転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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3巻を学校の図書室から正式的な手続きを取って借りてないから、なんとかして夏休み中にこの話完結させないと......
でも、なんも思いつかない......おわたw

全体修正(10/19)
本文追加&脱字訂正(10/23)


第三十六話:壊れていた記憶

「困ったな......ここにも警備が......」

 

辺りを見回し終え、草陰へとため息と共に身を潜める。

 

「どうですか......?」

 

アンリの問いに、リュウは首を振りながら動き出す。

 

「ダメだ、他の道を探そう」

 

元ある記憶を探りながら、リュウを先頭に別ルートへと移動していく。

 

トータス寮に戻ると決めてから、大分時間が経ってしまった。

昨日の時計塔の崩壊、今朝の時計塔跡地の崩落と立て続けに起きたことによりかなりの距離に渡って警備や風紀委員が張り巡らされている......加えて学院の長が行方不明というのであればそれも仕方の無いことかもしれない。

日が出ていることもあるが、彼が慎重に行動する理由は他にもあった。

というのも、人目を避けるにしてもリュウ一人だけならばまだいい。

自動人形を幾つも破壊したことは事実だが、偽物とはいえ証拠の一つが出されてもこの状況では他のことになど手を付けていられないだろう。

よって多少の警戒だけで済むが彼女......アンリは違う。

シャルに劣るとはいえ、彼女とアンリは似通った部分が多い。

ひとたび一目のある場所に出ればすぐに捕まってしまう......例えその後彼女とは違うと判断されても、今度はアンリ自身が不法入学の罪で捕まってしまうだろう。

仮に入学手続きを踏んでここにいたとしても、相手はセドリックだ。

まともな手続きを踏んだとは考えにくい。

なんにせよ、今ここで捕まるわけにはいかなかった。

 

「待って。確かこの辺だったと思うんだけど......」

 

言いながら、再び草陰から辺りを見回してみる。

と、ここでようやく人気のない道を見つけることができた。

 

「おいで、アンリ。ここなら大丈夫だ」

 

リュウに手招かれ、アンリも草陰から抜ける。

 

「トータス寮まであと少しだけど......どこか怪我はない?」

 

「はい......なんともないです」

 

「よかった。それじゃあ行こう」

 

小さく微笑み、そう言って歩き出したときだった。

 

「グッ」

 

わずかな呻き声と共に、アンリの目の前からリュウの姿が掻き消える。

直後、自身の近くで衝撃音がし、彼女は反射的に耳を塞ぎその場にしゃがみ込んだ。

 

「リュウ......さん?」

 

傍で何かが降り立つ気配がし、恐る恐る顔を上げる。

だが、そこにあったのは紺色のスーツではない別のソレだった。

 

 

突如として腹部に襲いかかった衝撃。

なにが起きたーーそう考える間もなく吹っ飛んだ体に追撃が加えられる。

 

「かはっ!!」

 

地面に叩きつけられたせいでリュウの口から血塊が吐き出されるが、一旦はこれで終わりのようだった。

 

「リュウさん!!」

 

アンリの叫び声が聴覚を刺激する。

自身の体に落ちてきた砂埃を払い、リュウはゆっくりと起き上がって相手を見据えた。

視界の隅で、自身の周りに小さなクレーターが出来上がっているが映る。

相当強く叩きつけられたらしい......が、動けないほどのダメージではなかった。

 

「大丈夫か、リュウ」

 

「ごめん......ちょっと油断した」

 

アジーンに言葉を返しながら、リュウは先ほど自身がいたほうを見つめる。

叩きつけられた衝撃で舞い上がった砂埃が風に飛んでいき、そうして姿を見せた襲撃者はセドリックの後ろに控えていたシンだった。

 

「きみはあの子の......」

 

「おや? こうして対面の場を持つのは初めてでしたか、それは失礼いたしました」

 

