咲夜と神馬が……!?
「………俺の部屋ってどこだ」
部屋をでて初めに思ったことはそれだった。
俺が最初に来たはずの部屋はどこなのだろうか
この館は言うまでもなく広い…。
それを一つ一つ見て回るというのはかなり酷な話ではないだろうか。
少なくとも……怪我人がするべきことではないだろう。
「仕方ない…一度戻るか」
胸元を擦りながら、俺は廊下を歩いて外へと出た。
途中、羽を生やした小さな生き物がこちらを見て指さしていたが
あれはこちらに害のない存在なのだろうか…
なんてことを言ってる間に、門の方までやってくることができた
「なあ、美鈴。」
「えっ…?!なんでここに」
「部屋に戻れと言われたんだけどな……部屋がどこかわからなくて」
「……確かに…ここって広いですしねぇ」
なんて会話をしていると、美鈴は俺の胸の傷に気がついたらしく
「って…その傷はお嬢様に?」
と聞いてきた。
「あぁ、そんな感じだ。一瞬でやられてた」
「痛みはないんですか?」
「痛み…?まぁ今はそんなに痛まないけど……」
「そうですか…今すぐ手当してあげたいんですけど道具が一切なくて…
後で咲夜さんに見てもらってくださいね」
……まぁ、そうさせてもらうか…
「分かった。とりあえず、暫くここに居てもいいか?」
如何せん館の中にいても迷うだけだ。
それならここで咲夜を待っている方がいいだろう。
「まぁ…あなたがそれでいいなら構いませんけど」
「そうか、ならそうさせてもらうよ。」
壁にもたれ掛かり座りこむ。
ここはなんとも平和な所だ……。かつて暮らしていた場所とは比べ物にならない。
常に動かなければ銃で撃ち抜かれる場所もあれば、水を得るために人を殺すような所もあるのだ。生きる為に人を殺す。
幼少期から培われたことを思い出すと、あの吸血鬼が言っていたこともあながち間違いではなかったな。
あぁ…………そういえば女の子を魔女とか言って殺そうとする奴らがいるような所もあったな。
あの子がどうなったのか、その結末までは分からない。
あの夜がきっかけで、俺は裏で名を馳せることにもなったのだ。
二十世紀第二の切り裂きジャック……
そんなダサい二つ名が一時期つく羽目にもなった。
「あそこと比べたら…ここはとても平和だ。」
「あそこ?」
「……ん、そうさ。あそこ。」
美鈴には伝わらないだろう。
伝わってほしいとも思わないし、彼女も深くは聞いてこない。
そういうことなのだ。
俺はこのなんとも言えない平和を求めていたのかもしれない。
人間を目の前で殺したやつがいる館で平和を唄うなど、冗談も甚だしいのだが…
「それでも俺は……この時間が好きなんだ」
そう言ってるうちに、咲夜が門まで来ていた。
「迷ってるんじゃないかって探したんですよ?」
「俺が?そんな無駄な体力は使わないさ。」
「……まぁ、とりあえずついてきてもらうわ。その傷をみないと。」
「そう言えばそうだったな、頼むよ」
よっ……と、そんな声をだしてゆっくりと立ち上がり、俺は咲夜の後ろについた。
「とりあえず後ろに張り付いておいて」
「……?分かった」
言われた通りについて行く。
傷の手当は思っていたよりも早く終わったのだった。
「あ、それ貴方の寝室に案内しておくわ」
確かにそれは知っておきたいことだった。
「どこか分からないしお願いするよ」
「ここよ。中に入ってちょうだい。」
暫く歩いて、咲夜がドアの前で立ったのでそこが俺の部屋ということになるのだろう。
ドアを開いた咲夜の後を追って、部屋の中へと入ると………………
俺は確認をとることにした。
「……本当にここなんだよな?」
「そうですわ。」
「その言葉に嘘はないんだな?」
「えぇ。少なくともあなたに嘘をつくつもりはありません」
外の世界で俺を嵌めたくせによく言う……!
ってそんなことじゃなくて…
「いや…だってさ……ここ」
だれか使ってるよな?明らかに。
私物置いてるし、女性用だし。
「何をしてるんですか?私たちのお部屋なんですから!!」
「ここ以外の部屋は?!ないのか!?」
「ありません!!あっても使わせません!!!」
断固として叫ぶ咲夜に仰け反ってしまう。
意味が分からない。
「……逃げるっていう選択肢はあるか?」
「逃げられるのなら…としか言いかねますわ」
あー…無理だこれ。
だって彼女、獲物を狩る目をしているのだもの。
あの手品くらって捕まるだけだわ…
拘束を喰らうのも嫌だしなぁ…………
腹を括るしか…選択肢はないらしい…!!
「分かった!分かったよ…!ここで十六夜!お前と一緒に寝てやるよ!!!」
「よっし!!それでは今日からよろしくお願いしますね!神馬さん!!」
いきなり名前呼びかよ…
まぁいい、もうどうにでもなれ……!!!
平和を感じ喜ぶ神馬。
そして彼と一緒の部屋に暮らすことになり喜ぶ咲夜。
多少のキャラ崩壊は仕様ですので悪しからず