転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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なんかものすごく長くなった......ww

そういえば原作からちまちまセリフを抜き出したり、そのセリフをちょこちょこ変えて書いたりしてるけど、これって原作大幅コピーで処分されないよね......?


第十一話:油断は禁物

(「なぁ、アジーン」)

 

まだ2時間目の講義室。

窓側に座っているせいか太陽の光がいい具合に眠気を誘っていて、俺は最早気合だけで授業を受けていた。

 

(「......眠たい」)

 

(「よせ、リュウ。すでにこの人間の授業で何人もの人間(ヒト)共の額にチョークが飛んできた? お前もああはなりたくないだろう?」)

 

(「そりゃそうだけど......」)

 

アジーンに文句を垂らしつつ、せっせとノート作りに励む。

が、如何せん眠気が中々抜けてくれず、真面目に書いてるはずなのに一瞬ハッとなって見てみればへにゃへにゃな線がノートに引かれているだけだった。

たぶんシャーペンに力が入らないからなんだろうけど、例えそうだとしても寝るわけにはいかない。

なんたってこの時間の教師はあのキンバリー先生なのだから。

アジーンも言っていたとおり、すでに睡魔に負けて落ちた学生がその末路を身を張って教えてくれていた。

 

(うぅ......なんか使えそうな魔法ってあったっけ......)

 

キンバリー先生にバレないように、彼女が後ろを向いた隙にかぶりを振りつつ、ブレスオブファイアシリーズ内のスキルを思い浮かべてみる。

が、どれも攻撃系のものばかりで、今自分を叩き起こすような活用できるスキルは見当たらなかった。

 

「〜〜ッ!!」

 

唐突に響いた、べきんっ、というチョークの割れた音。

びっくりして目が覚めたものの、どうやら誰かが睡魔に負けて落ちたらしい。

今度は誰が生贄になったんだ?と思いながら辺りを見回してみると、下の方で激痛に悶える雷真がいた。

......お前かよ、雷真。

 

「雷真! 大丈夫ですか雷真!」

 

隣にいた夜々が慌てて雷真の顔を心配そうに覗き込む。

雷真が睡魔に落ちたのは十中八九お前のせいだけどな、夜々。

 

「私の講義を聞き流すとは命知らずなヤツだ、下から二番目(セカンドラスト)よ。誰のためにこんな初歩的な、つまらん話をしてやっていると思う?」

 

「俺のような新入りと、出来の悪い学生のためか?」

 

ヒリヒリと痛むらしい額を優しくさすりながら雷真が答える。

 

「違うな。出来の悪い新入りのためだ」

 

「そいつはすみませんでした、キンバリー先生。ちょいと寝不足なもんで」

 

100%言い訳の雷真を、キンバリー先生がすぅっ、と目を細めて見る。

獲物を定めるかのような眼つきに、向けられてるのは雷真なのに身震いした。

 

「ほう......? おまけに夢見が悪かった、とでも言うつもりか?」

 

「ご明察、恐れ入るよ」

 

「いい度胸だ。その度胸に免じて今回は目をつむってやろう。その代わり質問に答えろ。今現在、もっとも普及している魔術回路は何だ?」

 

その質問に、俺は少しだけニヤリとした。

今日の朝、この講義室に来るまでの間雷真に多少の手解きをしておいたのだ。

 

「イブの心臓だろ?」

 

雷真が答えられたことに、キンバリー先生が存外な表情を浮かべる。

が、すぐにこほんと咳払いをして表情を元に戻してしまった。

 

「......正解だ」

 

おお、周りの学生がわずかに騒がしくなる。

キンバリー先生はつまらなさそうに

 

「どよめいたバカは減点だ」

 

と学生達をあっさりと静めた。

 

「予習でもしてきたのか? 下から二番目(セカンドラスト)

 

新たなチョークを手にとり、黒板に『Vital』と書きながら雷真に問う。

 

「まぁ、多少は」

 

キンバリー先生は心底つまらなさそうに講義の続きを始めた。

 

下から二番目(セカンドラスト)の言う通り、あらゆる自動人形(オートマトン)はーー」

 

その後の講義は雷真の生贄もあって眠気に襲われることもなく、無事平和に昼放課へと突入した。

 

 

きゅるきゅるぐるぐると、腹の虫が鳴る。

 

「うっ......」

 

意外にも大きかったその音に、俺は慌てて辺りを見回してみるが昼放課真っ最中ということもあって誰にも聞かれていないようだった。

......先に雷真達を食堂に向かわせておいて良かった。

もしこんなのを聞かれでもしたら恥ずかしくて耐えきれないんだろうな......。

 

