異世界から問題児と寂しがり屋が来るようですよ 作:三代目盲打ちテイク
キャラ崩壊、謎理論注意。
さて、話も終わったところで、白夜叉の部屋からノーネームの一団が出ると、そこには割烹着姿のいつもの店員がいた。
彼女は、ノーネームの一団を一瞥する。特に椿姫を。地下道にひょんなことから転がり込んでしまった上に、ギフトゲームまでこなした彼女は薄汚れている。
他の面々も似たような者で、暴れてしまったり皆少なからず汚れている。さて、それを確認した店員は、
「お風呂へ、駆け足、今すぐです――!!」
椿姫の首根っこをひっつかみ、ノーネームの一団を追いたてるようにして風呂へと叩き込み、八重歯をむき出しにして大一喝。
「いつまでも、そのような薄汚れた格好で、“サウザンドアイズ”の店舗の中にいることなど言語道断! 衣類は此方へ! 洗濯します! 解れは修繕します、新品どうようにして返して差し上げますから、感謝してください!
――はい? 一人で入れない? 誰かに面倒を見てもらいなさい! ――は? 任せる? 掴んでるからって――ああ、もうわかりました、さっさと行ってください! 店が汚れるでしょうが!」
追い立てられるようにして男子連中は男湯へ放り込まれ、女連中もそうされる前に湯殿に飛び込むようにして入り、あとから服をはぎ取られた椿姫を抱え、湯あみ着に着替えた店員が入ってきた。しれっと白夜叉もいるが、店員は気にしないことにした。
本来ならばノーネームにここまですることはないのだ。もう主人が今更客人と共にお風呂に入ることんど本当に今更なのである。
「まずは身体を清めてからお入りください。
さて、あなたは私が洗いますよ。良いですか、ほらかけますよ」
さっさと汚れを落としてしまおうと店員が桶で水を掬いかける。
ばしゃりと、かけると、あまり慣れていないのか、それとも熱いのかいや、いやと暴れる。
「んん」
「こら、暴れない。大人しくなさい。もう! 年頃の娘が一人でお風呂入れないって、どういうことですか! ほら、洗いますよ。まずは、髪からですからね、眼を閉じてなさい。沁みますよ」
「んん――」
椿姫の必死の抵抗も空しく、髪を洗われてしまう。
「あら、意外に手入れされてる。なんですか、ああ、あの生意気な少年が洗っていると。って、何をやらせてるんですか! 年頃の男に女の子が肌を見せるものではありません! というか、本当は嫌って、少年に洗われることじゃなくて、お風呂が嫌ってことですか!」
「カリオストロは――」
「――言い訳は言わない!」
「むぅ」
反論も駄目らしい。その頃にはすっかり観念したのか、もうされるがままである。この辺りの判断は早い。十六夜や黒ウサギに洗われる時もそうである。
逃げられないと観念すれば、あとは速く終われるようにされるがままになるのだ。
「けれど、結構、うまいこと洗っていたのですね。生意気ですねあの少年。んん、なるほど癖が強いのですね。だからこんなボサボサになる、と。ストレートにして差し上げましょう。
――はい? 気持ち悪いからやめて? ダメです。私が洗うからには完璧にして差し上げます。せっかく、綺麗なキャラメル色の髪なのですよ、勿体ない」
などと小言を言いながらも丁寧な手つきで髪を洗っていく。薄汚れていた髪はみるみるうちに綺麗になる。泡をお湯で流すと、長い髪を束ねてタオルで巻いてしまう。
「はい、髪はこれで良し。では、身体ですね。洗っていきますよ。まずは背中からですね。あ、こら、くすぐったいからって身体をよじらない。うまく洗えないでしょう! ……はい、良いです。次は前ですが、自分で洗えますか? 無理? はあ、わかりました、洗いますから、こちらを向いてください。
む、大きい。っと、ほら、手を出して、はい、次はばんざいしてください。――はい、良く出来ました。はい、お腹、あ、こら、動かない!」
最後にばしゃりとお湯で泡を流せば見違えるほどに綺麗になった椿姫がそこにいた。
そんな彼女らの様子を湯船から見ていた黒ウサギたち。
「あはは、椿姫さんのお風呂嫌いには困ったものですよ」
「まるで、あの店員さんがお母さんみたいね」
「うん、お母さんかも。というか、やっぱり大きい」
自分の慎ましやかな胸を見て、椿姫を見る。圧倒的敗北である。まあ、黒ウサギは大きいし、飛鳥もそれなりである。
少々、女としては落ち込む。
「あやや、耀さんは大きさを気にするのです?」
「あら、意外ね」
