サクラ大戦2外伝~ゆめまぼろしのごとくなり2~   作:ヤットキ 夕一

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 独断専行して鬼王へと仕掛けた梅里は、当然に司令と副司令から厳しい叱責を受けた。

 その際、ティーラが割り込み「私がこのままでは花組が全滅する罠があると予知をしたからです」と説明したために、どうにか溜飲を下げて梅里もとりあえずお咎め無しとなったのだが──

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

「どうしてあんなことを?」

 

 司令と副司令の前から離れた梅里は、ティーラに尋ねた。

 彼女は大きなため息をつき、「それはこちらの台詞です」と思いながら、珍しく呆れたような顔で梅里を見た。

 

「……私がああ言わなかったら、隊長は解任させられていましたよ」

「えっ!?」

 

 さすがに驚く梅里。

 

「もちろん今すぐ、というわけではありません。でもこの騒動が収まった後、程なくして隊長が解任されるという天啓がありました」

「それは……」

 

 半ば絶句して、梅里は苦笑混じりに頬を掻く。

 命令違反と独断専行は、それほどまでに重いのである。まして梅里は民間登用という一種あやふやな立場でもある。

 

「もちろん除隊扱いでしたので……隊長に抜けられれば夢組は崩壊します。ですからそれを防ぐために庇いました」

 

 梅里が夢組からいなくなれば、まずはせりとかずらも間違いなく抜けるし、副隊長という立場からすぐには抜けられなくともしのぶも同じように除隊するだろう。

 この時点で隊長と副隊長一人が抜けた上に、頭と副頭が抜けた調査班はほぼ崩壊。

 さらには梅里がいなくなれば従順に従っていた除霊班頭の紅葉がどうなるかわからなくなるし、しのぶの離脱は陰陽寮派に間違いなく悪影響が出るだろう。

 今は良好になっている宗次と釿哉の関係も、もともとは合わなくて犬猿の仲だったのが間に梅里が入ることで今は安定しているのだ。長期的に見たらそこがどうなってしまうかも分からなくなりかねない。

 といった感じで、梅里の急な離脱はとにかく影響が大きすぎる。

 

「──逆に、お聞きしたいのですが、なぜあんなことをしたのですか?」

「あ~……」

 

 答えに窮する梅里。再び頬を掻き──目をそらす。

 

「……答えづらい、ということですか。つまりは鬼王への個人的な恨み、というわけではないようですね」

 

 ティーラの確認に、梅里は首肯した。

 

「これから話すことは他言無用にして欲しいんだけど……鬼王の正体を予知で見たり占ったことはあるかい?」

「正体? あの仮面の内側ということですか? いえ、指示もありませんでしたし、そこまで気にしていませんでしたから……」

 

 鬼王は終始一貫して鬼面を被り、その素顔を見せていない。

 しかし腕が六本あるような者さえいるような黒鬼会幹部である。常に面を被っている者がいても「そういうもの」として受け入れてきて、その正体という考えにまで至らなかったのだ。

 

「仮面を被るということは顔を隠す必要があるから。なるほど、言われてみればその通りですが……隊長は、それに心当たりが?」

「……僕もハッキリとした確信がある訳じゃないからね。だから司令や副司令にも話せる段階ではないんだ」

 

 梅里は険しい顔で目を閉じる。

 おそらくティーラの霊力をもってしても、鬼王の正体を探ろうにもその妖力に邪魔されて見えてこないだろう。

 だからこそ正体に関することは梅里も隠しておくしかない。

 

「もしもその正体を予知や過去認知で見えたらとりあえず僕に教えてくれないかな。もちろん他の人には言わないで」

「それを知っているからこそ、隊長は今回のことをしたのでは?」

「う……」

 

 痛いところつかれて言葉を失い、苦笑を浮かべるしかない梅里。

 その反応を見て、ティーラも事情があるのを察する。

 

「内容にもよります。ですので確約はできかねます」

「それはわかってるよ。だから、できる限りでいいよ」

 

