サクラ大戦2外伝~ゆめまぼろしのごとくなり2~ 作:ヤットキ 夕一
『武蔵』まで高度はほぼ並び、距離も近づき──ミカサの突入作戦は刻一刻と近づいていた。
すでにそれに備えて天武から切り替えて使用されることとなった花組の光武・改は突入後にさらに奥へと突き進むために使用される弾丸列車・轟雷号へと搭載されて備えているような状況だった。
そして突入に際して万全を期すために──ミカサの状態をチェックすべく、夢組錬金術班の頭である松林 釿哉は先ほど戦闘のあった甲板と中央通気口の様子を確認しにきていた。
「隔壁は、何枚突破されたんだ?」
「3枚です。ですが、すでに補修は終わっています」
全7枚の隔壁のうち、一時は半数近くが突破されていた事実が、先ほどの降魔兵器と花組の戦いの激しさを物語っていた。
事実、甲板上に設置された高射砲のいくつかは、甲板にたどり着いた降魔兵器によって破壊されていた。
「了解。これで準備も万全だな……で、ヨモギ。お前はなんでこんなところにいるんだ?」
釿哉の問いに、そこにいた深緑に染められた袴の夢組女性用戦闘服を着込み、その上に黒い十徳という上着を羽織った女性隊員──大関ヨモギが不機嫌そうに半眼の目でにらんできた。
「付近の高射砲で、霊力を込めて攻撃しようとした隊員達がいましてね」
「ほぅ……」
元々、通常兵器でありながら降魔兵器を寄せ付けないことに貢献するほどの威力を持つ高射砲である。それに霊力が込められれば。対降魔兵器や対魔操機兵の切り札足り得る威力が発揮されただろう。
「その発想は良かったんですが、逆に脅威と見なされて降魔兵器から集中攻撃をくらって、こっぴどく破壊されたんだそうです。で、それに巻き込まれて身動きのとれない隊員の治療に来たんですよ」
ヨモギの説明によれば、破壊に巻き込まれたものの、その隊員達の怪我はそれほど深刻ではないらしい。
意識鮮明なものの骨折して身動きがとれなくなっていたり、瓦礫に足を挟まれて動けなくなっていたり、といった塩梅だ。
実際、ヨモギの治療を受けて決まり悪そうに苦笑したり、頭である釿哉の姿を認めて片手を挙げて挨拶するような者ばかりで、深刻さは感じられない。
そんな姿に、釿哉の方こそ苦笑を浮かべる。
「オイオイ……まもなくミカサは『武蔵』に突入するんだ。こんなところでのんびりしてたら死んじまうぞ?」
半ばあきれたような釿哉に答えたのは正面にいるヨモギではなく、横からの声であった。
「──ええ、ですから急いで皆さんを救出して避難させているんじゃないですか」
付近の残骸からひょっこり顔を出したのは、巨大なモンキーレンチといった姿の杖を手にし、前面を金属板で補強されたつば付きの帽子を被った越前 舞だった。
几帳面な性格をしている彼女は、優秀な機械技師としての能力を高く評価されている節があるが、実は高い霊力による念動力の持ち主だというのは、それに隠れてしまってあまり知られていない。
手にした杖も、念動力で金具を回転させて先端を開閉し、それでガッチリ掴んだ物にさらに念動力を込めて動かす──そうすることで、人並みはずれた膂力を持つのと同等の力を発揮させることができるのである。
そして今は、それを使って目下のところ、瓦礫の撤去作業中だった。
現に、彼女が瓦礫を除去したことで足を挟まれて身動きがとれなくなっていた隊員が救助されている。
「……なるほどな。で、救助が必要なヤツらはどれくらい残っているんだ?」
「間もなく終わります。で、あとは担架を使って運べば──」
釿哉の問いに舞が答えていた、その時だった。
かすかに聞こえてきたその音に、釿哉はあわてて振り返る。
「釿さん?」
「しっ……」
突然の行動を不審に思った舞が声をかけたが、難しい顔をした釿哉が静かにするように人差し指をたてる。
それに舞が応じて、緊張した様子で見守っていると──