「フッ......学院食堂、美味しいと良いな?」

 

アジーンが小馬鹿にしたようにくすりと笑いながら話しかけてくる。

 

「わ、笑うなよ」

 

俺はアジーンをわずかに睨みながらも足を止めず、そのまま食堂へと入った。

 

「えっと、雷真と夜々は......」

 

エントランスを通って少しのところ、他の人の邪魔にならない辺りで立ち止まり周囲を見渡す。

と、まるで品定めをするかのような視線が向けられていることに気が付いた。

その視線に一瞬で不快さが胸の中を渦巻いたが、俺はなるべく気にしないようにして二人を探す。

 

「お、いたいた」

 

意外にもすぐに二人は見つかったが、彼らは食堂のシステムにどうすればいいのかわからず立ち往生しているようだった。

二人はとりあえずと言った様子でそのまま列に並び出す。

俺も慌てて列に並び、雷真や夜々と一人分離れた距離で皿に料理を盛り始めた。

 

(「リュウよ。唐揚げが食べたいのだが」)

 

(「唐揚げ? 昼から重たいもん行くなぁ」)

 

アジーンのテレパシーに俺は応え、言われた通り皿に揚げたてっぽい唐揚げを盛り付ける。

 

「すみません、前に知り合いがいるので譲ってもらえませんか?」

 

「あ、はい。どうぞ」

 

そうしてある程度皿が料理で豪華になったところで俺は順番を譲ってもらい、彼らの真後ろへと並ぶ。

楽しそうに話しながら好みの料理をよそっているからか、俺のことには気付いていないようだった。

 

「おい、暴竜(Tレックス)と同じ自動人形(オートマトン)を連れてる奴がいるぞ」

 

「は? どこのやつだ? ーー見たことのない顔だな、新入りか?」

 

「見た目がおんなじ自動人形を持ってるみたいだから案外暴竜(Tレックス)と繋がってるかもしんねーぞ?」

 

ふとそんな声が耳に入り、俺はペースを崩さないままキッ、とこそこそ話す輩を睨み付ける。

 

「けっ......なんであんなツンケンじゃじゃ馬娘とおんなじ扱い受けなきゃなんねーんだよ」

 

「ツンケンじゃじゃ馬娘で悪かったわね。それと、私の名前はシャルロット・ブリューよ」

 

「げっ?!」

 

真後ろからいきなりそんな声が聞こえ、俺は慌てて振り向く。

と、そこにはシャルロット・ブリューが不機嫌そうな顔を浮かべて立っていた。

 

「人の顔を見てそんな嫌な顔しないでくれるかしら? ほら、早く前に進みなさいよ」

 

そう言われて前を向けば、雷真と夜々がこちらを見て少し驚いていた。

 

「リュウ。それにシャルーー」

 

「気安く呼ばないで。ミス・ブリューと呼んだらどう?」

 

「呼んで欲しいだけなんじゃねぇの......?」

 

「うううるさいわね! 早く前に進みなさいよ!」

 

シャルの要求に思わず突っ込んでしまい、俺と雷真、夜々は少し急かされ気味にカウンターの最後、レジスターへと向かう。

 

「しまった! 勘定か!」

 

不意に雷真がそんな声を上げ、夜々とお互いに顔を見合わせ始める。

どうやら何もわからないままに並んだせいで財布を持ち合わせていないようだ。

俺は苦笑しながら、二人の間に財布を差し出す。

 

「ほら、雷真。部屋に戻った時ベッドの上に置いてあったからついでに持ってきた」

 

「リュウ! サンキュー!」

 

雷真が嬉しそうに顔を綻ばせ、さっそく自分と夜々の分の勘定を済ませる。

続いて俺も勘定を済ませ、レジを抜けたところで待ってくれていた彼らと一緒に席確保へと歩き出した。

 

「ま......待ちなさいよ」

 

ふと背後からシャルの声が掛かり、俺と雷真は一緒に振り向く。

 

「なんだよ、ツンケンーーじゃなかった。ミス・ブリュー?」

 

俺は少し意地悪っぽくそう呼ぶと、シャルは不快そうに顔をしかめた。

と思えば仕切りに目だけで辺りの様子を伺い、どこか上目遣いを向けながら切り出す。

 

「そ、その......べ、別に一緒に食事をしてあげないこともないわよ?」

 

......うわあぁぁ、本場のツンデレだぁ。

すげぇ、前世にいた知り合いの女子がやるよりもこっちのほうが断然萌える......もちろん断るけどな★

 

「はぁ? どっちだよ、したくないなら別にしなくていいけど?」

 

するとシャルは頬をわずかに染め

 

