転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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次話が分岐点です。
4巻の内容に、オリ主が関わるかどうかの......。
活動報告にてアンケートやってるんで、出来ればあと1週間以内に3つくらいは意見欲しいので、頼みます

補足のつもりで、今話は雷真サイドです。


第四十四話:シャルの爆弾発言

リュウのお見舞いから3日が経った朝。

シンとの戦いにより負傷したため医学部にて日夜を過ごす彼の空きベッドを有効活用するまでは良いと思う。

だが、同僚がいないことを良いことにほぼ毎日就寝時を襲撃してくる狩人から貞操を守る日々というのは精神的に辛いものがあった。

そんな悲しい毎夜を送る雷真は今日も寝不足の朝を迎えていた。

狩人......もとい夜々は抵抗する雷真と暴れ過ぎて疲れたのか一人夢の中だった。

 

「早くリュウのやつ帰ってこないかな......」

 

切実に願い、その想いは日を増すごとに強くなっていく。

いくら長年共に戦い、過ごし、何度も性欲を掻き立てられるような行動を起こされても一時であれば“馬鹿者”と躾けることで堪えてきたがほぼ毎日ではさすがの雷真も叶わない。

大きくため息を吐き、洗面所にて冷たい水を顔にかけることで眠気を吹き飛ばしたとき、遠慮がちにドアがノックされた。

朝だからか、まだ寝ているかもしれないとの配慮なのだろう。

雷真は夜々を起こさないようそっとドアを開けると、リュウがルークと呼んでいた寮監がいた。

 

「朝早くからどうしたんだ?」

 

「こんな朝早くから、お姫様がお呼びだぜ。全く、東洋人のくせによくモテるんだから、羨ましい限りだわ」

 

なぜか毒突きながら、言うだけ言うと去るルークに首を傾げつつ、彼の言葉に更にまた首を捻る。

 

お姫様とは一体誰のことを指すのだろうか?

 

わざわざ寮監が呼びに来たところを見ると、雷真に御用のある人物はトータス寮の前で待っているのだろう。

彼自身、女友達はシャルとアンリ、そしてフレイぐらいしかいないのでその辺りなのだろうと予想するが、こんな朝早くから約束を取り付けた覚えはない......ともかく、彼は会ったほうが早いと思考を切り替え寮の出入り口へと向かった。

 

「シャル?」

 

と、その先にいたのはきらびやかな金髪のよく似合う、整った顔立ちやスラリとした体格を持つ美少女......シャルがいた。

先日、学院長が設けた全学年集会の場で彼女は時計塔を崩壊させたことを詫び、全貌を明らかにしたことで今もなお学院に留まれていた。

またリュウが睨んだ通り、と言うか。

アンリは入学届けに虚偽が見つかったため学籍を抹消される結末を辿ってしまったが、キンバリー教授の計らいにより彼女の使用人としてこちらも学院に留まれるようになった。

 

「遅かったわね、乙女をこんなに待たせた挙句ノコノコと現れるなんて......そ、その......」

 

不意に言葉を濁し出し、照れたようにポツリポツリと紡ぐシャルだったが、

 

「相変わらずというか、最低な......よね」

 

肝心なところで聞こえず、雷真はなんだ?と思いながらも正直に聞こえなかったことを明かす。

 

「悪い、もう一回言ってくれないか?」

 

するとシャルはカーッと頬を真っ赤に染め、なんでもないわよ!と言ってソッポを向いてしまった。

いよいよわけがわからなくなってきた雷真は、大きくため息を吐きながらも用件を尋ねる。

 

「で、こんな朝早くからどうしたんだよ?」

 

「あなた、自分で頼んだことを忘れたの?」

 

「え? ーーあぁ、悪い」

 

言いながら雷真は、昨日シャルにある頼み事をしていたのを思い出した。

ロキは今だに怪我が治っていないので傷病欠場が認められるが、先日の騒ぎに雷真は無理に治ったとクルーエルに許しを得、動き出したため夜会へ出なければいけなかった。

そこでフレイと手を組んだのだが、彼女と共闘するのに相手のことを把握するのは必需......そこでマメに調べてくれるシャルを頼ったのだが、生憎シャルも把握しておらず、頼りっぱなしとわかっていながらも明日参戦予定の相手......序列75位のことを調べて欲しいとお願いしたのだ。