 鬼王の正体に関して、ティーラに関心を持たせたのは失敗だったかもしれない。

 梅里は少しだけ後悔しつつも、次なる戦場へと向かった。

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

 敵の本拠地──赤坂の地下にある空間にへと侵攻する華撃団。

 その際に採ったのは、裏道からの侵入作戦ではなく、正面突破作戦だった。

 本拠地への強襲を敢行し、出入口になっているゲートを押さえた華撃団は、最深部に通じる昇降機に花組の霊子甲冑を搭乗させ──夢組は、それに追随する部隊と、正面の出入口を結界で封鎖する部隊に分けた。

 正面突破で多数の敵を相手にしている間、外に出ていた敵が背後からくるのをくい止めて少しでも突入を楽にさせるための策である。

 黒之巣会と戦いで、その本拠地である日本橋で同じような作戦を実行しているが、ねらいはそれと同じだ。

 

 そして──その指揮官も、そのときと同じように追随部隊は宗次、殿(しんがり)部隊は梅里となっている。

 ただし、今回のこの配置は米田の指示である。

 最深部にはおそらく黒鬼会幹部である鬼王が待ち受けている。それに独断専行を仕掛けた梅里がまた暴走するのではないか、という畏れからだ。

 殿を命じられた梅里は、もちろんその意図に気づいており、思わず苦笑して頬を掻いた。

 それから部隊分けを行い──追随支援部隊は花組達本隊と共に昇降機を使ってさらに下へ、梅里達の本隊とは分かれた別働隊は結界の敷設を行ったのである。

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

 敵が来るよりも前に、どうにか結界の敷設は終えていた。

 外から中へ入ろうとする脇侍は結界に阻害されてそれができない。そのため、殿(しんがり)をつとめている梅里たち夢組別動部隊は、花組が目的を達成するまでの間、結界の維持と可能な限りの脇侍の撃破がその役目だ。

 とはいえ、本作戦は花組による正面突破。敵の大多数は花組が正面から撃退するため、後から来るのは他に出ていた主力外の別働隊ということになる。ゆえにその数は当然少ない。

 だが──少ないからといって決して油断はできないのだ。

 

 

 その油断できない相手と、梅里は対していた。

 敵は腕が6本ある異形の巨大魔操機兵・八葉。

 

「敵巨大魔操機兵、結界突破──いえ、すり抜けました!! 八葉に結界が効果ありません!!」

 

 そんな悲鳴のような無線報告を受けた梅里は即座に移動し、魔操機兵・八葉と対峙していた。

 土蜘蛛がこれを駆って現れた戦場は、すみれのお見合い騒動で襲撃を受けた神崎邸だが、そのときに八葉はこちらの霊子甲冑の布陣を意に介することなく、包囲を容易くすり抜けていたという。

 梅里は意識不明になっていたので戦闘には参加していないが、その戦闘報告を見る限りでは、特殊な能力によってすり抜けていたという疑いがもたれていた。

 そして──今、それが実証されていた。

 敷設した結界障壁をすり抜け、その内側へ侵入した八葉は、結界の要になっている装置を破壊せんと迫っている。

 

「総員、警戒!! 八葉に縛界はもちろん、障壁での行動阻害も通じないと思え!! 直接攻撃で敵を近づけさせるな!!」

 

 梅里の指示で、動きを止めようと躍起になっていた封印・結界班がそれを止める。

 代わりに入ったのは、除霊班であり、その頭である秋嶋 紅葉が八葉の前に立ちはだかった。

 

「封印・結界班は、現在の結界の維持に全力を! 結界が突破されれば、止めている脇侍が流れ込んできて収拾がつかなくなる! 絶対に阻止だ!!」

「「了解!!」」

 

 落ち着きを取り戻し、各々がやるべきことを把握してそれにあたり始める。

 そして梅里は──紅葉と共に八葉へと挑みかかった。

 

「ハッ、生身でワタシの八葉と戦おうってかい!?」

「あいにく花組は手が放せなくてね。僕らが相手をさせてもらうよ」

「ずいぶんとナメられたものだねぇ!!」

 

