Metal Gear Solid/ Ark of ■■■■   作:daaaper

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たくさんの感想や、評価、そして誤字報告ありがとうございます。
作者として、とても嬉しいですし、楽しんでいただけて何よりです。

なんか、タチャンカが転生してくるって聞いたんですけどマジですかね……日本語版にも来て欲しいなぁ
とりあえず、本編をどうぞ〜



8−1

2月10日 PM 01:00 ロドス艦内 深層フロア射撃訓練室、キルハウス

 

本日から、ジェシカに対してBSWが契約したインストラクターがつくことになった。

……なったのだが、そんな通達をお昼休憩中に突然、BSWからの正式な書類と共に受け取ったジェシカは混乱した。というか簡単に言ってパニックになった。

 

何せさっき、バニラから追加人員がうんぬんという話をいきなり聞いたかと思えば、お昼ご飯を食べているときに自分に専属のインストラクターがつくと会社から通達が来たのだ。ただの人員補充かと思いきや、まさかの自分に対して人が派遣されるとは予想外のことで

 

『え?わたし……会社から監視されている……!??』

 

という域にまでジェシカの想像が膨らむのに、さほど時間はかからなかった。

もっとも、その場で書類を渡したフランカが(経緯の全てではないが)、ジェシカの能力向上とBSWの射撃教導の底上げを目的に今回インストラクターが来ることになったことを説明し、『実験みたいなものよ〜』とジェシカがBSW本部でよく経験していたこととそんなに変わらないよ、という体でジェシカの心を落ち着けた。

 

実際のところ、実験という名目は全くの嘘ではなく、大型銃を扱うことができるインストラクターなど今までいなかったBSWにとって、今後の会社の経営方針や戦術・戦略レベルでの展望を考えると、射撃に関するマニュアルの改善は企業機密レベルで重要になる。

 

加えて、実験に対して莫大な実験費用や、失敗した際の損失がでかいわけでもない。たかが1人のオペレーターの底上げを試みたが失敗に終わった、というだけでしかない。

そう言ったデメリットの低さと、フランカが用意できたスネークの“アピールポイント“や説得材料が、1週間未満で記憶喪失の自称傭兵を短期契約の形で雇用するに至った、という事実がある。

 

しかし、スネークと交戦したことや、そう言った交渉があったことをジェシカが知る必要はない。よって、ジェシカの会社による監視説を早急に取っ払い、今日から実験も兼ねた新しい訓練が始まるということをフランカは伝えた。

 

そんなわけで、時刻は午後1時。フランカとジェシカ、そしてバニラの3人は一足先に顔合わせの場になるキルハウスに集まっていた。今は待機場でリスカムとインストラクターの2人を待っているところだ。

 

「ふ、フランカさん、こわくないですよね?本当に怖くないですよね……!?」

 

が、ジェシカの不安はピークに達していた。

 

「そんなに怖がらなくて大丈夫よ、あなたを怒りに来るんじゃなくて、射撃に関する技術を教えに来たってだけだから」

 

「そ、そうですよ!ジェシカ先輩を指導しに来られるだけです!」

 

「指導ということはドーベルマン教官みたいな方ってことですよね……⁉︎」

 

「あ、いや、えーと……どう、でしょう」

 

「バニラ……余計に不安がらせてどうするのよ」

 

バニラ自身は、ドーベルマン教官の指導を受け始めたが、とにかくキツい訓練が続いている。同時に効果的な訓練メニューであることもわかる。しかしスネークがどのような訓練や指導をするのか、戦闘経験がまだ浅いことに加えて銃を扱ったことのないバニラには想像ができなかった。

が、それは余計にジェシカの不安を煽る結果となった。

 

「うう、本当にどのような方なんでしょう……」

 

「優しい方だとは思いますよ?それは本当に優しいです」

 

「まあねぇー、やさしいのは確かね」

 

「け、敬礼してないと怒鳴られたりとかしませんか……?」

 