 

「まだ寝ぼけてるんだ」

 

「......またあの子と暴れてたの?」

 

「またって言うな、夜々が突っ込んでくるから寝れないんだよ」

 

そんな彼の返しにシャルはクスリと笑う。

と、不意に雷真とシャルは背中に異様な悪寒を感じ取った。

ギギギ......と音がしそうなほどゆっくり振り向くと、その先では角から視線を浴びせてくる人物が1人......寝ているはずの夜々だった。

 

「ら〜い〜し〜ん〜?」

 

「夜々?! お前なんでーー」

 

阿修羅がずんずんと歩みを進めてきたと思えば雷真の首を掴み、ぐわんぐわんと大きく揺さぶり出した。

 

「夜々を差し置いてシャルロットさんと逢い引きなんて、酷いです〜〜っ!! それもこんな朝から〜〜っ!!」

 

「やめ、だってお前寝てたじゃないか!!」

 

「それとこれとは関係ないですっっ」

 

「やめなさいよ!!」

 

雷真と夜々の間に割って入り、シャルがジッと夜々を見る。

 

「なんですか、シャルロットさん。雷真との間に入って来ないでもらえますか?」

 

「あなたが彼の首を締めるからよ」

 

ゲホッゲホッと咳をする雷真を示すシャル。

夜々は気にした様子もなく

 

「雷真が夜々に内緒でしたのが悪いんです」

 

「内緒って、彼はあなたの彼氏でもなんでもないんだから、別にいいじゃないの」

 

「シャル、ついにわかってくれたのか......!!」

 

息を整え終え、優しく首をさする雷真にシャルはほんのりと頬を染め

 

「だって、あなた、私に言ったものね。俺の足なんか、いくらでも引っ張れって」

 

「あ、あぁ......」

 

「あれは、その、いわゆる、一生涯......私の面倒を......ってことなんでしょう?」

 

恥ずかしそうに何かを言うシャルは今日で早くも2回目だが、2回目であり夜々の目の前ということもあり理解してしまった。

とすれば、1回目も大体似たようなものだろう......『彼氏』と。

 

「どうしてそうなった?!」

 

雷真は咄嗟にそう突っ込むが、遅かった。

 

「うぅ......うわーん!」

 

「ちょっ、夜々?! どこに行く?!」

 

涙を流し、走り出した夜々の腕を掴もうと雷真は手を伸ばしたが叶わず、林の中へと姿を消してしまった。

シャルは嬉しそうにふふんと鼻で笑い、

 

「私の勝ちねーーいたっ、なにするのよ!!」

 

「なにが勝ちだ! 夜々のやつどっかいっちまったじゃねーか!」

 

「どうせそのうち帰ってくるわよ」

 

雷真にチョップされた額を抑えながらむすっと呟く。

雷真ははぁっとため息をつき、寮へと歩き出した。

 

「ちょっと! 夜会のことは?!」

 

「......夜々が戻ってから聞く」

 

雷真はそれ以降なにを言うこともなく、そのまま帰ってしまった。

 

「なによ、あいつ......」

 

シャルはふいと顔を逸らし、踵を返して自身も寮へと戻っていった。

 

 

ゆっくりと太陽の端が地平線に吸い込まれていく。

 

時刻は午後5時。

 

だと言うのに、今だ夜々が帰ってくる気配はなかった。

講義を終え、入室許可を取らせたフレイと共にトータス寮にて夜々を待つが、そろそろ本気でマズイ。

フレイはガルムシリーズの世話があるからいいが、雷真は特にやることがなくそれが余計に彼を焦らせる要因となっていた。

 

そわそわ、そわそわ

 

どうにも落ち着いていられず、窓から夜々の姿を探し出した雷真の背中に頼りない声が掛けられた。

 

「夜々ちゃん......探す?」

 

「いいのか......?」

 

恐る恐る、といった感じで尋ねられ、雷真は信じられない思いで振り返る。

 