伊達に執事はやっていないらしい、シンは礼儀正しく一礼するとメガネを掛け直した。

 

「私の名はシンと申します。以後お見知り置きを......と言いたいところですが、あなたにはここで終わってもらいます」

 

「アンリを、取り返しに来たんだよね?」

 

「確かにそれもありますが、私がここにいる理由はあなたですよ」

 

「おれ......?」

 

「坊ちゃまはあなたに情報を与え過ぎた......それなのにも関わらず、反旗を翻されてなお対策の一つも取ろうとしない......坊ちゃまの落ち度もありますが、あなたは坊ちゃまにとって危険因子なのですよ」

 

「だから、始末する......」

 

「理解が早くて助かります」

 

その言葉を最後に、シンの姿が視界から失せる。

来るーーそんな直感にリュウはすぐさま両足を踏ん張り、腕を胸の前でクロスさせた。

果たしてリュウの直感は見事に当たり、彼の腕に強力な蹴りが入れられる。

その勢いは凄まじく、地面に10mにも及ぶ2本の溝を作り上げていた。

だが、それだけでは止まらない。

シンは次々と姿を眩まし、と思えばリュウの上下左右傍に現れ強烈な蹴りを食らわしていく。

防御し、死角を突かれ蹴りが入る。

時間にして、わずか1分。

直感に従い防御したとはいえ、それまでの間にどれほどの攻撃が当たったのか......リュウの体はボロボロだった。

それでもまだ耐えていられるのは、その精神のおかげか。

 

「っはぁ、はぁ、はぁ......」

 

「しつこいですね。あなた、本当に人間ですか?」

 

呆れた声で問いかけて、シンはあぁと一人納得する。

 

「失敬、愚問でしたね。自動人形を手で破壊していたあなたを人間として見做すなど、私もどうかしている」

 

そう言って自嘲するように忍び笑いをシンが漏らしたとき、リュウの瞳が、纏う雰囲気が変わった。

ブワッと、彼を炎のオーラが包み込む。

 

「......ゥゥウウアアァァァ!!」

 

そんな叫び声と共に包み込んだ炎が弾け、中からD-ダイブしたリュウが現れる。

そうしてリュウは、背中にある噴出口で自身のスピードを上げシンと同等......否、それ以上の速さでシンにその手を振りかぶった。

 

「っ!!」

 

済んでのところで身を逸らし直撃を免れたものの、シンの服は破けその肌には一筋の傷跡が出来上がっていた。

 

「......」

 

先ほどまでの傷はどこへやら、リュウは口を開くことなくそのまま追撃を加えようとシンに迫る。

が、シンは一気に後退すると空へ飛び上がり瞬く間に遠ざかってしまった。

自身の蹴りを何度受けても耐え、たった一度の反撃......それも掠っただけで出血したという事態に撤退したようだ。

 

「うぐっ......」

 

シンがいなくなったことを確認しクールダウンしたリュウは体力の限界を悟ったのか、そのまま倒れこんでしまう。

 

「リュウさん!」

 

戦火の届かなさそうな、どこか安全な場所へと避難していたのだろうアンリが慌ててリュウへと駆け寄る。

 

「大......丈夫......少し横になれば、平気だから......」

 

そう言うと、リュウは体を仰向けにし目を閉じてしまった。

 

「ど、どうしよう......」

 

そうして取り残されてしまったアンリは辺りを見回す。

警備や風紀委が巡回する中で、こんなドンパチをやらかせば必ず駆けつけるだろう。

そうなれば今までリュウが慎重に行動して来たことが水の泡となってしまう。

たとえここが人気のない場所だとはいえ、見つかるのも時間の問題だ。

 

「ん〜〜っ!!」

 

今にもパニックに陥りそうな頭で必死に考えた結果アンリはリュウの腕を掴み、引き摺ってでも草陰に隠れて大人しくするというのが今の彼女の限界だった。

 

「......」

 

それを見届けたアジーンはアンリに気付かれないよう高度を上げ、そのまま行方をくらました。

 

 

(やっと出られた〜!!)