「あ、それは無いわね。軍に所属してたこともあったみたいだけど、形式的なものよりキチンと態度や言葉の方を大事にしてるみたい」

 

数分のクリアリングの訓練を見ただけで、ジェシカの性格や弱点を指摘するような男だ。思考や感情までも完全に見抜けるわけでは無いにしても、人を観ている。適当な態度や誤魔化す様なことをすれば信用されないだろうが、ジェシカの場合であれば問題ない。

 

「ご、誤解されたりしないでしょうか?」

 

「ないない、あなたみたいに素敵な子を誤解するわけないでしょ」

 

「そうです、ジェシカ先輩は素直ですから。インストラクターの方も丁寧に教えてくれるはずです」

 

フランカはジェシカのことを任せようと思う程度にはスネークのことを信用していたし、バニラもまたスネークに対してネガティブな感情を抱いていなかった。

 

そんな風に3人が話していると、訓練室の鉄製のドアが開かれる

音につられて3人が入り口の方を振り返ると、リスカムとその後ろに眼帯に髭面の中年男性が現れた。

 

「待たせた?」

 

「いいえ、ジェシカがそちらのインストラクターさんに大変緊張しているようでしたので緊張をほぐしてました」

 

「あんまりジェシカのことをいじらないでよ、フランカ」

 

「なんで私だけなのよ」

 

「お前が一番やりそうなことだからだろ」

 

「スネークまでそんなこと言う」

 

「ほら、お前らの可愛い後輩が心配してるからフォローしてやれ」

 

そうスネークが言うと、ジェシカがアワアワしていることに先輩2名は気づく。

 

「そうね、じゃあとりあえずジェシカ」

 

「は、はい!なななんですしかフランカさん!?」

 

「そんな緊張しなくていいから、彼に自己紹介してあげて」

 

「はい!BSW所属のジェシカです!今はロドスでスナイパーです!」

 

「はいじゃあそっちも」

 

「フランカ、失礼だよ」

 

「まあ元気なのは何よりだ。俺はスネーク、今日からお前のインストラクターとしてしばらく世話になる」

 

「はい、スネークさん!よろしくお願いします」

 

「スネークで構わないんだが、まあ呼びやすいように呼んでくれ。何か質問はあるか?」

 

「え、えーと……スネークさんはBSWの方、ですか?失礼ながら姿をみたことが無いのですが」

 

「いや、傭兵だ。あくまでインストラクターとしてBSWに雇われた、というだけだな」

 

「お昼にジェシカにも教えたけど、あなたの技術向上の他にも色々実験も兼ねてるのよ。まあメインはあなたのレベルを底上げするってことには変わらないけどね」

 

「まあ雇われの身だ、あんまり上下の関係は意識しなくていい、気になることがあれば聞いてくれ」

 

「わ、わかりました」

 

突然現れたインストラクターは、眼帯を付け、緑色を基調とした迷彩服にリグとバックパック。傭兵と言われるとフロストリーフや、メテオリーテがジェシカには思い浮かぶが、このような傭兵もいるのか、と少し興味を持った。

 

何よりインストラクターと聞いて、一体どんな人が自分につくのだろうとオドオドしていたが、まさか男性、それも年齢を重ねている人が来るとは思いもせず、驚きもあった。

そのおかげなのか、ジェシカ本人はスネークとの初顔合わせにもかかわらず、それほど緊張することはなかった。噛みはしたがそれはご愛嬌というものだ。

 

「さて、早速俺の仕事に取り掛かりたいが問題はないか?」

 

「は、はい。事前に訓練があると聞いてたので問題ありません」

 

「何か手伝いはいる?今日だけじゃなくて、しばらくは任務もないから私たちも手伝えるわよ、バニラはちょくちょく別の訓練があるけど」

 

そんなこんなで、BSWの先輩2人が心配していたほど問題が生じることもなく、早速訓練が始まることとなった・・・が

 

「その前に1つだけ、ジェシカに確認したいことがある」

 

「私に、ですか?」

 

「ああ、教える上で重要なことだ」

 