「いや、あんなのとか、黒ウサギのを見せられたらね」
「ああ、そうね」
確かに、と飛鳥が同意する。
「むむ、そうでございますか? 皆さまそれぞれ魅力がございますから、気にするほどのことはないと思うのですが」
「あら、良いこというわね黒ウサギのくせに」
「黒ウサギの癖に生意気だぞ」
「私が何かしましたか!?」
さて、そんなやり取りを見守る白夜叉はというと、
「ふむ……飛鳥は15歳とは思えん肉付きじゃの、鎖骨から乳房まで豊かな発育をしているのにヘソのボディラインには一切の崩れが無く、されど触れば柔らかな女人の肉であることは間違いなく、しかも臀部から腿への素晴らしい髀肉を揉みほぐせば指と指の間に瑞々しい少女の柔肌が食い込むこと間違いなし。
黒ウサギもそうじゃ。飛鳥以上にたわわに実った二つの果実はむしゃぶりつきたいほどの熟れ具合だというのに、ボディラインはやはり崩れなく、されど適度についた肉まさに女人のそれ。臀部は小さいながらも確かに詰まっており、揉みほぐせばしっかりと指の合間に柔肌が食い込む。甲乙つけがたいの。
じゃが、相対的にスレンダーながらも健康的な素肌の耀の髪から滴る水が鎖骨のラインをスゥッと流れ落ちる様は視線を自然に慎ましい胸の方に誘導させられる。慎ましやかながらも、ボディバランスは良く、むしろ健康美に溢れて良い。
むむむ、これはこれは、ふほほう」
そこで一拍おいて、椿姫へと視線を移す。今現在、店員に洗われている彼女であるが、その姿はしっかりと見ることが出来る。むしろ、早く終わるようにだらりとされるがままの姿は何一つ隠されていない無垢な姿をさらしている。
寧ろ見ることが罪に思えてくる、そういう禁断の果実をかじってみるのを止められない。そんなことを思うのは神としてどうなのかという葛藤もあるが、今はやはり探求というなの至高の座へと至ることを考えるべきではないのだろうか。
つまり、椿姫や黒ウサギたちを見るのは探究であり、知の深淵へと向かう崇高な行為であるのだ。決して不純な動機があるわけではない。
やましい行為ではない。それどころか神としては、下々の者を観察し、無事に生活しているのか、そういうのを見守るのも崇高な仕事であるはずだ。
だからこそ、皆の健康状態を把握するのは義務であり、決してやましいことではない。そう、決して。
などとよくわからない自己弁明に走り、さっそくとばかりに椿姫に視線を動かした。
ただよう湯気の向こうを見る。はやる気持ちを抑え、湯気の合間から覗くその柔肌を見らんと目を見開く。
「お、おおお! 黒ウサギに勝るとも劣らぬたわわに実った乳房は実に見事。それでいて全体的に細く華奢でありながらも、身体バランスはまさに黄金比と言っても過言ではない。その肉体から醸し出されるのは色気というよりは母性か。むむむ、これまたタイプが違って、実にみご――たあ!?」
「白夜叉さま!?」
どこからともなく飛んできた桶にぶち当たり白夜叉が湯船に沈む。
大慌てな黒ウサギたちを尻目に、店員は椿姫を洗い終わった。
「はい、終わりです。では、私は出ますので――」
そう言って出て行こうとする店員を椿姫が掴む。
「ん、いっしょ」
「私も入るのですか? しかし――」
「ああ、良い良い、入って行け、良い物をみせてもらったからのう」
いつの間にやら復活してどことなく下品な顔を見せる白夜叉。
「はあ、わかりました」
そんなわけで、みんな楽しく入浴タイムであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
さて、所変わって男湯。ジンと十六夜の二人は脱衣所でさっさと服を脱いでいる時、女湯との仕切りに顔を押し付ける男がいた。
ボロボロのローブを纏ったゆらめく影のような姿をした長髪の女のような顔をした何かだった。
「見えん。なんだ、この壁は。
私はこんなもの知らない。だが、私は諦めない。何度でも繰り返す。さて、さっさと撮ってアルにもっていってやろう」
などと言いながら壁をよじ登って行く男。
「よし、見えた。いた、お――――む、いかん、あまりの興奮で、意識が飛んでしまった。む、鼻血が。おや、アルの女神をそのようなよこしまな目で見るとは」
手に桶が生じ、それを投げた。
「さて、いつまでも脚本家が舞台にいるのはいけない。戻るとしよう。女神の黄昏は直ぐそこだ。どうか、私を許して欲しい。こうすることしかできない愚かしい私を。そして、どうか、彼を救ってほしい」
