転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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第十七話:好感触

リーーバンッ!

 

目覚ましがけたたましく音を立てかけた直後に勢いよく止め、俺は時刻を確認する。

 

「7時か......おーい、雷しーー」

 

ベッドから身を起こし、向かい側で眠る雷真を呼び起こそうとしたときだった。

 

(そうだった、夜々が......)

 

(「どうした、リュウ。起こさないのーー」)

 

アジーンが目を覚まし、俺に尋ねかけたところで言葉に詰まる。

 

(「おはよう、アジーン......これ、起こすべき? 起こさないべき?」)

 

(「起こ......したほうがいいのでは?」)

 

(「だよね......」)

 

俺らの視界に映るは夜々と雷真が気持ちよく眠っている姿。

だが、騙されるな。

ベッドの側に、夜々の着物が脱ぎ捨ててある(・・・・・・・)ことを。

布団の中がどうなってるかなんて想像に難くない。

というかむしろ想像したくないよ?

水戸黄門の「これが目に入らぬか!」並みにヤバそうだからな?

......例えがおかしいか(´・ω・`)

 

「......よし」

 

俺は目覚まし時計を抱え、2人の姿が見えないように後ろを向いてから小さく意気込む。

 

(「なるほど、その手があったか」)

 

アジーンが感心して俺と同じように後ろを向く。

 

(「当然だろ。ラブホの朝みたいな状況の2人を直接起こすなんて無理ゲーにもほどがあるわ」)

 

(「ラブ......なんだ?」)

 

(「いや、なんでもない......独り言だから......」)

 

(「そ、そうか......」)

 

俺はため息が吐きたくなるのを堪え、先ほど止めた目覚まし時計をオンにした。

 

リリリリリリッ!!

 

再びけたたましくなる目覚まし時計。

覚醒する雷真と夜々。

 

「うっ、うぅ......リ、リュウ......うるさいぞ......ーーって、うわぁ?! や、夜々?! お前、俺が寝てる間になにをした!」

 

「あら、雷真。もう起きてしまったのですか?♡」

 

「起きてしまったのですか?♡じゃねぇよ! なんで全裸なんだ、お前!!」

 

「雷真と一つになるためです♡」

 

「やめろ! おま、気持ち悪い! だいたい時間考えろ! 朝だぞ?!」

 

「では夜ならいいのですか?♡」

 

「ふざけんな! ダメに決まってるだろ!! いいからとっとと服を着ろ服を!!」

 

(「はぁ......」)

 

(「はぁ......」)

 

背後でドタバタしている2人の音を聞いて、俺とアジーンのため息が重なった。

 

 

終業のチャイムが構内に響く。

 

「本日の講義はこれで終わりだ。各自予習等をしておくように。四日後には夜会前最後の定期考査が控えているのでそれについてもしっかりと復習しておくこと。では、解散!」

 

教授がそう言い放った途端、講義室にいた学生のほとんどが立ち上がり、それぞれ一人だったり友達と一緒だったりしてこの場を後にする。

それは俺も例外ではなく、少し多めの荷物をまとめ終えて席を立った。

 

「リュウ、寮に戻ろうぜ」

 

そこへ夜々と一緒に居る雷真が俺の背中に呼びかけてきたが、俺は振り向いて顔の前に手を持ってきた。

 

「わりぃ、今日はちょっと用事があんだ。先に戻っておいてくれよ」

 

「そうか? なら、仕方がない。行くぞ、夜々」

 

「はい、雷真」

 

雷真は少し寂しそうな表情を浮かべたがすぐに隠し、夜々にそう合図を出して壇上から降りていった。

 

「そいじゃま、行きますか」

 

雷真と夜々の背中が見えなくなったところで俺はアジーンに呼びかけ、一緒に講義室を後にした。

 

「また、図書館か?」

 

「まぁね。あと四日でテストだし」

 

講堂を出て食堂前、アジーンに聞かれた俺は肩を竦めながら答えた。

 

「誰かに教えてもらわないのか? 編入したばかりでわからないことも多いだろう?」

 

「そうなんだよなぁ。また先生とっ捕まえて教えてもらうってのもありだけど、あんまりやり過ぎるのもよくねぇし......なぁ、アジーン。なんかいい案とかない?」

 

「私に聞くな」

 

「デスよねー......はぁ......」

 

当然の切り返しにため息を吐いた、そんなときだった。

 

「ねぇ、君!」

 

「ん? ーーあ、先輩」

 

不意に呼び掛けられたと同時に肩を叩かれ、そちらを振り向くとそこには業後だからか風紀委の腕章をつけたニーナがいた。

 

「やっぱり。服装が違ってて気付かなかったけれど、あのときの子だよね?」

 

あのときの、というのは魔術喰い(カニバルキャンディ)騒動のときフェリクスのせいで関係者として拘束されたときのことだ。

 

「そうですけど......俺になんか用ですか? 言っておきますけど俺、なにも悪いことしてないですよ?」

 

なんだか嫌な予感のする展開に、真っ先にそんな言葉が出てくる。

が、ニーナはそうじゃないのと首を振って俺を見た。

......俺のほうが大きいからか、俺を見上げる先輩の姿がなんだか可愛く思えてくる......。

言っとくけど、ロリコンじゃないからな。

 

