Metal Gear Solid/ Ark of ■■■■ 作:daaaper
作者としては、多くの方に楽しんで頂けたら嬉しいです。
今週で投稿は停止してしまいますが、もう少しだけお付き合い頂けますと幸いです。
では本編をどうぞ
「どうジェシカ、新しいインストラクターさんは?緊張する?」
「そ、そうですね……少し強面な方ですけど、それほど緊張はしないです」
「あらそう?てっきり泣き出しちゃうかと思ったんだけど」
「な、泣いたりなんてしませんよ〜!フランカ先輩は私のことをそんな風に思ってたんですかぁ!」
「ただ単に可愛い後輩を心配してただけよ〜」
「うう〜・・・ところでバニラちゃんはどうしてハルバードを手にしてるんです?」
「あ、これはスネークさんに手伝って欲しいと言われたのでさっきジェシカ先輩がキルハウスに入っている間にケースから取り出してきたんです。なんでもこれがちょうど良いんだそうですけど……」
「な、何につかうんでしょうか?」
「さあ、そればっかりは私たちもわからないわねぇ」
ジェシカがハルバードを持つバニラの姿に疑問を持つ。
何せキルハウスから出てきたら武器を手にして待っていたのだ、気にしないはずがない。とはいえ、武器を持ち出した本人も、その周りの先輩たちもなぜ用意させたのかわからない。
緊張状態でも動けるようになる必要がある、これはこの場にいる誰もが理解するところだ。だが、そのためにどのような訓練をするというのか想像がつかなかった。
「そうですか……うう、どんな訓練をこれからするんでしょう」
「なーに大したことはしない!少し工夫を加えるだけだー!」
キルハウスの中から大声でスネークの声が聞こえる。どうやらジェシカの声が聞こえたらしい。
「え、なにあれ地獄耳すぎない?」
「聞こえてるぞフランカ!地獄耳で悪かったな!」
「ウッソでしょ……」
もちろん嘘である。
単純にリスカムが無線チェックがてらスネークとのチャンネルをオープンにしていただけだ。結果として通信も問題なく使うことができ、フランカの言葉がとてもよく反映された。
「よし、これでいいな。とりあえず的の裏に赤いマーカーを描いた。同じ的を使うが、結果は判定できる。それと的は全て命中していた、バイタルも抜いている、よく出来ている」
「ほ、本当ですか!」
「本当だ、まだまだ伸び代はあるがな。すこし座学、とはいかないが立ちながら聞いてくれ」
スネークはキルハウスから出てくると、バックパックの口を閉じ、ジェシカに向かって簡単な講義が始まった。
「さっきも少し言ったが、このキルハウスで想定されている部屋の構造や敵の数を考えれば1分21秒でクリアリングをして進行していくことは、まあまあだ。悪くはないがベストでもない、これはわかるな?」
「はい、まだ射撃に移るまでの動作と部屋へ移動するのが遅い、とリスカム先輩にも指摘されました」
「ふむ、おれが上から見た限りはそうは感じなかったが……そうだな、ならこの場にいるメンツに質問だ」
「私たちにも、ですか?」
「まあ簡単なクイズだ」
そういうとスネークはキルハウスの方を指差し、並んで立っている4人の面々に投げかけた
「このキルハウス、どうして部屋を素早くクリアリングする必要がある?」
「そりゃあ早くできたほうがいいからよ」
「フランカ……そういうことじゃないと思うんだけど」
「いやだって事実でしょ、早くできるに越したことはないじゃない。それにゆっくりやるだけじゃ訓練にもならないわ」
「ふむ、一理あるな」
「うう……」
「アッ・・・別にゆっくりやることがダメって意味じゃないわよ?丁寧にクリアリングするのは実戦でも大事だし。けど、それだけじゃダメだし、訓練にはならないってこと。精度だけを求めるんじゃ意味ないもの」
フランカが慌ててジェシカのフォローに入る。
「まあ確かにいまフランカが言った通り、早くやるのには訓練の意味合いもある。だがそれは本質じゃない」
「本質じゃない……どういう意味でしょう?」
「それを聞いてるからクイズなんだがな」
「なるほど……んー、なんなんでしょう」
バニラは真剣に考え首を傾げている。
ジェシカも同じように悩んでいるようだが、思うような答えは見つからないようだ。どうやらフランカが言った、早くできるに越したことはない、という言葉が正しいと思っていたようだ。
「リスカム、おまえはどう考える」
「・・・訓練の意味合いもあるけど、なにより戦場で求められること、だから?」
「その通りだ。戦場では素早いクリアリングが求められる、まあ当たり前といえば当たり前だな?」