 八葉の6本の腕が梅里へと襲いかかる。

 それを巧みに避け続けるが──さすがにかわしきれない。

 

「──ぐぅッ!!」

 

 刀で受け流し、さらには自ら後方に飛んで勢いを殺したが、それでもその腕で殴りつけられた衝撃は大きく、ダメージは大きかった。

 倒れずに地面へ着地した梅里だったが、そこへさらに追撃をかけようと八葉が襲いかかる。

 

「この前の強がりはどうしたんだい? さんざんワタシをバカにしてくれたじゃないか」

 

 土蜘蛛はもちろん、あの9月の台風の中での戦いを根に持っていた。

 魔操機兵ではなく生身での戦闘で、土蜘蛛は梅里に軽くあしらわれたのだ。

 

「この前のこと? それなら何度でも言ってあげるさ。腕が六本あっても、まるで使いこなせていない」

「強がるなッ!!」

 

 再度、6本の腕が梅里へと襲いかかる。

 だが──

 

「させん!!」

 

 裂帛の勢いで発せられたその声と共に飛来する、火を噴く鎖突きの分銅。

 その鎖が八葉の腕の一つに巻き付いて、動きを阻害する。

 

「なッ──!?」

 

 突然、体の自由を奪われ、まるで引っ張られるような感覚に戸惑う土蜘蛛。

 紅葉に礼を言いながら、梅里は刀を大きく振りかぶりつつ突進する。

 

「腕一つ封じるだけでそちらの半身は著しく行動を阻害されるんだ。やはり攻撃力が単純に3倍になるわけじゃない!」

 

 今のように右の一番上の腕一本しか捕らえていなくとも、それだけで右半身は動かない腕のせいで自由に動かせなくなっていた。

 球状の銀光に包まれた梅里が、トドメとばかりに刀を振り上げる。

 

「フン、この八葉を捕らえることなど、できないのさ!!」

 

 窮地に土蜘蛛が八葉の特殊能力を使った。

 紅葉が八葉の右腕の一本に巻き付け、さらには別の固定物にまで巻き込んで動きを止めていた彼女の鎖鎌の鎖がまるですり抜けるようにスルリと外れ、八葉を縛っていた戒めが解かれる。

 

「なんじゃとッ!?」

 

 戸惑う紅葉。そして自由を取り戻した八葉は、梅里渾身の一撃も見事に避けてみせた。

 結界さえもすり抜ける八葉の特殊能力をもってすれば、鎖での捕縛を抜けることなど容易いことだったのだろう。

 形勢逆転──するかに見えたが、梅里と紅葉は優位を譲りはしなかった。

 

「だけど──いくよ、紅葉!!」

「了解じゃ、チーフ!!」

 

 八葉を囲むように、周囲を動き回る二人。

 かたや奥義である満月陣の身体能力強化によって常人をはるかに上回る速度で動き回り、かたや火を操る能力から派生した気流操作による加速と、熱操作から派生した特殊能力である膨張と縮小を駆使による鎖の長さの変化で引っ張らせ、トリッキーな動きで翻弄する。

 なによりその二つが、自身の周りでちょこまかと動き回り、時に刀や鎌の刃を突き立てようとしてくる。

 

「ええい! 鬱陶しい!!」

 

 八葉を駆る土蜘蛛も、自分と同じ六本の腕を振り回す。敵は当たれば倒せるような生身であるが、生身であるがゆえに的が小さく、なかなか当たらない。

 しかし、決め手がないのは梅里達も同じであった。

 魔操機兵。それも幹部用の大型のものだが、八葉が先の戦いで霊子甲冑の間を自由自在に動き回ったのはその特殊能力によるものだけではない。

 意外に動きが素早いことや、通常の魔操機兵とは異なる六本の腕が生む予想外の動きで巧みにすり抜けていたのだと思い知らされていた。

 とにかく攻撃が当たらず、当たっても相手は強靱な魔操機兵であり、容易にその装甲で弾かれてしまう。

 幾度かの攻防の後、動きを止めて様子をうかがう八葉と向かい合うように、梅里と紅葉も一度その動きを止めて対峙していた。

 

