今回は短めですが、朝のワンシーンをどうぞお読みください。
カーテンの隙間から入る日差し、スマホのアラーム。光と音、ふたつの刺激によって俺は目を覚ます。
起きてからまず一番最初に気づいたことは、ここが自宅の部屋ではないということだった。それはつまり昨日の体験が夢ではないということ、自分が一般社会から完全に外れたことを意味している。今更ではあるが、それを改めて認識させられた。
次に気づいたことは――ベッドの上の謎のふくらみ。
それを視界に入れた途端、現状俺と最も長く過ごしているであろう銀髪美少女の顔が思い浮かび、昨日の保健室での行為の先ともいえるイケないイメージが頭の中を埋め尽くしていく。
「ま、まさか、シたのか……? 出会って一週間も経ってないのにもうヤっちゃったのか? ヤバい、全然覚えてない。保健室でのことはしっかり覚えてるのにその先の肝心なところが思い出せない。いやそもそも本当にヤったのか? 勘違いだったらすげえ恥ずかしくね? それ以前に女の子にこんなイメージ持つこと自体よくないし……いやでもこのふくらみは明らかに誰かが入ってる感じだし他に考えられる相手いないし」
ひとり悶々とする俺。だがこれも仕方ないだろう。あんなことをして翌朝がこれなら無理もないことだと思う。
「と、とにかくまずは確認しよう……二重の意味で」
ある種の覚悟を決めて掛け布団を取り払う。するとそこにいたのは――
結論からいうと昨日の俺とリンスの間にアレ以上のことはなかったようだ。
そもそも俺のベッドで眠っていたのはリンスじゃなかった。
「……」
ラヴィニア・レーニさん。
俺と同様に
彼女が俺のベッドで寝ている……裸ワイシャツで。
「ええええええええええええ!」
驚きの余り大声を上げるとともに後ずさりしてそのままベッドから落っこちる俺。するとそれが目覚ましとなってラヴィニアさんを起こしてしまう。
起き上がったラヴィニアさんは俺の存在に気づくと、男の部屋にいることなどなんでもないかのようにあいさつをしてきた。
「おはようなのです、いっくん」
余談だが、ラヴィニアさんは俺のことを「いっくん」と呼んでいる。慣れない呼ばれ方で非常にむずがゆく感じたのは言うまでもないことだ。
「お、おはようございます――じゃなくてっ、なんでラヴィニアさんが俺の部屋にいるんですか!?」
こんなところ誰かに見られでもしたら入学早々あらぬ疑いがかけられる、なんとかしないとっ。
「昨夜トイレに立ったのです。起きたらこの部屋にいたのです。……なぜでしょう?」
まさか寝ぼけてこの部屋まで来たのか? 寝相が悪いで済む問題じゃないぞ、病気だろこれ。いやそれよりも早く自分の部屋に戻ってもらわないと――などと考えているうちにタイムリミットは過ぎていた。
「イッセー、起きてる? もうじき朝食の時間よ。早く準備しなさい」
こ、この声! ヤバい、もう隠れてもらうことすらできないぞ、どうする!? と、とにかくなんとかしてやり過ごそう。よし、ドアの影に隠れよう、それでリンスがラヴィニアさんに意識を割いてるうちに部屋を出よう。
「たく、しょうがないわねえ。ほらイッセー、早く起きなさい!」
そんな声とともにドアが開かれるのと俺が隠れたのはほぼ同時だった。
「ら、ラヴィニア!? あんたまた寝ぼけて他人の部屋に。しかもよりにもよってイッセーの部屋に入るなんて! バカバカっ、あいつは私のソウルメイトなんだからちょっかい出さないでよっ」
リンスは言いながらラヴィニアさんに詰め寄るとポカポカ叩く。ナニアレカワイイ。
「ごめんなさいなのです」
ラヴィニアさんは言葉の上では謝っているが表情は笑顔だ。気持ちはわかる、だってかわいいもんあれ。
このまま見ていたい気もするがバレたら大変だ、だから今のうちに――そう思って移動を始める俺。すると――
「なにこっそり抜け出そうとしてるのかしら、イッセー?」
見事に気づかれた。
「ねえ、こっち向いて。大丈夫、怒ってないから」
「……っ」
そういうことを言う女の子は内心では怒っていることが大抵というのが相場のお約束なんだが――などという感想を抱きながら壊れたブリキ人形のように振り向くとリンスが眼前に迫っていた。
「ねえ、なんで隠れたの? 何があったかはわかるわよ。目が覚めたらラヴィニアが隣で寝てたんでしょ? それはいいのよ、この寮じゃよくあることだから。でもそれだけでしょう、何もやましいことはなかったんでしょう? じゃあ隠れる必要はないわよね? なのになんで隠れたりするのかな? ねえ、どうして?」
「こ、この状況自体が既に問題かと……」
「何もなかったなら堂々としてればいいじゃない」
「入学早々変な噂立てられたくなかったから……」
「噂は所詮噂。誤解は解けばいいじゃない」
「そ、それでも勘違いされたくなかったから……」
「――」
思考する間もなく思いつく限りの言い訳を口にしているとリンスの態度が急変する。
「誰?」
「え?」
「勘違い。誰にしてほしくなかったの?」
「――」
言われて初めて考えた。この状況を誰に知られたくなかったのか。
「そ、その、誰か、気になる娘でもいるわけ?」
「……」
何も答えられない、誰の顔も浮かばない。ただ目の前の少女から視線を外せない。顔が熱く、動悸が激しくなる。見ればリンスも顔を真っ赤に染めていた。
こ、これは、アレ……なのか? いやそもそもなんでこんなこと訊くんだ? まるで俺のこと……はっ、ソウルメイトってそういうこと!? マジでか!?
リンスの気持ちに少しだけ気づいた俺だが、同時にとある違和感にも気づく。
「――」
リンスの視線が俺の体のある部分に集中していた。そのことに気がついたと同時に自分の体に起きている現象にも気づいてしまった。
恐る恐る視線をそこへ向けると――
俺のパンツがテントを張っていた。これが意味することは勃起、いわゆる朝立ちだ。
「わ、わたしっ、さきいってるから!」
死にたい……。
いかがでしたか?
あと、知らない人はいないと思いますが前回の最後のシーンは公式でもあったアレこと指ちゅぱです。一線は越えてません。リンスは処女です。いずれ出会うであろう赤龍帝ことイッセーのために大事にとっておきました。だからみなさん安心してご覧ください(なお、作者にR18は書けないので各自ご自由に妄想してください。代わりに書いてくれると言うのであれば喜んで許可を出します)
ではまた次回。