 

眼前に広がる小さな炭鉱町のような場所に、俺は内心大きく伸びをする。

最下層区街。

廃物遺棄坑を抜けた先にある、最もD値の低いかなり空気の淀んだ場所。

というのも、あれから俺はストーリーに沿うようにしてリフトから落下しました。

それも200キロも深いところに。

え、なんで生きてんだってか?

もちろん主人公だからさ(`・ω・´)

じゃなくて、ここでアジーンの適格者となったからなんですね、はい。全くもってありがたいのかありがたくないのか......。

そのあとはサイクロプスっていう変態モンスターが誘拐しようとしてるニーナをかっこよーく助け、俺を奈落の底へ叩きつけたリンと一旦停戦協定?を結び共にここへ来たって感じ。

なんだけど。

 

「ーーレンジャー?」

 

「え? あ、ごめん」

 

ふとリンの声がして視線を向ければ2人は少しだけ先に行っており、俺は軽く謝りながら彼らに追いつく。

 

このあとなんか重大イベントがあったような気がするんだけど、上手く思い出せないんだよなぁ......。

オープニングから任務、リンやニーナとの出会いまでちゃんと覚えてたってのに、なんでここにきて記憶がぼやけてんのかすっげぇ謎。

まぁぐちぐち言っても仕方ないし、進むしかないんだけどな。

 

「すまない、上の層へ行きたいんだが......」

 

先に行ったリンが街の出口付近にいる作業服を来た青年にそう尋ねると、彼は自分の後ろを見て答えてくれた。

 

「上の層へ行くならリフトの乗り場はここだけど......次のリフトがいつ来るかまではわからないかな」

 

「ありがとう」

 

「おう」

 

リンがお礼を言い、建設現場の足場で作られたような簡易階段の上から合図を送る。

俺はそれをしっかりと受け取り、ニーナの手を取った。

 

「行こう、ニーナ」

 

そのまま階段を登っていき、リンについていく。

そうして着いたのはなんか赤っぽい光で照らされている、下層区リフトポートとそっくりな構造をした場所だった。

 

「あ......」

 

瞬間俺はここで起きることをうっすらと思い出し、思わず声が漏れる。

少しだけとはいえ、なんでこんなときに思い出すかな?!

もう少し早く思い出そうよ、俺!!

 

「どうした?」

 

それに気付いたリンに尋ねられ、なんでもないと返そうとしたときリフト到着のクラクションが鳴らされた。

 

「くっ......」

 

辺りいっぱいにリフトの放つ発光色に包まれ、俺らは目が眩む。

いくつもの足音が響く中で視覚を取り戻した俺は、その姿にため息しか出なかった。

 

「ボッシュも無事だったんだ?」

 

お仲間のレンジャー2人と一緒に降りてきたボッシュは答えず、しかも俺は最初から眼中にないとでも言うかのように後ろのニーナとリンに視線を向けていた。

 

犯罪者(トリニティ)が一緒か......こいつで間違いなさそうだ......上出来だよ、リュウ」

 

そのまま俺のそばを通り過ぎたところで立ち止まり、レイピアを抜いたのを見て俺は慌ててニーナを守るようにして立つリンとボッシュの間に移動する。

こんな展開、覚えてねーぞ?!

