爆豪、母校へ帰る   作:秋編

2 / 45
甘党の壊し屋
砂藤「爆豪が雄英の先生かぁ・・・。」 その1


それはとある昼下がり。平日の昼間はどうしても客足が遠のくのか。砂籐力道は経営しているお店の奥で和んでいた。ヒーローが経営しているケーキ屋さん。そんなキャッチフレーズで始めたお店は彼の腕もあってかなかなか売り上げも上々で、このままイートインスペースでも作ってしまおうかと画策中だ。勿論彼は引退した訳ではないので、この建屋の二階はそのままヒーロー事務所兼砂籐の生活スペースになっていてる。どうやらなかなか悠々自適な生活をしているようだ。

 「こんにちは。」

 ケーキに合う紅茶、かつてのクラスメイトに勧められた紅茶をケーキと一緒に味わっていると、呼鈴と共にお客様の声が聞こえてきた。砂籐は暇だからと外していたコスチュームのマスクを少し慌てて被りなおして、店頭へと顔を出す。

 「あぁ、耳郎じゃないか。久しぶりだな。」

 見慣れたイヤホンジャックに少しボーイッシュな印象を受ける髪型。本人は目つきが悪いと気にしているらしいが、それはそれで愛嬌があると言われている三白眼------元1-A組の歌姫、耳郎響香がそこに居た。

 「やっほ、砂籐久しぶり。ちょっと仕事で挨拶に今から行くんだけどさ。手土産にいくつか見繕って欲しいんだよね。」

 「はいよ。」

 仕事の関係ならある程度種類があり、男性も楽しめるような甘さ控えめのケーキも入れておいた方がいいだろう。そう考えた砂籐は耳郎に予算を聞きながら、慣れた手つきで商品を箱詰めしていく。世間話と近況報告を交えながら会計を済ました砂籐は感慨深げに呟いた。

 「爆豪が雄英の先生かぁ・・・。」

 「本当ね。どうなることやら。」

 詳しい事情こそわからないが爆豪が雄英の教師をしているらしい。あの爆豪が、だ。近づくものも遠ざかるものもすべてまとめて爆破しそうな彼の姿を砂籐は思い出し、生徒に対し愛の鞭を大盤振る舞いしている様子を幻視してしまった。

 「ふふっ、笑うのは失礼かもしれないが大丈夫なのか?」

 「わかんない。天才マンなんだしなんとかするんじゃない?」

 若干投げやりに言いつつ恐らく心配はしていないのだろう、サイドキックでありながらそういった関係を維持していると噂になっている耳郎がそういうのだ。たぶん、なんとかはなっているのだろう。

 「まっ、結婚を考えたら自営業のヒーローより先生の方が固いからな。爆豪も意識して・・・」

 「さ・と・う」

 名前を呼ばれて見てみれば、若干鋭さを増した三白眼でこちらを見る難しい年齢の女性がそこに居た。

 「この年頃の女性にその手の話は軽くしないの。」

 「す、すまん。」

 妙に迫力があるのは彼氏に似てきたんじゃないか?頭に浮かんだ疑問をそのまま言わないぐらいには、砂藤にもデリカシーは残っていたらしい。

 じゃあこのまま挨拶に行ってくるからまたね。そう言って店を出た耳郎を見送り、砂籐本人もパトロールに出た。最近は街も平和なようでシュガーマンもヒーローというよりはケーキ屋の親父という方が正しいのかもしれない。それこそまだ親父という歳ではないと思いながら、砂籐は耳郎との会話を思い出す。

 「しかし爆豪が雄英の先生かぁ......。」

 それこそ特別物を教えるのが下手だった印象は無い。助言は的確だったし観察力もある。生徒たちが社会に出た後に感謝されるタイプの教師になるだろう。しかし、

 「本人は大変だろうなぁ。」

 もともと孤高を好むタイプだったように思える爆豪だ。今回副担任として雄英に雇われているらしいが、それでも彼の性格的に生徒達の相手というのはなかなかストレスの溜まるものだろう。今度差し入れでも持って行ってやろうと、爆豪が在籍中に好んで食べてくれたケーキを思い起こしていた時だった。かつては日常的に聞いていた爆音と、高校生くらいの男の子が吹っ飛んで来たのは。

 「やぁっっっっと捕まえたぜぇぇぇぇ!!!」

 燃えながら飛んできた男の子を軽くキャッチしたシュガーマン。その方向を見てみれば遂に口からも爆炎が出るようになったかと勘違いするほど荒れ狂った意中の人物。

 「手間かけさせやがって!しっかり指導し殺したるぅぅぅぅぅ!!!」

 爆豪勝己がそこに居た。

 




pixivにて連載中のものを再掲載しております。
何卒宜しくお願い致します。
次話→「砂藤「爆豪が雄英の先生かぁ・・・。」 その2 
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11508825

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。