八ヶ月だよ、八ヶ月。
なんか最近急に創作意欲が湧いて筆がスラスラ進むのなんの。
今までが一体何だったの?って聞きたくなるぐらい。
ただ、自分でいつも投稿する前に読み返すけどいつもよりひどかった。
だって主人公いないもん(ネタバレ
もちろんオリ主だよ?
雷真は一応いる。
けど、役立たずなんす。
じゃなくて、無駄にダラダラと長いんでとりあえず一区切り&出来上がったとこまで。
終わりが見えないんだよ、ちくしょう。
どうやって終わろうか非常に悩んでいる。
どっちに転んでもクズ展開しかないだろうけどね。
「ニーナを助けたくて......ただそれだけのために空を目指した。
ニーナが助かればそれでよかった。
アジーンはそんなおれに生きろと言ってくれた。
世界を託すと言ってくれた」
その口調は酷く穏やかなのに、そこから醸し出される敵意は、殺意は本物だ。
「けど、現状はどう?
なにも変わってないじゃないか。
それだけじゃない、世界が広くなった分地下に居た頃よりももっと酷くなってる。
それならまだ、おれは」
それまでわけがわからず静かにリュウの言葉を聞いていた男は、リュウが言葉を切ったタイミングでそう問いかける。
だがそれは最後まで紡がれることはなかった。
「なにが言いた......ぐふっ」
暗闇の中、男は吐血しそのまま重力に従って倒れる。
その胸には丸い穴が開けられており、人間のあるべき心臓部が失われていた。
「......」
ジワジワと広がる“血の海”を、リュウは“赤くなった瞳”でただ無心に眺めていた。
そうして彼は小さく首を振ると、自身の肉体をドラゴナイズド・フォームに切り替え拘束具から力技で抜け出す。
「行こう、アジーン」
闇に呼び掛け、そこからアジーンが小さな翼でリュウの右肩に留まる。
「......あぁ」
そう返事をするアジーンの声は、どこか寂しそうに聞こえた。
☆
「よっ」
そんな声を上げながら地上、さらにはヴァルプルギス王立機巧学院へと降り立った神は辺りをぐるりと見回す。
「さて、と。俺は今どこにいるんだ?」
一応、彼の目の前にはボロボロの寮があるが、リュウが転生したこの世界を常に見てきたわけではない彼にとってそこから得られる情報など皆無だった。
......つまるところ、右も左もわからない迷子なわけだが。
それを彼自身も理解しているのか、地上に降り立った今更ながらに後悔していた。
「参ったな......あいつの関係ぐらいしか見てきてねぇからさっぱりわかんねぇ......こんなことになるならちゃんと下準備してこりゃよかった」
頭をガシガシと掻きながら、神は小さくため息をつき、“しゃあねぇ!”と気合を入れ直して歩き出す。
なにもわからないのならば、この世界の住人に聞けばいい。
そのうちの誰かの記憶をある程度覗けば少しくらいは今の状況もマシになるだろ。
と、完全に神という権限をフル活用する案を思い浮かべていく彼だったが、そこでふと大事なことに気が付いた。
「そういや俺、今名前ないじゃん!」
これじゃ誰か見つけても話しかけられねーし......と早速自身の名を考える神。
あーでもない、こーでもないと悩んで10分。
「んー......まぁ、
そうして決めた名は、最初からそうしろよとツッコミが来そうな、考察した10分が無駄になるようなものだった。
そのまま彼は態勢を整え、深呼吸を繰り返しながら世界の根元に踏み込む。
「よし......あいつの知り合い辺りにでも染み込ましておけば充分だろ......ッ?!」
神ーー改めて神代 仁が腕を下ろした途端、彼の視界が一気に歪みそのバランスを崩しにかかる。
「とっとっとっーーはぁ、はぁ、はぁ」
