森へ入って数時間が経過した頃……歩き続けていた足を止め、俺は一息ついて休息を取っていた。
人の集落がある……と言われているにも関わらず、この森には人の気配はない。
あるのは人ではないナニかの気配だけだ。
ケモノと呼べばいいのだろうか…それでも危害がない…という判断に落ち着いているため、俺から仕掛けようということはしないのだが…
それでもこうも人が居ないとなると少し恐怖を感じてしまう。
休めていた足を再び動かす。
森での野宿は危険だと思い、なるべく今日には集落に着いておきたいという考えに至ったからだ。
俺はそれから休まずに歩き続けていた。
が、いつまで経っても集落は見えず、気が付けば夕日は沈んでしまいそうなくらいになっている。
「……どうしたものか…ここで1夜過ごすことになるな…」
仕方ない……と適当な穴蔵でもないかと探す。
しかしまぁ、暗闇の中ではまともに動くこともままならない為、俺は
所持していたライターを使って、近くの木の枝を松明代わりにして火をつけた。
「やはり…これでもダメそうか…思っていたよりも闇が広い。」
こんなにならもう移動は不可能だろう…そう思って、俺は木に腰を下ろした。
恐らく、今の俺はかなり無防備なのだろう……それに先程とは打って変わって、俺に今にも襲いかかってきそうな雰囲気を昼間のケモノたちからも感じ取れるくらいには…俺は危機に晒されている。
「まだ……死にたくはないんだけどなぁ…」
しかし……この状況にもなると俺は殺されてしまう可能性の方が高いのだろう。
だって、対抗手段がないのだから…でもまぁ……死ぬならなるべく苦しみのない死に方をしたいものだな……
なんて弱気な考えが頭をよぎる。
……しっかりしろ。こんなところで死ぬなんて冗談は笑えない。
俺は生きるために人を殺しに来たんだ……
それなのにこんな所で……こんな所で……
「死んでたまるか……!!」
立ち上がり、闇に構える。
暗闇に潜むケモノたちに俺は何をできるのか…そんなことは最早関係ない。
……突破して助かる……俺にある考えってのはただそれだけなのだから…!
俺が認識して攻撃出来るのは松明の範囲内のみ……そして俺は咲夜から渡されたナイフをポケットから取り出した。
近接攻撃用の武器があるだけマシなのかもしれない…
唸るケモノ達に俺はナイフの剣先を向けて威圧する……!そしてーーー
俺は襲いかかるケモノたちをそのナイフで刺しながら、闇の中を進んで行くのだった……
それから幾分かの時間が過ぎていた……
「……!さすがにキツい……!」
状況はやはり悪くなる一方だった。
それに加えてナイフもかなり切れ味が悪くなっていた
だが、幸運なことに俺が負った傷はそう多くない。殆どがかすり傷ばかりだ。
「こうなれば……!!これを喰らえ…」
そうして、俺は松明をケモノたちに振りかざして行く。
炎には流石のケモノたちもたじろいでいるようだった…一振でケモノは
俺から距離を離していくのが分かる。
「よし、このまま……」
俺は松明を構えながら、ゆっくりと歩を進めていくことにするのだった……
夜は…恐らくまだ明けない、永い夜が幕を開けた。
次回に続く