サメハダー(?) を つりあげた!   作:青蛙

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閑話・りくざめのきおく

 

 

 

 

 

 

 

 硬い殻を突き破り、目が覚めるとそこは暗い洞窟の中だった。周りには沢山の兄弟達がずらりと並んでおり、その周囲を三対の羽を持つ赤い蛾のポケモンが沢山、ゆっくりと飛行していた。

 

 

━━━ここはどこだろう?

━━━おとうさんは、おかあさんはどこ?

 

 

 自分の父と母の姿は何処にも無く、心は不安でいっぱいになる。周りでは次々に兄弟達が産まれてくるが、彼等も皆同じように、不安そうに辺りを見回していた。

 

 暫くすると、遠くから何かがやってくる。二本の足を持つ生き物だ。

 

 

━━━にんげん?

 

 

 それが何であるか、不思議と理解できた。それが自分達の飼い主であることも、何故かストンと胸に落ちた。

 人間は何やら黄色い色の機械を手にして兄弟達を観察して回っていた。兄弟達が彼に着いていこうとすると、その場から動かないように命令されている。

 

「A抜けか、駄目だな」

 

 何かを言っているようだが、どういった内容なのかまでは理解出来なかった。ただ、彼が残念そうにしている事だけはなんとなくわかった。

 

「3V、話にならない」

「『すながくれ』か、死に特性だな」

「コイツも、いらん」

「あー、Bだけ31じゃないじゃん。惜しいなー」

「何コレ……微妙」

「は? かわらずのいし持たせたのに何で性格違うの?」

 

 人間はそうして何やらブツブツと呟きながら歩いてきて、そして目の前に立った。

 

「えーと、うわ惜っし。Dだけ30じゃん」

 

 人間は少しの間悩む素振りを見せた後、一息ついて言い放った。

 

「やっぱいいや。俺完璧主義だし。ちゃんと6V出さないとね」

 

 そして人間が去ってから数時間後、不意に嗅ぎ慣れない臭いがしたかと思うと、意識は真っ暗闇の中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目が覚めた時、自分は何故か海に浮かんでいた。

 周りには同様に沢山の兄弟達が浮かんでおり、泳げずにもがいている。

 

 

━━━たすけて。誰か。苦しいよ。

 

 

 必死にもがいて陸に戻ろうとするが、見える場所に陸なんて何処にも存在しない。もがくたびに口や鼻から塩水が流れ込み、息すらまともに出来なくなる。

 しかも、それだけでは無かった。

 

 

━━━いやだ。にげなきゃ。にげなきゃ。

 

 

 何者かの背ビレが海面をスーッと滑るように移動してくる。そして、次から次へと海中に沈んでいく兄弟達。響き渡る数々の悲鳴、そして断末魔。辺りの海は赤黒く染まり、その匂いに誘われて捕食者達は次々と寄ってくる。

 本能が叫んでいた。どんな事をしてでも、この場所から逃げ切れと。絶対に生き残るのだと。

 

 

 

 

 それから先の事はよく覚えていない。

 泳げもしないのに必死に泳ぎ。襲い来る捕食者達を技を使って撃退し。半ば沈みながらも、生き残るために全身全霊でもがき続け。

 

 

 何かが、身体に引っ掛かった。

 

 

「よい、しょっ! …………えぁっ!?」

 

 

 引かれるように、身体が宙に浮き上がる。

 冷たい水の感覚が消え、次に感じたのは暖かい砂地の感覚。

 

 

「さ、サメハダーだ」

 

 

 人間の声がする。自分が産まれたあの場所に居た人間よりも、幼さを感じさせる声。

 

 

「ど、どどどうしよう。サメハダーなんて扱った事無いよ」

 

 

 人間は恐る恐る此方に近付いてくる。

 どうしてこんな事になったのかわからない。だけどただ一つ、わかる事がある。それは、助けて欲しいと言う事。

 動かない身体を必死に動かして、彼に手を伸ばした。

 

 

「サメハダーの外来種? なのかな?」

 

 

━━━助、けて

 

 

 次の瞬間、全身が柔らかく、暖かいものに包まれた。

 助かったのだと、酷く安心したせいか急にどっと疲れが吹き出してきて、意識は深い闇に沈んでいった。

 

 

 

 

 

ヒロインって要る?

  • カガリ
  • ヒガナ
  • ルチア
  • ダ イ ゴ さ ん
  • (いら)ないです
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