「その、魔術喰いのことでお詫びがしたくて......まさかホントにフェリクスが魔術喰いだったなんて思わなかったし、フェリクスの指示とはいえ君を拘束しまったことがどうしても気になって......」

 

「いいですよ、そんなの。もう終わった話ですし。じゃ、俺はこれで」

 

俺は彼女の肩に軽く手を置き、気軽にそう言ったあと図書館へと歩き出す。

 

「待って!!」

 

が、そんな声と共に腕がギュッと引っ張られ、俺は仕方なく足を止めて振り向いた。

 

「あ、ご、ごめんなさい」

 

ニーナが慌てて腕を離し、わずかに取り乱す。

 

「で、でも、ホントにいいの? 私になにか出来ることとかない?」

 

「えぇぇ......そんなこと言われても......」

 

どこか押しの強い感じに思わず一歩引いたとき、彼女の腰にぶら下げられている一対の手袋が見えた。

雷真やシャルも持っていた、夜会参加者を示すシルク生地の手袋だ。

 

「あ、手袋......」

 

「え? ーーあぁ、これのことかしら」

 

俺の呟きに、ニーナが手袋を持ち上げる。

 

「先輩って手袋持ち(ガントレット)だったんですね?」

 

「まぁ......でも、正直いらないのよね、これ」

 

「え? どうしてですか?」

 

思わぬ言葉に、俺はつい聞き返してしまう。

 

「夜会で魔王(ワイズマン)になれればなんでもありって聞きましたよ?」

 

「もともと争いごとは好きじゃないのよ。それに私は機巧魔術(マキナート)のことが学びたくてここに来たからね。その結果が手袋(これ)なだけであって、あまり夜会には興味がないのよ」

 

「へぇ......」

 

俺と同じ理由......か。

夜会なんてどうでもいいって思っているのも同じだし......。

魔術喰い絡みで捕まったときは苦手なタイプだと思ってたけど、彼女とは案外気が合いそうだ。

 

「真剣に魔王を目指してる人が聞いたら怒りそうだけどね」

 

苦笑しながら言ったニーナに、俺は乾いた笑みを浮かべる。

 

「言われてみたら、確かに怒られそうですね.......ははっ、そんなこと考えもしなかったな」

 

「君も夜会より勉強目当て? ......失礼とは思うけれど、手袋持ってないよね?」

 

彼女の視線が俺の姿を一通り見る。

 

「俺は手袋持ちじゃないですよ。確かにここには勉強目当てで来たんですけど、それだけじゃ退屈なので一応夜会にも出るつもりです」

 

「あら、勉強だけじゃ不満? 機巧魔術、学び始めると楽しいわよ?」

 

「まだ編入してきたばっかりなんで」

 

俺は言いながら肩を竦めてみせる。

ニーナの表情が驚きの色に染まった。

 

「え? じゃあ夜会前最後の定期考査って言ったらあと四日しかないわよ?」

 

「そうなんですよ。正直、ちょっとキツイです」

 

苦笑しながら、背中のカバンを背負い直す。

 

「よっ、と......なんで最近は先生とっ捕まえて教えてもらってるんです」

 

「よかったら私のわかる範囲で教えましょうか? 君は二回生だからある程度のことなら教えてあげられると思うんだけど......」

 

今度は俺が驚きの色に染まる番だった。

 

「え? で、でもそんなことしたら先輩の順位下がっちゃうじゃないですか?」

 

「私はいいのよ、今回の考査は夜会の参加者を決めるようなものだから」

 

「じゃあ......すみません、お願いします」

 

俺はアジーンが落ちないように軽めに頭を下げた。

 

「えぇ、任せて」

 

そう言う彼女の表情は少し嬉しそうだった。

 

 

講義室......もとい今は試験会場となっている部屋の中がざわざわとたくさんの話題で埋まっている。

もうあと数分で始まる考査のために、最後の詰め込みをする者。考査を諦め、楽しい話に走り出す者。考査に不安を覚え、わたわたしてる者。

俺はそのうちの最後の詰め込みをする者の一人で、この四日間ニーナと一緒に勉強したノートを眺めていた。

自動人形(オートマトン)は寮でお留守番、である。

隣で黙っているとは思えないし、なにより主人に答えを教える可能性も考え得るので一種のカンニング防止なんだとか。

が、そんなもの俺の前には無意味で、テレパシーを飛ばしアジーンに答えを聞いてしまえば簡単にカンニング出来てしまうのは否定出来ない。

もちろん、そんなことはやるつもりもないが。

そんなことを思っていると考査開始5分前を知らせる音楽が講堂内に響く。

軽快な音楽の合図に講義室にいた学生は皆廊下に鞄等を置き、そうして各自席についた。

やがてそこに教授が現れ、考査用紙と答案用紙を配り始める。

 

「始め!」

 

教授の声と共にこの場にいる全員が一気に答案用紙を裏返し、机をシャーペンが叩くような音が広がった。

 

(このレベルの問題なら......!)

 

俺は考査用紙に刷られた問題を一通り見て、小さくガッツポーズをした。




ニーナ(ドラクォの)可愛いよぉ......hshs
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