「オイオイオイ……まさか、この音は……マジか? やべえなんてもんじゃねえぞ」
釿哉の顔が一気に青ざめる。
「頭!? どうかしたんですか?」
「緊急命令だ! ゼンマイ! それにヨモギ!! 負傷者全員抱えてとっとと甲板から待避!! 急げ!!」
「なんです? そんな急に治療は終わりませんよ」
「ええ、それに救出作業もまだ途中で──」
「やかましい! 動けるヤツは近くのヤツを引っ張ってでも待避だ!! ゼンマイ、多少乱暴でもいいからさっさと作業を終わらせろ!!」
「は、はあ……」
困惑しながらも、頭である釿哉の言葉に従い、残り数名の救助へと慌てて急ぐ舞。
「それと、宗次のヤツに緊急連絡だ! 艦橋にも通信を入れろ!!」
怒鳴るように指示を出す釿哉の鬼気迫る様子は、彼と一緒に甲板に出てきていた錬金術班をてんてこ舞いにさせていた。
そんな錬金術班の中で、一人だけ指示に踊らされることなく、冷静な者がいた。
「釿さん。何を聞いたか知りませんが、こっちはサッパリ事情が分かりませんよ。さっきから何を焦って──」
「アイツは、落ちちゃいなかったんだよ。クソッ! 機を待っていただけだったんだ!!」
「──アイツ?」
ヨモギが訝しがるように眉をひそめた、その時──ミカサの蒸気核機関が発する轟音に混じって、別の蒸気機関が出す蒸気を吐き出す音が、彼女の耳にも聞こえた。
「──え?」
それは、聞こえるはずのない音だった。
ここはミカサの甲板上。稼働している蒸気機関はミカサの蒸気核機関のみであり、付近にはもちろん翔鯨丸はいない。
轟雷号はミカサの内部に収納されてその出番を待ち、花組達の霊子甲冑は、さらにその中である。ミカサの巨体を考慮すれば、たとえ稼働中でも甲板までその動力である蒸気機関の音が届くはずもない。
それが示すところは──その蒸気音は、味方のものではない、という事実。
かといって降魔兵器さえ飛行不能な遙か上空である。『武蔵』からやってきた敵──とも考えられるが、どこか不協和音を奏でるその音は、それが今さっき出撃してきたような、万全なものではないことを物語っている。
「釿さん、まさか……」
「ああ、オレの予想通りなら──」
ヨモギの問いに頷いた釿哉がジッと見つめる視線の先──かすかに聞こえた蒸気機関の発する音がした方の甲板の縁を、「ガッ!」と金属の手が掴むのが見えた。
さらにもう一つ現れた手が手すりを掴み──もう一つ現れた手がその横に並び、握りしめると引き寄せ、その体を甲板へと引き上げた。
「テメェ……やっぱりかよ。生き残ってやがったのか!!」
憎々しい目で釿哉はそれを睨みつける。
すでに下半身はなく、その機体は半壊しているような有様だった。
「八葉ッ!!」
土蜘蛛の駆る、巨大魔操機兵だった。
八葉にはそんな有様であっても、健在な四本の腕があった。それを四肢の代わりのように操り、這うように前へと進んできている。
「……京極様の、命令は……絶対、なのさ」
呻くような土蜘蛛の声は、彼女が満身創痍であることを示していた。
「テメェ、今までどうやって──さっき、爆発で吹っ飛んだはずだろうが!!」
「フン、あんなものは……偽装さ。おかげで……下半分、が吹っ飛んじまったが……」
下半身を囮にした爆発によって宙に投げ出された八葉はその姿通りに、まるで蜘蛛の糸のようにワイヤーを使ってミカサに掴まり──機を待ったのだ。
「八葉が、保つかどうかは賭けだったが……どうやら、賭けはワタシの勝ちのようだねぇ」
上半身だけの八葉には、大きなダメージによってスパークが走っているが、それでも今すぐに爆発するようなものではない、と釿哉の目にも映っている。
なにより、その蒸気機関はまだ生きており、しばらくの稼働は可能だろう。八葉が──ミカサの弱点である中央通気口に突入するくらいの時間は、十分に。
