ここの世界の夜は静かだ。
少なくとも、俺にあてがわれた住居の周りに人の気配は一切しない
どうやらここは今よりも何世紀か昔の時間軸なのかもしれない
俺は狭い部屋に寝そべりながらそんなことを考えた。
期限はあと…5日……いや、移動のことを考慮すると4日か。
時間があるように思えるが思っているよりも少ない…
この時間帯に慣れるため、俺は灯りを手にとって外へと向かった…
「やはりこの辺り一体は人の気配がない……どこか…」
どこか人の集まる場所はないだろうか…?
そう思いながら歩き続けていると、暗い暗闇の中…薄らと明かりのような物をみた。
あそこには…誰かいるのか……?!
そう思い駆け足になってその場所へと駆け込む。
曲がり角を抜けてその明かりの元を見やると…………
「な…なんだここは……」
そこにあったのは小さな店のような建物だった。
しかし、どうやら中には大量の人間が居るらしい…
入り口付近にまで近づくと、受付らしき人物が俺の動きを止めて
「お前、この場所に何の用だ」
と質問してきた。
「そんなことよりもここはなんだ、何をしているんだ」
「少なくともお前が知ることではない。……見たところお前、外来人だな?今回は見逃してやるから、さっさとここから立ち去れ。」
「何?」
「これ以上ここに居るなと言っているんだ。ここのオーナーは外来人を見ると売り物として捕獲しようとするから」
「危険……と言いたんだな、分かった。」
ならここを去ろう、何も夜に戦う必要は無い。
それに今は咲夜から受け取ったナイフも部屋に置きっぱなしだ。
「ここに来たことは忘れろ、そしてもう夜に彷徨くのはよすんだな。」
去り際に、そう言葉をかけられた。
俺はその言葉に反応はせず、そのまま逆方向へと歩き始めた。
とりあえず、1つ目の箇所は見つけた。
商品……という事は考えられるのは人身売買か。
それなら……「そんな男が一人消えてもなんら問題はない…か。」
それから少し歩いた。
ぽつぽつとあかりが灯った家はあるらしい……ある程度の箇所は把握したので、そろそろ家に戻ろうと思い歩いていたのだが…どこからか小さな悲鳴のような声が聞こえた。
「何だ…今の声」
そろそろ灯りに使っていた提灯が消えそうなのもあり無視してしまうとも思ったが、何故か俺はその足をその悲鳴の聞こえた元へと進めてしまっていた。
その場所は暗い路地の裏で、奥に進むと二人の大柄の男と年として16歳くらいだろうか……衣服を破かれ、涙目の少女がそこに居た。
「何をしているんだ?」
俺が声をあげると、男二人はこちらの方にギロり目線を向けて睨み付ける。
「は?お前誰?」 「なんでこんな所に人がくるんだ?ここに来ないんじゃないのかよ」
「……お前達の質問に答える気はない。その女の子を解放してやれ」
どうやら話の伝わらないタイプの人間だったらしい、だったら一々会話を試みる必要も無いので、さっさと少女を何とかしてやろうと思い、俺はそう言った。
「何勝手に言ってんの?こいつは人間じゃないから良いんだよ」
一人の男はそう言った。
「人間じゃないだと?意味がわからないな。奴隷とでも言いたいのか?」
「奴隷も何もこいつはお尋ね者の天ノ弱だ、力もないこいつを襲って何が悪い?」
「そうだ、部外者は引っ込んでろよ!」
……どこの世界でも、夜の治安は悪いらしい。
「まぁ、俺からしたらそんなことはどうでも良いんだ。ただ……
目の前で女が慰め物にされているのを見るのは……気分が悪いんだよ」
「野郎!!」
男2人が俺に殴りかかってくる。
だが、さすがに鍛えてもいない一般人如きに負ける程やわな環境で生きてはいない。
二人の攻撃を人通り躱した俺は、そばにいた男の腕を掴み、そのまま背負投げをお見舞いした。
その男は受身をとれず、まともに衝撃を受けて気を失ったようだ
「な、おま……ッブ?!!」
その様子を見て動きの止まったもう一人の男の顔に、俺は膝蹴りを喰らわせた。
鼻血を流しながら、その男も後方に吹っ飛びながら頭から壁に衝突して意識を落としたようだった。
「さて…大丈夫か?」
少女の方を見る…服がはだけていてところどころで肌が露出している部分を除けば無事だろう。
「……お前は襲わないのか?」
「この単細胞達と同じにしないでくれるか?とりあえずこの服を持っていけ、その格好ではまともに出歩けまい」
そう言って俺は上着を脱ぎ、彼女の肩に被せる。
「それじゃあな、おそらく二度と出会うこともないだろうが」
「まて!!」
俺が提灯を拾い、歩きだそうとすると…その少女は俺を呼び止めた。
「なんだ?」
「せめて…名前を教えろ」
「……今住神馬だ。」
「今住……覚えたぞ、その名前…この借りはいつか返す。」
そんなことを言った次の時には、俺の目の前から彼女の姿は見えなくなっていた。
「……なんだったんだ…と、とりあえず…」
この男達を…あの吸血鬼のエサにすればいいのではないか?
そう思った俺は片方の男を引き摺りながら家へと戻るのだった。
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それじゃあまた次回