転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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ハイチュウの期間限定完熟メロン味マジ美味い......( º﹃º` )じゅるり


区切りが悪かったので、長いです

本文編集(9/30)
タイトル編集(6/25)
なんかいろいろ編集(8/17)


第二十八話:お久しぶりです

(「どうだ、アジーン。あとどんくらいで着きそうだ?」)

 

アジーンにトランスを掛け、その首に跨りながら俺はテレパシーで話し掛ける。

その背後には、やはり同じドラゴン使いだからか慣れた様子でアジーンに跨るシャルがいた。

 

(「もうじき着く」)

 

(「ん、了解」)

 

そう返事をしている間にもアジーンの記憶を覗いたときに見た建物が現実のものとなって視界に映る。

 

「なによこれ?!」

 

が、あのときに見たものと同じものだと認識出来ないほどそこは荒れていた。

 

「ひでぇな......雷真の野郎、やらかしやがって」

 

死体が目を覆いたくなるほどある。

壊れた自動人形も少なくなく、あちらこちらには衝撃で生まれたクレーターも存在していた。

まるで“レンジャー3連戦”の跡地みたいだ。

......まぁ眼前に広がる光景よりもあれのほうが酷かったけど、たぶん。

そのまま空を滑空していると建物を1つ越えた先で3人とそれぞれの自動人形を見つけた。

そのうち2人は何故か滅多打ちにされて地面に倒れている雷真とロキだと分かったが、もう1人がイマイチ分からない。

初めて見る顔だが、あの2人が戦っていたところを見るとあれが『20年前に魔王の座に手を掛けた』という男なんだろうか?

 

「フレイ?!」

 

シャルの声に俺はとっさにフレイの姿を探してしまう。

 

「どうしてあそこに? キンバリー先生は一緒じゃないのかしら?」

 

と、フレイの姿はすぐに見つかったが彼女は雷真とロキの前に立ちはだかり、男の行いを止めにかかるような構造だった。

ケルビムと色違いの自動人形を背後に控えた男が何かを言い、そのまま自動人形に指示を出す。

 

「っ!」

 

瞬間、頭の中で何かがデジャヴった。

たぶん、前世で読んだ漫画とか見たアニメの影響なんだろう。

気が付けば俺はアジーンから飛び降り、重心をなるべく下にして急下降していた。

 

「リュウ?!」

 

「リュウ!!」

 

シャルとアジーンの呼び声が頭上から聞こえてくる。

 

「グッ......」

 

が、時すでに遅し。

全身に幾つもの鋭利な物が突き刺さり、口端からツーッと血が垂れてくるのがわかった。

 

「ーーへへっ、間一髪ってヤツか?」

 

「な、なんで......」

 

フレイが今にも零れ落ちそうなくらい目に涙を溜めている。

俺はただ薄ら笑いを浮かべるくらいしか出来なかった。

 

「さぁな、俺にもわかんねぇよ......体が動いちまった......ま、無事で良かったわ」

 

そのまま足から力が抜け、倒れ伏してしまう。

喉の奥から血が競り上がり、堪えきれずに吐き出した。

 

「いらぬ邪魔が入ったか」

 

ゆっくりと意識が薄れていく中、冷たい声が上から聞こえ俺はしてやったりと笑う。

 

「悪ぃな、邪魔しちまって......けど、フレイを殺すんなら何度でも邪魔すっからな」

 

「ふん、そんな瀕死の状態でどう私を邪魔するつもりだ?」

 

「そいつはそんときに考えるっきゃねーだろ......」

 

「はぁ、どいつもこいつも......こんな出来損ないの個体のどこを見たらそんな風に想い入れが出来るのだろうな?」

 

その言葉に、ピクッとこめかみに力が入る。

思わず男のほうを見てしまうと、やはりと言うか男は呆れ果てた表情をしていた。

 

「出来損ないの個体......?」

 

「そうだ。体は脆く、常に怯え、なにをさせても平均以下の個体を出来損ないと言って何が悪い?」

 

「ッ!! ふざけーー」

 

思わず言い返そうとしたその直後、不意に心臓の脈が大きく波打つ。

なにが起きたと疑問を持つ前に、俺という自我が吹き飛んだ。

 