フラつきながらも近くにあった木を支えにし、そのままほんの1分ほど安静にする。
再び顔を上げたとき、彼の表情はとても疲れているようだった。
「マジかよ......たった1回力を使っただけでここまでの反動とか、脆過ぎね?」
こりゃ力を使うとしても連続はヤバそうだな......と頭を振り意識を確かめながら呟く仁。
そのとき、どこからか乙女の声が響いてきた。
「雷真は馬鹿ですっ! 家族でもない男女のマウス・トゥ・マウスは挨拶の域を超えるんです! シャルロットさんがそう言ってました!」
続いて青年の悔しそうな声も。
「くっ! シャルのやつ、余計なことを......!」
「あの声は確か雷真と夜々......だったか? いきなりあいつの知り合いに当たるとか、幸先いいな。まぁ確認し損ねた俺が悪いんだが」
仁は思わず口元に笑みを浮かべ、さっそく声のするほうへと近付いていく。
“マウス・トゥ・マウス”ではないが、リュウが転生する前――つまり前世のとある国では挨拶代わりや友好の証として頬へキスすることが当たり前の習慣があったなとそんなことを思う。
正直どうでもいいが、どうでもいいことが脳裏に浮かぶのは人間の特権だと思う。
元人間で、しかも人間の体を借りてる仁が言えた義理ではないが。
「って、仁? 良いとこに来てくれた!」
リュウと共に編入してきた、精悍な顔つきをした青年ー名は確か赤羽雷真と言ったかーは仁の姿を認めると慌てて駆け寄り、そう話を振る。
仁はリュウの詳しい関係を脳内で整理し、今の状況を理解すると早速リュウの居場所を聞き出すことにした。
「こんなとこでなにしてる?」
「リュウを探してるんだが、見てないか?」
「リュウさん......ですか?」
それに答えたのは彼の相棒である、着物を着た夜々という少女。
その表情からして心当たりがないようだが。
「いや、見てないな」
やはり主も同じらしく、リュウを見ていないようだった。
仁がそう簡単に見つかるわけないか......と思っていると、
「というか、あいつまた寮にも戻らないで何日も顔を見せないんだ」
「何日も?」
「あぁ。生憎やることがいっぱいでちゃんと探せてないけどな」
意外な情報が雷真から渡され、仁はわずかに腕を組んで考え込んだ。
そういえばリュウは、この世界では何度も不自然な行動を起こしているらしい。
それは寮に戻らなかったり、今までの彼のセリフとは違うことを口にしたり、唐突に異様な姿を取ったりと様々だ。
状況が状況なので、それがどんな意味を持つのか想像するのは簡単ではあるが。
「ん、ありがとな。リュウは俺が探しとくよ」
「! そいつは助かる! もし手掛かりがあったら、仁にも伝えるな」
「頼む」
最後にそれだけを言うと、俺は雷真たちの元から離れる。
人の気配がしなくなったところまで来て、俺は異様な殺気を感じた。
「?!」
慌てて振り向き、殺気を感じた方向へと視線を向ける。
その直後だった。
建物の屋根が、見覚えのある破壊光線と共に吹き飛んだのだ。
あれは間違いなく......D-ブレスだ。
「クソ! 手遅れかよ!!」
力一杯に叫び、全力で走り出す。
(間に合わなんだったか)
「すみませんでした、俺のミスです」
走りながら、脳内に話しかけてきた先代に謝る。
(そんなものは最初から知っておる)
「グッ......面目無いです」
(これからどうするつもりじゃ?)
「とりあえず、見る限りリュウの魂はまだありそうなので根本を絶ってみようと思います」
(ふむ。それならば世界に影響なく済みそうじゃの。まぁ、彼の魂が残っておればの話だが)
「はい」
(此方でも策を練っておく。主は自分が最善だと思う策を講じろ。よいな?)
