転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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すったかたったったーん(」・ω・)」

☆全体訂正(9/21)
 タイトル変更(9/23)
 ちっちゃな訂正(9/30)


第三章 Facing "Elf Speeder"
第二十九話:変態紳士。その名はクルーエル


目が覚めると、無機質な天井が視界に映った。

心なしか、寿命が縮んだような感じがする。

普通寿命が縮んだと思うときってむちゃくちゃビックリしたときとかだと思うけど、俺が今感じているのとそれは別の感覚だった。

 

「う......うぅん......」

 

辺りは暗い。

となると今は深夜帯か。

 

「ここ、は......? なにしてんだ俺......」

 

言いながらゆっくり体を起こしてみると、胸元で何かが揺れたのがわかった。

普段しない首飾りが妙にくすぐったくて、気になって手にとってみるとそれは紐の通った赤い勾玉だった。

 

「? こんなんつけてたっけーーあ......」

 

直後、フレイを捨て身で守ったことや突然意識がぶっ飛んだこと、神からよくわからん赤い勾玉のペンダントをもらったことなどが脳裏を駆け巡った。

 

「そうだ、俺......」

 

思わず辺りを見回すが深夜帯ゆえか物の輪郭が見えるだけで、あとは何一つわからなかった。

 

「目が覚めたか」

 

「アジーン......」

 

ふわりと、俺が寝かされていたらしいベッドの布団にアジーンが立つ。

 

「......あのあと俺、どうなった? なに、やらかした?」

 

たぶん、アジーンも俺が急に意識を失ったことに気付いてんじゃないかなと思いながら尋ねてみる。

 

「......それを聞いてどうする」

 

「ぇ......」

 

思わぬ返しにわずかにたじろいでしまう。

 

「別にどうもしねーけど......でも、やっぱ気になんじゃん。わけわかんないままいきなりぶっ倒れたんじゃ余計にーー」

 

「どうもしないならいい。お前が知る必要はない」

 

「......なんだよ、それ」

 

「......」

 

ぽつりと不満を漏らしてみたがアジーンはそれ以降なにも話してくれず、ただ沈黙を守るだけだった。

 

「なんか、いつもと変だ......前はそんなこと一言も言わなかったのに」

 

ちょっと子供っぽい拗ね方かもしれない。

そんなことを思いながら俺は布団を頭まで大きくかぶり口を閉ざした。

 

「......」

 

「......」

 

アジーンも俺も話さないせいで静寂が辺りを支配したせいか、さっき目を覚ましたばっかりなのにだんだんと眠くなり、俺は特に抗うことなく意識を手放した。

 

 

ガチャと扉が音を立てながら開かれる。

 

「あれ、先輩?」

 

そこから現れたのはテストの成績を報告して以来会ってなかったニーナで、彼女は手にバスケットの取っ手を握っていた。

中から赤いリンゴがちらほらする。

 

「リュウ! よかった、目が覚めたのね!」

 

俺に気が付いたニーナがトタパタと俺のそばに寄り、俺が寝かされていたベッドの下から椅子を取り出して座る。

 

「もう、3日も寝たきりのままだからてっきり死んじゃったのかと思ったわ」

 

「やめて?! 勝手に殺さないでお願いだから!」

 

これでも転生をゴリ押しする神から逃げて来た身なんだから......と心の中で呟いてると、クスクスと楽しそうに笑うニーナが口を開く。

 

「でも、その様子だともう大丈夫そうね。最初、あなたが意識のないまま医学部(ここ)に運ばれたって聞いてホント焦ったんだから」

 

「......なんか、すんません」

 

「いいのよ、別に。今こうしてちゃんと話せてるんだから、さ」

 

「ん......」

 

ふんわりとした笑みで言われ、ほんの少しだけ心が温かくなる。

 

「そういえば、先輩はどうしてここに?」

 

ふとそんな純粋な疑問が浮かび上がり、そのまま口にするとニーナの顔がキョトンとなった。

 

「......今の話聞いててわからない? というか雰囲気でわからない?」

 

「え、えっと......お見舞い......とか?」

 

「なぁんだ、ちゃんとわかってるじゃない」

 

「......先輩から見る俺の頭は猿以下ですか」

 

「ふふっ、どうかしらね?」

 

イタズラっぽい笑みを浮かべながらニーナがバスケットからリンゴを取り出し、くだものナイフで皮を剥いていく。

 

「いや、そこは否定しましょうよ?!」

 

「まぁまぁーーはい、これ。あーん」

 

「?! あ、あーん......」

 

