転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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拗ねるの類語を調べたら、天の邪鬼が出てきた。
でも、天の邪鬼の意味を調べたら類語辞典とは全然違う。
いや、捉え方を変えれば同じかもしれないけど、馬鹿にそれを求めるのは無理だと思う。
馬鹿でもわかるよう統一して欲しいもんだ
(・д・`)

5/9 本文後半訂正



第十九話:天の邪鬼

眺めていた窓の景色を、大小二つの影が通り過ぎ去る。

 

「どこのバカだ、屋上を走り回るのは?」

 

そう呟きながら書類で足場のほとんどが埋まってしまっている部屋の主、キンバリーは窓を開き顔を覗かせる。

その先にいたのは仔竜の姿を持つ自動人形(オートマトン)と競い合う、この世のものとは思えない姿をした生き物の走り抜ける姿だった。

 

「なんだ、あれは」

 

初めてみるそれに、キンバリーはその隣の自動人形にじっと目を凝らす。

 

君臨せし暴虐(タイラントレックス)の連れているシグムント......とは違うな......となると下から二番目(セカンドラスト)(つる)んでいる出来損ないか」

 

そうして正体が判明すると、キンバリーはうっすらと微笑を浮かべた。

その視線の先には、変わらず屋上で競い合う二つの影に向けられている。

 

「the dragon incarnate......まるで竜の化身だな」

 

そう呟いたとき、扉をノックする音がほとんど無音の部屋に響いた。

 

「ようやく来たか、下から二番目ーー入れ」

 

合図を出すと扉が開き、そこに疲労の溜まった表情を浮かべた雷真が姿を見せる。

キンバリーは彼に見られないようパキッポキッ、と指を鳴らした。

 

 

むすっとした様子でアジーンが俺の頭の上にいる。

 

「いい加減機嫌直せよ。これじゃ気分転換に外出た意味ねぇじゃん」

 

とは言ったものの、その原因が俺じゃなんとも言えない。

 

「知るか、そんなこと(・д・`)」

 

し、当然そんな反応が返ってくるわけで。

食堂は時間も時間なのでかなりの席が埋まっていた。

 

「リュウ、アジーン! またせたな!」

 

「お待たせしました、お二人とも!」

 

そこへ雷真と夜々が走ってくる。

俺は二人に向かって片手を挙げ、軽く挨拶した。

 

「おう、やっと来たか。早く中に入ろうぜ。俺腹ペコだわ」

 

「悪かったなーーっておい、なんか機嫌悪くないか......?」

 

雷真も気付いたんだろう、そっと指差しながら尋ねてきた内容に俺は苦笑するしかなかった。

 

「あれ......? 寮を出るときよりも悪化してませんか......?」

 

言われて夜々も恐る恐ると言った感じで尋ねてくる。

 

「あはは......俺と勝負して負けたから、それがかなり効いたみたい」

 

「勝負って、罰ゲームとか付けたのか?」

 

「あー......うん、まぁね」

 

思わず生返事になってしまうが、雷真はそれで悟ってくれたようだ。

 

「ちなみに、どんな罰ゲームだったんですか......?」

 

「うん、夜々って空気読めない(KY)だよな」

 

「へ? け、けーわい、ですか?」

 

聞きなれない言葉に夜々がオロオロするそばで小さく笑みを零す。

とはいえ誤魔化すのもなんとなくあれなので答える。

 

「はぁ......今日の晩飯、唐揚げ4分の1一つ」

 

「それはまた随分だな......(笑)」

 

「だからってここまで落ち込まなくてもいいでしょうよ?」

 

ビッと頭の上を親指で示しながら俺は雷真に訴える。

今度は雷真が苦笑する番だった。

 

「まぁ仕方ないさ。さ、そろそろ中に入ろう」

 

「......遅れてきたお前がよくそれ言えたな」

 

「小さいことは気にするな」

 

そうして俺らは食堂のエントランスを抜け、セルフサービスの列に並んで各自好きな食べ物を皿に取り分けていった。

お互いに会計を済ませ、レジ先で合流する。

 

