転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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無理やり過ぎたせいか文字量がエグい......

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本文訂正(5/21)


第二十二話:仕返し

地上のほうでラビに跨り走るフレイを見つけ、アジーンがその意思を読み取ったのかなにも言ってないのに下降していく。

 

「フレイ!」

 

その声にラビが、自身に跨るフレイに振動を与えないようゆっくりと止まる。

俺はアジーンから飛び降りつつアジーンのトランスを解き、歩いて彼女に近寄った。

 

「やったな。あいつ、武術の心得?があるらしいからあそこまで上手く行くとは思わなかったよ」

 

「うん......」

 

「どした?」

 

予想外の反応に思わず尋ねてしまう。

 

「ほんとに、これでよかったのかな......」

 

「なんだよ今さら。夜会を勝ち進んでヨミたちを助けたいんじゃなかったのかよ」

 

「でも......確かに手袋の着用が義務とはいえなんだか卑怯なことしてる気がして......」

 

こちらから見てもわかるほど、はっきりと萎縮している。

手伝ってもらったのにそれに異を唱えているのだから彼女の性格なら仕方がないのかもしれない。

 

「なら、別の方法考えるか?」

 

「え?」

 

「手袋なら俺が返しておくから」

 

「......うん」

 

「それにしても他の方法かぁ......なんかあったかなぁ......」

 

う〜ん、と腕を組みながら唸る。

が、残念ながらすぐには思い付きそうになく、このままだと無駄に時間を過ごしてしまいそうだった。

 

「あの......今日は帰ろう? もう、遅いし......」

 

言われて空を見上げればいつの間にか青だったはずのそれは橙色に侵食されていた。

 

「え? あ、あぁ。わかった。フレイは明日なにか用事はあるか?」

 

「ううん」

 

「じゃあ明日の昼に食堂前で落ち合おう。飯食いながら考えようぜ」

 

「う、うん......」

 

「よし、んじゃまたな!」

 

俺は適当に約束を取り付けた後、彼女に手を振りながらその場を離れた。

 

 

夕日を背にトータス寮を目の前にしたとき、

 

「あ、フレイから手袋もらってくるの忘れた!」

 

不意にそんなことを思い出して俺は慌てて振り向いた。

 

「アジーン、行くぞ!」

 

その背後を黙々と付いてきていたアジーンに合図し、すぐさま走り出す。

 

「はぁ......全く、どこまでも抜けているな、お前は」

 

「うっせ、ちょこちょこ逆鱗に触れんなバーカ」

 

言いながら先ほどフレイと別れた場所へと辿り着く。

が、フレイはすでに居らず辺りを見回しても彼女の背中が見えるなんてこともなかった。

 

「うわー、やっちゃったよー......雷真にどう言い訳しよう......」

 

脳裏に、雷真に問い詰められる様子が思い浮かんできてしまう。

実際にはそんなことはしないだろうけど、なんせ未来の話なのでどんどん悪い方へと想像が膨らんでいく。

 

「諦めて寮に戻ったらどうだ。結局当初の目的を果たしていないわけだし」

 

当初の目的とはハンモック作りのことだ。

フレイの罠作りがあんなに夢中になれるもんだとは思わなかったんだもん......。

 

「そういやそうだったな......」

 

アジーンの言葉にハッと思い出し、げんなりとなる。

が、渋って寮に戻らないわけにはいかないのでとぼとぼと歩き始める。

そのまま何事もなくトータス寮へと辿り着き、俺は重たい足を動かして扉を開けた。

 

「ただいまー......?」

 

そぉっと開け、辺りの様子を確認する。

 

「あ、雷真。リュウさんが帰ってきましたよ」

 

中では、最近俺の寝床である小上がりに腰を下ろしお茶を楽しむ夜々が居り、その関係で帰ってきた俺にすぐ気が付く。

 

「ん? あぁ、おかえり」

 

恐らくベッドの上にいるだろう雷真は特に大した反応も見せず、起き上がってくることもなかった。

だから、思わず聞いてしまった。

 

「......へ? 怒んねぇの?」

 

「手袋か?」

 

「うん」

 

「さぁな」

 

「さぁなってーーうぉっ?!」

 

なんだか気の抜けた返事に俺は安心してしまったんだろう。

なんの警戒もなしに部屋へ踏み入れた途端、足を取られ宙に釣り上げられてしまった。

視界が一気に上下逆さまになる。

 

