リアルで盲目な私でもできるゲームを始めたらデスゲームでした。   作:橘 雪華

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携帯がおかしくなったりリアルでどったんばったんしてたら一ヶ月近く経ってやんの! 笑えねぇ!
という訳で一つ書き上げて投稿ですが……(何も起こらなさすぎて)これいる?

あっ、後ストックが出来た訳ではなく生存報告を兼ねた投稿なので、ストック分書けるまで暫く投稿止まるかもです。申し訳ない!


2.アインクラッドでの少女の日常

フードを深く被り、隠蔽(ハイディング)スキルを発動させ息を潜める。

標的の様子を観察しながら近づいていく。相手がこちらに気づく気配は、なし。

 

そのまますすす……と距離を詰めていき、標的の背後に陣取る。

そして手にした短剣を構えて、ソードスキルを発動させる。

 

「ブシャアアアッ!!」

 

不意打ち、及び背面攻撃(バックアタック)によって威力の増した一撃は、標的の体力バーを一気に削り取っていき、

その鳴き声を最期に標的はバリン、と砕け散った。

 

「シャアアアッ!!」

 

仲間が一撃で仕留められ、残された花型モンスターが威嚇の声を上げる。

トン、と1度距離を取るように地を蹴って、すかさずメニューを開いて武器を変更する。

手にしていた短剣がすっと消えて、代わりに1振りの片手剣が現れる。

 

「ふぅ……」

 

剣を構えながら、息を一つ吐く。

あまり正面から戦うのは得意ではないけれど、標的にするモンスターだっていつも孤立してたり仕留めやすい配置でいる訳じゃない。

だからこうして自分自身の経験を積んでおいて損は無いということ。

 

お姉ちゃんは短剣のまま普通に戦ってきたみたいだけど、私は最初は片手剣、途中で短剣を追加したスタイルだから、正面から挑む場合片手剣での方が慣れている。

 

うねうねと気色悪く触手をうねらせるモンスター。

ああいう動きの素早いものは下手に見切ろうとすると私の場合大体()()するから、()()()()()()

 

「………」

 

感覚を研ぎ澄ます。じゅるじゅると粘液の不快な音に紛らわされないように、音で動きを捉える──

 

「やぁぁっ!!」

 

そして構えていた剣を振るえば、剣は私に向けて伸ばされていた触手を捉え切り飛ばす。

触手を欠損して怯んだ隙を、私は逃さない。

 

「これで終わりッ!」

 

すかさず剣を構え直し、ソードスキルを発動。

片手直剣用ソードスキル《スネークバイト》による2連斬撃を放ち、そのままモンスターの体力を全損させた。

 

ドロップアイテムを確認し、よし。と呟いては剣をしまう。

流石にこの辺のモンスター相手なら1人でも何とかできると判断して、別の獲物と素材回収ポイントを目指し歩き始める。

 

そんな素材集めの為にフィールドを巡るという事は、今の私にはなんてことのない、いつも通りの風景の1つとなっていた。

 

 

 


 

 

 

アインクラッド五十層、主街区《アルゲード》。

迷路みたいに入り組んだ街で、変に探検しようとすると迷子になって行方不明に……なんて噂まである、ちょっと怖い所。怪しいお店なんかもあったりするし。

かくいう私も一度迷子になりかけたことがあったり。運よくキリトさんに遭遇した時はちょっと泣いちゃったっけ。

 

……そ、そんな話はどうでもよくて。

とにかく、キリトさんのホームでもあるこの街に、私は今ある意味で《お仕事》としてやってきていた。

 

「ええと……数は、うん。大丈夫」

 

ストレージを開いて、所持アイテムに問題がない事を確認する。

確認を終えてから、私はある一つのお店へと入店した。

 

「いらっしゃ……ああ、エコーか」

「こんにちはです、エギルさん」

 

そして私に声をかけてきた店主のエギルさんと挨拶を交わす。

そう、このお店はエギルさんが開いているお店。

扱っている品物は色々あるけど、エギルさん曰く「安く仕入れて安く提供する」のがモットーらしい。

 

「ウチに来たってことは、いつものか」

 

エギルさんの言葉に「はい」と答えて、トレードウィンドウを開く。

 

エギルさんは私が自分のお店を始める時に色々教えてくれたり手伝ったりしてくれて。

その時にエギルさんにそこそこの負担(主に金銭方面)を掛けちゃったこともあって、それからエギルさんのお店にこうやって定期的に特性ポーションを卸しに来ているのだ。

 

うちのお店で売ってる値段よりも安めだけど、お店を始めたときに負担してくれた分を考えたら十分。

本当はタダでもいいんだけど、そこは商売だからと譲ってくれなかった。

 

ちなみにエギルさんのお店の方が他のプレイヤーさんに知られてる分ポーションとかも売れるみたいなんだけど、私のお店で買うよりちょっぴり価格設定が高いらしい。キリトさんがそう言っていた。

……流石にひどいくらい差があるわけじゃないみたいだけど。

 

「……うん、バッチリだ。いつもサンクスだぜ」

「いえいえ、こちらこそです。せっかく作っても、使ってもらえないと意味ないですから」

「ま、確かにな」

 

──まぁ、後になってエギルさんと思われるプレイヤーが中層プレイヤーに破格の支援をしていた、なんてことをキリトさんから教えてもらうことになるんだけども。

 

ともかく、アイテムの納品を終えた後、軽く雑談をしてからエギルさんのお店を後にする。

 

その日は他に用事もなくて、そのまま転移門で四十八層へ移動。お店兼自宅へと戻る。

 

「ええと、在庫確認……っと」

 

帰ってきて少しの休憩を挟んだ後、製作したアイテムのストレージとお店に出品されるアイテムの入ったストレージを確認して、少ないアイテムとかがあれば《調合》スキルの出番。

調合用の釜に触れて作成メニューを開き、素材をぼとぼとと釜の中へ入れ、かき混ぜ棒で混ぜていく。

 

「ふんふんふーん、ぐるぐるー」

 

どうしてこういうシステムなのかはわからないけど、これでも混ぜ方が完成度にほんのり響いたりするから気は抜かない。

基本的な部分は素材とスキルレベルで完成度が変わるけど、だからって混ぜるのが早すぎたり遅すぎたりしても出来が悪くなったりするから。

 

更に高品質にするなら、釜じゃなくて別の道具が必要になるけど、お店に出す為に数が必要なものはかき混ぜ式調合じゃないととてもじゃないけど追いつかない。

 

「ふぅっ……こんなものかな」

 

完成したアイテムを出品用ストレージに補充して、一息つく。

 

 

これが、今の私にとっての《浮遊城アインクラッド》での日常。

補充に関してはそんな飛ぶように売れるようなお店って訳でもないからそんなに多くないし、比較的のんびりした日々を送っていた。

 

最も、モンスター狩りでレベルを上げたりもしてるから、それを含めてのんびりと呼べるのかは疑問だけど。

 

それに今日みたいな日はどちらかと言えば貴重な日だし。こんなに何事もない日なんてあんまりないからね。

 

 

とにかく、《エコーのアトリエ》で暮らす私に取っての穏やかな日常の一幕……というわけだ。

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