その瞳に希望を宿して   作:ノア(マウントベアーの熊の方)

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初めての方は初めまして、そうではない方はまた私の作品を見ていただいてありがとうございます、どうもノアです。
前書きはいつもダラダラと書きすぎたりすることが多いので今回は特に書きません(もう長い)。

ではごゆっくり、見ていってください!


一章
第1話


「はぁ…暇だ…」

 

そんな事を呟きながら、俺…橘 リョウ(タチバナ リョウ)は粗末なクッション性すらないベッドに腰掛け、石で作られた天井、苔の生えた石壁、そして石畳の地面を見回した。

そして再度大きなため息をつきながら頬杖をつき、金属製の分厚いドアを見つめる。

ドアには外から大きな鍵でロックがかかっており、内側から開けるのは困難だ。

いくら俺が"鬼"と呼ばれる種族であっても、壊すことの出来ない鍵…

おそらく、源石(オリジニウム)由来の成分でも入って強化された金属か何かなのだろう。

 

そんな見るからに牢獄といった部屋に閉じ込められて早5年。

理由はもちろん、俺を隔離…いや、俺たちを隔離したいからだ。

なんで隔離されるかって?

俺たちが鉱石病(オリパシー)にかかっちまってるからだ。

 

オリパシーは不知の病とされ、オリジニウムに身体が侵されることで発症する。

長期に渡って源石やその加工品に接触していると感染しやすいらしく、オリパシーに感染した者は『感染者』と呼ばれ、隔離や駆逐、挙句の果てには差別の対象となっている。

ならそんなヤバい石なんて使わなければいい、そう思えるが、これがそうもいかない。

オリジニウムは膨大なエネルギーを秘めており、天災と呼ばれる自然災害を引き起こす主な原因でもある。

しかし、前にも言った通り、膨大なエネルギーを秘めているのだ。

 

そんな物質を人類がヤバいからとはいそうですかと言って見過ごす訳もなく、今では源石術(オリジニウムアーツ)、通称『アーツ』の媒介となり、物質の形や性質を変化させる技術に使用されたり、『移動都市』と言われる、天災が起きそうな時に天災から逃げれるような移動する都市を動かす源石エンジンや、一般生活に使うようなものにまで使われ、もはや人々の生活になくてはならない物になってしまっている。

 

かくいう俺も、日常的にオリジニウムと触れ合ってきた結果、妹と共にオリパシーにかかり、こうして隔離されているという訳だ。

まあまだ幸いなことに、今この村では俺と妹しか感染者はいない。

俺が7つの時に両親もオリパシーになって死んじまったのを考えると、おそらく俺たちもこのまま隔離されて死んでいくのだろう。

まあ幸いにも村のヤツらが飯は出してくれるので、不自由だが生きていけるだけマシというやつだろう。

せめて古い本でもいいから置いていってくれればいいのに、そう思い3度目のため息をつくと、部屋の反対側に置かれたベッドから、妹のイツキが頭の犬耳を垂らしながら、しっぽをゆらゆらさせてこちらを見つめてきていた。

 

「どうした?なんかついてるか?」

 

「ううん、なーんでもない、暇だなぁって思ってただけだよ」

 

「だよなぁ、しかも不快な程にジメジメしてやがる、全く、なんでこんなちっこい辺境の村に地下牢獄なんてもんがあるんだ」

 

「だよねぇ!でもまだ牢獄に隔離するとしても、週に5回でもいいからお風呂入りたいなぁ…」

 

「だな、月一とか頭おかしいんじゃねぇか?」

 

そんなやり取りを交わしていると、地上に繋がるドアが開いた音がし、耳をすませる。

それと同時にイツキの耳もピンと立ち、俺と同じく耳をすませているようだった。

やがて足音が近づいてきたと思うと、いつもの村のオッサンが、2人分の食事を何も言わずに持ってきた。

どうやら昼食の時間だったようだ。

俺たちはそれをドアの小窓から受け取り、部屋の真ん中に置かれた机へと運び、2人して「いただきます」と言って、無言で食べ始めた。

 

