転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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息巻くって言葉はあるけど息を巻くって言葉はないんだって。
『向かう所に敵なしと息巻く』
『ギャフンと言わせてやると息を巻く』
案外ありそうなのにねฅ(´・ω・`)ฅ


本文訂正(5/27)
→感想を受け、訂正させてもらいました
違和感があれば報告お願いします


第二十四話:動き

キィィィと耳障りな音が薄暗い小屋の中に響く。

開いた扉の先には誰もおらず、それはさながら一人でに開いたようだった。

が、その正体は八重霞の魔術回路でステルス状態にある小紫と雷真で、二人はそれぞれの物に視線を向けていた。

 

「見て、雷真! わんこだよ!」

 

小紫が嬉しそうな声を上げながら、部屋の両側に設置された檻の中を指差す。

中にはこちらに気付いた様子のない何匹もの子犬や成犬が大人しく眠っていた。

 

「向こうに扉がある。行こう」

 

何とはなしに呟き、雷真が歩き出す。

小紫はやはり嬉しそうに犬を眺めた後、少し急ぐようにして雷真を追った。

 

「からっぽ?」

 

雷真が更に開いた扉の先、先ほどのフロアよりも暗い部屋が露わになる。

目が慣れてくれば物陰ぐらいわかるかもしれないが、先ほどこの部屋に踏み入れた二人なので小紫の呟きも納得の行くものだった。

 

「......いや、いる」

 

ポツリ、と雷真が呟いたとほぼ同時に暗闇の中から足音が聞こえ出す。

 

「なんか用かい、小僧?」

 

そうして出てきたのはリュウの説明にあったような犬型自動人形オートマトンで、それが人語を話すことからヨミだとわかった。

 

「わんこが喋った!」

 

リュウの話を知らない小紫が驚きの声を上げる。

 

「私の知能、及び生態は人間と同じさね。幸か不幸か、ね」

 

「俺たちを認識出来るのか」

 

八重霞を掛けた状態でも認識されるなんて話を聞いていなかった雷真がわずかに驚きの声を上げる。

 

「あぁ、出来るとも。ただしパッシブセンサーでは感知出来ないだろうがね」

 

ヨミはそれらを軽めに説明しながらこの小屋の外に注意を向けていた。

もしここで監視の者にバレればかなり厄介なことになるかもしれないからだ。

もちろん、八重霞を掛けた二人がバレるはずなどないのだが、それを知らないヨミは仕方が無い。

 

「アクティブ!」

 

ヨミの説明に、ピクリと小紫が反応する。

 

「ん? お嬢ちゃんは理解したようだねーー人の住処に許可なく入り込んで、挨拶もなしかい?」

 

「悪かった。俺は赤羽雷真、日本から来た」

 

思わぬ雷真の対応に小紫が慌てた様子で彼を振り仰ぐ。

 

「ちょっと雷真!」

 

「ん?」

 

が、雷真はむしろ聞き返す様だった。

それを見てヨミが面白そうに忍び笑いを零す。

 

「侵入者が自ら名を明かすのかい」

 

「ここには知り合いから話を聞いて来た」

 

話し掛けられ、雷真はヨミに視線を向けて言う。

 

「ほほぅ?」

 

それに興味を唆られたのか、ヨミは相手を仰ぐような相槌を返した。

 

「あんた、ヨミだろ」

 

「いかにも。それで、小僧は何の用で来たんだい?」

 

「あんた、廃棄処分が決まってるんだってな。そいつを無しにするにはどうしたらいい?」

 

雷真の問いに、ヨミの目がすぅっと細くなる。

 

「それを知ってどうすんだい?」

 

「それに従うまでさ」

 

「おかしな小僧だね。こんな老いぼれを助けてなんになるってんだい」

 

「アジーンって知ってるだろ。そいつの使い手から話は全部聞いてる。さっき言っただろ、ここには知り合いから話を聞いて来たって」

 

「そうだね......廃棄処分そのものを無くしてしまうのはかなりのリスクを伴うかもしれないよ? もちろん、私を廃棄処分よりも先に殺してしまえばーー」

 

直後、雷真が叫んだ。

 

「ふざけるな! 俺はあんたらを助けに来たんだ! どうしてそんな道が選べる!」

 

「フッ......試しただけさねーーこんな老いぼれの考えることだ。参考程度にしかならないがそれでも構わないかい?」

 

「あぁ、頼む」

 

思いも寄らない反応にヨミは笑みを零しながら、雷真に自身が思い付く方法を挙げた。

 

 

テキトーに学院の中庭を歩きながら、俺はふと思い付く。

 

「夜々、ちょいとここで待っててくんない?」

 

「どうしたんですか?」

 