「ラビたちがいたら、すぐに見つかる......と思う」

 

雷真は俯き、申し訳ないと思いつつも

 

「......頼んでいいか?」

 

「う......任せて」

 

小さく頷き、フレイがラビに跨がって部屋から出ていく。

ほんの少ししかしないうちに寮の外を駆け抜けるガルムシリーズが見え、雷真もまた窓から夜々の姿を探した。

 

ーーそうして30分ほどが経過したあと。

 

「夜々!!」

 

フレイ、ガルムシリーズと共に歩く夜々の姿を捉え、彼は飛び出す勢いで部屋から出る。

そのままフレイらの元に向かうと、雷真が真っ先にしたのは

 

「雷......真......?」

 

「夜々、どこ行ってたんだ......心配したぞ......」

 

夜々が戸惑う声を上げるのも気にせず、彼はギュッと彼女を抱き締める。

 

「......すみません」

 

だが、彼女はそう言うと自ら引くように雷真の体を押した。

 

「夜々......?」

 

安心のあまり抱き付いてしまったのはアレだが、普段の彼女なら喜びそうなものだ。

だが、夜々は特に反応することもなければむしろ自身との距離を取ろうとする。

朝とのあまりの変貌ぶりに雷真は不安を覚えるが

 

「あ......夜会......」

 

ぽつりと呟かれたフレイの言葉に現実へと戻された。

 

「しまった、もうそんな時間か......夜々のことありがとな」

 

「う......これくらい、なんでもない」

 

「そう何度あっても参るけどな。なっ、夜々?」

 

ぽん、と彼女の頭の上に手を置き、場の雰囲気を和らげるつもりで言う。

 

「結局作戦は練れなかったが、まぁなんとかなるだろ。お互い頑張ろうな」

 

「うん」

 

「じゃあ、また後で」

 

そんな雷真の言葉を最後に、フレイはラビに跨がりその他のガルムシリーズと共に林へと姿を消した。

 

「夜々、俺らも準備するぞ。どーせ今日も向こうは来ないかもしれないがな」

 

「あ......はい♡」

 

夜々が頷いたのを見て、雷真は自身でも気付かないうちに彼女の手を引いて寮へと歩き出した。

 

 

午後6時半。

フレイと共に舞台へと上がってから30分が経過した。

 

「来ませんね、相手......」

 

「今夜来なかったら、下手すれば一気に14人と戦わなくちゃならないってことになるのか?」

 

「たぶん......そうだと、思う」

 

ギャラリーも退屈そうだ。

応援のために来てくれたシャルもウトウトしている。

口元を押さえつつも、欠伸を噛み締めているのがわかった。

これ以上の連戦になる可能性を消したいため来て欲しいと思う反面、夜々のことがあるので今日ばかりは仕方がないんじゃないかと思ってしまう。

チラリと夜々を見てみるが、やはりどこか無理をしていつも通り振舞っているような気配があった。

 

(いったいなにがあったんだ......)

 

今尋ねてしまってもいいのだが、パートナーと仲違いになっているなど敵に知られたくない。

と、不意にギャラリー達がざわめき始めた。

口々に喋り出し、一気に辺りが騒がしくなる。

 

「来たか?」

 

彼らが視線を送る先を見てみると、どうも当たりらしい、今までサボタージュ......所謂サボりを決め込んで戦闘を回避していた序列86位が現れた。

一応シャルからは86位含め75位全ての情報を教えてもらってはいるが、ようやく活用出来そうだった。

 

「相手は1人......か。行くぞ、夜々、フレイ」

 

「はい!」

 

「うん......!」

 

雷真の掛け声に、夜々が走り出し、フレイはガルム達に魔力を送り込み散開させた。

 

 

 

 

 

結果、この夜会では雷真達が勝利を収めた。

途中、死角を突いて現れた4人の夜会参加者により2人と6体対5人と5体となってしまい、辛うじて倒すことが出来たものの雷真と夜々のコンビネーションが祟って彼は怪我を負ってしまう。

それが原因なのか......その夜、夜々は時刻を見てくると言って姿を消したまま帰ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

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