「だ、だから! この私が一緒に食事をしてあげるって言ってるの! わかったら席を案内しなさいよ!」

 

そうして言い終える頃には彼女の頬はまるで熟れたリンゴのように真っ赤に染まっていた。

やべぇ、これちょー面白い。

 

「いいぜ、一緒に食おう」

 

「な......」

 

雷真の言葉が衝撃的だったのか、夜々のトレーがガチャリと音を鳴らす。

 

「ら、雷真! どうしてこんな女狐と! それに今日はリュウさんもいるんですよ!」

 

「食事は大勢のほうが美味しいだろ? そうだと思わないか? リュウ」

 

雷真に賛同を求められた俺はこくりと頷く。

夜々は不満そうだったが、雷真は大して気にする様子も見せず計6人分座れそうなテーブルを見つけて適当な席に座った。

俺は雷真の後にならって彼の隣へと座り、シャルは雷真と向かい合うように、夜々は俺の隣でアジーンは相変わらず俺の頭の上、シグムントはシャルの隣......の椅子ではなく机の上へ各々着席する。

 

「さて、と。何から食おうかなぁ」

 

フォークを器用に指で回し、パシッと握ってからまずはアジーンが欲しがっていた唐揚げをぶっさした。

 

「っと、その前に。ほら、アジーン。頭の上で食うのだけは勘弁だから皿の前に来い」

 

「仕方ないな」

 

そうして皿の前に唐揚げをポトリと落とすと、アジーンは少し拗ねながらもちゃっかりと皿の前に来て唐揚げを頬張った。

 

「あなたの自動人形って話せたんだ」

 

シャルが驚いたようにアジーンをじっと見る。

 

「なんだよ? 別に珍しくもないだろ、お前の......シグムントだったか? そいつや夜々とおんなじイブの心臓が埋め込まれてんだから」

 

「た、確かにそうだったわね。というか昨日私とこいつの邪魔をしてきて謝らない上に名乗らないつもり?」

 

「別に? 聞かれなかったから」

 

俺は肩を竦めながらしれっと答える。

その態度が癪に触ったのか、シャルはわずかに顔をしかめた。

こいつって怒りやすいタイプだよな、絶対に。

 

「教えてあげろよ」

 

クスクスと雷真が笑いながら言ってきて、俺は小さくため息を吐いてから手を差し出した。

 

「リュウ・ヴォルフィードだ。よろしくな」

 

その手を少し恥ずかしそうにシャルが取る。

 

「も、もう知ってるとは思うけど、シャルロット・ブリューよ」

 

そうして改めてお互いに挨拶が終わったところで、雷真が口を開く。

 

「さ、食おうぜ。冷めたらマズイからな」

 

「おう」

 

「ええ」

 

雷真の合図を元に、俺らは食事に手を付け始める。

 

「そういえばシグムント、体の調子はどうだ?」

 

ふと雷真が食事の手を止めてシグムントの方を向く。

シグムントは少し驚いたように首をもたげ、そして小さくかぶりを振った。

 

「体感よりは軽傷だったようでな。特に問題はない......が、全快とまではまだ行かないな」

 

「あれ、まだ治んねーの?」

 

「大半は完治したが、満足に飛行出来るかと問われれば否だという意味だ」

 

(「私たち自動人形は人形使いの魔力で生きていることを。故障した場合にも、距離が近いほど修復が早まるんですよ?」)

 

ふと昨日言われた夜々の言葉を思い出し、俺はアジーンに向き直る。

 

「ふぅんーーなぁ、アジーン。俺に治せないかな?」

 

「え? あなた人間なのに修復の魔術が使えるの?」

 

「いや、やったことはない(キリッ」

 

「......」

 

「んん゛! 物は試しだ、やってみれば良いだろう?」

 

返ってきたその答えに、俺はこくんと一人頷いた。

 

「まぁ失敗したとしても害を成すわけじゃないしな。シグムント、体のどこが痛むんだよ?」

 

するとシグムントはかすかに翼を動かしてくれた。

口では言いたくないんだろう、行動で示してくれたシグムントの翼に手のひらをかざし、そこに向けて魔力を集中する。

と、俺の手をかざした翼の部分が淡白く光り出す。

 

「?」

 

光はすぐに途絶えてしまったが、シグムントはしばしの間不思議そうに己の翼を見つめると試しにニ、三度と羽ばたいてみた。

 

「ーーふむ。これは便利だな」

 

「え? マジで成功したの?」

 

満足そうに頷いたシグムントを見て、俺は実際に行ったのにも関わらずつい驚いてしまった。

 

「嘘......」

 

シャルなんかは俺の手とシグムントの翼を交互に見る有様だ。

 