「......雷真、引っかかりました」

 

「嘘だろ? まさか自分が仕掛けた同じ罠に掛かるなんて......リュウ、お前って意外に抜けてるんだな」

 

「うっせーよっ! てか仕返しするくらい怒ってんのか!!」

 

「怒ってはない。ただ手袋を返して欲しいだけだ」

 

「うっ......ごめん、手袋持ってない」

 

「......はぁ」

 

「マジごめんって!! 返そうと思ったんだけどもらってくるの忘れたんだよ!!」

 

「もういいよ、明日自分で返してもらうからーーその代わりしばらくはそのままな」

 

「え......」

 

早くも頭に血が上ってきており、ぼぅっとしてきた頃にその言葉。

しばらくっていつまでよ、おい?

 

「夜々、食堂に行くぞ」

 

「はい」

 

「じゃあまた後でな、リュウ」

 

「......」

 

背後でガチャンと扉の閉まる音がする。

俺は我関せずと言った様子で小上がりで丸くなるアジーンに視線を向けてみる。

 

「なぁアジーン。この紐切らずになんとか出来なーー」

 

「断る」

 

言い切る前に拒否られたー!

 

「はぁ......せいっ」

 

俺はため息を吐いてから体を上下に揺らして勢いをつけ、一気に体を曲げて自身の足を拘束する紐をギュッと握った。

そのまま、傍から見ればまるでクルマエビのようなポーズへとなる。

このまま釣り上げられてたら俺脳出血起こすからね?

別にパダムかバルで紐を燃やして点火した火が天井へ移る前にレイガで消すってことも出来るけどこの紐、ハンモックの網を作るのに使えそうだからそんな無駄になるようなこと出来ないんだよな。

俺の買ってきた紐は罠に使用&雷真に切られたし。

くそっ、とっとと帰ってこんかバカ雷真......ฅ(´・ω・`)ฅ

 

 

昼休み開始のチャイムが学院内全体に響き渡る。

俺は昨日取り付けた約束のため真っ先に食堂へと向かう。

向かうはずだった。

 

「なに.....してんだ、フレイのやつ......?」

 

食堂前で、なにか黒い鉄の棒を必死になって組み立てている。

しかも人目のある場所で。

恐らく俺と別れた後に思い付いた新しい罠なんだろう。

箱罠、だったっけ?

......わざわざ一人でやらんでもいいのに。

そんなことを思いながら俺は近寄り、足元に落ちている鉄の棒を拾ってフレイに振り向いた。

 

「よっ、フレイ。これどこに立てればいい?」

 

「ひゃあぁぁ!」

 

挨拶もそこそこに尋ねたせいか、フレイがビクッと跳ねる。

カランカラン、と鉄の棒が虚しく音を立てた。

 

「そんなに驚かなくても......」

 

「ご、ごめんなさい......」

 

「いや、俺が悪いんだけど......今度の仕掛けはどんな感じよ?」

 

「えっと......昨日盗んできた片一方の手袋を餌に捕まえようと思ってーーあ、そっちに立てて」

 

「なぁる、だから思い付いたのねーーりょーかい」

 

鉄の棒を持ち直し、作業に戻りながらフレイが教えてくれる。

俺は呑気に腹減ったなぁなんて思いながら素直にそれに従った。

 

 

「バカじゃないの? 参加資格(エントリー)の証でもある手袋を奪われるなんて信じられない」

 

食堂の中、窓側で食堂内の何処のよりも一層明るい席に座っているシャルが呆れた物言いをする。

その手前、雷真は罰が悪そうな表情を浮かべながら座っていた。

 

「あなたに限ってそんなことはないだろうけれど、戦闘を申し込まれて取られなかっただけマシね。もしそうだったらキンバリー先生に参加資格を剥奪されてもおかしくなかったのよ? まったく......」

 

ふぅ、と可愛らしいため息を零し、お茶を一口含んで気を取り直してから再び口を開ける。

 

「白い髪で犬を連れているなんて、フレイしかいないわ。3回生、登録コードはサイレント・ロア。序列は99位、あなたの初戦の相手よ? あなたの腕が立つと見て夜会の前に消そうって魂胆よ」

 

その言葉に雷真はハッとなる。

 