 

ブワッと異常なまでの魔力が周囲に襲いかかる。

息が吸えなくなるまでに濃密な魔力はしかし行く当てがなく、上空にいたアジーンに全て流し込まれた。

 

「きゃあっ!」

 

許容量を超えた魔力に一瞬理性を押し流され落下しかけるもなんとか持ち直し空に留まる。

 

「ちょっと、しっかりなさいよ!」

 

シャルの声に、アジーンが苦しそうな声で返事とは関係無しに自身に跨る者に呼び掛ける。

 

「......シャルロット・ブリュー」

 

「な、なに?」

 

「今すぐ私を支配しろ」

 

「え......? そ、そんなこと出来るわけないじゃない! あなたの主はリュウなのよ?!」

 

「早く!!」

 

「な、なんなのよ、全く」

 

シャルはなにがなんだかわからないままアジーンに魔力を送り込み、とりあえず強制支配(フォース)する。

と、シャルの強制支配に唯一の行き先を失った魔力は炎となり、地上にいるリュウの周囲を包み込んだ。

 

「......ゥゥウウアアァァァ!!」

 

怒りの篭った唸り声が響くと同時に炎が消滅し、そこから赤き竜人が姿を現す。

 

「なにが、起きてるの......?」

 

「この感覚......ようやく目を覚ましたか」

 

「目を覚ましたって......」

 

眼下で、姿を現したときから起き上がっていた竜人がジッと手前にいる男を睨み付ける。

男はしかしそれに動じず、むしろ挑発するかのような笑みを浮かべていた。

 

「......」

 

「それがどうした。異形の姿になったところで私のルシファーに勝てる者はいない。ましてや貴様は人の身、ルシファーを従えた私の邪魔は出来まーー」

 

竜人の姿が一瞬にして消え失せ、直後男の背後に控えたルシファーが小さな爆発を起こし倒れ込む。

 

「なっーー」

 

知らぬ間に男の背中へと回っていた竜人が鋭い眼光で男を捉えたあと、目にも留まらぬ速さで男の首を弾き飛ばした。

一瞬首なし像が出来上がったが、すぐさま切断面から血が勢いよく噴き出し、吹き飛んだ首が地面をゴロゴロと転がる。

 

「あれ、リュウだよな......?」

 

「あれが......?」

 

そんな目の前の光景に呆気に取られながらもゆっくりと起き上がる雷真の言葉に、ロキが復唱する。

高密度の魔力に押され倒れていたフレイがなんとか立ち上がり、怯えた表情で2人の側に寄る。

 

「あのお姿、この前リュウさんがトランスと呼んでいましたが前に見たときと違います......」

 

夜々が素直にそう言うが、それは雷真も同じ意見だった。

最後に見たのは学院に来る前、列車事故で一緒に止めた時の1回以来だが姿は似ていてもその違いは歴然としていた。

 

「雷真! ロキ!」

 

2人の近くに巨大な質量が着陸し、シャルがお供のシグムントを連れて側に寄る。

 

「シャル!」

 

暴竜(Tレックス)? なぜここに......」

 

「そんなことはどうだっていいわ。それよりもリュウよ」

 

雷真とロキの言葉を一掃し言った言葉に、その場にいる全員が竜人へと視線を向ける。

竜人は男を殺したあとから一歩も動かず、ただ辺りを見回すだけだった。

 

「リュウ......どうしちゃったのかな......?」

 

何気ないフレイの一言に、竜人が突如こちらを視界に収める。

 

『っ!!』

 

相手の怒りを買うような真似をした覚えはないはずなのに、感じたことのない異様な殺気を向けられ全員が戦慄する。

 

「......」

 

だが、竜人はさして彼らをどうこうするつもりはないようで、背中にある翼の退化したような噴射口から勢いよく炎を吐き出して空に飛び上がった。

 

「逃がさん!」

 

不意に物陰からキンバリーが躍り出て、竜人の喉元目掛けて拳銃を放つ。

 

「っ......」

 