「たぶんアジーンとおんなじドラゴン型のシグムントだから成功したんだと思うぜ?」

 

そう、だから俺はアジーンに尋ねもしたし、やってみようかなと思ったのだ。

おそらくそれ以外の自動人形には大した効果は期待出来ない。

 

「どうしてだ?」

 

雷真の言葉に、俺はグーパー繰り返しながら応えた。

 

「夜々が昨日言ってただろ? 自動人形は人形使いの魔力で生きてて、故障した時にも距離が近いほど修復が早まるって。だから思ったんだよ。シグムントなら主人(シャル)じゃなくても魔力を流し込めば修復出来るんじゃねぇかなってさ。思った以上に魔力使っちまったけどよ。ま、元気になってよかったな、シグムント」

 

「あぁ。恩に着る」

 

シグムントの礼を聞き、俺は食事を再開する。

アジーンはすでに唐揚げを平らげ、いつの間にか俺の頭で寝息のようなものを立てていた。

 

「いったいどういう理屈なのかしらね?」

 

同じく食事を再開したシャルが疑問を口にする。

 

「あとでキンバリー先生に聞かなくちゃな」

 

俺はお茶で喉を潤したあとそう呟くと、シャルと雷真の手が止まった。

 

「キンバリー先生って」

 

「リュウ、お前勇気あるな......」

 

二人同時に見つめられ、思わず狼狽えてしまう。

 

「え? なんだよ、別に普通のことだろ? ーーって雷真、どうした?」

 

と、こちらに向けられている雷真の視線が窓の外へと移ったことに気が付き、俺も釣られて窓の外を見てみる。

食堂の外では銀の仮面をつけ、黒い礼服(コート)を翻して颯爽と歩く厨ニ病のような男子生徒がいた。

おまけに彼の傍らには綺麗な黒色のドレスを身に纏った2体の自動人形が付いており、護衛のように見える。

シャルも俺と同じように釣られて窓の外を見てみるが、彼女の場合呆れた表情へと変わっていた。

 

「マグナスじゃない。何よ、今度は彼を狙おうってつもり?」

 

そう言いながら再び雷真のほうへと振り向くが、雷真は聞こえてないようだった。

 

「夜々」

 

酷く冷たい声で、相棒の名を呼ぶ。

俺はその中にものすごい殺気を覚えた。

 

「はい」

 

夜々は雷真の意図を読み取ったのか、そう返事をすると雷真と共にがたりと席を立ち上ってしまう。

 

「ちょっと......本気?! 待ちなさいよ!」

 

直後シャルの表情は険しくなり、彼らを止めるように腰を浮かせ手を伸ばす。

が、あと少しのところで彼女の手は止まってしまった。

たぶん、シャルも気が付いたんだろう。

雷真が異様な殺気を纏っていることに。

 

「......悪いことは言わないわ。彼だけはやめておきなさい。絶対に(・・・)勝てないから」

 

絞り出すようにシャルの忠告がなされる。

それに気付いたらしい雷真は振り向かずに聞き返した。

 

絶対に(・・・)?」

 

シャルはゴクリと生唾を飲み込み、そしてその理由を明かす。

 

「そうよ。彼は技術も魔力も図抜けてる。総合成績は歴代1位、この学院始まって以来の天才よ」

 

「そんなにヤバイ奴なのか」

 

思わず口を挟んでしまう。

雷真は今からそんな奴に挑戦する気なのか......?

 

「えぇ......6体もの自動人形を同時に扱うひとり軍隊(ワンマンフォース)。現時点で、もっとも魔王(ワイズマン)に近い男よーーって、雷真!」

 

慌ててシャルが雷真の名前を呼ぶ。

その声にハッとなって顔を上げてみれば雷真はすでに歩き出しており、その後を夜々がついていた。

 

「あいにく、俺は筋金入りのバカでね。試してみるまで理解出来ないのさ!」

 

そう言いながらも雷真は早くも駆け出ていた。

 

「おま、先輩がやめておけっつってんだからやめーー」

 

直後、ガッシャーンと窓の割れる音が耳を(つんざ)く。

俺とシャルは思わず頭を抱えるが、すぐに顔を上げると雷真はすでにマグナスの行く手を遮っていた。

 

「待てよ、お面野郎。それとも偉大なる者(マグナス)って呼んだ方がいいか?」

 

素通りしようとしていたマグナスが、雷真の声にピタリと足を止める。

それに沿うようにして2体の自動人形がマグナスの前に出て、警戒の色を見せた。

こうして見ると大統領のSPにすら見えてくるな......あ、護衛って意味じゃ一緒か。

俺はシャルと顔を見合わせ、共に食堂の外へと出る。

 

