転生したのに死ぬ前提?最高だね(`・ω・´)   作:吉田

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これで本当に最後です!w
スーパーグダグダな物語ではありましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました!
最初はおわりなんてこれっぽっちも考えていなかったので終われてよかったですw
では、どうぞ


第四十九話:どうして最後の最後でそんな荒技なんですか

「なぁ、リュウ」

 

真っ暗な空間の中、俺は見えない相手に呼びかける。

 

「俺だって、お前の言ってることがわからないわけじゃない」

 

呑まれているのはわかる。

だから、体を動かすなんて概念はないし、そもそも俺はおそらくいない存在だ。

 

「確かにお前の言う通りなのかもしれない。当事者のお前からしてみれば、せっかく命を掛けて手に入れた空を人同士で争うくらいならって思うかもしれない」

 

それでも未だに俺の意思が残っているあたり、リュウにもなにか思うところがあったのかもしれない。

元より、神から転生を受けて、その後自分がかのリュウの子孫なんて話をきいてしまえば、いずれはこうなることぐらい予想はついていた。

 

「でも、薄々は気付いてるんだろ? 今お前がやろうとしていることは」

 

 

それは唐突に起きた。

 

「クッ?! ウ、アァ!!」

 

「夜々、止まれ!」

 

今までとは全く違う様子を見せたリュウに警戒し、雷真は強制支配して夜々をピタリと止まらせる。

リュウは苦しそうに呻き、何かから逃れるかのように何度も頭を振っては吠える。

その時、リュウを守るかのように何度も夜々を邪魔しに来ていたアジーンが何かを捉えた。

 

「そんなことは、言われなくてもわかってるよ!!」

 

「リュウ......?」

 

その変わり様に、仁が訝しむ。

 

「でも、仕方がないじゃないか!! いずれ人同士でそうなるなら、自分から代役になったほうがいいって思って、なにがいけないんだよ!!」

 

まるで子供のワガママのような、リュウの言葉。

仁はそれを聞いて理解した。

そしてすぐに行動に移す。

 

「夜々、退いてろ!! あいつからリュウを出す!!!」

 

バッ、と両手のひらをリュウに向けると、そこから黒い靄のようなものがリュウの周りに取り巻き始める。

 

「な、なにしてんだよ、仁?」

 

「あいつの中に、リュウがいる。それが今わかったんだ。だから、リュウを出す」

 

「そ、そんなことが出来るのかよ?」

 

「ハッ?! クソ!!」

 

仁が雷真に説明する傍ら、それに気が付いたリュウはあわてて靄を払おうとするが、やがて黒い靄は勝手にリュウから離れると人型を形成しもう一人のリュウを生み出した。

 

「す、すげぇ」

 

「あ、れ? 俺、死んだんじゃ......」

 

そこにいたのは紛れもなくリュウ・ヴォルフィードだった。

慌てて後ろを振り向くと、どこかで見た顔が。

 

「神様?! というか、なんで神様と一緒に雷真と夜々までいるんだ?!」

 

「居るちゃ悪いか!!」

 

「やっぱり、な」

 

雷真の盛大なツッコミと、やりきった感に満ちる仁。

 

「リュウ!!」

 

「え、あ、先輩まで?! 一体これどうなってん――ちょっ?!」

 

走り寄ってきたニーナにハグをされ、一環の説明を求めようと再び仁に向いたとき、そのタイミングで彼はガクンと崩れ落ちた。

慌てて駆け寄ったリュウに、力なく笑いかける仁。

 

「悪い、この体じゃ今ので最後みたいだ。ま、お前も助けたし、あとはご本家ぐらい、一人で対応できるだろ?」

 

「なっ、神様が対応できなかったやつを俺に寄越すかよ?!」

 

「大丈夫だって。本家の力ならまだ残ってるはずだから」

 

「そういうことじゃねぇって!! 俺にどうしろってんだ?!」

 

「テキトーに傷めつけて、説得させて、この封印玉にでも閉じ込めといてくれよ」

 

そう言って手渡されたのは、拳大ほどの大きさの、紫色の玉。

 

「うわー、すっごいヤバそうな封印玉」

 

言いながら、仁の体が光に包まれていく。

 

「じゃ、頼んだ」

 

「頼んだじゃ――あのやろ」

 

ゲームの敵キャラが倒れた時のようなエフェクトで消えた仁に、リュウはわずかに苛立ちを覚えつつも立ち上がる。

 

「おい、リュウ。これからどうする気だよ?」

 

思わずといった様子で聞いてきた雷真に、リュウはため息をつく。

 

「どうするもなにも、やるしかないだろ。......状況的に」

 

それまでずっと黙っていたリュウ(先代)は怒りの色を瞳に映したままこちらをしっかりと見ていた。

リュウはポケットに、もらった封印玉を入れて両手のひらを体の前で合わせた。

 

「最初に聞いた時、きみは考える暇もなく断ったよね。わかってはいたけれど、それでもあの世界を知る仲間なら、互いに刃を向けあうことはないと思いたかったよ」

 

