転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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無理やり感があって投稿するのを渋ってしまった......
結局直らなかったけど(-ω-;)
もー、知らんw


第二十話:アジーンの記憶

「......はい?」

 

思わずそんな声が出、アジーンを見てしまう。

 

(え、あ、は? ちょ、これどーなってんの?)

 

彼女の口から発せられた、彼女自身もわかっていない問いに俺は戸惑いを覚えた。

が、どうやら今度は俺が空気化してしまったようで、とても聞けるような雰囲気じゃなかった。

そうやって考えると意外に俺はチキンだったようで、今目の前にいる女の子はある意味凄いと思う。

 

「ヨミから教えてもらったのだ」

 

アジーンの言葉で女の子の警戒がわずかに解ける。

 

「え......? ヨミと知り合いなの......?」

 

「少し外に出たときにな」

 

とはいえ、このままなにもわからずに混乱してるのもあれなので手っ取り早く最終手段に出る。

確かに早くも話し込み始めてしまった1人と1体に状況説明を求めたほうが早いのも事実だが、彼女はアジーンだけを見ていて、アジーンも彼女を見ていると思うとそこから察するにアジーンの記憶を覗けば分かるような話であるのも事実だ。

他人......というわけではないけれど(そもそもアジーンが人に値するのかすら微妙だが)、誰かの記憶を覗いたりするのは苦手だが、状況が状況なので仕方が無い。

 

(はぁ......やるか)

 

俺は2人にバレないようこっそりため息を吐き、近くにあった建物の壁に凭れかかって瞳を閉じた。

直後にパチン、とフラッシュバックを起こしたかのようにまぶたの裏で光が焚かれ、そうして浮かんできたのはここではないどこかの雨景色だった。

 

 

雨がぽつりぽつりと降り始める。

やがてそれはだんだんと勢いを増していき、気が付けば本降りになっていた。

空は学院を出た(・・・・・)時から曇りだったので仕方がないのかもしれない。

そんなことを無意識に考えながらアジーンは高度を下げ、雨宿りに小さな集落のようなエリア内の小屋の窓のさんに留まり、翼を休めた。

別に雨に打たれて壊れる体ではないのでこのまま学院に戻っても良かったのだが、濡れるというのはあまり良い気分がしない。

最初はこんな雨など気にも留めなかったが、いつしか人が雨に対して覚えるものと同じような気持ちを感じるようになっていた。

どんな理由であれ、大抵の人は皆雨を嫌う......そう教えてくれたのは他ならぬリュウだ。

その他にも人に纏わる様々なことを教えてもらったが、こうしてリンク者と深く関わったのはオリジナル以来かもしれない。

 

「随分と濡れてしまったな」

 

雨が止むのを待ちながら体を震わせて水滴を飛ばす。

 

「そこに誰かいるのかい?」

 

すると下のほうでそんな声に尋ねられ、アジーンは窓のさんから滑空して室内の床へと着地した。

 

「すまない、少し雨宿りをさせてもらっている」

 

それは犬と呼ばれる生き物だった。

四肢で体を支え、尾でバランスを取り、頭部には聴覚が発達して突起した耳がついている。

だが、人語を話している時点で本物ではないのだろう。

その証拠に、四肢の関節部分や頭部を覆うようにして装甲が取り付けられ、体のあちこちには黄色の線が走っている。

自動人形(オートマトン)だ。

それも禁忌人形(バンドール)と見て間違いないだろう。

 

「構わないよ。急な雨だ、窮屈でなにもないところではあるが止むまでゆっくりしていってくれ」

 

「そうさせてもらおう」

 

とはいえ、そんなことはアジーンにとってどうでもいいこと。

アジーンは一言そう言うと、翼を確認程度に軽く動かした。

雨に打たれ過ぎたせいか、動きが鈍っているような気がしたのだ。

 

「クゥ〜ン」

 

雨が止むのをいつでも確認できるように再び窓のさんへと行こうとしたところで右方向から甘えるような鳴き声が聴覚を刺激する。

留まりそちらを見てみれば、どういうわけか檻越しから鼻を突き出しこちらの臭いを嗅ぐ犬型自動人形の姿が。

 