何故か4分割されたリンゴをくれるのではなく口元へと運ばれてしまい、驚きつつも大人しく齧るとさっぱりとした甘みが口の中いっぱいに広がった。

 

「んめ」

 

「定番よね、お見舞いにリンゴって」

 

「まぁ、話にはよく聞きますね」

 

「......ねぇ。もしお見舞いにサンドイッチをもらって、そのサンドイッチに毒薬がない代わりに塩をたっぷり入れてあったり、よくわからない試薬品が入れてあったりしたらどうする?」

 

不意に真面目な顔して尋ねてきたニーナに、俺は質問の意図を理解しないもののとりあえずきっぱりと答える。

 

「う〜ん......俺なら問答無用でゴミ箱に捨てます。もしくはくれた本人の口に無理やり押し込むか」

 

と、ニーナの顔が乾いた笑みへと変わった。

 

「あはは......容赦ないわね......」

 

「そりゃまぁやられたらやり返すがモットーですから」

 

はい、嘘です。

今とっさに思い付いて言ってみた。

 

「というか急にどうしたんです? そんなこと聞いて」

 

「ううん、なんでもないの。ちょっと気になっただけ」

 

「? うん」

 

なんだかよくわからないけど、ニーナがそう言うならいっか。

 

「それじゃあクルーエル先生を呼んでくるわね」

 

リンゴを一玉、お互いに半々腹の中に納めたところでニーナが立ち上がる。

 

「クルーエル先生?」

 

聞きなれない名前に俺は首を捻る。

 

「知らないの? 医学部の先生よ。ちょっとスケベだけど、腕はいいの。フレイ......って子もあなたもその人に看てもらったのよ」

 

「へぇ......スケベなぁ......」

 

「そこに反応しないの。行ってくるね」

 

「はーい」

 

俺の返事を聞き、ニーナが部屋から出ていく。

残された俺はさきほどまでニーナと楽しく話していたせいか、なんとなくアジーンのほうを見ていた。

が、ずっと口を閉ざしたまま日当たりのいいところで体を丸めているアジーンはニーナがいなくなったところで取る態度が特に変わることはなかった。

かといって俺から話しかけようなんて気持ちが起きるわけでもないので(アジーンの態度もあるけど、自分でもわかるくらい昨日のことを引きずってる)、気付けば暇潰しにリンゴをもて遊ぶ音が辺りに響いていた。 

やがて再び引き戸が開かれ、そこからニーナと少し前なら男の俺でもかっこいいと思うような白衣の先生が現れる。

彼がたぶん、ニーナが言っていたクルーエル先生なんだろう。

 

「ふん、やっと目を覚ましたか。まったく、3日も個室を占領しやがって」

 

「......」

 

開口一番にそんなことを言われ、ぽかんと口が閉まらなくなってしまう。

 

「まぁ、その原因があの麻酔弾じゃ仕方ないのかもしれないが」

 

「麻酔弾......?」

 

気になる単語を復唱するが、クルーエルは小さく首を振るだけだった。

 

「気にするな、ただの独り言だ」

 

「......」

 

独り言にしちゃぶっそうすぎませんか、それ? と心の中で突っ込む傍ら、彼は一度も止まることなく俺のそばへと立ち、簡単に俺を診察し始める。

 

「まだ麻酔弾の作用が残ってるか......ーーでもまぁ、退院はしていいぞ」

 

その言葉に俺よりも先にニーナが声を上げる。

 

「え? もう良いんですか?」

 

「少し目眩は起きるだろうがな。あと2日も休めば普段通りに生活出来るようになる。夜会でのお前の番はまだ先だが、男の患者はなるべく減らしたいもんでね」

 

「はぁ......」

 

なんだか無茶苦茶な言い分に気の抜けた返事を返しつつ、確かにニーナの言ったとおりスケベなヤツだ、と俺はそうクルーエルを認識した。

 

 

「おわっ」

 

トータス寮を目前にして視界がぐらりと揺れ、足がもつれてしまう。

 

「っと......大丈夫?」

 

幸いニーナがすぐに手を貸してくれてなんとか倒れずに済んだものの、そろそろ体力の限界だった。

ついでに言えば我慢の限界も。

気持ち悪くて吐きそう......。

 

「あの変態医者め、なにが男の患者はなるべく減らしたいだ。仕事拒否ってるだけじゃねーか。職務全うしやがれってんだ、こんちくしょう」

 

「まぁまぁ」

 

ニーナが苦笑しながら俺を宥めようとするが、この苛立ちは簡単には収まりそうになかった。

 