「うっ! ホントこの体で先代との会話とかキツイ」
まるでアナログテレビを元から抜いたような、ブツッと嫌な音が脳内に響き、俺は走りながらつい仰け反ってしまう。
「頼むから残っとけよ、リュウ」
俺はそう呟きながらも、確実に距離を縮めていた。
☆
ドラゴナイズド・フォームへと姿を変えたリュウは静かに眼下の光景をその目に収める。
だが、その目はどこか冷めており、その様は眺めるというよりも見下していると表現したほうが正しいように思えた。
「おれは」
ポツリと漏らし、しかしすぐに首を振る彼。
「この体も、もう持たないみたいだ。彼......シンとの戦いが随分と効いたのかもしれないね」
手を何度も握りながら、グッと力強く拳を作るとアジーンへと視線を移した。
「これからどうするつもりだ?」
「とりあえず、この学園から潰そうと思う。今の主力が人形なら、ヒトよりもまず世界各地から集められた人形のあるここがいいからね」
「リュウ!!」
ふと地上から自身の名を呼ぶ声が聞こえ、振り向くリュウ。
と、そこには学園の制服に身を包んだ、本当の彼にとっては馴染み深い相手がいた。
「きみは?」
「戻ってこい!!」
「?」
唐突に放たれた言葉に、リュウは顔を顰める。
今のリュウにとって、見ず知らずの人間から戻ってこいと言われるなど、まず言われる覚えがない。
となると、これはこの体の持ち主に対して放たれた言葉か。
「きみが誰なのか知らないけど、彼はここにはもういないよ」
「てめぇになんか話しかけてねぇんだよ。俺はリュウに用があるんだ――おいこのどアホ! とっとと戻ってこい! 俺が先代に怒られるだろうが!」
言うべきところはそこか。
思わず転けてしまいそうな仁の台詞に、しかしリュウは取り合わない。
「うるさい――アジーン」
彼の相棒の名を呼び、相棒が近付いたところで手のひらを向けなにか目に見えないエネルギーを送り込む。
直後、アジーンの体が大きく震え、獣の唸り声を上げ出した。
「ヴゥゥゥ......オオオォォォォン!!!!!」
「くっ!」
咆哮のあまりな音量に目を瞑ってしまい、次に開けた時そこにいたのは自動人形とは言い難い、生き物そのものの姿があった。
「ガァッ!!」
短く吠えるとアジーンは仁のほうへと勢い良く下降し、速度に乗せた尻尾を叩きつけようとする。
「あぶねぇ?!」
それを仁は間一髪で避け、リュウをガン飛ばす。
「いいから戻ってこい! リュウ! 過去の遺物になんか囚われるな!」
「......おい、仁。過去と遺物って似たような意味じゃないか?」
「あぁ?! お前っ、どう見てもクライマックスって感じで物語的にはすごくいいとこなのになにそこ突っ込んでんだ!」
どうやら、先ほどの物音が気になって来てしまったらしい。
相棒の夜々の手を握りながら雷真がツッコミをしており、仁はため息をつきたくなった。
「グルルル」
巨大化したアジーンは仁に攻撃を避けられたからか、唸り声ばかり上げている。
「......くだらない」
「――あ?」
ポツリ、と呟いたリュウの言葉に仁が反応するも時はすでに遅く。
学園の1/4がD-ブレスによって消し飛んでいた。
「てめぇっ! ――がはっ!」
雷真がリュウの行いに身を乗り出す。
直後リュウの拳が雷真の鳩尾に入り、彼は口から血を吐きその場にうずくまった。
「雷真?!」
夜々が慌てて駆け寄り、雷真のことを揺さぶる。
雷真の目は虚としており、半分ほど意識が飛んでいるようだ。
痛みで意識を繋いでいる、そう表現したほうがいいか。
仁はなんとかならないのか、と必死に頭を回転させる、その時だった。
「リュウ!!」
どこからか聞こえたその声に、リュウが敏感に反応する。
「ニー、ナ?」
「もうやめて! こんなこと、あなたらしくない!」
そう、そこにいたのはこの学園で風紀委員をこなすニーナだった。
「でも、なんでニーナが、ここに」
