ハーメルンの音楽祭   作:NiOさん

22 / 45
桃太郎さん

 時刻は午前1時前。

 

 場所は201号室の前。

 

「次は、どの7不思議なんですかあ~?」

 

 『おとな』の少女が、馬鹿にしたかのように『ふえふき』の壮年に声をかけます。

 少女は壮年に、何かしら怪しい匂いを感じているみたいです。

 壮年が面倒臭そうに頭を掻いていると、全然違う方向から、答えが飛んできました。

 

「『きんじろうぶね』!」

 

 その質問に答えたのは……『ねずみ』の小児でした。

 

「……だろ?」

 

「……まあ、そう……だな」

 

 得意そうな小児の頭をポンポンと叩きながら。

 何故か壮年も得意そうに頷いています。

 

「……え?

 な、なんでわかるの?」

 

「自分で考え……ろ」

 

 壮年はそういったきり、扉が緑色に変化するのを待っています。  

 

 『おとな』の少女は、どうして小児が次の怪異を予想できたのか、考えようとします。

 が。

 どうしても、次にくる化け物が頭をよぎってしまい、考えがまとまりません。

 

 次に来る化け物。

 

 金次郎舟(・・・・)

 

 なんというか、7不思議の中では、地味です。

 無差別に人間を殺すだけの存在ですからね。

 

「……あれ?

 よく考えたら、『金次郎舟』って、結構ヤバい奴じゃね?」

 

 少女は、今更気が付いたかのように呟きます。

 無差別に殺すだけの(・・・・・・・・・)存在(・・)

 それって、キャラは立っていませんが。

 圧倒的に(・・・・)危ない奴だと(・・・・・・)、今更気が付いたようです。

 

 そう。

 ブレーメンの屠殺場で例えて言えば。

 その、モナリザの様な(・・・・・・・)……。

 

「分かれば良い……行……くぞ」

 

 扉が緑色に変化し。

 壮年が、扉を開きます。

 

 

 扉の先には……。

 

 

 公園が(・・・)ありました(・・・・・)

 

#####################################

 

 公園の真ん中には、水の出ていない噴水があり。

 

 そして、その中央に鎮座するのは、勿論(・・)

 

 

 

 我らが(・・・)二宮金次郎像(・・・・・・)なのでした(・・・・・)

 

 

「……あれが、金次郎舟……」

 

 『かたりべ』の中年が、ごくりと唾をのみます。

 

あれ(・・)だいぶ(・・・)ヤバいねえ(・・・・・)

 

 『こども』の老女が、苦笑いしています。

 

「うう」

 

 『ねずみ』の小児が、怖気づいたような声を出しています。

 

 そして、いつものように。

 

 ♪ぴろり~ん♪

 

 

 メールが(・・・・)届きました(・・・・・)

 

 

 

『「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、1つ私達に下さいな」

 

 黍団子は4つ。

 仲間は、桃太郎さんと、犬さんと、猿さんと、雉さんと、お姫様の5人。

 

 さて、5人で4個のきびだんごを均等に分けるには、包丁を最低何回使えばいいでしょうか』

 

 ふと、気が付くと。

 

 噴水の脇に、4つの泥団子がおいてあります。

 

 これで、団子を分けろと言うのでしょう。

 

「4つの団子を、5等分……か」

 

「普通に考えると。

 等分するならば、かなりの回数切らないといけませんが」

 

「多分、前の、煎餅の時みたいに抜け道的な物があるんだろうねえ」

 

 各々が、そんな言葉をぽつりぽつりと呟いていると。

 

 

 

 ごぼごぼ(・・・・)ごぼぉぉぉおお(・・・・・・・)

 

 

「「「「「 ……は? 」」」」」

 

 

 

 噴水の池から。

 何やら、不穏な音が(・・・・・)、聞こえ始めました。

 

「噴水池の水が、抜けている?」

 

「う、うそ?」

 

 そうです。

 金次郎を留めて置くための防波堤。

 池の水が、恐ろしい速さで減っているのです!

 

「みなさん、うろたえないでください!

 大体、予想はついていたでしょう!」

 

 『かたりべ』の中年が声をあげます。

 確かにそうです。

 ここまで来て、『金次郎舟』が動き出さない、わけがない(・・・・・)

 

「そうだよ、さっさと答えを見つけないとねえ」

 

 『こども』の老女の声かけに、皆は取り敢えず落ち着きました。

 各々は、取り敢えずなぞなぞに取り掛かることにしたようです。

 

「4個を、5等分?」

 

 

「ちょっと……コレ、無理じゃない?」

 

 じりじりと、時間だけが過ぎていきます。

 池の水面が、どんどん下がる中。

 

 ごぎぎぎぎぎぎいいい(・・・・・・・・・・)

 

 金属が鈍く捻じれる様な音が、しました。

 

 

 

 

 ……さあて、ここで問題です。

 

 池から水がなくなると。

 どうなると思います(・・・・・・・・・)

 

 答えは、ええっと、そうですねぇ。

 

 

 まあ、誰かの言葉を貸して頂くと。

 

 

 

 

 

 ……リア充(・・・)爆発(・・)です(・・)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。