「あぁ、気にしないでおくれ。この子達は久しぶりの来客に喜んでいるだけだから」

 

「この子達?」

 

そう言われて初めて、室内の壁に沿って設けられた檻の中一つ一つに犬型自動人形がいることに気が付く。

 

「お前の子なのか?」

 

「一部はそうさね。けれども私はここにいる子供達皆を自分の子供として見ている」

 

「全部自動人形か?」

 

辺りを見回し、その一体一体を確認しながら問う。

そのいずれもが人語を喋る犬型自動人形と同じ見た目をしており、違いといえば毛色と犬種ぐらいで他は何一つなかった。

 

「あぁ。私を含め、ここにいる子供達は皆音の魔術回路、音圧操作(ソニック)を搭載したガルムシリーズのプロトタイプさね。新米魔術師でも容易に扱える新型さ」

 

「プロトタイプ......か」

 

「聞いたことあるかい?」

 

どこか余韻のある呟きに人語を喋る自動人形は尋ねる。

 

「いや。初めて聞いた」

 

「そうかい」

 

が、アジーンは首を小さく振ると檻の合間をくぐって先ほどまで臭いを嗅いでいた犬型自動人形の頭に乗る。

その自動人形は嬉しそうに檻の中を走り回り、人語を喋る自動人形に見せびらかしているようだった。

 

「良かったわね」

 

そんな子供の様子に、人語を喋る自動人形は小さく笑う。

 

プロトタイプ......その言葉を聞いた時、アジーンはオリジナルが空を目指す起因となったニーナのことを思い浮かべていた。

大いなる災いにより見上げるべき空を見失い、千年もの歴史を刻んできた地下世界。

その空気の状態は深度を増すにつれて酷く悪化し、D値と呼ばれる、出生時に計測される潜在能力の値によって差別社会すら生まれていた。

そんな中、汚染大気を浄化するための道具として肺細胞をクローニングし培養した換気肺(ベンチレータ)の試作品として選ばれたのがニーナだった。

ローディーD値の低い者の総称ーだから......差別社会では当たり前の、特筆すべきことではない理由。

おそらく目の前にいる犬型自動人形達も同じように選ばれたのだろう。

 

「すまないね、子供達の相手をさせてしまって」

 

「気にすることはない。雨が止むまでの間でしかないのだから」

 

「私はヨミという」

 

「アジーンだ」

 

自然とそんな流れが出来上がり、アジーンとその自動人形ーーヨミの2体はお互いに名を明かす。

 

「アジーンはどこかに行く途中だったのかい?」

 

「行く、というかヴァルプルギス王立機巧学院というところに戻る途中だったな」

 

「学院に?」

 

思わぬ問い返しに、アジーンはわずかに驚く。

 

「知っているのか?」

 

「あぁ、あそこには私の息子と娘同然に育って来た子がいるからね。にしても、よく見つからずに外へ来れたものだよ」

 

「門番のことか? あんなもの大したことはない。抜け道はいくらでもある」

 

「はっはっは、随分と威勢がいいね」

 

アジーンの物言いにヨミが愉快そうに笑う。

門番というのは、その言葉の通りヴァルプルギス王立機巧学院の門を見張る者のことだ。

だが、学院は世界中から優秀な魔術師・人形師が集まる場所。

生徒一人一人の所有する自動人形が国家機密相当の最新鋭技術や世界遺産相当の秘術の結晶であるため、学外への人形の持出しは所有者の卒業まで禁止されており、そこを無理やりにでも突破しようとすれば学院の卒業生や自動人形が全力で迎え討つためその様はまるで堅牢な城壁に囲まれた巨大な監獄のようなものなのだ。

 

「それにしても学院か......あの子は元気にしているだろうか」

 

不意に遠くを見るようにして呟いたヨミにアジーンは首を傾げる。

 

「心配か?」

 

「私の子供同然に育って来たようなものだからねーーその子はフレイって言ってね、根の優しい子さね。確かにあの子のそばには息子のラビもいるが、頼りなくて」

 

