転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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なんとなく面白そうだから章なんてものを使ってみた。
なんかすっごくカッコ良くなって一人で笑った。

後書き編集(6/4)
本文の修正(6/5)


第二十五話:ヴァルプルギスの夕べ、開幕

部屋の中に一本の電話が鳴り響く。

小皺のある、優しそうな面立ちのその男性は座っていた椅子から立ち上がり、受話器を取った。

 

「どうした、ロキよーーそうか、わざわざすまないな。ご苦労」

 

ほんのわずかな情報伝達。

電話はすぐに切れてしまったが、男は椅子に戻ることなくそのまま別のところへ電話を掛けた。

 

「私の研究室にネズミが紛れ込んだようだーーあぁ、どんな手を使っても構わん。潰せ」

 

その視線は窓の向こう側にある時計台へと向けられていた。

針はゆっくりと動き、じきに2時を越えようとしていた。

 

 

日が傾き、空がオレンジ色で染まっていく。

そんな中門の側ではラビを連れたフレイがウロウロとしていた。

そこへ彼女の弟であるロキが通りかかり、足を止める。

 

「こんなところでなにをしている」

 

「雷真、待ってるの......探しても見つからなかったから......」

 

「あいつはもう帰ってこない」

 

「っ......彼をどうしたの? さっき、彼の自動人形(オートマトン)を攻撃したのはロキだよね?」

 

「......そうだと言ったら、どうなんだ」

 

驚き、信じられないと言った様子でロキを見つめる。

ロキの目はただ冷たかった。

 

下から二番目(セカンドラスト)は踏み込んでいい場所と悪い場所の判断を間違えた。俺たちの秘密を嗅ぎ回るような動きだったから、お父様に排除してもらった」

 

「っ!! どうして、雷真はヨミたちを助けようとしてくれてたのに!」

 

「それでも、なんの事情も知らずに片足を突っ込むようなバカはどこにもいない。いずれ俺たちの秘密がバレる」

 

「......」

 

「これ以上誰かを巻き込むな」

 

捨て台詞のように吐き捨て、ロキは踵を返して去っていく。

 

「......ヨミ」

 

今にも泣きそうな声で呟き、フレイはラビの頭を撫でながら寮のある道へと歩き出した。

 

 

しばらくして、先ほどフレイのいた場所には夜々が立っていた。

夜々の視界に門の先で浮かない表情をした傷だらけ(・・・・)の雷真が歩いて来るのが映る。

出掛ける時にはいたはずの小紫がいないので、おそらく政府ハウスに置いてきたのだろう。

 

「おかえりなさい、雷真!!」

 

昼間の時に受けた傷は何処へやら、いつもと変わらない調子で夜々が雷真を出迎える。

だが、雷真を見た途端その表情が焦りの色に染まった。

 

「っ!! どうしたんですか雷真?! あちこち怪我してます!!」

 

「ちょっと、ドジ踏んでな」

 

「小紫は?!」

 

「小紫なら軍の政府ハウスに置いてきた」

 

案の定それは間違っておらず、雷真の口から事実が伝えられた。

だが夜々は大きく首を振ってしまう。

 

「違います! 小紫がいたのにどうしてですか?!」

 

「夜々、声が大きいーーリュウは?」

 

「......先に寮へ戻っています」

 

「そうか」

 

「......雷真?」

 

むすっとした様子で答える彼女だったが、いつもと違う雷真に落ち着きを取り戻した。

 

「もしかして、なにも成果がーー」

 

「......この話は寮に戻ってからしよう。ここじゃ人目につく」

 

言い出したところで雷真に遮られ、小さく頷く。

 

「わかりました」

 

そうして雷真の指示に夜々は返事をし、ようやく寮へと歩き出した。

 

 

ガチャガチャ、と扉の開く音が聞こえ、俺はハンモックから起き上がる。

 

「雷真! おかえり!」

 

部屋の入り口には雷真と夜々がおり、そう声を上げながらハンモックから下りた。

 

「あぁ、ただいま」

 

だが、雷真の様子は明らかにおかしく、これから返ってくるだろう内容はあまり期待出来るようなものじゃないと悟った。

それでも俺は口を開く。

 

「どうだ、なにかいい案は浮かびそうか?」

 

やはり、というべきか。

雷真は首を振り、後ろめたそうに視線を逸らした。

 

「悪い、リュウ。......この問題にはもう関わらない方がいいーー俺たちにはどうすることも出来ない」

 

直後、俺は叫んでいた。

 

「ッ!! なんでだ!!」

 

一瞬で頭の中が白くなり、雷真の胸ぐらを思いっきり掴む。

が、雷真は俺から目を背けたままで、こっちを見ようともしなかった。

 