その言葉に4人全員が頷く。フランカはやや納得がいかない顔をしているが、自分の答えが違うようなことを言われて、余りにも当たり前のことが正解だったらそうなる。スネークは続けて質問する。
「ならジェシカにもう一つ質問だ、素早いクリアリングが求められる状況はどんな状況だ?」
「それは・・・敵のアジトとか、でしょうか?」
「そうだな、敵地のど真ん中にいるときには素早い動きが求められる。なら逆はどうだ?」
「……自分たちの施設に敵が攻めてきたりしたとき、とかですか?」
「その通りだ。自分たちの施設や基地に敵が攻め入った、あるいは船に侵入してきた時、その敵をあらかた排除した時、丁寧なクリアリングが必須になる」
そういうとスネークはジェシカの方に体を向ける。
「いいか、今のおまえは早くクリアリングができないんじゃない、丁寧なクリアリングしか知らないだけだ。ここはあくまで訓練施設だ、何が起こるかわからない敵地のど真ん中じゃない、だからこそおまえはここまで見事なクリアリングの技術を習得できたわけだが、敵地を想定した動きじゃなかった。それだけのことだ。今までここが敵のど真ん中だと考えながらクリアリングしたことはあったか?」
「い、いえ……とにかくトラップやアンブッシュには気をつけるようにしてましたけど……」
「いい心がけだ、だが実戦では敵地で確実に屋内を制圧する必要もある。その時は速さが求められる。敵地では刻々と状況が変化するからな。クリアした部屋に、敵が仲間と一緒に一杯飲みに入ってきても不思議じゃない」
そう言うと、スネークは振り返り、再びキルハウスの方に身体を向ける。
「だからこそ、素早い確実なクリアリングが求められる、それも敵がどこにいるか、どこから来るかわからない状況下でだ。今からそれを想定した訓練をする、ジェシカ」
「は、はい!」
「お前は今から、任務が完了し敵地から脱出するところだ。回収地点に向かうためにはこの建物を抜ける必要があるが、ここは敵の勢力下にある。敵に見つかれば厄介なことになる、慎重にかつ確実に建物を抜けろ、良いな?」
「わ、わかりました」
「俺とバニラはお前を追う、俺たちに追いつかれてもダメだ」
「スネークさんと、バニラちゃんが敵役ですか……」
「まあそう気負わなくていい、キルハウスを用いた鬼ごっこみたいなもんだ。もっとも、クリアリングの速さを鍛えるためだがな、質問はあるか?」
「……ありません」
「良いだろう、なら俺が合図したらスタートだ。もう一度言うがここは敵の勢力下だ、そして無事に脱出するのが目的だ、いいな?」
「・・・はい!」
ジェシカは勢いよく返事をし、キルハウスの入り口に立つ。
銃にマガジンを装填するが、マガジンを挿し込む勢いは先ほどより少し強い。どうやら適度に気合が入っているようだ。これなら訓練のしがいがある。
「すまんがリスカム」
《いつでも大丈夫、何かあれば報告する》
「助かる。ジェシカ、準備はいいか?」
「いつでもお願いします……!」
「了解だ・・・・・始めろ」
スネークが訓練開始の合図を出す
同時にジェシカはキルハウスの扉を開け、銃を構えて建物へと侵入していった
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
建物の中に入ると一直線がすこし続き、左右二手に分かれる
音を出さないように、しかし確実を進む
直線が途切れ、左右どちらかに進む必要がある
右側の壁に張り付き、身体を晒さないよう慎重に左右をクリアリング
(地面に地雷……スネークさんが仕掛けたんだ)
左側の通路は少し先で行き止まりになっているが、通路には印刷された地雷が置かれている
どうやら先ほど評価すると入っていった際に置いていったものの様だ
ここは敵の支配下にある、と言う言葉は本当らしい
見える範囲内で通路に人がいないことを確認し、サイドステップで通路に飛び出す
前方に敵が1人背後を向いている
2発撃つ
そのまま銃口をまっすぐ向けながら直進
右に部屋
音を聞き、中に人の気配がないことを確認
サイドステップでパイを切りながら最低限の安全を確保
部屋の中に侵入する
通路から見えなかった部屋の左手前隅に立っていた敵2人を仕留める
入ってきたドアの裏を確認する
(ここまでは問題なくできてる、ここから素早く……)
建物(キルハウス)を抜けるにはあと2つ部屋を抜ける必要がある
撃った敵の横を通りすぎ、次の通路へと向かうためドアに手をかける
「どこだ出てこい!!」
突如、怒号とガンガンガンと甲高い金属が鳴り響く
(もう来た!?)