「……さて、どうしたものか」

 

 現時点ではお互いに決め手を欠いているが、明らかに分が悪いのはこちらである。

 魔操機兵を動かしている土蜘蛛も消耗しているだろうが、常に霊力を全力全開で動き回っていた梅里と紅葉と比較すればどちらが疲労しているかは誰が見ても明らかだろう。

 例えば最深部まで到達した花組が土蜘蛛以外の幹部──鬼王と残った一人の五行衆である金剛──を倒して戻ってきて、その勢いで土蜘蛛まで倒してくれる……なんてあまりに都合がよすぎる展開があるとわかっているのなら、こうして膠着状態を維持するのも意味のあることだろう。

 だが梅里もそこまで楽観主義者ではない。

 

「結界を維持することが僕らの使命だけど──アイツを放置すれば破壊される。かといってそれに執着すれば、ここを逆にすり抜けられて突破され花組が挟撃される」

「チーフ、それ……答えは決まっとるよ」

 

 梅里は思わず声のした方を見る。

 彼の隣に立つ、高まった霊力の影響で深紅に染まった髪の毛が、まるで燃えさかるかのように逆立たせている──秋嶋 紅葉である。

 彼女は不適な笑みを浮かべ──

 

「アレを倒すしかないってことじゃのぉ」

 

 そんな、ともすれば楽しげにさえ見える彼女の様子に、梅里はそっとため息をつく。

 

「それはそうだけど……糸口はある?」

「少しでも足が止まってくれりゃあ、なんとか……できる気がするんよ」

 

 笑みを消し、敵を真剣な目で見つめた彼女はそう言い──その直感を、梅里は信じられる気がしていた。

 

「足を止める、か……」

 

 とはいえ、それが容易ではないのは今までの戦いで痛感している。

 あの捉えづらい敵の足を止めるには──

 

「超広範囲の、範囲攻撃……」

 

 しかも、魔操機兵の装甲に完全に阻まれない程の強さがなければ意味がない。

 そんな都合のいい攻撃に心当たりはなかった。そもそも霊力を込めた攻撃にしても、その影響範囲が広くなれば当然に威力は弱まるし、威力を高めようと思えば霊力を集中させる必要があるので自然と範囲は狭くなる。

 

「──チーフ、来る!!」

「くッ!」

 

 動き出した八葉の相手をすべく、梅里と紅葉は再び全力を尽くす。

 敵を倒す糸口はまだ見えない。

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

 ──が、今の二人の会話を聞いて、ピンときた人が一人いた。

 

「広範囲高威力の攻撃といえば、花組の大神隊長と絶好調の隊員が繰り出す『合体攻撃』……そっか、私と梅里さんなら……」

 

 そうして彼女も動き始める。

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

 梅里と紅葉が中心になり、八葉との戦いは続いていた。

 錬金術班を主体とした銃撃や、除霊班の飛び道具を得意にしている者達が攻撃も攻撃を仕掛けているが、当たらなかったり、当たっても装甲を貫けずにダメージを与えられていなかった。

 そうして、二人に疲労が見え始めたのを見計らい、八葉が二人へと襲いかかる。

 身構える梅里と紅葉。

 そこへ──

 

「梅里さんッ!!」

 

 八葉の近くに突然、薄緑をした袴の夢組戦闘服に特製のバイオリンを手にした女性隊員が現れた。

 彼女は三つ編みにした自分の髪をなびかせつつ、纏っていたマントのようなものを脱ぎ捨てる。

 

「かずら!? それにあれって……」

 

 梅里はそれに見覚えがあった。

 少し前に彼も使用した錬金術班の開発した装備、隠行の外套(ミエナイン)である。

 調査班副頭であるかずらの得意なことは楽器演奏であり、その調べに霊力を乗せた探査を得意としているが、調査系以外の任務は苦手である。

 振動である音を武器に戦うこともできなくはない。だだし運動神経は人並み程度でしかないので直接戦闘は無理だし、加えて言うなら気が付かれないように接近するなんてことも、普通はできない。

