異世界から問題児と寂しがり屋が来るようですよ    作:三代目盲打ちテイク

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創造――死世界・凶獣変生

コミュニティの名前を修正しました。


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 日は昇り、昨夜のあれやこれやの痴態もなかったことにして黒ウサギが舞台中央に立つ。これより始まるは決勝。『造物主達の決闘』。火龍誕生祭のメインゲーム。

 黒ウサギは精一杯に息を吸って、

 

『長らくお待たせいたしました! 火龍誕生祭のメインギフトゲーム・“造物主達の決闘”の決勝を始めたいと思います! 進行及び審判は“サウザンドアイズ”の専属ジャッジで皆さま、お馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』

 

 宣言と共に満面の笑みを振りまく。そこは流石黒ウサギ、慣れたもので自慢の笑顔を振りまいた。すると、歓声というよりは、それ以上の奇声が舞台を揺らす。

 

「うおおおおおおおおお!! 月の兎が本当に来たあああああああぁぁぁああああ!!」

「黒ウサギいいいい! お前に会うために此処まで来たぞおおおおおおおお!!」

「今日こそスカートの中を見せてもらうぞおおおおお!!」

「そうだこれが、漢というものだ! 溢れんばかりの情熱。これこそが俺が守りたいものだ! 行くぞ、スカートの中(ぱらいぞ)はすぐそこだ!! お前たちの輝きを俺に見せろオオオォォォ――!!」

『うおおおおおおおおおおお!!!』

 

 割れんばかりの熱い情熱を迸らせる観客たち。燦然と輝くのは『L・O・V・E 黒ウサギ❤』の文字。それを先導する何者か。

 黒ウサギは笑顔を見せながらも、へにょりとウサ耳を垂れさせて怯む。敵に怯むことはないが、これは怖い。とてつもなく怖い。それに邪だ。

 いや、邪というよりは純粋すぎるのだ逆に。純化された感情は力となる。ここはそういう世界であるのだ。そのため、非常にどころか、相当怖いもののここで引くことはできない。

 

『さ、さあ!』

 

 若干声が上ずったことは見逃すことにしよう。

 

『それでは入場していただきましょう! 第一ゲームのプレイヤー・“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスと、“べんぼう”の神野明影です!』

 

 歓声と共にプレイヤーたちが舞台上に上がる。異色なプレイヤーばかりであるが、お祭りの高揚はそのあたりの違和感を抜かしてくれる。

 まずは“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥス。ツインテールの髪と白黒のゴシックロリータの派手なフリルのスカートを揺らしながらも愛らしく壇上へと上がる。

 それに追従するのは轟轟と燃え盛るランプと実体のない浅黒い布の服を纏う、人の頭の十倍はあろうかという巨大カボチャ――ジャック・オー・ランタン。

 

「YAッFUUUUUUUUUUuuuuuuu!!!」

「おーおー、盛り上がってるねえ。ね、セージ♪」

 

 反対側から現れるのは闇そのものという風の黒い男――神野明影と白のスーツとは真逆の闇を纏うかのような男――柊聖十郎だ。

 特に聖十郎の方は忌々しげな様子だった。

 

「ふん、下らん。なぜ、俺がこのような糞の役にも立たないゲームなどというものに参加せねばならん」

「えー、いいじゃないかーセージィ。ボク、一人で出るの寂しいーんだよー、あははは」

「毛ほども思っていないことを言うな蝿声が」

「あはは、何を言うんだいセージ。ボクほど、人恋しいと思う生き物は、いないって言うのに」

「お前ら、私を無視すんなー!」

 

 そんなくだらない言い争いをしていて無視されたアーシャは怒り心頭である。

 

「おい、審判、さっさと始めろ。一秒でもこんな場所にいたくもない」

『へ? あ、は、はい! で、では、皆さまご静粛に! これより白夜叉様より、舞台に関してご説明があります』

 

 しんと静まり返った舞台。

 

「協力感謝するぞ。――さて、それではゲームの舞台についてだが……そうじゃのう、皆の衆、手元の招待状を見てほしい。そこに、書かれているナンバーが四四八〇になっておるものはおるか。おればコミュニティの名を叫んでおくれ」

 

 ざわざわと観客席がどよめき、

 

「ここにわよ。“楽園の創造”のコミュニティが招待状を持っているわ」

 

 先ほど観客を先導していた男の隣に座っていたとんがり帽子を付けた赤紫の髪の少女が招待状を掲げている。一瞬で、その前に移動した白夜叉が御旗と招待状を確認する。

 

「ふむ、おめでとう。おんしはどのようなゲームが見たい?」

「そうね、初戦だし、単純な決闘が見たいわ」

「ふむ、そうじゃのう。よかろう。決勝の舞台は決定じゃ! それでは皆の者、御手を拝借」

 

 白夜叉に倣い、観客も全員が手を前に。そして、柏手一つ。

 その所作一つで、世界の全てが一変した。

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 変化は劇的であった。どこまでも堕ちていくかのような感覚。聖十郎や神野からすれば慣れたような感覚だ。夢に入るような、そんな感覚。

 それが終われば別の場所に立っている。巨大な石橋の上であった。その上に、四人は立っていた。

 ついで、四人の間に亀裂が走り、そこから現れた黒ウサギが“契約書類(ギアスロール)”を掲げ、その内容を読み上げる。

 

『ギフトゲーム名 『石橋の上の決闘』

  ・勝利条件 一、対戦プレイヤーの戦闘不能

        二、対戦プレイヤーのギフト破壊

        三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

  ・敗北条件 一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。

        二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合』

 