「ヒトのシマに入って勝手に撃ちやがって……タダで済むと思ってんのか!!」
もう一度ガンガンガンと甲高い音が屋内に鳴り響く
同時に足音が確実に自分の方へと向かってくるのがわかる
(は、早くしないと追いつかれる……!)
自分の心臓がドクドクと脈打つのを自覚しながらドアを開ける
同時にすぐ目の前には地雷
踏まないようすり足で地雷の横を通り、銃を構え直進
同じように左右に別れている
再び右側の壁に張り付き、見える範囲内でクリアリング
左側の敵を撃ち、右側にも敵がいたため撃つ
すぐに通路へ飛び出し、見えなかった右通路の奥にいる敵も倒す
背後を確認し通路を確保、後ろを向き左通路にある部屋の前へ移動する
「そっちか!」
その間にもドタドタと言う足音が鳴り響き、どんどん大きくなっている
(急がなきゃ……!)
ドアを思いっきり開け正面にいる敵を撃つ
右は部屋の壁のため、左に敵がいることを警戒しながら部屋に侵入
左斜めと左隅にいる敵を倒す
ドア裏を確認し誰もいないことを確認する
この部屋はクリアだ
「奥の部屋にいるぞ!」
だが先程の部屋からここに走ってくる気配がする
(これじゃ間に合わない!)
ここからどれだけ急いでも、おそらく間に合わない
咄嗟にバックパックを漁り、目当てのものを探す
心臓がさらにドクドクと鳴り響き、鼓動とともに手が震える
(焦らない、冷静に、冷静に……あった!)
すぐに入ってきた側のドアを閉め、バックパックから取り出したものをドアの下に噛ませる
そのまますぐに次の部屋に向かう
向かいのドアを開け目の前にいる敵に発砲
そのまま通路を右に、そして左へとジグザグにすすむ
「・・・バニラ!このドア壊せ!」
「え!?良いんですか!?」
「木製だから替えは効くからな、派手に壊せ!!」
「わ、わかりました!危ないので離れてください!!」
ドアを破壊するためにハルバードが振り下ろされ、木片が散らばる音が聞こえる
それほど丈夫なドアでもないため大した時間は稼げないだろう
左に立つ敵を倒し、そのまま最後の部屋のドアを開ける
正面に2人
右に1人
それぞれ確実にバイタルを狙い撃ち、部屋の安全を確保する
「急ぐぞ!逃げられる!」
(絶対に逃げる……!)
すぐに次の扉を開ける
通路を進み右に曲がる
最後の敵を倒す
出口が見えた
後ろから走ってくる2人の気配
出口に向かって走り、そして訓練終了の赤いボタンを押す
ビー
ブザーが訓練室に鳴り響き、キルハウスのドアが開かれる
走ってきていた気配もない。どうやら訓練は終わったようだ
「・・・ハァ」
大きなため息をつく
マガジンを抜き、スライドを引いて薬室内を空にしホルスターに銃をしまう
そしてキルハウスの出口へと足を一歩踏み出し
クシャ
「え?・・・あ」
「1分9秒、さっきよりも格段に早くなったわね。まあ最後にドカンってところだけど」
……そして、出口にはプリントされた地雷に、ジェシカの足跡がはっきりと残っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「訓練終了だ、色々と改善点が見えてきたな」
「うう……最後に油断しました……」
キルハウスからスネークとバニラも出てきた、どうやら出口に仕掛けたのはスネークらしい。
ジェシカが地雷を踏んでいるのを予想していたのか、フランカはとてもニコニコしていたが。
「まあそれは引っかかると思って仕掛けたからな。訓練終了のブザーの音、そして追手が迫って来なくなった安心感、そう言うときに注意は疎かになる。建物を抜けたところで敵の勢力下には変わらないんだがな」
「全くもってその通りです……」
「だがキルハウス内ではよく動けていた、地雷を踏むこともなかったしな。何より追いつく気でいたが、まさか空のマガジンをドアに噛ませるとは、良い判断だ」
「と、とっさに思い出したんです。リスカムさんが、救出作戦で時間稼ぎをする方法だって。まあマガジンを一つ失うのは結構痛いんですけど……」
「よくその場で思い出したな、良い育て方をしている」
そう言ってスネークは上にいるリスカムの方を見る。
上で見ていた彼女はそのまま手をあげ、スネークに返事をし、こちらに戻ってくるために一旦奥へと消えていった。
「あら、リスカムが照れるなんて珍しいものを見れたわね」
「とりあえず、まずはよくやった」
「は、はい……最後にやってしまいましたけど……」
「あれはあえて狙ったものだ、気にするな。それよりもキルハウス内での動きだな」
「は、はい……どうだったでしょうか?」
「答え合わせといこう、全員一緒にキルハウスの中に入るぞ、そこで総評だ」
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