「んなこと言われたって目眩なんか早々起きるかよ、普通。なんだって3回も4回もフラつかなきゃなんねーんだ」

 

「仕方ないわよ。クルーエル先生は独り言だって誤魔化してたけど、麻酔弾?だったかな。その影響だって言ってたんだしーーほら、着いたわよ」

 

そうしているうちにようやくトータス寮のエントランスに辿り着き、一応窓口を覗いてみる。

と、ツイてることに今日の監視当番はルークだった。

 

「すんません、ここまで送ってもらっちゃって」

 

「気にしなくていいの。こんなの、見てるこっちが不安になって仕方ないわ」

 

「うぅ......」

 

「ん? お、リュウ。もう体調はいいのーーその様子じゃ全然って感じだな。クルーエルに追い出された口だろ?」

 

ルークさんがこちらに気が付き、窓口から顔を覗かせる。

 

「わざわざ送ってくれたのか?」

 

「フラフラしてて見てられなかったので」

 

クスッと笑いながら言うニーナに、俺は呻きながら彼女の袖を引っ張る。

 

「笑うことないじゃないすか、先輩〜」

 

「まぁ、こんな顔色してる奴が歩いてたらそりゃ誰でも手を貸したくなるわな」

 

「え、俺そんなに酷い顔してます?」

 

「げっそりって感じだな。気持ち悪いのか」

 

「......なんでわかんの」

 

「見てりゃわかるっての」

 

「だから笑うなよ......」

 

ルークにも笑われ、俺はうぅ......と塞ぎ込む。

 

「すみません、部屋まで送ってあげてもいいですか?」

 

「構わんーーっと、これが部屋の鍵だ。よろしく頼むな」

 

「はい」

 

ニーナの申し出にルークはあっさりと許可を出し、俺は彼女に支えられながらも3日ぶり(寝てたからわからんが)の自室へ戻ってきた。

部屋には誰もおらず、授業がある関係で空いてるのかとも思ったがD-ワークスの研究所についた時点で雷真がボロボロだったことを思い出し入院中だからかと1人で納得した。

 

「はい、これ」

 

そのままベッドに座らせてもらい、水の入ったコップまでもらってしまう。

 

「ありがとうございます」

 

俺は水を一口含むと、それだけでニーナにコップを取り上げられ、彼女に布団を掛けさせてもらう。

......なんだか介護されてるみたいだ。

いや、実際にそうなんだろうけど。

 

「私はこれで帰るけど、ちゃんと横になっているのよ?」

 

「はぁい......」

 

そうしてニーナが部屋から出て行き、室内には俺とアジーンが残されるが気分が優れないせいか昼だというのにすぐに落ちた。

 

 

その夜。

月明かりが薄く照らす室内で、ゆっくりと動く物影があった。

アジーンがピクリとそれに反応し、翼を伸ばして物影の側に寄る。

 

「アジーン」

 

物影は優しそうな声でアジーンに手を伸ばし、頭をそっと撫でる。

 

「久しいな、友よ」

 

「その呼び方なんとかならないの? 普通に“リュウ”でいいのに」

 

クスッと笑いながら、“リュウ”が立ち上がる。

 

「今更呼び方を変えろと?」

 

それに釣られてアジーンも飛び、リュウの頭の上に乗る。

 

「そっちのほうが気が楽ってだけだよ......それにしても随分と表情が良くなったね。転生した頃はほとんど無口で無表情だったのに」

 

「......おそらく、この者の影響なのだろうな」

 

「リュウ君、か......」

 

ふと小さく微笑んでいた表情に陰りが見られる。

 

「どうした、宿主というのは慣れんか?」

 

「それは、ね......俺が現世に戻ることで、代わりの誰かが犠牲になるっていうのは辛いよ......」

 

「それもまた運命(さだめ)だ。気に負うことはない」

 

「そういうものなのかな......ーーそろそろ行こうか、アジーン。やるべきことは山ほどあるんだから」

 

「あぁ」

 

「......D-ダイブ」

 

アジーンの返事を聞き、リュウの体が炎に包まれる。

そうして現れたのは、ディバインワークスで見たのと同じ赤い竜人。

 

ドラゴナイズド・フォーム。

 

それはそう言う風に呼ばれていた。

 

「......」

 

リュウは無言で窓を開け放ち、そうして空中へと身を躍らせた。

 




最後あたり、なんかD-gray.manのアレン君と14番目(ネアさんです)の関係っぽくなっちゃった......
(;ω; ))オロオロ(( ;ω;)オロオロ
私はなにも悪くない!!←
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