「それにしても相変わらず人が多いなぁ」

 

「時間も時間ですから仕方ありませんよ、雷真」

 

雷真の呟きに夜々が答える隣で、俺はサクッと席を見つけそこに着く。

 

「って、あれ? リュウ?」

 

「探してる探してる」

 

後ろを振り向いた雷真が驚いて辺りを見回しているのを楽しそうに眺めながら手を挙げてこちらの位置を知らせる。

それに気付いた雷真が夜々にも気が付かせ、ようやく席に着いた。

 

「席見つけたなら教えてくれよ」

 

「いやぁ、雷真がキョロキョロしてんのが面白くって」

 

「勘弁してくれ......」

 

()なこった」

 

「断られた?!」

 

「真面目な奴ほど弄ると良い反応が返ってくるんだぜ。知らねーだろ?」

 

「あんまり知りたくはないな」

 

そんなたわいもない会話をしながら、先ほど盛った様々な料理を口の中に運んでいく。

 

「そういえば今日はなんで遅かったんだよ?」

 

ふとそんなことを思い出して、俺はもぐもぐとしながら尋ねる。

 

「追試と補修の説明。俺の場合相当酷いからってもう決定なんだーーはぁ......これからのことを思うと気が重いぜ......」

 

苦い顔を浮かべながら、雷真は溜め息を吐く。

 

「バカだから仕方ない」

 

「い、言い方ひでぇ......」

 

「どーせ努力もしてねぇんだろ? 当然だ」

 

言いながら唐揚げを4分の1に分け、自分の座っている長椅子の隣にいるアジーンの前に置いてやる。

アジーンは不満そうな表情を浮かべながらも唐揚げをちまちま食べていた。

 

 

「いやぁ、相変わらず食堂は美味いよな」

 

腹をぽんぽんと叩きながら、満足そうな溜め息を吐く。

それに乗っかって、雷真も大きく伸びをした。

 

「あぁ。食堂で食事を摂ると食べ過ぎそうで怖いくらいだ」

 

「ははっ、でも実質的には金払ってっからそうもいかねぇんだろ?」

 

「そうなんだけどな。あ、そういえば手袋持ち(ガントレット)になれるんだってな? おめでとう」

 

そうして話題は夜会関係のものへと移っていく。

 

「あぁ。なんたって夜会前最後の定期考査だからな。夜会の間ずっと観てるだけなんて退屈でたまんねぇっての」

 

「夜会ってもう少し威厳のあるものだと思ったんだが......」

 

「そんなこと言われたって、実際に参加してたほうが楽しいのは間違いないだろ? 体育でも見学してるよりやってたほうが楽しいし」

 

「いや、確かにそうなんだが......」

 

「俺にとって夜会はその程度のことでしかねぇんだよ。でも、他の参加者には魔王(ワイズマン)になりたい、ならなくちゃなんねぇそれ相応の理由がある。その点で言ったら俺は夜会に出る資格がないのかもしれないな」

 

言ってて、ポケモンのオープニングテーマを思い出した。

ポケモン、ゲットだぜ!的な。

うわぁ、びっくりするくらいすんごく懐かしい。

 

「リュウ......お前......」

 

「あ、だからと言って辞退する気なんかこれっぽっちもねぇからな?」

 

念のためにそう言うと、雷真に苦笑されてしまった。

 

「俺もそんなことで辞退するとは思ってないさ」

 

「ははっ、そう来なくっちゃな。そういやお前が言ってたんだけど、夜会を通して叶えたい野望ってなんだよ?」

 

「あぁ、復讐したい奴がいるんだ」

 

「......へ?」

 

意外にもさっぱりとした物言いに、思わず雷真を見てしまう。

 

「そんな大事そうなこと、簡単に言ってもいいのかよ?」

 

「信頼してるからな」

 

「そいつは光栄だな」

 