スネークはジェシカの身長に合わせて腰を下ろすと、彼女の目を覗く。

 

「先も言ったが俺は傭兵だ、新米を育てたことも共に戦ったこともある。そうやって育てた奴の中には、俺の知らないところで死んでいったのも多い」

 

「…………」

 

「ジェシカ、お前はどうなりたい」

 

「どうなりたい……?」

 

「ああ、俺はあくまでBSWを通してお前さんを鍛えろと言われてるだけだ。お前自身の考えを聞いたわけじゃない。だから俺に教えてくれ、お前はどうなりたい、どうしてお前がここに居るのかを」

 

銃を持つことは一生銃と向き合う必要に迫られることになる、スネークが今まで生きてきた中でこの呪いとも運命とも言える銃との関係を断ち切れた人間を1人としてみたことはない。だからこそ、生き残れるよう様々な技術を仲間たちに伝えてきた。戦友として戦い、死んでいった仲間も多い。

 

そんなスネークからすれば、齢20あたりであろう目の前にいる少女が、銃を手に戦場に出るのであれば、そんな彼女の先輩もまた20歳(ハタチ)そこそこの女であるならば、生き残る術を伝えるのに抵抗は無い。戦わなければこの世界は生き残れないのだろう。

 

だが、なぜ戦士としてこの場に立っているのか、それだけは知りたかった。

 

「わたしは……私は、自分の力で守りたいです」

 

「守りたい、それは自分の身をか」

 

「もちろんそれもありますけど……それ以上に、先輩方やバニラちゃん、仲間の皆さんを守れるようになりたいです」

 

他者(ヒト)を守れるようにか」

 

「私はこんな見た目ですし、まだまだ未熟ですけど……強くなりたいんです」

 

ジェシカはスネークの目を見つめ、静かに頷いた

 

「……いいだろう、なら周りを守る術をお前には教えよう。だが俺は教えるだけだ、どうするかはお前次第だ」

 

「・・・はい!」

 

わずかに怯えや不安が残ってはいるが、その眼には確かな意志の強さが宿っていた。であれば、為すべきことを為すだけだ。自分が伝えられる限りの術を彼女に教え、彼女の望みを叶えるとしよう。

 

「なら早速訓練だ。午前にフランカと訓練していたところは見学させてもらった」

 

「み、見てたんです!?え、えっと……どう、でしたか?」

 

「クリアリングの技術、それに射撃に関してはもはや言うことはない、十分に技術を自分のものにしている」

 

「ほ、本当ですか!」

 

「だが、緊張しすぎだな」

 

「うう……はぃ、それは自覚してます……」

 

「だろうな、フランカともその話をした。技術の習得は十分だが緊張しているときに動きがどうしても鈍くなる。戦場は超緊張下にある、お前が強くなるにはその弱い部分を小さくする他ない」

 

「けど具体的にどうする気?実戦あるのみ、なんて言わないわよね」

 

「ああ、戦場以外でも出来ることはあるからな。今日はせっかくキルハウスに来てるんだ、ここを使わせてもらうことにしよう」

 

そう言うとスネークはキルハウスの入り口に立つ。連られるように、BSWの4人も入り口の方へと移動する。

 

「まずは、緊張下に置かれると何が出来なくなるのかを知るところからだ。とりあえずジェシカ」

 

「は、はい!」

 

「これから1人でクリアリングしてきてくれ。評価する項目は射撃精度と全ての部屋をクリアリングするまでの速さだ、良いな?」

 

「えっと、スネークさんは後ろからついてこないんですか?」

 

「ツーマンセルでのクリアリングを教えるときには同行するが、今回は目的が違うんでな。1人で行ってくれ、終わったら俺が部屋の中で評価して、もう一度1人で行ってきてくれ」

 

「わ、わかりました」

 

「なら準備してくれ」

 

そう言われ、ジェシカはクリアリングを行うための準備を始める。ホルスターから銃を抜き、スライドを引き、薬室内が空であることを確認、ポケットからマガジンを取り出し銃に押し込む。