「――以上、“審判権限(ジャッジマスター)”の名において。それらが両者不可侵であることを、御旗の下に契ります。御二人とも、どうか誇りある戦いを。此処に、ゲームの開始を宣言します」

 

 その宣言がなされゲームが始まる。

 誰もが、どのような戦いが繰り広げられるのか、楽しみでしかたがなかった。誰もが決勝の舞台へと目を向けている。

 誰もがこれから誇りある戦いが繰り広げられるであろうことを、疑っていなかった。

 

――ゆえに

 

「下らん」

「え――」

 

――誰もが、開始とともに起きた光景を認識できなかった。

 

 少女の影がばらばらと、崩れ落ちる。だるま落としさながらに、脚が、腰が、胴が、首が、アーシャの全身がばらばらと、ばらばらと。

 迸る鮮血を撒き散らし、発崎となった身体がゴミのように橋から捨てられ、ぽちゃり、と水に落ちた音を響かせていく。

 

「――ああああああああああぁぁァァッ!」

 

 ジャック・オー・ランタンが慟哭する。幼子を死なせた業火と不死の烙印を持つ幽鬼が哭いている。

 

 誰も彼もが、その光景を信じられない。何らかの幻覚のギフトか。本当は死んでいないかもしれない。だが、その場に残る血が、撒き散らされた臓物が、ああ、何もかもがリアルすぎる。

 そんなものを観客全員に見せ続けられるほど目の前の男は強力な格を有しているだろうか。そもそも、白夜叉にまで、そんな光景を見せられ続けることなど不可能だろう。

 

 ゆえに、これは現実であると全ての者に、伝えている。

 

「あーあー、やっちゃったよセージ」

「遅かれ早かれこうなるのだ。ならば、さっさとやってしまえば良いだろう。この俺の時間を無駄に使うことなど許すものか」

「貴様らああああ!」

 

 ジャック・オー・ランタンが聖十郎へと詰め寄る。

 

「何をそう憤っている。俺はゲームのルールに従っただけだ。対戦者の戦闘不能。見事に満たしただろう」

「殺す、ことなどなかった! まだ、子供だ」

「何を言いたい。どうして阿呆のように吼えている。皆目見当がつかんぞジャック・ザ・リッパー」

「――なぜ!?」

 

 聖十郎の解法の透によって、ジャック・オー・ランタンの正体などとっくの昔に暴いている。この場において格を制限されたジャック・オー・ランタンなど見通すのは容易い。

 

「あーあー、ツマンナイナー。せっっかく、期待してたのに、こんなつまんないのがジャック・ザ・リッパーだなんて。幻滅だなー」

 

 蝿声が嗤う。子供が死んだ程度(この程度)で吼えるような者などまったくもってツマラナイと。

 抑えていた全てを彼は解放した。空間が爛れる。橋が汚染される。全てを糞の便所に落としたかのように。正常であった空間が、爛れ腐り落ちていく。

 

「馬鹿な! ありえん! なぜ気が付かなかった!」

 

 その事態に白夜叉が叫ぶ。だが、もう遅い。

 

――創界が成る。

 

 空が歪む。大気が軋む。黄昏、朱き街が見えざる手でかき混ぜられていくかのように、全てを内包した舞台区画そのものが陽炎のように揺らめき始めた。

 

「さあ、ペスト、舞台は整ったぞ」

 

 想像を絶する域で紡がれる甘粕の創法は、全てを超えて空間を組み上げていく。並行して発動した解法は障子紙のように白夜叉の世界と彼女が魔王対策で施した全ての術を貫き、全ての者をペストのいる場所へと導く道筋を創り上げた。

 夢も現実も関係なく。かつてのように、時代も、並行する別宇宙の事象にさえも手を伸ばす。盧生とこういうものであると、見せつけるように、そして、かつてのと同じく教えるように。

 

「さあ、お前たたちの描く祈り(ユメ)を見せろ」

 

 石垣の街が現れる。

 ここではないどこか。異界は箱庭の全てを呑み込むほどに巨大でありそして、そこに響くのは祈りだった。

 死を願い、死を与える神格のイノリ。

 

「死よ、死こそがただ一つの救済

 

 間もなく全ては死にゆき苦痛は消え去る

 

 私をただ死なせてくれれば良い

 

 私自身に死を与えるよう、願ってくれれば良い

 

 なのに、お前はもう一度、生に舞い戻れと言う

 

 この上ない苦痛に満ちた日々に戻れと

 

 これがお前の礼ならば、私は奉仕しよう

 

 終焉をもたらし、あなたの苦悩を終わらせてあげる

 

 その傷口に剣を突き立てて

 

 深く、深く、柄が見えなくなるまで

 

 苦悩諸共、殺してあげる

 

 それこそが、この上ない救いの奇跡だから

 

 ――太・極――

 

 神咒神威――神霊・黒死斑の魔王」

 

 刹那、世界の全てが死に絶えた。

 




感想を燃料に創造を発動しました。
少々短いですが、切りが良かったので今回はここまでにします。

さあ、外道が動きだし、ついに物語は佳境を迎えることとなります。

果たしてノーネームはこの自体を解決することが出来るのか。それは作者にもわかりません(おい)。

ちなみに、聖十郎がアーシャバラバラにした時にどうやって近づいたのかというと、宣誓が読み上げられている間に解法つかって近づいてました。

では、また次回。
感想などありましたら気軽にどうぞ。感想は燃料になり、創造が持続します。
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