ハンターがモンスターを狩らない話。

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前々からモンハンのは書きたかった。


ハンターの非日常的日常

 

狩りの前には準備がいる。

狩りの後には休息がいる。

ハンターはとにかく狩猟をすればいいと考えるのは、素人だ。

 

 

「バアちゃん!」

「おんやまぁ、クラギ君でねえの。いつ帰ったけ?」

「今さっき。そんで、コレ直せるかい?」

殆ど廃棄品寸前になった氷牙を差し出す。いくら堅牢であろうと、鋭利であろうと、氷結晶でできている限りは炎で溶けるのだ。

「これゃひでぇのぉ。氷結晶があっても直らんかもしれんの」

「やっぱそうか...」

正直諦めてはいた。武器もまた消費物なのだから。だがそうなると、氷属性の片手剣が無くなってしまうのだ。俺はコレしか氷属性の武器を持っていない。

「やってはみるけどのぉ、諦めた方がええよ。新しいの作るかい?」

「いや、もう氷結晶がすっからかんだよ」

正確には、まだボックスに残っていた。狩りに出発する前までは。

まさか溶解して内側を濡らしているなんて誰が予想出来よう。いくら氷結晶といえど、溶ける時は溶けるのだ。また一つ教訓になった。

「レウスだったかの?肩もちぃと焦げとるよ」

「いいよこんぐらい。全然使えるし」

苦労して作成したディアブロZ装備(腕だけリオソウルZ)は、炎耐性が高かった。火球が掠めたにも関わらず生きていられたのは、このお陰である。久しぶりに死を垣間見た。

「そんじゃ、後で取りにくるよ。また」

「おうよ、お疲れぃ」

マイハウスに着くと、まず装備を脱いだ。ディアブロZはいかんせん重過ぎる。ボックスに収納する事さえ困難だ。狩猟の疲れが腕に残っている今みたいな時は。

やっとの事でボックスに収め入れる。そもそも二つもの装備を一つのボックスに入れるのがおかしいのだ。

「プゴ」

プーギーがやって来たのか...

鳴き声がした方向を見ると、プーギーを抱えた相棒がいた。コイツはモガ・アンバーをよく着ているが、ちゃんと自分の胸囲を把握しているのだろうか。

「なんで一人で行っちゃうの?」

やはりというか、怒っているようだ。いつもは二人で狩猟しているから、置いて行かれたのが嫌なのだろう。だが、個人的な狩りにまで巻き込むのはどうか...と自分なりに考えて行動したつもりだ。少しは汲んで欲しい。

「天鱗を取りに行っただけだって。一回で手に入れたし」

「そうじゃない!」

ガーッと咆哮する。こいつがここまで怒ることはあまり無いが、置いて行かれたのがそんなに嫌だったのだろうか?

「いつも二人でって言ったのはそっち!嘘ついた!」

「落ち着け。外まで聞こえる」

「落ち着かない!」

地団太まで踏む始末。なんにせよプーギーを解放してあげてくれ、さっきから可哀想な鳴き声をあげてるんだから。

「今度から絶対一緒!解った!?」

「...いや、だから」

「ッ!!解った!?」

止めろ、胸倉を掴むな。インナーが伸びる。

「解った解った。放せ」

「......」

嫌々ながらも手を離される。首元がダルダルになってしまった。その張本人であるコイツは、こちらに手を差し出している。

「私の」

「...おい待て、今からか?」

たった今帰還したばかりだ。にも関わらず、狩猟について行けと?だが、もはやそれを言う隙もなかった。コイツはイャンクックのように注意深く此方を観察し、反論する姿勢を作らせないようにしている。

だが、流石に仕方ないでは許されない。疲れで致命的なミスでもしたらどうするのか。

「明日だ。依頼があったらな」

「...解った。じゃあ行く」

ぐい、と手を引っ張られる。本当に話を聞いてたのか。だが、目的地はどうも集会所ではないようだった。

 

 

着いたのは、コイツが作ったモンスターの慰霊碑だった。

手が離され、手を合わせるよう指示される。俺は出来るだけ真剣にモンスターの冥福を祈った。隣にしゃがみこんだコイツも同様に真剣に祈っているようだった。

「......」

都合が良い考えだなぁとは思うが、別に人間が勝手にモンスターを想っても怒る奴は居ないだろう。まぁ、一々狩ったモンスターを想ってもきりがないのだが。

十秒ぐらい祈って、腰を上げた。

「戻るぞ」

「うん」

 

 

帰っても特にする事は無い。デュアルシザーも最近視てもらったし、ギザミZだってまだガタは来ていない。

適当に狩りに生きるを読んでいると、こんな記事があった。

『揺れる王都!高まるハンター排斥運動!』

またモンスター愛護団体がデモを起こしているようだった。

だが、そんな事はしょっちゅうの事だ。驚くに値しない。目を惹かれたのは、その中にあるスケッチだ。

「...俺達じゃねぇか」

その記事内に載っていたスケッチには、ギザミZに身を包みデュアルシザーを構えるハンターと、側に立つザザミZにウチオトシを持ったハンターが描かれていた。

説明文を読むと、

「最近よく動くが故に、デモ隊に嫌われているようだ。」

とあった。

確かに、行進するデモ隊を写生したスケッチの中には旗に俺達の絵(×印が重ねられている)を掲げている者もいた。

さすがにこれには頭を抱えた。別にむやみやたらに狩ってるわけじゃないのだが。

「どうしたの?」

「なんでもない」

そうだ、なんでもない。今更って感じだし。

「そう?買い物ついて来て」

「最高に脈絡が無いが、いいぞ」

貫通弾ならボックスにまだ残っているが、それでは不安なのだろうか。と思っていたら、貫通弾が湿気っていた。十中八九あの事件のせいである。

「あ、氷牙取りに行かないと...」

どうなったのだろうか。やはり駄目になったのか。

まぁ最悪コイツにも付き合ってもらって氷結晶を集めるだけだ。

 




終わりです。ぽん、と終わったけど、早めに切り上げないとマジで長くなっちゃいそうでした。
これ以上長く駄文を書くというのも流石にアレなので。
連載は...どうなのかな。誰かモンハンssのストーリー考えてくれるなら書きますが。


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