複雑な気持ちを覚えつつ、小さく笑って誤魔化す。

夜々にも視線を向けてみれば彼女も俺と同様......いや、それ以上に複雑な表情を浮かべていた。

 

「ちなみに、それってやっぱりマグナスなのか?」

 

そう思うのには理由があった。

学院に来て初めて食堂を利用したとき、食堂の外を歩いていたマグナスを見た雷真から異常なまでの殺気が醸し出されていたのだ。

それも隠す気なんてさらさらないってくらいに。

そのあとマグナスの戦隊(スコードロン)に囲まれて身動き一つ出来なくなっていたけど。

今更だけど、あんな人目のあるところで殺人なんて出来るはずもないからきっと寸止めする予定だったのかもしれない。

だとしたらあのとき雷真が殺されるなんて早とちりして手を出すべきじゃなかったな。

......過ぎたこと言っても仕方ないか。

 

「あぁ。だけど......この間のことでわかったんだ。俺はあいつの足元にも及んでいない。復讐なんて夢みたいな状態なんだ、今のままじゃ」

 

雷真の拳がグッと握られる。

この間のことっていうのは十中八九食堂でのことだろう。

雷真にとってマグナスがどれだけ憎い相手なのかということがわかってしまう。

 

「だから野望って言うんだろ? だったらそこから頑張ればいいじゃねぇか。そうじゃないと張り合いがないし、簡単に復讐出来るような相手ならわざわざ野望とか言って壮大にするこたぁねぇだろーーどうした、アジーン?」

 

ふと頭上にいたアジーンがなにかの気配を感じ取ったのか、辺りを忙しなく見回し始めた。

 

「向こうからだ」

 

やがてその気配を見つけたのか、ぼそりと小さな声で呟くと一人でに飛び立ってしまう。

 

「あ、おい!」

 

「どうしたんだ、アジーンのやつ」

 

「わかんねぇけど、ちと追いかけてくる! 先に寮に戻っておいてくれよ!」

 

「あぁ!」

 

突然のことに首を傾げる雷真に俺はそう言い残し、慌ててアジーンを追いかけた。

 

 

アジーンに追いついたとき、アジーンは1人の学生の行く手を阻んでいた。

真珠色の髪に紅い目をした女の子だった。体は華奢だけど、胸が大きくて揉み応えがあ......んん゛! し、顔立ちも整っている。

シャルに次ぐ美人さんの類だな、ありゃ。

じゃなくて!

 

「わ、わ、わ。だ、誰?」

 

「もしかしてラビか?」

 

「ワン!」

 

「え? な、なんでラビのこと......」

 

「となると貴様がフレイか?」

 

「そ、そうだけど......あなたは......?」

 

「おい、アジーン!」

 

どういうわけか女の子を質問攻めして困らせているっぽいアジーンの意識をこちらに向けさせ、一気に近付く。

 

「リュウ」

 

「ったく、なにしてんだよバーカ。ほら、寮に帰るぞ」

 

首を引っ掴み、グッとこちらに引き寄せる。

 

「あ、あの!」

 

一瞬にして空気化してしまった(というか俺が乱入して空気化させたも同然なんだけど)女の子が声を上げる。

 

「あぁ、悪かったな。俺んとこの自動人形が迷惑かけた。もう2度とこんなことねぇようにちゃんと躾とくから」

 

俺は平手で軽く詫びを入れながら、とっととその場を離れようとする。

 

「あ......えっと......そ、その」

 

そこへもう一声。

 

「ん?」

 

もごもごと言葉を紡ぐ彼女に俺は振り向いて首を傾げた。

なにか言いたそうな様子だ。

でも、その目はアジーンにだけ向けられている。

彼女は小さく深呼吸をして、改めてまっすぐにアジーンを見た。

 

「どうして私たちのことを知ってるんですか......?」




お気に入り登録、評価ありがとうございました。
誤字脱字ありましたら教えて下さい、お願いします。

(今更思うけど、総合評価って読者の人が付けてくれてるのかな......?)
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