「......」

 

「答えろ!」

 

「リュウさん!」

 

そのまま雷真を背後の壁に叩きつけ、傍で見ていた夜々が慌てて声を上げる。

......体が異様に熱い。

 

「......ヨミ自身が言ってたんだ。自分らを作った人間が二十年前魔王(ワイズマン)の座に手を掛けた男だって」

 

ぼそり、と小さな声で雷真が言う。

それがたぶん、俺たちにはどうすることも出来ない原因なんだろう。

なにをしたところで返り討ちになるのがオチだーーハッキリとは言わないけど、そんなのは聞かなくてもわかった。

 

「だからなんだ! 俺やお前、シャルやフレイが力を合わせても勝てないヤツだから諦めろって? 流れるように流れろってか?! ふざけんな! なんでーー」

 

そこまで言いかけたところで不意にするはずのない音が聞こえ、俺は口を噤む。

 

「随分と元気な坊やだこと」

 

見てみればそこには夜々なんかと比べ物にならないくらいエロい着物を着た女性と青色を主とした質素感のある着物を着た少女が立っていた。

 

「誰だ、てめぇ」

 

ただいま最高に不機嫌なので、知らず知らずのうちに喧嘩腰になってしまう。

対して雷真は意表を突かれたような顔をしてエロ着物の女性を見ていた。

 

「硝子さん......」

 

「硝子? ーーあぁ......こいつが雷真がいつも言ってる花柳斎硝子ってのか」

 

「あら、こんなところで私を知らない子がいたなんてね。これでも有名人になったつもりだったのだけれど」

 

「知るかよ、そんなこと」

 

つまらなさそうに吐き捨てる俺に花柳斎はクスリと笑う。

 

「まぁいいわ。また近いうちに顔を合わせることになるでしょうからーー坊やは自分の欲しい答えは掴めたのかしら?」

 

話の対象が自身に向けられた雷真はその問いにただ俯いてるだけだった。

その反応に俺は苛立ちを覚えてしまい、思わず近くにあった壁を殴りつける。

 

「チッ! いいか雷真! “ニーナのとき”と同じようになんとかなるで済ませれる話じゃねぇんだ! 俺は絶対に諦めないからな! ヨミを助けてフレイを守る! ーー行くぞ、アジーン!!」

 

「......あぁ」

 

アジーンの返事がやけに暗かったが、今はそんなことに気を止める余裕なんてない。

俺はすぐさま歩き出し、寮の廊下へと繋ぐ扉に手を掛ける。

......“あのとき”はニーナが毒ガスを吸収して空に行かなくちゃ助けてやれなかったけど、もし今回のことで手遅れになればそれはイコール死と一緒なんだ。

そんなの、絶対にさせない。させるものか。

 

「坊やの言うニーナが誰を指すのか見当も付かないけれど、今からはやめたほうがいいんじゃないかしら?」

 

花柳斎の声が耳を刺激し、俺は振り向く。

 

「部外者のくせにーー」

 

部外者のくせに出しゃばるな!

そう言いたかったが、視界に映った幾つものライトアップに口を閉じざるを得なかった。

やがて6時を知らせる鐘の音が学院内を響かせる。

 

「そうだった、夜会は今日からなんだ!」

 

雷真が慌てて自身のクローゼットから礼服を取り出し羽織る。

 

「早く行かないとマズイんじゃないかしら?」

 

「チッ」

 

花柳斎が未だ扉に手を掛けたままの俺にそんなことを言い、俺は相手に聞こえるよう舌打ちをする。

そうして俺もクローゼットから礼服を取り出し、簡単に羽織ってから部屋を出た。

 

 

「我ら、ヴァルプルギスに集いし者。魔術の火種を守らんがため、血で血を洗わんとーー」

 

開会式の最中、代表者であるマグナスが選手宣誓らしき言葉を述べている。

 

「ちょっと! どこに行ってたのよ!」

 

そんな中雷真と共に列の最後に加わると、それに気付いたシャルがボリュームを落としてはいるものの怒り口調で話し掛けてきた。

 

「悪ぃな、すっかり忘れてて」

 

「信じられない! こんな大事な日を忘れるなんて! あなた手袋持ち(ガントレット)の自覚はあるの?」

 

「ないと思う」

 

「あなたねぇ......」

 

シャルの表情が怒りを通り越して呆たそれへと変わる。

俺は乾いた笑みを浮かべつつも前に向き直ると、すでにマグナスの言葉は終わりを告げていた。

 

「ここに第49回ヴァルプルギスの夕べの開催を宣言する!」

 

学院長の宣言に、参加者の全員が手袋を填めた右手を自身の左胸に当てた。

 