 だが、それを装備で補った彼女は魔操機兵・八葉に近づくことができていた。

 そして──かずらは梅里をじっと見つめる。

 その目を見て、梅里も彼女の意図に気が付いた。

 

「梅里さん! 私と梅里さんの力なら……」

「八葉の足を、止められる!!」

 

 かずらはすでに楽器を構えている。

 梅里は満月陣を維持したまま──かずらの霊力に合わせる。

 霊力の込められた調べが響きわたり、かずらの傍らで掲げた梅里の刀は、まるで音叉のように振動し、その調べと霊力を大きく、そして強くしていく。

 

 

「「満月陣・響月──『アメノウズメの狂想曲(カプリッチオ)』!!」」

 

 

 梅里とかずらが共鳴した霊力は爆発的に広がっていく。

 二人を起点に放射状に広がるそれは避けることも、またすり抜けることも許されず──八葉を捉えていた。

 

「なにッ!?」

 

 音が振動を生み、増幅されたそれによって操縦席で激しく揺さぶられる土蜘蛛。

 その衝撃は、宙から襲いかからんとしていた八葉の足を完全に止め──

 

「今じゃ!」

 

 動きが止まったのを見た紅葉が快哉の声を上げる。

 振り回した鎖が熱を帯び、そしてモミジ形となった炎が舞う。

 回転速度が上がればあがるほど、その量が増えていき──それはまるで吹雪のように吹き荒れ、視界を覆い尽くす。

 炎の紅葉に包まれた八葉。身動きがとれなくなったそれに対し──

 

 

「喰らいんさい!! 『紅蓮紅葉狩り』ッ!!」

 

 

 巨大化した鎌の、赤熱した刃が一閃されて、紅葉吹雪を吹き散らすと同時に強烈な一撃が叩き込まれ──その反対側には、同じ動きで赤熱した刀を一閃させた梅里がいる。

 動きを止めた後、梅里は満月陣を維持したまま紅葉の対面へと移動し、そこで月食返しを発動させて、紅葉の技をコピーし──同時に叩き込んでいたのだ。

 

「バカ、な──ッ!?」

 

 紅葉渾身の一撃。そしてそれとほとんど同じ威力の技を挟むようにして叩き込まれた八葉には、倍どころか数倍のダメージが刻み込まれていた。

 いかに巨大魔操機兵といえども──その攻撃には耐えきれず、スパークが走り──やがて蒸気機関の暴走を招く。

 紅葉の必殺技と、そのコピーによる挟撃の威力と勢いは、八葉を弾き飛ばすほどであり──

 

 

「「「あ……」」」

 

 

 梅里と紅葉、それにかずらが見守る中、飛ばされた八葉は、すでに昇降機の床が最下層へと到達──無線連絡で、花組が金剛を討ち果たして最下層への到着の報告がさきほどあった──して、かなりの高さを誇る巨大な穴と化していたそこへと、落ちていった。

 落下の途中なのか、地面に落ちた衝撃なのか、爆発音と光が縦穴の奥から発生し──八葉が戻ってくることはなかった。

 

 夢組別働隊が死守する結界装置の危機はこうして去った。

 




【よもやま話】
 実はこのシーン、最初はティーラの名前を全部カーシャと間違えて書いてました。(笑)
 予約更新してから気づいたのですが、気がついてよかった。
 書いている本人なのに……微妙に似てるんです、語呂が。他も間違えてそうで怖い。
 原作ゲームだと選択式になる敵本拠地への侵攻ルート。正面突破なら金剛、裏道で土蜘蛛と戦うことになるのですが……選ばれなかった側って、完全にスルーされるんですよね。でもそれっておかしくないですか、ということで土蜘蛛に挟撃を試みてもらいました。
 ─9─では失敗だった的な扱いになった第3話の土蜘蛛戦も、因縁の対決になった──ようには見えなかったですね。結構ドライな戦いになてましたし。反省。
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