【休止中】相良宗介がコードギアスに異世界転生していたとしたら   作:Cran

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【プロフェッショナル②】12話

 感謝すべきところは色々とある。

 

「全力で支援しますから、大丈夫です」

 

 と力強く経済的援助を宣言したテッサだったり、

 

「アンタはもういいの。銃なんていらないんでしょ。あたしがいくらでも養ってあげるわ。うわははははは」

 

 なるほど、確かに日本ではそれ以上のことはできないだろう。

 

 だが、自分は、否定した。

 

「銃がなくても、できることはあるぞ」

 

 実際、皆、自分を仕舞いこもうとしていたと思う。なるほど、彼女のいうジョーシキが足りないのはそうだろうが、休ませようとしていたのだろうか。

 

 だが、こう、夫婦とやらであれば、夫が養われたままなのは良くないのではないだろうか。

 

「いやー、まー、一般的にはそうなんだけど」

 

 気まずそうに言うカノジョに、

 

「気にしなくて、大丈夫です。年金生活みたいなものです」

 

 いや、さすがに苦しいぞ。

 

 明らかにわかったのは、今度はどうやら自分が護られようとしているらしいことで、それはそれで不本意だった。

 

 そうして、テッサに掛け合って、あのときの自分が選択したのは、潜入工作員兼情報収集役だ。

 

 これ以上、銃器を持たせたくなかったらしい二人は不本意そうながら、その任務ならばと、しぶしぶ認めた。悪いな、自分も穀潰しの夫というのはなりたくないのだ。

 

 稼がず、【妻】に頼る【夫】とは、カノジョの文化で「穀潰し」とやらになってしまうという。それは、何となくそれは嫌だったのだ。

 

 そういうわけで、自分は銃を使わない範囲で色々とやって来た。

 

 ■

 

(それが役に立つとはな)

 

 隠身しながら接近し、あっさりと無力化したIDを身につけていたやつが例外なのかどうかは確かめねばならない。入念に死骸を漁る。

 

(このタグは……、いや、正気か?)

 

 ソウジロウは、意外な思いを得る。嫌な意味で。

 

 それは、どこからどう見てもブリタニアの軍人のものだ。地域的なものを考えれば、大使館に配備されている兵のものだろう。潜入工作やら暗殺やらをするにあたって、身分がわかるようなものを身につけるアホがどこにいるというのか。

 

 背後に銀河を背負いそうになったソウジロウであるが、(何らか指揮系統が乱れたのかも知れん)と、なんとか気持ちを治した。

 

 さて。そんな相手が持っていた短機関銃。あっさりといえばサブマシンガンだ。ミシンのように気軽に銃弾を吐くことができる程度の代物だ。

 

 これを使えば、ミッションの難易度は下がる。一瞬、手に取ろうとして、固まった。

 

(君さえいれば銃などいらない。俺は……自分はそう誓った)

 

 実利と想いの天秤だ。ほんの少しだけ黙考し、目を背ける。

 

(君がいないなら銃はいる、ということでもないだろう)

 

「……」

 

 銃は、見て見ぬふりをすることにした。

 

 ソウジロウは銃以外の物資と装備、ドッグタグだけ回収すると、回線をオープンにした通信機に掠れた声で呻く。声真似は得意のひとつだ。

 

「き、こ、こちら……。ターゲット、南東に、逃げ……」

 

 と告げ、オープンのボタンを押したまま倒れ込む。ような演出をする。

 

 南東は、つまりルルーシュたちの逃亡先から真逆の場所だ。

 

 銃などいらない。

 

(敵の練度は低い。遮蔽物もいくらでもあり、明度も低い。ゲリラ戦に持ち込み、時間稼ぎをする程度、どうとでもなる)

 

 何しろ、自分は専門家(プロフェッショナル)だからだ。




 ちょっと間が空いただけやりにくーいですね。
 今回は心の整理回です。

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