明らかにリュウの様子がおかしい。
どういうことだ、とお互いを何度も見ると、その理由がはっきりとわかった。
(そうか。今のリュウにとって、彼女の顔は自分の好きな相手だったのか)
「ニーナ! そのまんまリュウに叫べ!」
仁は無我夢中でニーナに指示する。
「え? あっ、はい! ――ねぇ、リュウ! 聞こえているんでしょう?!」
残念ながらニーナに自身のことを刷り込んでいない仁だったが、彼女は彼の目とその様子に意図を理解しなにも言わず従った。
「うぐっ?!」
唐突にリュウが苦しみだし、アジーンがその様子に彼を不安げに見つめる。
「ニー、ナ、先輩」
それは確実に、紛れもなく本物のリュウの口調だった。
「お願い、です......アジーン、を、壊して、ください......」
「?!」
その言葉になによりも仁が驚く。
アジーンが大元なのだとわかれば、この現状に陥った原因も何もかも全てがわかるからだ。
「「わかった!!」」
仁とニーナは声を揃えてリュウのお願いを聞き、ニーナはぬいぐるみを出し仁は両手の平を自身の前で合わせ己の力を最大限に引き出した。
ニーナのぬいぐるみは、シュタッと手を挙げ、ニーナから得た魔力を全身に纏いながらリュウに高速接近する。
仁は神として使える力を、頭痛や吐き気その他全身の筋肉が悲鳴をあげつつもそれを堪え発動する。
「どう、して......きみは――?!」
どうやらリュウは再び呑まれたらしい。
接近したニーナのぬいぐるみに気付いたリュウは顔をしかめると片手で薙ぎ払いそれを無効化する。
その間に仁は己の魔力を、反則技で最近にまで高め夜々に叫ぶ。
「夜々、手伝え!」
「え、でも、雷真が!」
「雷真のことはあとで俺に任せとけ! 今はこっちだ!」
「......はい!」
心配そうに雷真から離れた夜々に、仁は高めた魔力を一気に流し込みすぐさまリュウへと仕掛ける。
「くっ」
爆発で崩れた体勢を立て直す暇もなく、夜々の肉弾が迫る。
(クソ、せめてあと一人......いや、二人いたら)
アジーンを止めろと言われたのに、リュウを未だに攻撃する理由はもちろん、アジーンを壊そうとすればそれをリュウが止めに来ると考えたからだ。
出来ることならシャルロット・ブリューとシグムントでアジーンの動きを止めてもらい、またロキとケルビムとでリュウの動きを止めてもらうその間にアジーンの中心部を破壊したいが、この場にいるのは鳩尾を殴られ動けない雷真と夜々、仁自身とニーナとそのぬいぐるみだけだ。
まるで決め手を欠いた構成に、このままではいずれはリュウが押しこちらがやられるだろう。
今はニーナのぬいぐるみで爆発を起こしなんとか足止めをしているが、彼女の魔力が尽きればそれでジエンドだ。
強制的に二人を呼び出せれば良いものの、これ以上人の体で神の力を扱えば下手をすれば意識を失う可能性があった。
「おい、雷真! いい加減起きて手伝えよ!」
「仕方、ないだろ.......こっち、だって、動け、ないくらい、痛い、んだから.......」
「あぁ、もう! 役立たず! 夜々、一旦切るからな!」
「あ、はい!」
夜々はしっかりと応えると、リュウから攻撃し返されないよう距離を取る。
仁は夜々が無事そうなのを確認するとすぐさま雷真の体を修復し、彼の魔力を底上げする。
例えるなら、ナメック星で悟飯が潜在意識を呼び起こしたような、あんな感じだ。
「なっ、なにをした?」
「うるせー、そんなことはあとだ、今はリュウを足止めしろ!」
それをするにはほとんど賭けに近かったが、雷真は無事に体力を取り戻し且つ魔力も増え、仁は倒れることなく未だ立ち続けている。
運が良かった、というしかない。
「夜々! いくぞ!」
「はい!」
本来の主従関係に戻った雷真と夜々が互いの信頼関係を発揮し、雷真は仁から得た魔力を夜々に、夜々はそれを余すことなく体に滾らせ再びリュウを止めるべく地を蹴った。