竜人の首は竜のそれと同じような硬さを誇り、貫通はしなかったもののほんのわずかに傷を付け、それが功を成したのかそのまま意識を失い力無く地面に落ちる。

受け身を取ることなく落下した竜人の周りを土煙が覆うが、風によって吹き飛ばされ、見慣れたリュウの姿が現れる。

黒のローブを羽織ったキンバリーがうつ伏せで眠るリュウを肩に背負い、呆然と立ち尽くす4人と3体の自動人形を見た。

 

「キ、キンバリー先生......」

 

シャルが上ずった声で彼女の名を呼ぶ。

それは声を上げたシャルのみにならず、各々が表情を浮かべていた。

 

「安心したまえ。本来なら自動人形を持ち出した罪として罰則を与えるところだが、今回だけは特別だ。すぐに学院へ戻るように」

 

その言葉に安堵する者がいる中、雷真だけは複雑そうな表情を浮かべる。

 

「信じられないな、校則には人一倍厳しそうなあんたが許してくれるなんて」

 

「今回だけだ。次に同じことがあるようならそれ相応の対処をする」

 

そうして重傷の2人をそれぞれの人が支え、雷真達は荒れたディバインワークスの研究所を後にした。

そんな彼らの後ろをついていくアジーンが、更に自身の後ろにいるキンバリーをちらりと見る。

 

「友よ......いったいいつからこの世界は道を誤ってしまったのだろうな......」

 

 

一瞬、なにが起きたのかわからなかった。

急に心臓がドクンと大きく脈を打ち、気が付けば俺はいつかの真っ白な空間に辿り着いていた。

 

「......なに、また俺死んだの?」

 

ここに来るのは2度目だ。

そして今、こちらに背中を向けている奴と会うのも。

 

「久しぶりじゃのぅ、リュウ」

 

「今度はジジイキャラ?!」

 

思わず大声で突っ込んでしまい、神にケタケタと笑われてしまう。

 

「嘘だよ。ちょっとやってみたかっただけ」

 

言いながら口の周りについている白髭をビリビリと剥がし、イタイと呻きながら髭のあった部分を摩る。

粘着タイプなんですね、はい。

よくあるよ、スネにガムテープ貼ってビリッと剥がすイタズラ。

 

「で、なんで俺こんなとこにいるんすか」

 

「あーそうそう。ちょっと物は相談でな。今度はハンデなしで転生してやるから、もう一回人生やり直さん?」

 

「......わんもあたいむぷりーず」

 

「デスよねー」

 

んー、と困った表情を浮かべながら神が後ろに手を回し髪の毛をわしゃわしゃと掻き毟る。

神が髪を掻き毟る......やべー、ちょーツマんねー。

 

「急になんなんすか。まぁ確かに? 俺転生してから罪償うとか言っといてなんもしてませんけど?」

 

「いや、それはあんまり問題じゃない」

 

「問題じゃねぇの?!」

 

「あー、もーめんどいな」

 

どうやら踏ん切りが着いたらしい、神が上げていた手を下ろし口を開く。

 

「うん、めんどーなら俺呼ぶなよ」

 

「そう言うなって。んで、はっきり言っちまうけどお前がこのまんま『リュウ・ヴォルフィード』としていると転生先の世界が滅ぶ可能性があるんだよね」

 

「おっと?」

 

「こればっかりはたまたま運の糸と糸とが絡まっちまって起きた出来事だからお前に難はねぇんだよ」

 

「だからハンデなしで新たに転生しろと」

 

「そーゆーこと」

 

話しているうちに段々と状況が掴めてきた。

たぶんだが、今こうなってる原因としてアジーンが絡んでる気がするんだよな。

アジーンとリンクした俺がいつかアジーンの一部になって、下手したらまたドラクォとおんなじことを繰り返そうとしてるって。

 

「ヤダ」

 

「やだ?!」

 

「うん、ヤダ」

 

「な、なんでまた......」

 

「最初に言ってたじゃん。転生先はランダムだって。そん中で大好きなゲームの世界観がある世界に転生出来たんだぜ? また転生するんならいろいろとやり残してきたこと潰してからがいいわ」

 

「なら、今度は転生先の世界を選ばしてやる。おまけに3つぐらい特典付けてやる。これならどうだ」

 