「いいこと思い付いたんだよ。そこらへんに座ってていいから」

 

俺の笑みに夜々も釣られて笑い、小さく頷く。

 

「わかりました」

 

「おう。んじゃ、行ってくらぁ」

 

俺は夜々に手を振った後、走って寮に戻った。

自室までの階段が意外に辛い......。

そういえば転生する前、階段を上ると痩せるって聞いたけどあれって結局上りも下りも消費するカロリー変わんねぇんだよな。

誰だよ、そんな偽情報流した野郎は。

そんなことを思っていると案外早くに戻れ、そのまま最初学院へ来るときに持ってきていたカバンから野球ボールを手に取る。

用件はこれだけなのでさっさと部屋を出、再び階段へと足を踏み入れる。

余談だが、この世界でも野球のことはベースボールと言うらしい。

そうやって考えるとなんだか前世にいた世界からタイムスリップしてきたみたいだった。

 

「あれ、シグムントじゃねーか」

 

中庭へ続く道を曲がり、夜々の姿が見えると同時にシグムントもその場におり、様子を見るに二人でなにか話し込んでいるみたいだった。

......どちらかといえば、シグムントに解かれてるみたいな感じだけど。

 

「む?」

 

このまま乱入していいものか悩んでいると、シグムントが何かの気配を感じ取ったのか気配の方向を見る。

 

「は?」

 

それに釣られて見てみれば茂みから何かが飛び出し、それが夜々へと直進しているのがわかった。

だが、わかっただけじゃ遅かった。

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

直後、夜々の悲鳴が上がる。

開いた傷口からドボドボと大量の血が流れ落ちた。

 

「夜々!!」

 

俺は握っていたボールを手放し、慌てて駆け寄る。

 

「夜々!」

 

一歩遅れてシグムントが夜々の側に寄る。

 

「うぅ......」

 

夜々の表情は苦痛に満ちていて、なにかに直撃した腹部からは止めどなく血が溢れ出ていた。

その場にあっさりと血だまりが出来上がる。

 

「おい、しっかりしろ夜々!!」

 

夜々の頬をペチペチ叩きながら、何度も夜々を呼ぶ。

シグムントの呼び声も重なったか、夜々は案外早めに目を覚ました。

そのまま、ゆっくりとだが起き上がる。

 

「大......丈夫、どす......活動限界は......超えてません......」

 

「こんなものを腹に受けてよく生き延びたものだ」

 

そんなシグムントの声に、俺は辺りを見回すと大砲で撃たなくちゃ絶対に無理そうなロケットが転がっていた。

 

「夜々は、世界最高の自動人形です......このくらい......けほっ」

 

「無理すんな! おい夜々、俺はお前になにがしてやれる?!」

 

「リュウよ、技師を呼んでくるぞ」

 

「頼む、シグムンーー」

 

「いえ、いいです......」

 

俺の言葉を遮るようにして夜々が声を上げる。

 

「なんで! このまんまだと死んじまうぞ!!」

 

「夜々は、普通の修理では直せません......」

 

「じゃあどうすれば!!」

 

目の前の出来事に頭の中がパンクしており、半ば叫びながら問うてしまう。

夜々の瞳に涙が浮かび上がり、それは溜まることなく地面に丸い跡をつけた。

 

「雷真......雷真に会いたいです......」

 

その言葉に、ギリッと歯を噛み合わせる。

雷真じゃなきゃなんとか出来ないと言われた気がして、なんだか悔しかった。

 

「んなこと言われたって......雷真は今いねぇの、わかってんじゃねぇかよ......」

 

「雷真の魔力が頼みの綱ということか......」

 

だが、シグムントは別の捉え方をしたようだった。

 

「どういうことだよ、シグムント?」

 

「なによ、これ?! どうしたの?」

 

そう尋ねたとき、背後からそんな声が聞こえてくる。

振り向けばこちらへ走り寄ってくるシャルが見えた。

 

「シャル! 良いところに来た!」

 

「え?」

 

「手を貸してくれ!」

 

シグムントの頼みに、シャルは無言で夜々の前に座る。

 

「ちょっと、いつまでこっちを見てるのよ! あなた男なんだから後ろ向いてなさいよ!!」

 

「へ? あ......あぁ!」

 

俺は慌てて後ろを向き、先ほどの言葉でこれからシャルがなにをしようとするのかわかった。

 

そうしてすぐにシャルの息を飲む声が聞こえてくる。

 

「っ!! こんなの医者の仕事だわ! ジャパンって国はどうなってるのよ、シグムントよりもナマモノだなんて!」

 

「これでは設計者でなければ修復出来まい」

 

「どうだ、夜々の様子は?」

 

「酷いわ、それもものすごく.....私に出来るのは魔力を送るくらいだわ」

 