「序列こそ100位だけれど、あなたはフェリクスに勝った。みんな戦々恐々よ? それにしてもどうして関わりのなさそうなあの2人が......」

 

「そこなんだよな。リュウは俺よりも成績が良かったからあいつとやるのはまだ先の話だし......」

 

そのとき、それまで無言で食事を進めていたシグムントが首をもたげ外へ視線を送る。

 

「噂をすれば、だな」

 

それに釣られて見てみれば、食堂の外で作業するリュウとフレイの姿が見えた。

 

「なにを、しているんだ......?」

 

「檻......組み立てているみたい......」

 

唖然としながら、雷真とシャルはようやくそれだけを交わす。

 

「あれ、あなたの手袋じゃない?」

 

不意にシャルがそんな声を上げる。

見てみれば使い捨ての紙皿を白い紐で吊り下げた、いわゆる餌場に手袋の片一方だけが置かれていた。

 

「くそ、やられたぜ。昨日無理にでもあいつから返してもらえばよかった」

 

言いながら、雷真が窓際から離れ食堂のエントランスへと向かう。

 

「どこに行くのよ!」

 

「罠に掛かってくるんだよ」

 

「ちょっと、やめなさいよ! こんなところで無様を晒す気? 後で返してもらえばいいじゃない!」

 

シャルの呼び声に雷真は足を止め彼女に向き直った。

 

「だからと言って手袋を盗まれたままいるわけにもいかないだろ?」

 

「それはそうだけど......ーーあれは......剣帝ロキ?」

 

その言葉に興味を唆られたのか、そのまま先ほど立っていた窓際まで戻る。

 

「ロキ? へぇ、あれが自ら廻る焔の剣(セイクリッドブレイズ)か」

 

シャルは自身の隣に雷真が来たのを確認するとえぇと小さく頷いた。

 

「ロキは2回生ながら十三人(ラウンズ)の1人にして元帥(マーシャル)閣下の対抗馬と目される男よ」

 

「対抗馬、ね......なぁ、シャル。あいつとフレイ、なんか似てないか?」

 

「そりゃそうよ。姉弟だもの」

 

そうシャルが説明し終わったとき、不意に外で檻と何かがぶつかる音がした。

 

 

白い紐で吊り下げた使い捨ての紙皿の上に雷真の手袋を乗せ、一息付く。

 

「よっしゃ、出来たな」

 

「うん」

 

「んじゃあとは掛かるのを待つだけだ。さ、出ようぜ」

 

言いながら罠の入り口を跨ぎ、振り向いてフレイが出て来るのを待つ。

と、目の前で箱罠の入り口が大きな音を立てて閉まった。

 

「あ......」

 

「は......?」

 

フレイがポカンと口を開けて立ち尽くす傍ら、頭の中が一瞬で白くなり俺は慌てて入り口に近寄る。

 

「おいおい、マジかよ」

 

そのまま辺りを触り、檻に指を掛けて持ち上げてみる。

 

「う......らっ! ーーはぁっ、はぁっ、力入んねぇ」

 

が、空腹のせいか思ったように持ち上がらなかった。

隣でずっと見守っていたラビが不安そうに鳴く。

 

「ったく、ちゃんと組み立てろよなフレイ。雷真を仕掛けようとして俺らが掛かってたら本末転倒だっての」

 

「ご、ごめん......」

 

「別に責めてるわけじゃねーよ。今出してやっからちょっと待っーー」

 

そこまで言い掛けた時、自身の隣に誰かが立ったのがわかった。

 

「なにをバカなことをやっている」

 

冷たく突き放すような声。

見てみればフレイと兄妹関係にありそうな、彼女と同じ髪を持つ青っぽいローブを羽織った男子学生がそこにいた。

フレイが先ほどの一言で居住まいを正し、まるで叱られる前の子供のように大人しく正座する。

知り合いには見えるが、だとしてもここまで萎縮する必要は無くないか?