言いながら、仁のように光で包まれ消えたリュウ(先代)。

光の粒子となった先代はアジーンの体の中に溶けていくと、アジーンは大きく一吠えした。

 

(やっぱりそうくるよな)

 

リュウとアジーンが主従関係となった。

それによって使えるようになった力をリュウが使うたび、先代の意思がリュウの中に混じり、積み重なったそれは先代の意識を呼び覚ました。

が、仁によってリュウの体と切り離された先代の意識はアジーンの中に戻るしかない。

それが今のアジーンの一吠えであり、今リュウや雷真の目の前にいるのは「ドラクォの中でD-カウンターが100%になりゲームオーバー演出で竜になった、あのアジーン」で間違いないのだろう。

 

「トランス」

 

リュウは小さく息を吐くと、静かにそう唱え己の姿を4のカイザードラゴンへと切り替えた。

 

 

結果から言えば、俺が勝った。

あのクソ神の言った通り、俺にはまだ竜に変身できる力が残っていたらしく、俺はこれで最後と心に決めてトランスをした。

やはりアジーンがご先祖様の思念体を持っていたことから、アジーンを倒せばご先祖様が出てくる予測は間違っていなかった。

彼には悪いが、かといってこのまま放置するわけにもいかず、気に食わないが仁の言う通りこのタイミングで彼を説得するしかほかない。

 

「まぁ、その、なんだ」

 

「......」

 

「リュウは、俺が今二度目の人生を送ってるっていうのは知ってる、んだよな?」

 

小さく頷くご先祖様。

 

「前世の俺から、あんたに一つ送りたいセリフがある」

 

それはとある忍者漫画の一ページ。

主人公の里が敵に襲われ、主人公も囚われの身となった時。

敵は主人公に「平和」を説いた。

人はそれほど賢い生き物ではない。

心に受けた傷は時が経てばやがて薄れ、己の要望のためにまた戦いを挑もうとする。

その度に本当の痛みを世界に知らしめ、その痛みを恐怖で戦いを抑止し、世界を平和と安定に導く。

その繰り返しこそが、平和なのだと。

 

「結局、あんたがやったっていずれは過去に流れて、また同じことを何度も繰り返していくんだよ。その一つをするのに、あんたがまた汚れる必要なんてない。人は流れるように流れていくんだから」

 

「......まったく、きみの言う通りなのかもね」

 

自嘲気味に小さく笑うご先祖様。

 

「あんたは考え過ぎなんだよ。ニーナ救って、幸せになれた、それだけでいいじゃんか」

 

「そう、だね」

 

「もういいんだよ、あとはゆっくり休んでくれ」

 

「うん」

 

ご先祖様は静かに頷くと、そっと目を閉じ......俺はそこへクソ神からもらった封印玉をかざした。

するとどうしたことか、ご先祖様は光の粒子となり封印玉に吸い込まれていった。

 

「......っはあぁぁ〜! 疲れた〜!」

 

俺はドサッと地面に寝転び、大きく伸びをする。

 

「もう、いいのか?」

 

雷真が恐る恐る話しかけてきて、俺はクスリと笑う。

 

「たぶん、な」

 

「なんだよ、それ。でもま、お前がいいって言うならいいや」

 

「そうそう。さて、俺もそろそろ逝くかな」

 

「なんか今漢字が違う気がしたが......?」

 

「大丈夫、あってるから」

 

「あってんの?! せめてそこ否定しろよ!」

 

「あーもーうるさいな。いいか? 俺は、もう、死んでんの。おけ?」

 

「ノー! 全然良くない!! どういうことか説明しろ!」

 

「面倒だから却下」

 

そう言った瞬間、首元に下げていた飾りが光を帯び辺りを白で埋めた。

 

「よ、リュウ」

 

「は?」

 

そうして聞こえてきたのは仁の声。

 

「お前、さっき死んだんじゃ......」

 

「勝手に殺すなよ」

 

「お、おいリュウ。こいつは......?」

 

雷真が驚いた様子で聞いてきて、俺はん?と思う。

そういえば仁が倒れる前は何事もなく会話していたはずじゃ、と。

すると仁が耳打ち。

 

「実は下界に降りてきたあとお前の知り合いに適当に俺を組み込んだんだよ。それが一旦戻ったことで解けたんだろ」

 

「うわ。なにその、めんどくさそうなの」

 

「ってことでよろしく」

 

「はぁっ?! ふざけんなよ、自分でなんとかしろって!!」

 

思わず仁の胸ぐらを掴んで叫ぶ。

 

「リ、リュウ? 落ち着けって」

 

一番混乱しているのは雷真のはずなのに、彼はなぜかリュウよりも落ち着いていた。

 

「あー、もう。クソだりぃ」

 

俺は頭を掻き、雷真に向き合った。

 

「雷真。この際だから言うわ。俺な、信じてもらえないかもしれないけど実は前世の記憶があるんだよ」

 

「......お、おう」

 

「こいつに転生させてもらったってのが理由なんだけどな。なんでこいつはこう見えても神様なわけ」

 