 

「第100位、下から二番目(セカンドラスト)、舞台へ!」

 

日が沈み、月の明かりを押し返すような人工の照明に照らされた7時。

夜会を仕切る者の指示に従い、雷真と夜々が言われた場所へと立つ。

 

「第99位、自ら廻る焔の剣(セイクリッドブレイズ)、舞台へ!」

 

続いて指示に従い舞台に立ったのはケルビムとか言うゴツい自動人形(オートマトン)を使うロキだった。

 

「棄権しろと言ったはずだ、俺は」

 

「断ると言ったぜ、二度も言わせるな」

 

無言のうちにケルビムが動き出し、雷真の隣に控えていた夜々が走り出す。

先行はケルビムだ。

その巨大な腕のような剣で夜々に振り下ろすが、夜々は持ち前の身軽さであっさりと交わす。

 

「お返しはさせてもらうぞ!」

 

言いながら夜々に手のひらを差し向ける。

 

「吹鳴二十四衝!」

 

「はい!」

 

雷真の体から青色の光が発光され、それが夜々に伝い彼女に魔力が与えられる。

夜々は破竹の勢いでケルビムに襲い掛かるがケルビムの装甲の前にそれは効果を為さず、飛び蹴りを放つも見事に避けられてしまう。

それでも勢いは収まらず、次々と雷真の指示に的確に従っていき与えられた魔力を満遍なく使う。

 

「なぁシャル。自ら廻る焔の剣って十三人(ラウンズ)の1人なんだろ?」

 

その様を眺めていた俺はふとあることが気になりシャルに尋ねてみる。

 

「えぇ、そうよ。ただし、元、だけどね」

 

「ふぅん......雷真と互角でやり合ってるようにしか見えねぇんだけど、大したことねぇのかな?」

 

「バカ言わないで。なんのために十三人なんて呼び名があるのよ?」

 

「まぁ、そりゃそうか」

 

言いながら前に向き直ると、ロキの苦虫を噛み潰したような表情が映った。

夜々に蹴り飛ばされ、距離があいたっぽいケルビムの背中からミサイルのような短剣が飛び出るが、夜々の金剛力はそれを安々と弾き返す。

 

「フン......厄介な装甲だな」

 

「刃物で夜々は斬れません!」

 

その言葉に、ロキは不敵に笑った。

 

「斬れるさ。ケルビムに斬れぬ物など存在しないーーケルビム、廻れ!」

 

「I'm ready」

 

ロキの指示に機械音が答える。

直後ケルビムの形状が大きく変化し、それは巨大な剣へと姿を変えた。

そのまま勢い良く廻って夜々に襲い掛かる。

 

「っ......夜々、逃げろ!」

 

「雷真?!」

 

突然の撤退命令に疑問の声を上げるものの、指示通りバックステップで難を逃れる。

が、さらに速度を緩めることなくケルビムは襲い掛かり、そして......

 

「くっ......ぅ!!」

 

通るはずのない刃が夜々に傷を付けた。

辺りに数滴の血が舞う。

 

「勘のいいヤツだ」

 

「どうしたんですか、雷真! 魔力を下さい!」

 

ロキと夜々、それぞれの言葉に今度は雷真の顔が苦虫を噛み潰したようなものへとなる。

それを見て俺は確信し、舞台に背中を向けた。

 

「ーー決着はついたな。......ロキの勝ちだ」

 

そのまま門の外へと行く道を歩き出し始める。

雷真の戦いが終わってから行こうと思っていたが、これ以上見てても仕方が無い。

これ以上はただの負け戦だ。

 

「リュウ? どこに行くのよ?」

 

隣にいたシャルが驚いた様子で尋ねる。

 

「そっちにトータス寮はないわよ?」

 

俺は振り返らず、顔だけをシャルに向けてくすりと笑った。

 

「知ってる。寮に戻る気なんてねーもん」

 

「は......?」

 

予想していた答えが返ってきて、思わず笑いが零れる。

俺はじゃあなと手を振り、止めていた足を動かした。

 

「雷真によろしく」

 

「ちょっと、リュウ!!」

 

「うっ!!」

 

シャルの呼び声が聞こえるのと同時に、雷真の呻き声が舞台から上がった。

 




決めた。
わざわざ聞かなくても実行しちゃえばいいんだ。
というわけで......
活動報告に、ブレスオブファイア5ドラゴンクォーターの簡易まとめを投稿?します。
ドラクォがわからない方は是非読んでください。
なにかわからない単語等があったら遠慮なく質問OKです。
前話でのお気に入り登録、ありがとうございました!
それではお疲れ様です(´・Д・)」
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