めっちゃおまたせ
「な……何を…」と、反論しようとする俺の声を遮って、咲夜は続ける。
「だって今、この幻想郷においては貴方より私の方が強いですもの。
だから貴方を守って上げるんです。……悪い話ではないでしょ?」
悔しいが…事実だ。
今の俺は無力同然。安全策を取るのなら彼女に守ってもらうのが一番なのだろう。
なら……
「……分かった。それじゃあ君に守ってもらうよ。」
「やったぁ!……それじゃあ明日、迎えに来ますから」
そんな受け答えを交わして、咲夜は満足したのか部屋を去った。
その日の夜、俺は何故か眠ることが出来ず適当に夜風に当たっていた。
「月は見えないが……静かでいい所だ」
以前の環境では考えられない程に静まり返り、居心地の良い場所は皮肉にも俺が殺そうとしたヒトと同じ屋根の下で……付け加えるなら、俺をここに陥れた張本人もいるのだ。
門の方を眺める。
確か侵入の際に攻撃を加えた筈だったが、その後はきれいさっぱり無くなっていた。
非科学的なことがここではおきすぎている…
そんなことを思った。
「眠れないんですか?」
門番をしていたはずの美鈴がいつの間にか俺の隣に佇んでいた。
「……あぁ。気持ちの整理が上手くいかなくて」
「仕方ないですよ。目が覚めたらこんなところに来ていて挙句帰る手段すらわからないんですから」
ごもっともなその言葉に思わず言葉を喪う。
というかその状況にしたのってお前たち…………
「それにしても、どうして俺だったんだ」
「?何がです?」
「……ここに連れてきた人間だよ。俺じゃなくても良かったんじゃないのか……?俺よりも前にここに来ている人間がいることも俺は把握していた。」
「あーーあれは…」と目線を逸らす美鈴はそのまま笑って誤魔化すように
「このことは言っていいのか私には分かりかねないので……」
とだけ返答された。
「構わないさ…そのうち本人から問いただせばいい話だ。」
こういうのはやはり本人の口から聞きたいしな
……さて、と「俺はそろそろ寝るとするよ。」
明日に備えて少しは睡眠を取っておいた方がいいだろう。
「分かりました。ゆっくり休んでくださいね」
「あぁ…そうさせてもらうよ。おやすみ」
そうして俺はテラスを後にした。
翌朝
俺は咲夜と早朝から森の中を進んでいた。
どこか違うところがあると言うなら……あの記憶で見たケモノたちは俺達の周りには現れなかった…というところだろうか。
そして俺たちは迷うことなく、森を抜けることに成功した。
目線の先には木製の門とその門番もいる。
どうやらここが……
「それじゃあ……後は貴方の仕事よ」
「わかった。とりあえずは侵入からだな」
そうして歩きだそうとした瞬間だった。
俺達はいつの間にか門の内側……集落の中に足を入れていた。
「お前……また変な手品を…」
「なんの事?私の手品には種も仕掛けもないのよ。」
なんとも奇妙な体験をするが……慣れるのはもう少しあとであろう。
「それじゃあ、残り6日間で1人よ。」死なないように頑張ってね、なんてことをら残して彼女は俺の前からまたもや忽然と姿を消していた。
「…………さて、と」気に取られている場合でもない。
俺は俺の役目を果たさなければ…………
そうして、俺の集落での行動が開始した。
さて、ようやく1章始動。
目標は簡単で生き残り生贄を連れ帰ること。
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