「よう。お人形をはべらせてお散歩か? 相変わらず、最低の趣味だな」

 

まるで久しぶりに会った友達にするかのような軽い挨拶。

だが、雷真のそれは確実に敵意が滲み出ていた。

 

「......誰だ」

 

対してマグナスはそんな雷真を気にする様子もなく静かな声で尋ねる。

視界の隅で雷真の拳がグッとなったのがわかった。

 

「悲しいこと言うなよ。遠路はるばる、地球の反対側まで会いにきてやったのに」

 

それでも尚、雷真はペースを崩さないよう軽く話し掛ける。

マグナスは彼をしげしげと眺め、やがて穏やかな声で呟いた。

 

「どうやら、人違いをしているようだ」

 

「それならそれでかまわないぜ。俺はただ、お前にこいつをくれてやーー」

 

雷真が喋りながら腕を上げた瞬間マグナスを守ろうと前に立っていた2体の自動人形に加えて、どこから現れたのか4体もの自動人形がそれぞれの得物を手に雷真を囲もうとする。

 

(「リュウ!」)

 

(「わかってる!」)

 

俺は胸騒ぎを覚えながらもすぐさまトランスを発動し、6体の自動人形に先を越されないよう雷真の前に立ち塞がる。

そうして雷真に向けられた得物を一つずつ的確に己の手で防いだ。

それは素人が見れば一瞬の出来事に見えるだろう。

事実、雷真は驚いたように固まり、シャルはその場から動けないでいる。

 

「リュウさん!」

 

夜々の声が辺りに響く。

......アジーンのサポートやトランスが使えて良かったと思う。

もしそうじゃなかったら今頃雷真の首が飛んでいた。

 

「ーーてめぇと雷真がどんな関係かなんて知らねぇ。だがこいつはちとやり過ぎなんじゃねーか? それともなんだ、こんなところで殺るつもりか?」

 

バキッと6つの得物のうち一つの先端を壊し、静かに威嚇する。

 

「......下がれ」

 

俺の言葉に、マグナスが一言命令を下す。

6体もの自動人形は一斉に武器をしまい、マグナスの背後へと戻った。

それを見て俺はトランスを解き、雷真をちらりと見る。

......少し怯えているような感じがするのは気のせいだろうか?

 

「雷真」

 

「......あぁ」

 

雷真は今の出来事で冷静を取り戻したのか、落ち着いて小さな瓶をマグナスに投げて寄越した。

マグナスはそれを落とさないようにしっかりとキャッチする。

 

「......これは、ありがたくもらっておこう」

 

彼は小さな瓶を見て懐に入れたあと、そう言い残して6体もの自動人形ーー戦隊(スコードロン)と共に去って行った。

 

「......リュウ」

 

しばらくして、ポツリと雷真が俺の名を呼ぶ。

俺はサッと振り向き、すぅと大きく息を吸った。

 

「お前ってホントにバカなんだな! 下から二番目(セカンドラスト)って言われるだけのことはあるよ! なんでシャルの言うことを聞かねぇんだ! てめぇは自殺志願者か!」

 

「リュウさん、雷真を責めないでください。雷真にもいろいろと事情が......」

 

「知らん!」

 

慌てて仲介に入った夜々を一括し、再び雷真を向くと彼は反省しているようだった。

 

「その......悪かった......」

 

そんなときだった。

ふと雷真の背後でぱん、ぱん、ぱん、と舐めてかかるかのような拍手が聞こえ、俺は雷真の背後に視線を移す。

 

「ブラボー、ミスター・アカバネ。編入初日で君臨せし暴虐(タイラントレックス)に挑み、その翌日に元帥(マーシャル)閣下に噛み付くなんて中々出来ることじゃないよ。隣の君もね。元帥(マーシャル)閣下の戦隊(スコードロン)と互角に立ち回れる人形使いなんて初めて見た」

 

「あんたはーー」

 

「そらどーも。で、誰?」

 

雷真はそいつの名を知っているようだが、生憎俺は知らない。

 

「僕はこの学院の風紀委主幹を務めるフェリクス・キングスフォートという。今日は君達に話があってね。良ければ放課後、一緒に来てもらえないかな?」

 

さらりとした髪が綺麗な、線が細いモヤシみたいなそいつは自分をフェンリス・キングスフォートと、そう名乗った。




重大事件発生!
アニメと原作を交互に見ながら書いていたから時系列が原作と変わってしまった!
(今更直すのもめんどくさいから)なんとかしてフェンリスのセリフで対処して見たけど、やっぱり直さなくちゃダメかな?
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