そう言って男は消えた。
その時、十六夜とジンが入って来た。2人はそのまま風呂に入り、そそくさと上がった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ふぅ、いいお湯ですね、我が主」
所変わりすぎて、もはやどこにいったのかすらわからない場所で湯船につかっている黒い男――神野明影。頭にタオルを乗せて、すっかりとくつろぎの姿勢である。本当にこいつ悪魔かという光景であった。
その隣には同じくタオルを乗せた甘粕がいる。己の肉体を恥じることなく誇示しているのはまさに日本男児といったところか。
「そうだな。これぞ我が国のもっとも偉大な文化と言える」
「ですよねー。セージも来ればよかったのに」
「フッ、そういうな。我が親友は、あれで照れ屋なのだ。きっと、我らがあがったとにこっそり入るに違いない。そんなことよりもだ、重要なことがある」
真剣な声色で甘粕が言う。何があるというのだろうか。
「この露天風呂は女湯と繋がっている。今、女湯にはペストがいる」
「主ー、“それ”なんか、すごーく、倒錯的というかー、犯罪的じゃありません?」
甘粕の考えを読み取った神野がそう言う。
「犯罪的行為こそ燃えるものがある。むしろ、壁が高ければ高いほど、燃えるというものだ。
犯罪的? 笑止! 男の熱いリビドーを抑え込み、牙を抜き無害な草食系が尊ばれる世の中など間違っている。そんなものは男ではない。俺は断じて、認めん。男ならば、女湯を覗く気概を俺に見せろォォ!」
「うわーなんかノリノリだよ」
「さあ行くぞ! 我が
壁に手をかける。この程度乗り越えることが出来ずして何が男か。世の男子は草食系と言われる。そんなものは男ではない。女と風呂に来て、覗かないなど男である以前に人としてどうなのだという話だ。
男であるならば覗け。女は見られてこそ輝く。
無論、そんなことが普遍的な事実であると述べるつもりは断じてない。だが、甘粕という男にとっては事実であった。見るのならばみられる覚悟はある。
ようは覚悟の問題なのだ。見られたくないなどというのは甘えである。常に見られていると意識し、己を磨くことことが肝要であるのだ。
常に、己を磨き上を目指す。諦めず夢に向かうように。それこそが人。我も人、彼も人。己はやっている。ならば、相手もそうだろう。
だからこそ、覗く。特別な力などいらない。ただ己の肉体のみで、高い壁を登る。どこにも掴む場所などありはしない。だが、それでもだ。
諦めない。絶対にあきらめない。諦めなければ夢は必ず叶う。
そして、彼は夢に手をかけた――。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「嫌な予感がする」
女湯の中で、ペストは虫の知らせを感じ取った。嫌な予感。そう、嫌な予感がするのだ。
甘粕がいきなり風呂を作り出して、入っていることからして何やらおかしいというのに、ここにきてこの虫の知らせである。
良いことがあるはずがない。
「覗き、来そうよね、あいつなら」
あの男ならば来るだろう。あの男はそういう男だ。目の前に山があったから登る。壁があったから超える。あれはそういう男なのだ。
主人公的な男とでもいうべきか。あの男は魔王を自称しておきながらどうしようもなく主人公であるのだ。
だからこそ、こういう場合。男と女が風呂に入っている状態。そして、仕切りに区切られているという状態は、男の中では覗くという行為をしろと言っているものであると、結合された記憶の中に一つが告げている。
ならば、あの男は来る。あれは、そういう男だ。
「良いわ、来るなら来なさい」
別にみられたところで恥ずかしいなどと思うこともない。神格であるのだ。その精神はとっくの昔にそんな常人の思考から外れた場所にあるのだ。
ゆえに、隠すことなく壁へと向かう。
そして――。
感想もらえたので、頑張って書いてみました。
お風呂回。話はまったく進んでません。まあ、良いよね。
椿姫のサービスシーンはないと言ったなあれは嘘だ(キリッ!
しかし、どうしてこうなったと言わざるを得ない。テンション上がりすぎて自分でもわけわからないことになりました。
なんで、ノーネーム、男どもの描写失くして、甘粕と神野の風呂シーン書いたし。
でも、楽しかったです。
では、また次回。感想とかもらえると嬉しいです。