「突入に備え、霊子甲冑は使えない! そして周りは雑魚ばかり──絶好の機会じゃあないかッ!!」
すでにボロボロの機体の内部で、その髪型もザンバラになった土蜘蛛の目が──快哉の声と共に爛々と光った。
「あのお方が、コイツを沈めろといった以上、ワタシは、どんな手を…使ってでも……沈めてみせるのさ!!」
通気口へと動き始めた八葉。
それに対してミカサは、有効な攻撃手段を持ち合わせていなかった。高射砲はあくまで対空。甲板に張り付かれた敵へは攻撃できない。
「ここで──食い止めるしか、ねぇ!!」
甲板にいる戦力である夢組。その一人である釿哉が愛用の銃剣を構え、乱射した。
「オマエら、絶対に阻止だ!! こいつを通気口に入れるんじゃねえ!!」
この場にいるのが封印・結界班でないのが悔やまれる。彼らの結界技術なら、封じ込めて八葉の動きを止めたり、障壁で行く手を塞いだりと手はあったはずだ。万全ではないあれが以前やられたような結界すり抜けをできない可能性は高いのだから。
他の錬金術班の隊員達も、手にした銃や飛び道具を放って奮戦する、
だが除霊班のような戦闘力を持ち合わせない彼らでは、八葉の足止めすらままならない。
そんな中──
「──副隊長に連絡しました!! 至急で応援に向かうとのこと」
「おうよ!」
「ただ……花組は霊子甲冑を轟雷号に搭載完了済みのため、時間がかかるそうです」
「間に合わねえな、それは。……クソ! いいか、仲間が──応援が到着するまで、絶対に死守だ!!」
その叫びに応じて、さらに応戦が激しくなり、無数の矢弾が八葉へと飛ぶが──
「そんな豆鉄砲が、効くものかああぁぁぁッ!!」
ものともせずに、四本の腕を高速で動かし、匍匐前進のようにして進む八葉。
「な──ッ!?」
意外に速いその速度に驚いた釿哉だったが、近接戦と判断して今度は銃剣で突き刺さんと構える。
しかし──
「そんな、付け焼き刃など、通じやしないわァァァッ!!」
四本の腕の一本に、たやすく弾き飛ばされてしまう。
「グハッ!!」
弾き飛ばされた釿哉は、中央通気口へと飛ばされ、その縁に叩きつけられる。
穴へと落ちなかったのは不幸中の幸いだが、その強烈な一撃は、まるで全身がバラバラになったかのように激しい痛みを伴い、動けなくなっていた。
「ハッ……他愛もない。狩り甲斐もない……まったく…………せっかくの最期の戦いなんだ……せめて、あの男くらい、骨のあるヤツが出てくれば、ちょっとは楽しめたんだが、ねぇ……」
土蜘蛛は、周囲の夢組を蹴散らしつつ、つまらなそうに言った。
その隊員達が着ている戦闘服は、土蜘蛛にある男を思い浮かばせた。
九月に台風の暴風雨の中で、お互い魔操機兵も霊子甲冑も無しに戦い──その後の黒鬼会本拠地で、土蜘蛛の八葉とさえも果敢に生身で戦った……あの男。
この八葉はもう保たない。だからこそ弱点である通気口から中枢部に入り込んで自爆し──このミカサを墜とす。
そうすれば土蜘蛛も八葉と運命を共にすることになる。
その行為に躊躇いはない。京極 慶吾の役に立てるというのなら、喜んで捨て石になろう。土蜘蛛はそう考えていた。
だが──それまでの間、この何のひどく歯ごたえの無くつまらない人生最期の戦いに、少しでも楽しみを、と期待するのは無理もないことだった。
それが──土蜘蛛の油断であった。
甲板上での戦いはあっという間に沈静化していた。
すでに錬金術班はほぼ壊滅で動けるものはいない。八葉は阻止するものがいなくなり、中央通気口へと悠然と近づいてきていた。
「クッ、ソが……」
その姿を見ながら、釿哉は思い出していた。
当初、夢組の男性幹部の中でもっともやる気がなく、反発していたのは釿哉だった。
理由は簡単、規則規律を優先する堅苦しい宗次のやり方に嫌気がさしていたからだ。 とはいえ、せりのようにことあるごとに反発するようなやり方はしなかった。