 

「ま......待てよボッシュ! ニーナがどうしたってんだ?」

 

俺の問いにようやくボッシュが視線を向けてくれる。

 

「命令は、積荷の確実な処分だ......それ以外のことをお前が知る必要はない」

 

そう言って歩き出そうとするボッシュの前に、俺は一歩踏み出して立ち塞がった。

そんな俺の行動にボッシュの視線が再びこちらへと向く。

だがそれは苛立ちや焦りに満ちたものだった。

 

「邪魔する気か......?」

 

「邪魔するもなにもちゃんと説明してくれよ! 積荷? 処分? なんだよ、それ! だいたい、ニーナが積荷だっていうなら、証拠はどこにあんだよ!」

 

「リュウ......俺は、な」

 

「......?」

 

不意になんの感情の色もなくなった声で話しかけられ、俺は口を噤みボッシュの続きを待つ。

 

「グッ?!」

 

なんの前触れもなく左足に突き刺さるような激痛が走り、その場に崩れ落ちてしまう。

 

「ボッシュ......てめぇ......!」

 

痛みを堪えようと閉じてしまった瞳のもう片方に写るそれは、半眼で自身のレイピアを俺の足に突き刺すボッシュだった。

 

「......」

 

「グアッ!!」

 

再び激痛。

今度は肉を割かれるような痛みにまともに思考が出来なくなる。

 

「俺は、こんなところでつまづいてるわけにはいかないんだよ」

 

そこでボッシュがようやく剣を抜いてくれるが、当然痛みが消えてくれるはずがなかった。

ふっ、と隣に誰かが支えてくれるような気配を感じ、けれどもそれがニーナだとすぐに悟る。

 

「ふん......ずいぶんとなついてるじゃないか」

 

「......!」

 

ニーナがあげた声なき声に、俺はとっさに顔を上げる。

と、ボッシュがニーナの首元にレイピアの切っ先を当てていた。

 

「やめろ......ボッシュ......」

 

プルプルと震える手をなんとかして動かし、せめてもの思いで抵抗する。

 

「リュウ、お前......」

 

直後、俺の喉をボッシュのレイピアが貫いた。

痛みを通り越し、ゆっくりと失われていく意識の中で俺ははっきりと思い出す。

この、最下層区リフトポートで起きる全てを。

 

ーーあぁ、そういやこんな展開だったっけ......なんで今更思い出すのかなぁ......。

 

そうして俺の頭の中にアジーンの声が響いた。

 

 

人体の急所とも呼べる喉。

2本あるうちのどちらか一方が切れるだけで意識の消失や脳停止を引き起こす、喉仏の横側に存在する頸動脈のある首。

それを刺されて息をする者はどこにもいない。

実際、ボッシュによって息の根を止められたリュウの瞳に光はなく、ただ虚空が写っていた。

......はずだった。

 

「なっ......?!」

 

ボッシュの驚く声が辺りに響く。

ゆっくりと、けれども意思を持って動き出したリュウの手はしっかりと自身の喉に刺さる剣を握り、一気に引き抜いた。

虚空の写る瞳がレイピアの切っ先を見つめて数秒。

その肩は息をするべく動き、そして次の瞬間にはリュウを紅い炎が包み込んだ。

そうして現れたのは、Dワークスの研究所でも見せたあの姿。

 

「ーーはぁ!」

 

驚きつつも冷静を取り戻したボッシュが、だからどうしたと言わんばかりにレイピアを得意の技の形で何度も突き出す。

 

「グッ......」

 

だが、

 

「バカな! 俺の獣剣技が効かないなんて?!」

 

レイピアの抜かれたリュウの体にはなに一つとして傷を負っていなかった。

リュウの紅い瞳がボッシュを捉える。

 

「ヴゥゥ......ヴァァ!」

 

そうして唖然に取られるボッシュの体に1本の腕が振り下ろされた。

 

 

心臓の鼓動が、大きく脈を打っている。

 

心臓を鷲掴みにされているような感覚が抜けない。

 

視界がなんどもぼやけては焦点が合わさる。

 

そんな中で俺は、血を流し倒れるレンジャー2人とボロボロのボッシュ......そして、恐怖を顔に張り付けたニーナと警戒するリンを認識した。

 

ーーこうやって見ると、ずいぶんと暴れたんだろうな......どーせD-ダイブした俺の圧勝なんだろうけど......。

 

そんなことを思いながら、俺はまた意識を失った。

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