「なんだよ、それ......」

 

「それでも、なにもしないよりかはマシだろう」

 

「そうだろうけど......」

 

言いながら袖を捲る音が聞こえ、そのまま魔力が感じられる。

流し始めたのだ、魔力を。

 

「っく......うぅ......」

 

だが、なにかがおかしかった。

 

「なに、これは?!ーーきゃあぁぁぁ!!」

 

シャルの悲鳴が上がり、シグムントの体当たりする音が聞こえる。

 

「シャル!!」

 

その声に我慢出来ず、俺はついに振り向いた。

先ほどよりも顔色がマシになった夜々が起き上がる瞬間と、シャルが倒れている姿が視界に映る。

夜々が普段着ている着物がほんの少しだけはだけていた。

でも、そんなのは関係ない。

俺はすぐにシャルの側に寄り、彼女を抱き起こした。

 

「大丈夫か?!」

 

「え、えぇ......なんとか」

 

「無理、しないで、ください......」

 

夜々が絞り出すように言う。

顔色は大体良くなっているが、中身はそうではないらしい。

 

「バカにしないで、こんなの!」

 

シャルが言いながら、俺の手を借りて立ち上がろうとする。

 

「で、でも......」

 

「私は、女王陛下から一角獣の称号を賜った、ブリュー伯爵家のシャルローー」

 

「はいストーップ。すごいのはわかったからもう喋んな」

 

「なっ!!」

 

「大人しくしてろって。魔力流すだけなら俺にも出来るから」

 

渋る夜々に息巻いたシャルを宥め、そのまま半身だけを起こしている夜々に近寄り、彼女に手をかざす。

魔力を吸い取られていくような感覚が体を支配する。

 

「っ! 気を付けて! 一度魔力を流し始めたらコントロールがーーうそ」

 

おそらく、その感覚がコントロールが出来なくなるということなのだろう。

だが、シャルほどには酷くないので大したことはなかった。

たぶん、一番魔力が欲しいところをシャルが担ってくれたからだろう。

 

「どした、シャル?」

 

「い、いえ。なんでもないわ」

 

「そか」

 

そのまま黙って流し込み、体感で1分が経過した。

 

「ありがとうございます、リュウさん」

 

いつものような滑らかな動きで起き上がった夜々に、俺は半分見上げるような形で尋ねる。

 

「もう大丈夫なのか?」

 

「はい。あとは自己修復出来ます」

 

「良かったわね」

 

「はい」

 

シャルの呼びかけに頷く夜々の隣で、俺はフルフルと首を振る。

 

「んなことしなくていいから、もう少しもらっとけ」

 

「......はい」

 

そうして小さく微笑んだ夜々に釣られてニッと笑った後、今度は乙女らしく座り目を閉じた彼女に手のひらをかざした。

 

 

そして、それを見つめる二つの視線があった。

ふっ、と一つの視線が自身の背後へと向けられる。

 

「あいつを修復してやってはどうだね? 花柳斎殿」

 

その言葉に、もう一つの視線の主......花柳斎硝子が下駄を鳴らしながら視線を向けてきた相手の隣へ立つ。

 

「ごきげんよう、キンバリー先生」

 

硝子が隣へ立ったのを確認して、キンバリーは前を向く。

 

「全く、手の掛かるガキだよ。こっそり学院を抜け出し、何をやっているのかな。ま、だから自動人形があんな目に合う」

 

「あれが誰の仕業か、ご存知みたいね」

 

言外に教えろと言った様子だが、キンバリーは相変わらず鋭い眼つきで硝子を見た。

 

「保護者との面談は次の機会に譲るわ。それより、まだ失う訳にはいかんのだろう?」

 

「お気遣いどうも。でも、あの子はそんなヤワじゃないわ」

 

「自動人形は、な。だが、下から二番目セカンドラストのほうはどうかな?」

 

「私の坊やはそう簡単には死なない」

 

わずかな張り合いの後、硝子が再びごきげんようと言いながら小さく膝をおり、踵を返す。

 

「ファザータイムによろしくお伝え下さいな」

 

キンバリーの背後でコツコツという音をBGMに、彼女は再び眼下の景色に視線を落とす。

そこでは、下から二番目の連れであるリュウが血だまりに浮かぶ夜々に魔力を分け与えていた。

 

「得体の知れない女だーー最も、人のことを言えた義理ではないがな」

 

呟いた言葉は誰にも聞かれることはなく、空気へと静かに溶けた。

 




今日、地理Bで今の状況は戦争が起きる前の状況と似てるって習った。
WWⅡが終わって平和条約的なの結んだはずなのに、結局その繰り返しになるのかな? なんて思うとツラいかな(´・_・`)


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