「なんかそれチート感半端ないからヤダ」

 

「えぇー......うーん、なんか他に良い案ねーかなー......」

 

頭を抱え、うんうん唸る神を尻目に俺は大きくあくびをする。

 

「なー。もう帰らしてくれよ」

 

「それはダメだ」

 

「はぁ......」

 

即答で断られ、ため息が出る。

と、不意に頭の中を一つの考えが浮かんだ。

 

「あ、じゃあさ。俺がなんとかして今転生してる世界が滅ばないルート行きゃあいいんだろ?」

 

「無理無理」

 

「ひでぇ! 信用されてねぇじゃん俺!!」

 

「今回ばかりはちっと違うんだな。下手したらお前自身の意思で世界滅ぼすかも知んねーんだから」

 

その言葉を耳にした途端、頭の中が一瞬で白くなる。

 

「へ......? 嘘だろ?」

 

「ホントホント。だからここは大人しく引いてくんない?」

 

「その前に、なんで俺が世界滅ぼすかも知んねーんだよ」

 

ぶっきらぼうにそう尋ねると、神は頬をポリポリと掻きながら口を開いた。

 

「ちょっとややこしいんだけどな。お前の体は転生したときは確かにお前のものだったんだが、まぁいろいろあってそのうちそうじゃなくなる......とまぁ簡単に言えば器ってことになんのかな?」

 

「......誰の器になんだよ?」

 

「そうだな......お前の言うオリジナルって言えばわかるか?」

 

「あ......」

 

その言葉に俺はなにも言えなくなる。

そういえば雷真にこれ以上は諦めた方がいいと言われたとき、自分でも驚くほど激情したのを思い出した。

そして変なことを口走ったことも。

 

ー“ニーナのとき”と同じようになんとかなるで済ませれる話じゃねぇんだ!ー

 

ー......“あのとき”はニーナが毒ガスを吸収して空に行かなくちゃ助けてやれなかったけど、もし今回のことで手遅れになればそれはイコール死と一緒なんだー

 

「ま、そういうわけだから大人しく他の世界に転生してくれや」

 

「......なぁ」

 

「あん?」

 

「もし俺が他の世界に転生したらアジーンはどうなる。今転生してる俺の体はどうなる」

 

「ちょうど良いとこでゴタゴタが起きてるから自然な感じで殺しといて、アジーンって自動人形は流れで壊しとく」

 

「殺すなよ、神様が! 前世も今も俺そんなこと一つもしてねぇぞ?! 俺よりかよっぽどひでぇじゃねぇか! ーーでもなぁ、そっかぁ......」

 

「なんか他にあんのか?」

 

神の問いに、俺は力無く首を振る。

 

「いや......なんで今じゃなきゃダメなんだろーなって」

 

「そりゃこういうのって早めのほうがいいだろ?」

 

「そうかもしんないけど、なんか未練があるっつーかなんつーか......」

 

「......ま、こんなこといきなり言われて不満なのはしょうがねぇけどよ」

 

「え?」

 

突然の出だしに俺はつい振り向いてしまう。

と、神が差し出してきた手の中には赤い勾玉の付いたペンダントが握られていた。

 

「こいつは......?」

 

「もし自分だけじゃどうしようもなく、誰かに頼れる様子がなかったらこいつに念じろ。俺が地上に降りてなんとかすっから」

 

「いいのか?」

 

「あぁ。悪かったな、急にこんな話持ち出しちまって。なんせ今さっき気付いたばっかだったからさ」

 

「わがまま言ってすんません......」

 

ペンダントを渡され、俺は首に掛ける。

 

「じゃ、元に戻すぞ?」

 

「はい、お願いします」

 

今度は自主的に神の前に立ち、いつかのときと同じように額を軽く触れてもらう。

 

「っ......やっぱ慣れねーな、これ......」

 

言いながら視界がぼやけ、ゆっくりと黒く染まっていく。

 

「逆に慣れてもらっても困るがな」

 

クスリと笑う神の声を最後に、俺の意識は途絶えた。




次話からはオリジナル話少し混ぜてから3巻に入ります
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