スープとパン、そして野菜と肉の炒め物という質素なものなので、気がつくと2人とも食べ終え、空の食器だけが残った。

せめて妹だけでももう少しマトモなものを食べさせてやりたいが、この現状だとそれも叶わないだろう。

そう思い今日4度目というハイペースにも程があるため息をつくと、イツキが心配そうにこちらを覗き込んできていた。

 

「なんでもない、心配するな」

 

「本当?ならいいんだけど…なんかあったら相談してね」

 

「ああ、ありがとう」

 

そんな会話を交わし、わしゃわしゃと妹の頭を撫でてやる。

すると、嬉しそうに擦り寄り、大人しく撫でられてきた。

やはり、俺と違ってペッローとあってか、撫でられるのは好きらしく、よくそのスチールブルーの髪の頭を撫でてやっては癒されている。

 

妹と俺はご察しの通り、血は繋がっておらず、俺が2歳の頃に拾われてきた捨て子だ。

当時はイツキも赤ちゃんだったので、本当の親のことは知らないだろうし、知ったところで、自分のことを捨ててきた親に対しては負の感情しか抱かないだろう。

そんな血が繋がっていないどころか種族すら違う俺たちだが、こうして仲良く暮らしている。

家はこの牢獄だが。

 

親が源石関連の仕事をしていたこともあって、家に源石関連の道具などが沢山あったので、まあそれも必然というものだろう。

こうして閉じ込められるなら暇つぶしに遊べるように、親のアーツ学の本を読んでおくんだった。

流石にわざわざアーツ学の本を読ませて脱獄のリスクを村のヤツらも背負いたくないので、今頼んでも見せてはくれないだろう。

 

感染者がアーツユニット無しでアーツを使えるどころか、アーツ使用能力を増強させるなら尚更だ。

それに、感染者はアーツを使えば使うほどに症状を悪化させ、最終的にはその感染者の死体がさらに感染源となる。

後処理も面倒になるので、いなくなっては欲しいが死なれると困るが本音だろう。

そもそも感染者となった以上、ヤケでも起こすか、必要でない限り、アーツは使わない方がいいはずだ。

妹を置いて死ぬのはゴメンだし、逆に妹に先立たれるのもゴメンだ。

かなり前に感染者とわかった時の症状の進行度合いは俺もイツキもほぼ同じだったので、変なことをしない限りは死ぬタイミングはほぼ同じだろう。

 

現にほぼ同じタイミングで体表に鉱石結晶が現れているのを鑑みると、今も進行度合いは同じといったところだと、俺は思っている。

あくまでも希望的観測でしかないが。

まあそれにしても、病状が進行している割には俺たちは健康そのものだ。

咳もこれといって出ないし、体調不良になることもまあ無い。

その辺、俺たちは運がいいのだろう。

 

「外に出たいなぁ…」

 

そうイツキがぽつりと呟いたのを聞き、俺は妹に何もしてやれないことを悔やんだ。

悔やんだところで何も変わりはしない…そうわかっていても、何も思わなくなってしまうより何倍もマシだ。

悔やんだことで、もしかしたら神様から慈悲を貰えるかもしれない。

まあ、神様が本当にいるのならば、そもそも俺たちを感染者にしないでくれと言ってやりたいものだが。

そんな事考えたって仕方ない、そう思い、俺は身体がなまらないように動かした後、ベッドに寝転がり、眠りについた。

 

───後にあんなことが起きるとも知らずに。




はい、という訳でいかがだったでしょうか?
良ければ評価、コメント等をして頂けると狂ったように喜びます。

今作は思いついたら書くを繰り返していたら1~5話、5~10話で一気に場面が変わるようになってました。
察しのいい方はもう察されたかと思いますが、10話まで書きだめがありますので、10話まではデイリー更新となります。
良ければご愛読くださいませ。

ではまた次回、お会いしましょう!

小説の流れ(物語の内容)について

  • もっとフランクにしてもいい
  • もっとはっちゃけでもいい
  • 下手なことしないならいい
  • もっとネタに走ってもいい
  • 今まで通りがいい
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