むしろその姿を見て「面倒くせえことしてんな、アイツ」と思っていたほどだ。
そんな状況を一変させたのは、あの男──武相梅里がやってきてからだった。
師匠の面倒を見ていたせいで得意になった料理の腕をかわれ、平時は食堂の厨房勤務になっていたが──しょせんは素人でしかない。そう思い知らされたのは梅里が食堂に加入してからだ。
(アイツは、プロだもんな……)
にも関わらず──梅里は釿哉の煮込み料理の腕を評価してくれた。
「難しい火加減の調整……あなたはそれがスゴく上手みたいですね」
そう言って梅里は煮込み料理の担当者に据えた。同じようにコーネルも揚げ物の腕を評価されて、専門でそれを担当するようになった。
(まったく、今にして思えば……アイツの口車に乗せられてただけだな)
思わず苦笑してしまう。
あの当時の腕は、もちろん梅里の足元にも及んでいなかっただろう。それでも誉められ、評価された仕事を釿哉は一生懸命にやり続け──その腕を確かなものにしていた。
そんなスペシャリストにしてから、そこから裾野を広げさせられ、今では梅里が不在のときでも、不満が出ない程度にはできるくらいには成長した──いや、成長させられた。
「今のオレがあるのは、アイツの……大将の、おかげじゃねぇか……」
今、意識を失い身動きがとれない、オレ達の大将──武相 梅里。
もしここで、子分である自分たちがミスってミカサが致命的ダメージを受けるようなことになれば──
「顔向け、できねぇよなぁ……ッ」
力を振り絞り、どうにか手にしていた銃剣の銃口を持ち上げる。
「だから──せめて、一撃……」
銃剣の銃口を向ける釿哉。全身痛むが左腕もまた負傷しており動かせない。銃把をつかむ右腕一本で支えるしかなかった。
霊力を弾丸に込め、一矢報いようとねらいを八葉へと向けるが──
「ぐぅッ!!」
痛みに耐えかね、銃口が下がる。
──だが銃身が横から伸びた手で支えられた。
「だらしないですね、
横から銃身を持って支えたのはヨモギだった。
彼女もまた負傷しており、そのダメージが大きく身動きがとれなくなっていたのだが、いつの間にか釿哉の下へとやってきていたのだ。
そして彼女は必死に「痛くない」「痛くない」「痛くない」と繰り返し、自己暗示で痛み止めをしている。
「オイ、ヨモギ……」
「なんですか? 話しかけかけないでください。自己暗示が止まって痛くなるじゃないですか」
ヨモギの口調が速く、その必死さを物語っていた。
「まったく……お前だって、似たようなもんだろうが」
苦笑する釿哉。
「だが──お前が来てくれたおかげで助かったぜ。なにしろお前がいれば──」
「“失敗しません”からね」
二人分の霊力を受けて、弾丸が金色の光を放って輝き始める。
だが──それでも、二人は不安を感じていた。
「ところで
「んなことは分かってる。だが、こういうときは数値以上の不思議な力ってのが出るもんだ! それがお約束ってヤツよ!!」
「ハァ……なんと非科学的な……」
あからさまな呆れたため息に、釿哉は皮肉気な笑みを浮かべる。
「なら、ここで尻尾巻いて逃げ出すか? もっとも……巻く尻尾も無ければ、逃げ出す足も……これじゃあな」
チラッと視線を下げた釿哉の目には、とても走るのには耐えられないほどに負傷した足が目に入る。
それを目で追ったヨモギも──思わず息をのんだ。
「……あの、それ、痛くないんですかね?」
「痛えに決まってんだろ!」
「なるほど。痛みを感じなほど頭がおかしくなっているのかと心配しましたが、どうやらそうでは無いようで」
そんな風に軽口を言い合あっていたが、計算が出来る二人にとって、この霊力出力では、八葉の装甲を突破できるほどの威力が出ないのは分かっていた。