「な、なるほど」

 

「その神様がなんでここにいるのかは本人に説明してもらわんとダメだけどな?」

 

上手いこと(全然上手くない)仁に振った俺はニヤリとしながら見る。

 

「......あとで覚悟しとけよ」

 

仁は恨めしそうにこちらを軽く見ると、雷真や夜々、そして事を見つめていたニーナに向けて口を開く。

 

「ニーナは面識があるからいいけど。雷真、夜々。今リュウが言った通り、自分で言うのもなんだが俺はこの世界の神様なんだ」

 

「やっぱり何処かで見たことあると思ったら神様だったの?!」

 

不意にニーナが声を上げ、仁に問いかける。

 

「おうよ。本当はここにいちゃダメなんだけどな」

 

「? どうしていちゃいけないのに神様はここにいるんだ?」

 

ごもっともな質問に仁も苦笑する。

 

「それがな、先代の神様に怒られてよ」

 

「先代がいたんだ」

 

「ニーナを、彼女の頼み事を素直に聞いて転生させた結果2つの世界観が合わさって今回みたいな事態を起こしたんだって」

 

俺の呟きは当然のごとくスルーされた。

 

「だからニーナには悪いがこの世界にあるドラゴンに纏わる要素を取り除きに来たんだよ」

 

「ドラゴンなんて、そんなことを言ったらシグムントはどうなるんだ?」

 

「安心してくれ、俺の言うドラゴンはそういったものじゃねーから」

 

「そ、そうなのか」

 

「あぁ。で、リュウ。お前のことなんだが、先代から記憶を完全に消してからの転生という審判が下された」

 

「......ハハ、まじかよ」

 

「どちらにせよもう死んでるんだし、普通に寝て起きたらいつも通りの日々が待ってましたでいいんじゃね?」

 

「そんな簡単なのか」

 

「仕事はてんこ盛りだけどな」

 

「だから神様がそれ言ったら終わりだって」

 

「今更だろ」

 

「それもそうか」

 

「あの」

 

仁との掛け合いに一区切りついたところでニーナが呼びかける。

 

「リュウにはもう、会えないんですか?」

 

「あー、まー、そういうことになるな」

 

「ごめん、先輩。もしまた会えたら、そんときはよろしく頼みます」

 

「リュウ......」

 

「そうか、これからはもうリュウはいないんだな......こりゃ夜々から身を守るのが大変そうだ」

 

雷真の言葉についクスリと笑ってしまうが、彼がわざとそう言ったことには気付いていた。

 

「じゃ、またいつか会えたら、な――もういつでもいいぜ」

 

ほんの少し待ち惚けをしていたらしい神様に呼びかけて、俺は心に決める。

 

「お、いいか。んじゃ、行くぞ」

 

「あぁ――ッ?!?!」

 

そう返事をした瞬間、俺の腹には強烈な拳が叩き込まれており、あまりの痛みに気を失った。

 

 

「なるほど」

 

先代の言葉をドキドキしながら待つ、現神様。

 

「不可抗力だったとはいえ、よく始末してきた」

 

「おっしゃ!!!」

 

「ただやり方なんだが......もう少し優しくてもよかったのでは? さすがにアレは酷いであろうに......」

 

「あはは......すんません」

 

実はリュウに対する最後の仕返しだとは言えまい。

バレればどれほどの怒りが飛んでくるのかわかったもんじゃない。

神は己の感情一つで動いてはならないのだ。

常に平行であること、それが条件である。

 

「まぁよいわ。これからはもう少し未来を予見してから転生させるようにな。ワシはもう戻る」

 

「あ、帰るの?」

 

「もう監視も要らぬしな。だがなにか異常があったときはすぐに飛んでくるからの」

 

「あ、うぃっす」

 

先代は何処からか扉を生み出すとそのまま中へと入り、扉は先代が閉めると同時に下から徐々に消えてなくなった。

 

「どこでもドアか」

 

あの扉がピンクであれば思いっきり青狸の道具のソレである。

 

「さて、仕事するかー......あー、だりぃ」

 

現神様は大きく欠伸をすると仕事に戻るべく歩き出した。

今頃月影竜と呼ばれ、リュウ・ヴォルフィードとも呼ばれたものは其の時の記憶を失い新たな生を歩んでいることだろう。

それは人かもしれないし動物かもしれない。

それは植物かもしれないし、虫かもしれない。

その姿形を指定するのは神の役目ではないのでなんとも言えないが、転生した後など神の知るところではない。

彼のいた第二の世界はドラゴンクォーターの世界観を取り除かれ、元ある世界へとその進路を戻した。

ニーナというイレギュラーがあるにせよ、何の力もないたった一人のことであのような事態はそうそう起きないだろう。

 

 

こうして事態は終点を迎えた。

 

 

神は己の仕事にひたすら打ち込み、リュウだったものやニーナ、その世界に住む者たちはその日々に己を打ち込んでいく。

なに一つ変わることのない平穏の世界。

だがその平穏な世界が一番幸せであることを知る者は少ない。

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