「あら…その傷はどうしたのかしら」
包帯で傷を巻いていると、そこに吸血鬼が現れた。
俺の体を見て、何があったのかが気になったのかそんなことを尋ねてくる。
「ちょっとな……色々あった。」
「へぇ…そう。咲夜が……」
吸血鬼はそう言うと、どこか嬉しそうに笑っていた。
何故かは分からないが…彼女は十六夜に対して、何か思うところでもあったのだろうか。
そんな風に見て取れた。
「あの子はなんて言ってたの?」
「俺を愛している。一心同体だと言っていた」
「へぇ…それで?あなたの返答は?」
「何も言っていない。俺にはそんな感情を持つ資格は無いのだから」
「……そう。分かったわ」
そう言って、吸血鬼は踵を返して歩いていった。
気分が変わったのだろう。俺には目もくれずに去っていった。
「……・血は…止まったか」
いつの間にか血は止まっていて、傷も塞がりかけていた。
〜〜
「ねぇパチェ。」
私は紅魔館の地下…大魔導図書館にいる親友の元へ訪れた。
この館と一体化した空間は、入口こそ紅魔館になっているが、そこは全くの別世界となっており、無数の書籍が置かれていた。
そこに一人で鎮座しているのが、私の親友であり魔法使いのパチェリー
だ。
私は彼女の座る元へと向かって彼女の傍に腰掛けた。
「なんの用かしら?」
ちらりとこちらを見て彼女は私に言った。私はクスリと笑いながら
「あの男のことなんだけど」
と、今住神馬の話を彼女にもちかける。
「あの男と咲夜のことでしょ?さっき咲夜が私の所に来て色々話してくれたわよ」
「はぁ?!何それ私聞いてないんだけど!?」
なんで私を除け者にしてるのよ…!
それにしてもまさか咲夜がそんな行動に移っていたなんて知らなかった……!
従者の行動に少し驚かされたが、パチェの話も気になったのでそれについて聞くことにしてみる。
「ま、まぁいいわ…それで?咲夜はなんて?」
「いや、好きな人と同じ部屋で過ごしているのに手を出してきてくれない…とかあの人に色仕掛けをかけてもあしらわれるとか…そもそも館にいる時間が全くないとか……他にも彼についての愚痴を色々と……」
「へ……へぇ…それは……災難だったわね…」
「まぁね…だからいっそのことと思ってあの子に薬を持たさせたわ。」
薬…?それはひょっとして……
「そう。自分の心を解放させる薬。それであの子がどう行動に移ったかは聞いてみないと分からないけどね。」
「へぇ……それで咲夜は彼に……分かったわ。パチェ、ありがとう。」
「えぇ、構わないわ。」
薬の影響であんな風になっていたのか…と一人納得した私は自室に戻っていくのだった。