえて見ていろ!」

 

鴨志田が、勝ち誇るように叫ぶ。

 

「なんだとてめぇ...おい!ふざけるなよ!そうだ、お前!あいつを何とかしてくれ!」

 

主人公に竜司が叫ぶが、ご丁寧に牢屋には鍵がかかっている。

竜司には悪いが、これは正直助からなさそうだ。

 

...とりあえず、出来ることはしただろう。死ぬことに恐怖もあるが、どこか達観して今の状況を見る。もしかしたら、死んだら前世の世界に戻っていました。そんなことがあるかもしれないな。

2回目なのに、短い人生だった。

馬鹿なことを考えながら、諦め、目を閉じようとしていると...

 

『それで終わりか?』

 

 

 

 

 

異世界に入ってすぐに頭に響いた声が、また聞こえてくる。今度はより、鮮明に。

 

『友のため、世界のため...何を成すこともなく、死んでいくとは大した自己犠牲だ。』

 

...うるさい。

 

『お前はこれで満足か?この世界で、何も成せず。何を知ることもなく、ただ死んでいく。』

 

...なら、どうしろって言うんだ。俺に何が出来る。やれることならもうやった。

 

『違うな。貴様はとうに諦めた。この世界の一部として生きることも、伸ばせば手に出来る力さえも。』

 

...何を、言ってんだ。

 

『貴様が真に欲するのは、自由だ。己の成したい事を、思うがままに出来る自由を。』

 

...お前の正体が、俺の考えと違わないなら。俺の意志が、お前の目に適うと言うのなら。

 

その自由を、お前が寄越せよ。

 

『身勝手なものだ。ならば、何者にも邪魔されぬ力をくれてやろう。』

 

頭に激痛が走る。

 

『契約だ。我は汝、汝は我。』

 

「ぐっ...」

 

思わず呻き、頭を抑える。

 

『仮初の舞台の上で、知ってなお救いの手を差し伸べる者よ。』

 

「うお...おぉ...あぁぁ...!」

 

頭の痛みが更に強くなり、思わず叫ぶ。

 

『己の愚かさを正義とし、貫き通す力を授ける!』

 

痛みが収まり、代わりに顔に仮面が着いている。

 

『高らかに叫べ!我が名は!』

 

その仮面は両手で強引に引き剥がしながら、叫ぶ。

 

「来い...俺の、ペルソナ...!」

 

 

 

 

「ラウール!!!」

 

 

 

仮面を剥がしたと同時に、豪風が巻き起こる。

 

「うぉ...!」

 

鴨志田が呻く。

 

そしてもう一度こちらを見ると、

赤いハットに赤いスーツ。黒いネクタイと、巨大な機械仕掛けの黒い翼。

俺のペルソナ、ラウールと...赤いスーツに身を包んだ、俺が立っていた。




主人公のペルソナを考えるのに物凄く時間がかかりました。オリジナルのペルソナにするとか、前作前々作のキャラのペルソナを使うとか色々考えましたが、結局ペルソナ5DLCのラウールにすることに。
正直このペルソナを選んだことが正しいのか自分でも悩んでいますが、とにかくこれで行こうと思います。
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