たしかに八葉はさっきの戦いで花組の猛攻を受け、その上で下半身を失ったその姿はボロボロである。
しかしそれでも腐っても鯛、朽ちても魔操機兵、である。
二人に、八葉を倒せる目処は無かった。
──すると
「そこに弾丸に三倍の回転を加えれば……威力は三倍ですよ。撃ち抜けます、理論上は」
さらにもう一人、ヨモギの反対側から舞が銃身をつかむ。
彼女の持つ特殊な力──念動力によって弾丸の回転を高めようという腹積もりだった。
その彼女もまた戦いに巻き込まれ、大きなスパナ型の杖で奮戦したのだが、及ばずに吹き飛ばされ、負傷していた。
「どんな理論ですか。ハァ……アホがさらに増えました。頭痛がしますよ。まったく……」
「……ご存知、ないのですか!? それこそ普段は片手で放つ技でも二倍の高さから両手で放ち、それに三倍の回転を加えれば威力は12倍になる、あの高名で有名な理論を──」
一気に舞が幕い立てている間に、その霊力も込められ、釿哉の銃剣は光を放ち始めていた。
彼の属性である『金』の名が示すとおり、黄金色に。
「知らねぇよ。けど──今は信じてやらぁ」
ニヤリと笑う釿哉。
「もしその通りなら──それに三人分の霊力込めれば、さらに3倍……36倍の威力だからな!!」
「いえ、その理論の両手で持つというところと違って今は全員が片手です。だから1.5倍の18倍がいいところじゃないですか」
すかさずツッコむヨモギ。
それに釿哉はニヤリと笑う。
「ヘッ、まあ、よくわからんが……とにかく、そんだけあればあの壊れかけのガラクタを吹っ飛ばすには……十分だ!!」
銃口から覗く銃身の奥に込められた弾丸。それが渦を巻く三人分の霊力を受けて金色に輝いていた。
その強い霊力に、さすがに土蜘蛛も気が付いた。
「キサマら、何を企んでいる!? 何をしている!? おのれぇ、人間風情がぁ!!」
吠えて突っ込んでくる土蜘蛛の八葉に対し、迎え撃つ三人。
「貴方も生物学的には人間でしょうに」
冷静にツッコみつつ霊力を込めるヨモギ。
「あなたが侮るその人間の力──」
舞が全力を込めた念動力で、銃身の中に回転のベクトルを作り出す。
「喰らいやがれッ!!」
快哉の声をあげつつ釿哉は、照準を合わせる必要がないほどに迫った魔操機兵の巨体に向かって──引き金を引く。
「これがオレ達の、最期の力だああぁぁぁッ!」
三人分の全霊力が込められ、赤みを帯びた金色はその色を越えて、緋色となった光線が放たれる。
「グハッ!!」
それが八葉を貫き──トドメとなった。
至近距離で打ち抜かれた蒸気機関は、今度こそ本当の爆発を起こし──中央通気口のすぐ近くで爆発を起こしていた。
夢組本隊を率いた巽 宗次が駆けつけたのは、その時だった。
愕然とする宗次の前に、焼け落ちる八葉の残骸。
その周辺、中央通気口付近に──人影はない。
「なッ!? バカな……大関、越前…………それに、釿哉ッ」
戦いに巻き込まれた錬金術班の者達は重傷でがあったが、その命はとりとめていた。
ただし3名──頭と副頭2名の姿は甲板上から消えていた。
目をつぶった宗次は拳を握りしめ──その手から血が出そうなほどにキツく握りしめられたそれが、彼の悔しさを如実に現していた。
【よもやま話】
前のシーンに次回予告があったなら「次回──さらば釿さん、空を貫く執念の赤き光弾!!」と予告とタイトルでネタバレするパターンです。
釿哉の最後の一撃を放つシーンは『覇王体系リューナイト』の終盤でデリンガーが敵と相打ちになるシーンのオマージュ。
このシーンをやるのは前作書いているときから決まっていました。以前、ヨモギの戦闘シーンについて「2の最終話で~」ということを書いていたのですが、これがそれですので。
ちなみに台詞の「これがオレ達の~」は『太陽の勇者ファイバード』の最終回からで、舞の言っている理論は「ゆで理論」です。一応、念のため……