 

「ベレッタか、良い銃だ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

そう言いながらスネークは訓練室内に用意されている電子時計を見る。

 

「最初は普通に行う、次は少し手を加えるが、まずはやってみてくれ」

 

「はい」

 

「用意はいいか」

 

「……はい!」

 

「よし、始めろ」

 

ジェシカがキルハウスの入り口に手をかけた瞬間から、時間計測を開始。

彼女自身はゆっくりと侵入していき、やがて発砲音も聞こえ始めた。射撃間隔を聞く限り……先ほどとそれほど変わらない。インストラクターが評価する、と言う程度ではミスというミスはしないだろう。

 

「それで?これからどうなさるおつもりでしょうか教官殿〜」

 

「ちょっとフランカ」

 

とりあえず、必要なものはバックパックの中に詰め込んである。ジェシカが出てきたらそれを準備するだけだが、フランカが軽く尋ねてくる。それに対してリスカムが突っ込むが、このペアは相変わらずの雰囲気でなによりだ。これならジェシカもより強くなれるだろう。

 

「先も言ったが、彼女の技術に文句のつけようはない、後はそれを戦場で発揮できるようになるだけだ」

 

「そのためにどうするのよ」

 

「簡単だ、不安を煽る」

 

「・・・このキルハウスで?」

 

「お前さんは大丈夫だろうが、ジェシカにとっては必要な要素だ。まあやればわかる」

 

「何か私たちで手伝えることはある?」

 

リスカムが真面目にスネークに尋ねる。

先ほど手伝えることがあれば手伝ってくれと言ったが、その言葉通り手を貸したいのだろう。彼女はそういうタイプの人間だ、真面目にものごとを捉え事をこなすだろう。フランカとは真逆とも言えるが。

 

少し考えた後、スネークは部屋の隅を見つめ言葉を発した。

 

「そうだな……バニラだな、手伝ってくれ」

 

「わ、私ですか?」

 

「大したことじゃない、お前さんの武器がちょうどいいんでな」

 

「ハルバードが、ですか?」

 

今は手に持っていないが、訓練室の片隅にはケースに保管されている彼女の獲物が立てかけられている。どうやらスネークはそれを使いたいらしい。

 

「2人は上からジェシカの様子を見ててくれ、何か異常が起きたら知らせてくれ」

 

「わかった、何かあればすぐ合図を出す。だけど何をするか事前に聞いても良い?」

 

「このキルハウスも十分に訓練になるが戦場とは違う。だが、戦闘下のコンディションでジェシカは動けるようになる必要がある、そのために設定を追加する」

 

「設定、ですか?」

 

「それって脱出しろとか、人質を救出しろとかそういうこと?」

 

「まあ似たようなもんだが……そろそろだな」

 

スネークが再び電子時計を見る、数秒後、ビーというアラーム音が鳴り響き、キルハウスの出口が開かれる。マガジンを引き抜き、スライドを引き、ホルスターにしまってから、ジェシカがキルハウスの中から出てきた。

 

「1分21秒、まあまあだな、的に全部当たっていればだが」

 

「お、遅かったでしょうか?」

 

「そうだな……的の様子を見たらそこら辺も説明するか。少し待っててくれ、すぐ戻る、その間に補給でもしててくれ」

 

「わかりました」

 

そういうとスネークはキルハウスの中に入っていった。

その間にジェシカは空のマガジンをバックパックへ投げ込み、新しいマガジンをポケットへとしまう。ついでに水分補給のために水筒を取り出した。

 

 




※突然のご報告で大変申し訳ありません。
わたし、daaaperは様々な事情により、二次創作活動を停止することになりました。
今日から停止ではないのですが……もし、気になる様でしたら活動報告を見ていただけますと幸いです。

明日はお昼頃に投稿します

何かご意見やご感想がありましたら感想欄にて教えて頂けると作者の励みにも参考にもなります。
何かありましたら感想欄にて教えて下さい
m(_ _)m。


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