……と、仲間たちはそう信じたかった。
先日の、私のサーキットトラブルは必然だったという結論を見出した。導かれたこの真実は、宿命論に従っている。私は、仲間たちや自身の過誤において『声』をキャッチできるようになった。それは、あのスタースクリームの奴が放ったナルビームを受けても失わなかった。
「なぁアラート、ボケっとしてどうしたんだ」
燃える色をした相棒がわざとらしく横に並んだ。私もわざと彼に視線をやらず、胸のインシグニアに手を当てた。
「なんでもないさ」
救助を担うインフェルノがこちらの心配をしないはずがなかった。だが私には、そうした行動の原理に何が置かれているかを熟知している。
心配や配慮といった美徳に塗り固められた言葉は、言わずもがな『盾』である。善意でもって自分の不満をぶつけられる手法だ。私を気遣うインフェルノを謗る仲間たちはいまい。
免罪符という外套で悪意を変換し、インフェルノが自分にとって不可解な部分を持つ私を当てこすっているのだと容易に推察できる。こうしたコミュニケーションは、多くの知的生命体が行っているようだ。
「それならいいが。……それにしても、メガトロンとスタースクリームがシッポ巻いて逃げたあの時、笑いもんだったぜ」
彼は猛々しく火炎を突き進み、私を助けた。勇者になるために。私は彼の名声の材料となれた。
「そうだったのか? ああ、インフェルノ」
「なんだ?」
「この世界……いや、多くのユニバースを包括した数多の世界に、真実が与えられる日が来ると思うかい? 私の方向指示器は狂ってないし、平衡回路も正常だが、何処ともつかない方角……いや、『場所』から声が聞こえるんだ。そこには、よく似た私たちが柔らかい素材で大量生産されていて、しかも小さくて、世界中に流通していてね。我々の観ている世界とほとんど相違ないみたいなんだが、……これはとても感覚的で論理性を欠く仮説なんだが、そここそが唯一にして紛れのない真実の場所だと私は感じるんだ。だって、そうだろ、インフェルノ、私は知ってしまったんだよあの時から、音声が止まないんだ、でも俺たちの世界が偽物だってワケじゃないんだ、ああっ、だが私たちの意思は誰が証明しているんだ? わからない、インフェルノ! オマエが私のブレインに手を加えたんだな、多分ホイストかホイルジャックの奴らも一枚噛んでいるんだ私には分かっている……やめろ! そんな目で見ないでくれ、私たちは宿命に逆らえないようにできているんだ、意思なんてない、人格なんて客観的に構築されただけの呼称なんだ! 偽物も真実も等価値だと思わされているんだ! みんなラチェットに診てもらえよ! 俺は御免だ──」
*
気が付くと私は、『気の毒な』視線に晒されていた。頭部が痛む。
「やれやれ、大丈夫かアラートさんよ」
インフェルノと似た色をしたアイアンハイドが私の肩に手を置く。
「……大丈夫さ」
我が頭脳回路が最終的に弾き出したのは、
「ああもう本当に大丈夫。起き上がれるよ、ほら」
壁の向こうでオマエたちが私を見ている事実だ。
もしも24話「ネガベイターを奪え!」でアラートがあのまんまだったら……むしろ悪化していたら…………