「カナズミに、ついたぁ~っ!」
「フシャァァァッ!」
深い深いトウカの森を最短距離で突破して、バトルを仕掛けてくるトレーナー達のその全てをサメまるとココドラの二匹で蹴散らして、遂にカナズミシティに到着した。
「沢山バトルに勝ったからお金も沢山だし、今日はジムの祝勝も兼ねて良いもの食べよう!」
「フシャッ、シャアッ!」
カナズミに到着するまでの間、何人ものトレーナーを倒してきた事で賞金もたんまり手に入った。これまで生きてきた中で一番お金を持っているんじゃないかと思う程だ。ポケモンセンターに到着したら、いくらか実家の仕送りに回そう。
「っと、その前にデボンコーポレーションだっけ?」
「フシャ、フシャシャ」
「思ったより早く到着したし……夕飯には早すぎるしな。先にそっち寄ってこうか」
カナズミシティはホウエンでも特に発展した街の一つだ。ホウエン地方が誇る世界的大企業『デボンコーポレーション』が本拠地を構え、成人前のトレーナーの卵達を育成する『トレーナーズスクール』の一番校もこの街にある。
海外のトレーナーに聞けば、ホウエンの玄関口がカイナシティで、ホウエン一番の大都市と言えばこのカナズミシティと答えるだろう。ホウエン1娯楽施設の多い街ならば、僕の故郷キンセツシティだが。
「にしても、ホント広い街だなぁ」
「フガシャァ……」
「キンセツシティもかなり広い街だったけどさ、あっちは街が広いって言うか、建物が広いだけだから……」
「フシャァ……」
キンセツシティは街全体が一つの建物の中に作られているという、世界的に見ても非常に珍しい街だ。中でも二階より上にある居住区はセレブの街として有名であり、あそこに住むことがホウエンで成功した証とも言われるほど。
僕の家はお世辞にも裕福とは言えなかったので、住んでいたのは一階部分の居住区である。幼馴染み達の大半は二階より上に住んでいるお金持ちの家の子供だった。今思えば、あの歳でポケモンを何匹も買って貰えている彼等こそ特殊だったんじゃないかと思う。
ポケナビを開いて地図を見ながらデボンコーポレーションの建物を目指し、何度か道に迷いながらもおよそ三十分ほどで僕たちはデボンコーポレーション本社前に到着した。
「あっ! あったあった。すごい大きな建物だなぁ」
「シャァァ……フルルルル」
「どしたの、サメまる? もしかして緊張してる?」
「シャッ!」
開けた場所に突如として現れた巨大な建物。一見するとその建物は博物館か美術館かと思ってしまう程に荘厳なものだったが、間違いない、ここがデボンコーポレーションの本社だ。サメまるも気圧されているようで、建物を見上げて首のエラをブルブルと震わせていた。
「入れるかちょっと心配だけど……とりあえず行ってみよう」
「フシャ」
石畳の道をサメまると共に、並んで進む。
入り口のドアは見たところガラス製で、自動ドアになっているようだ。そして、ドアを通ろうとした時だった。
「ッ、どけっ!」
「うわっ!」
突然向こう側からドアが開き、赤い服の男がバッグを抱えて飛び出してくる。男は凄まじい形相で此方を睨み付けながら走ってきて、僕はその男に突き飛ばされて尻餅をついてしまう。
「シャ! フシャ!」
「い、ててて……大丈夫だよサメまる、尻餅ついただけだから」
「ま、待てぇ! って、あっ!だ、大丈夫ですか!?」
続いて建物の中から飛び出してきた白衣の男が此方に気付き、駆け寄ってきた。見たところデボンコーポレーションの研究員のようだが、何が起きたのだろうか。僕はサメまるの手を借りて立ち上がりながら、彼と目を合わせる。
「大丈夫ですよ、この建物に用があって来たのですが、ちょっと突き飛ばされてしまっただけなので。それより、一体何があったのですか?」
「そ、それが『マグマ団』を名乗る男に大切な荷物を奪われてしまいまして……」
「マグマ団?」
その言葉を聞いて、先ほど自分の事を突き飛ばしてきた男の姿を思い出す。
