翌日、俺はベッドの上で目が覚めた。
隣には咲夜が眠っている……はずだったのだが、もう起きているらしく、そこに姿はなかった。
……結局昨日ヤケになって一緒に寝たわけなのだが、あいつにも良識はあったらしい…
特に襲われる(意味深)なこともなかったし一安心だ。
まぁこの調子なら今後も一緒に寝るくらいならしてもいいだろう…。
「さて、動くか」
何時かは分からんが、そもそもここで時間を気にする必要は無いに等しい。
江戸時代末期から明治時代初期くらいの日本に、そんなに精密な時計があったのかすら怪しいのだ。
まぁ起きたら日が暮れるまで行動する……ってのを繰り返していればいいだろう。
「これを着ればいいのか?」
なんとも準備のいい事だ。
俺が起きたら直ぐに目が届くだろう場所に、俺の着替えを置いといてくれていた。
寝巻きから着替えて、俺はようやく部屋を後にした。
「……まぁ、どこに行けばいいのかは分からないのだけどな」
辺りを見渡してもやはり見栄えが変わらない。
目に悪い赤で統一された廊下が視界に入ってくるだけだ。
「えっ……と、確かこっちか」
困ったら入り口に戻ればいいか。そう思った俺は、昨日来た記憶を元に、門の方へと向かうのであった…。
「あ、おはようございます!」
「おはよう美鈴。」
そんな挨拶を交わして、俺はぐっと屈伸をする。
天気のいい晴れ晴れとした青い空が辺りに広がっており、なんとも気持ちのいい風が吹いていた。
「昨日は眠れましたか?」
「あぁ、隣にあいつがいたけど……眠れたよ」
「えっーー隣…?えっ……?」
かなり困惑しているようだが、無理もない。
俺だってそうなるのだからな。
とりあえず補足説明だけは付け足しておこう。
「まぁ…なんだ、まぐわってはいないからな。あいつは綺麗だ」
「……はぁ。まぁ咲夜さんがしたいようにすればいいと思います。その…一線は超えちゃだめですからね?」
「超えるつもりも毛頭ない。年下に恋愛感情は持たない主義なんだ。
持ったとしても相棒感覚までだな」
「その感覚は私には分かりませんけども、とりあえず頼みましたからね。」
なんて会話を交わしながらだべっていると
「ここにいた。もう、起きたならちゃんと言ってくださいよ!」
「へっー?…あ、十六夜か。おはよう」
「おはようございます…ってそうじゃなくて!!」
なんだなんだ…朝から謎に不機嫌だなこいつ…。
「なんだよ朝から」
「朝だからですよ!!なんで真っ先に私の所へ来てくれないんですか?!」
……知らねぇよそんなこと。というかそんなことで怒られるのか?
「この屋敷広すぎるんだよ。お前がどこにいるかとかわかる訳ないだろ?」
「うぐ……じゃ、じゃあこれを渡しておきますから!これからはこれを辿って私の元まで来てください!」
そう言って、彼女は仕舞っていた懐中時計を取り出してこちらに寄越した。
それを受け取った俺はマジマジとみつめる。
「これ、なんの効果が?」
「少しですが私の力を入れてますので、いざと言う時に助けになります。基本は私とあなたを繋ぐパスのようなものですわ。」
「あぁ…受け取っておくよ」
ポケットにしまう。なんだか貰ってばかりだな…、いつか返してやることができればいいが……
「あ、それよりもだ。なんの用だったんだよ」
「へ?食事の用意が出来たので探していただけですわよ?」
あ、確かにそんな時間になっているのか……時間の概念がないように思えてあまり空腹を感じていなかった。
「あ、そんな時間なのか。すぐにいくよ」
「えぇ、食堂まで案内しますわ。美鈴は後で用意するからもう少し待っていて」
「はい。分かりましたよ、咲夜さん」
そう言って俺は美鈴に「また来るよ」とだけ言って、屋敷へと戻るのだった。
次回……未定だ!!