 

「まだそんなものを持っているのか。言ったはずだ、怪我をする前に棄権しろと」

 

「でも......」

 

「いいか、あんたは誰にも勝てはしない。大人しく俺の後ろに隠れていればいい」

 

「だけど......」

 

その直後、そいつは檻の中に手を伸ばしフレイのマフラーを掴みかかった。

 

「しつこい。弱い者がでしゃばるな、強い者に従え」

 

俺はその腕を掴み、そいつの目をしっかりと見て口を開く。

 

「悪いが、そいつは聞き捨てならんな」

 

そいつの目は部外者がでしゃばるなと言っていた。

 

「なんだ、貴様は」

 

「リュウ......」

 

「俺のことなんかどうだっていいだろ。お前が誰かなんて、そらちょっとは気になるがそのことだって今はどうだっていい。だけど、フレイをこれ以上バカにするような言い方をするなら俺が許さねぇ」

 

「ほぅ? どう許さないつもりだ?」

 

「こうすんだ......よっ!!」

 

掴んだ腕をそのままグッと引き寄せ、拳を相手の頬へと向かわせる。

一瞬、そいつの顔にニヤリとした笑みが浮かんだ気がした。

 

「......ちっ」

 

いつの間にか、そいつと俺の間に人型を模した全身金属のトゲトゲが立っている。

 

「ケルビム」

 

ケルビム、と呼ばれたトゲトゲが耳障りな機械音でI'm readyと言うとそれは一気に攻め入って来た。

 

「へぇ、人間(ヒト)相手に自動人形(オートマトン)かよ。笑えねぇな!!」

 

俺は無言のうちにトランスを掛け、いつもの赤い竜人へと変化を遂げる。

はっきり言って技とか何一つ考えてないアジーンとの連携よりも今はこっちのほうがやりやすかった。

それをわかっているのか、アジーンも口出しすることなく箱罠の上でこちらを見ている。

トゲトゲの両腕となっているブレードを手で受け止め、払い除ける。

 

「こいつ、化け物か......?」

 

「2人ともやめて!!」

 

そのままトゲトゲの装甲に飛び蹴りを食らわせようとしたとき、未だ罠に捉えられたままのフレイが声を上げる。

その声に術を掛けられたかのように俺とトゲトゲは動きを止めた。

 

「......今日のところは見逃してやる。そして俺達姉弟に2度と関わるな」

 

悔しそうに踵を返し、その場を立ち去って行く。

それに従って俺もトランスを解くが、そんなのはもうどうでも良くって最後にあいつが零した単語のほうが大事だった。

 

「え?! おま、フレイ! あいつと姉弟だったのか?!」

 

「う、うん......ロキって言うの」

 

フレイの簡単な紹介を受け、思わず遠ざかる背中を見てしまう。

 

「へぇ......ロキ、ねぇ。あんな偉そうな弟とか見たことねぇよ」

 

前世で見た弟なんて、ちょっと小生意気だけど上にはちゃんと従う坊主しかいなかった。

 

「リュウ!!」

 

「おい、リュウ!」

 

「リュウさん!」

 

そこへ今の一悶着を目撃していたのかシャル、雷真、夜々が走ってくる。

 

「あなたバカなの?! 十三人の1人でもあるロキの自動人形に生身で挑むなんて! いくらあなたが人とは違う構造をしていたとしてもあり得ないことよ?!」

 

「大丈夫か?」

 

「リュウさん、お怪我はありませんか?」

 

「あーうん、マジごめん。後で説明すっから待って?」

 

俺はそれらを軽くいなしながら箱罠の前に行き、ほんの一瞬トランスを発動してフレイを外に出してやる。

アンパンマンじゃないけど、そうでもしないとお腹が減って力が出ないんだから仕方が無い。

 

「悪いな、いろいろとやらかしちまって」

 

「ううん、怪我がなさそうで良かった」

 

「おう。......んじゃま、今日のところはもう解散でいいよな?」

 

「うん。じゃあ、またねーーラビ、いこ?」

 

「ガウ」

 

主人の意思に小さく鳴き、彼女もその場を離れていく。

 

「それで、これはいったいどういうことかしら?」

 

フレイの背中が小さくなったところでシャルが声を上げ、俺は背後に控える3人(?)に振り向いた。

 

「シャルにまでバレちまったら、さすがに誤魔化せねぇよなぁ」

 

わしゃわしゃと乱雑に髪の毛を掻き、それで腹を括った。

 

「うん、あれだ、ちゃんと話すから今日の講座が終わった後俺と雷真の部屋で話そう」

 

「わかったわ」

 

「あぁ」

 

「はい」

 

各々の返事を聞き、俺は小さく頷く。

 

「でもその前に飯食っていい? 今ものスゲー腹減ってんだ」

 

俺の言葉のタイミングと合わせるかのように腹の虫が鳴った。




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