急いでいたせいかフードは外れており、持っていたバッグによって胸のロゴマークは隠れていたが、あの制服は間違いなくムロで見た奴らのものと同じ。
「しまった……知ってたのに、今捕まえていれば!」
「ど、どうしたんです?」
「今取り逃がしたのは僕の責任です、捕まえてきます!行くよサメまる!」
「えっ!? ちょ、ちょっとキミ!?」
男が逃げていった方向は、カナズミの北側。デボンコーポレーションの敷地を抜けて大通りへと出て、北の方向を見ると、男がカナズミ北東の道路へと走って逃げていく所だった。
「逃がすか……待てぇぇぇッ!」
「フガシャァァ!」
何事かと言う人々の視線が集まる中、大通りを駆け抜けて男の後を追う。凄まじい逃げ足で山の方向へと走っていく男の後ろ姿を見つけ、走りながらサメまるに命令。
「サメまる、あの男に『りゅうのいぶき』!」
「シャッ! フゥゥシャァァァ!」
走りながらサメまるの口から竜のエネルギーが放たれ、男の背後の地面に突き刺さる。その威力に地面は砕け、辺りに土と砂煙が舞った。
「ぎゃぁぁぁ! あのガキ殺す気か!」
「チィッ! 外したか、もう一発!」
「フシャァァァッ!」
「クソぉ、トウカの森のあのガキと言いなんで俺はこんな事ばっかりぃぃぃ!」
サメまるの口から、再び男に向けて『りゅうのいぶき』が放たれた。
「おい、男は何処へ逃げた」
カナズミシティの中央を抜ける大通り。その真ん中でカナタがサメまると共に走っていった後を眺めていた研究員の元に、デボンコーポレーションからもう一人の研究員が出てきて駆け寄ってきた。
「せ、先輩! それが、北東の道路へ逃げたのを子供のトレーナーが追い掛けて行って……」
「子供の? もしかして主人公か……?」
「あ、あの、先輩?」
「いや、何でもない。部外者ばかりに手を煩わせる訳にもいかないからな、私も行ってくる」
「きっ、気を付けて下さい」
後から出てきた研究員は腰のベルトからボールを一つ外すと、走りながらポケモンを繰り出した。
「『ジバコイル』、カナズミ北東の道路へと急ぐぞ!」
「ジ、ジジ、ジババンババンバンバババ!!」
彼はそう言うとジバコイルの背中に飛び乗り、ジバコイルは待ってましたとばかりに急スピードでカナズミ北東の道路へと飛んでいく。
残された研究員は、ジバコイルに乗ってマグマ団を追い掛けていった彼の背中を心配そうに眺め━━
「だ、大丈夫かなぁ……心配だ。もっと助けが居たら大丈夫かなぁ……あっ!」
━━━丁度、カナズミジムから出てきた一組の男女を見つけ、駆け寄るのだった。
【デボン研究員その1】
ゲームだとトウカの森でマグマ団orアクア団に絡まれていた人。ポケモンバトルが苦手?出来ない?のか子供の主人公に何かと頼ってくるけど、序盤では手が出しにくいスーパーボールをくれるいい人。でもやっぱりヘタレの印象が強い人。
【デボンの研究員その2】
完全にオリジナルキャラクター。だけどこの作品におけるキーマンになる(予定)の人。手持ちのポケモンも強めだし、何か知ってるっぽい人。つよい。
※結果が固まりつつあるのでヒロイン投票をそろそろ締め切ろうと思います! 締め切りは次回更新時までとしますので、まだ投票をされていない方は是非投票していって下さい!
ヒロインって要る?
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カガリ
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ヒガナ
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ルチア
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ダ イ ゴ さ ん
-
(いら)ないです