ラビ、というのが彼女の息子の名だろう。

そう推測しながら、アジーンは一人の子とヨミと似たような姿をした犬型自動人形を思い浮かべていた。

フレイという人間がどんな容姿を持つかはわからないが、ヨミを目にした今ならラビの判断は出来る。

とはいえ、今までラビらしき犬型自動人形を連れた魔術師を学院内で目にしたことがないのは事実だ。

編入してからそう大して時間が経っていないのは別として。

 

「フレイという娘に似たんだろうな」

 

苦笑しながら、子供のことを話すヨミにアジーンはほんのりと心が暖かくなりながら言った。

 

「ふふっ、そうなんだろうねーーおや? まずいね、見張りがやってきたようだ」

 

不意にヨミの耳がピクリと立てられ、雰囲気がわずかに張り詰める。

アジーンもそれに気付き、わずかに身構えた。

 

「見張り? 監視されているのか」

 

「幸か不幸か、私たちは廃棄処分の決まった身でね。逃げ出していないか定期的に見張りが来るのさ」

 

「はっ、必要無いと判断されたというわけか」

 

「そんなところさね。さぁ、早く身を隠しな。この先にある部屋に行けば凌げるはずだから」

 

「恩に着る」

 

一言断ってからアジーンは器用にその先にある扉を開け、天井を支えている木に留まる。

普段なら誰に見つかろうが気にしないところだが、リュウのいない今、知らない場所で問題を作るのはなんとなくだが気が引けていた。

ヨミと見張りに来た人間の会話がくぐもって聞こえてくる。

その人間は見張りと同時に面倒を見に来たようで、ヨミを含む全ての犬型自動人形に餌を与えると軽く言葉を掛けてすぐに出て行った。

閉ざされた扉からヨミが顔を見せる。

 

「そういえば人語はヨミしか喋れないのか?」

 

「あぁ。私の知能、及び生態機能は人間並みさね。幸か不幸か、ね」

 

人間(ヒト)の考えることは相変わらず理解ができんな」

 

ヨミの言葉に、アジーンは吐き捨てる。

 

「アジーン」

 

ふと名前を呼ばれ、アジーンは天井の留まり木から降りる。

 

「一つ聞いてはもらえないだろうか?」

 

「......」

 

「無理に、とは言わない。ーーあの子達を......フレイとラビを守ってやってくれ」

 

おそらく、先ほどの見張りからなにかを聞かされたのだろう。

 

その声は、とても切実に聞こえた。

 

 

そこまで覗いて、俺はまぶたを開ける。

これ以上覗く必要性はない。

ここまで覗けばもう十分だ。

 

「ヨミと同じことを聞くのだな」

 

「ヨミもおんなじこと聞いたの......?」

 

記憶を覗くのは、膨大な情報によりわずかな頭痛を起こす代わりにほんの一瞬で済むので、会話に大した変化は見られない。

まだヨミの頼み事は話していないようだ。

俺は背後の壁に凭れかかるのをやめ、女の子......フレイに近寄った。

 

「フレイって言ったっけ?」

 

「あ......うん」

 

「あー、その、なんだ。ヨミにちょっと頼まれてよ、お前を守ることになった」

 

「ヨミ......に? でも、なんで......」

 

「フレイ......お前が夜会に出ることになったと聞いたからだ。そして奴らが提示してきた条件も、な」

 

俺よりも先にアジーンは答える。

 

「ヨミ......」

 

「だからさ、なんか変な感じすっけど俺になんか手伝えることあったら言ってくれよ」

 

「......ありがと」

 

「おう。んじゃ、俺の知り合いが寮で待ってっからーーラビもまたな」

 

「ガウ!」

 

彼女の足元で待機している犬の頭を撫でてやり、俺は踵を返す。

 

「アジーン、行くぞ」

 

遅れてついてきたアジーンが頭の上、定位置に着地する。

 

「ったく、なにが俺のいないとこで問題起こすのは気が引けるだ。思いっきり起こしてんじゃねーかよ」

 

「すまんな。放っておけなくて」

 

「いいよ、もう。こういうの、悪くないしな」

 

「ふんっ」

 

そうして俺らはようやく帰路に着いた。




気付いたら二十話いってたw
あ、お気に入り登録、評価ありがとうございまーふ( ̄▽ ̄)
キリがいいんで、よかったら感想下さいです(╯⊙ ω ⊙╰ )

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