Metal Gear Solid/ Ark of ■■■■ 作:daaaper
以降はまた不定期投稿になると思いますが、
お付き合い頂けましたら幸いです_φ( ̄ー ̄ )
被害を被りそうな範囲に人がいないことを確認し、スネークは右手はハンドガンを構えるようにしながらゴムナイフを添える。重心を低くし、フランカへにじり寄る。対するフランカも右側の身体を差し出す形で斜に構え、レイピアをスネークの喉元へと向け立ち止まる。
ゆっくりとにじり寄りながら様子を伺うが、向こうから来る気はないらしい
距離にして10mほどあるが、錆落としには十分だろう
スネークは一気にフランカへと間合いを詰める
フランカの構えは変わらずその場を動かない
レイピアが突かれるであろう間合いで懐に潜り込む
間合いを潰されることを悟り、バックステップを取りながらレイピアが横なぎに払われる
一気に姿勢を低くし、頭上を過ぎるレイピアを横目にフランカの頸にナイフを刺す
そのタイミングを待っていたと言わんばかりに・・・フランカは素早く右腕を折り畳みスネークの喉元へレイピアを突き立てる
突き立てられたレイピアにナイフの腹を走らせ、フランカの右側に身体を入れ込む
フランカは咄嗟に自分の右膝でスネークの膝関節を打ち体勢を崩しにかかる
身体が崩されるのを利用してスネークの左脚が回し蹴りを放ち彼女の顔に飛ぶ
フランカはタンッタンッとバックステップを取り、一度間合いを仕切り直す
「良い突きの返しだ、あそこまで早くカウンターが返ってくるとは思わなかったぞ」
「そりゃどうも〜!こっちは避けられた挙句、かわいい顔を蹴られそうになったけどね!」
「喉仏狙ったんだからトントンだろ。それに避けれるとわかってたしな」
「ホント容赦がないこと……!」
フランカ個人として、スネークに対して思うところがある。なにせチェルノボーグで真っ先に無力化され拘束されたのだ。言ってしまえば煮湯を飲まされた相手だ。多少痛めつけても文句は言われないだろう。だが実際には、練習とはいえ先の攻防ではこっちが良いようにやられかけたのだ。やられっぱなしは彼女の性に合わない。
再び右を先に出すように身体を斜に構え、剣先をスネークの喉元に向け……走り出す
対するスネークは同じようにハンドガンを構えるようにナイフを添えるが、その場に立つ
今度はフランカが仕掛ける側となる
彼女はスネークよりも早い加速で一瞬でレイピアの間合いに詰め右腕を突き立てる
スネークは身体を右に捻りながら正中線をずらし入り身で彼女の間合いに入り込む
そうはさせまいとレイピアを2,3と突き返す
突きが当たらないよう後ろへ下がり距離を取る……がフランカはそのまま間合いを詰めてくる
今度は横なぎ
一歩下がりレイピアがスネークの左へと流れる
フランカは左に流れたレイピアを止めそのまま右腕を頸へ突き立てる
スネークは僅かに後ろに下がりレイピアはギリギリ喉に届かず胸骨に当たり彼女の腕が伸び切る
「ッ!」
咄嗟にフランカが腕を戻す
その動きに合わせスネークは正中線を右にずらしながら身体を入れ込む
レイピアの間合いが殺された
フランカは左腕をスネークの腹へと突き立てる
肘で突き立ててくる彼女の腕を迎え入れ、彼女が手に持つゴムナイフを腕ごと弾き飛ばす
弾かれた反動を利用してレイピアを当てにくるがもう遅い
左脚を軸にフランカを右へ転がし床に完全に寝かせる
レイピアを持つ右腕を膝で抑え込み、ゴムナイフを彼女の首元に添える
「とりあえず俺の一本で構わないな?」
「……ええ、ここから巻き返す方法は無いもの」
観念したようにフランカが左手を挙げヒラヒラとさせる、降参の様だ。ナイフを外しゆっくりと立ち上がる。
「流石に反応が早いな、入り込んだ時点で倒せると思ったんだが」
「休日にこんな動くことになるなんて聞いてないんですけどぉ」
そう言ってフランカも立ち上がり軽く服を払い、口では軽く言っているが、本人的には相当悔しいのだろう。顔はやや不貞腐れている。
「なんだ、俺に一本取られて悔しいのか」
「そうじゃないわよ、良い様にやられてなんかムカつくだけ」
「……ふむ」
スネークは顎に軽く手をあて、フランカの持つナイフを観察する。見られていることに気づいた彼女は気まずそうだ。
「な、なによ、何か言いたいことでもあるの」
「気になったんだが、お前利き手は右か?」
「ええ、そうよ」
「左のナイフは防御のためのものだな?」
「そ、まあ短剣だけど。基本的に私が使うのはレイピア、どっちの手でも使うけどね」
「なら左で短剣を扱える様にするといい」
「あら、私にアドバイス?錆び取りはもう十分なの?」
「今日はとりあえずな。だが互いのためになった方が効率的だろ」
そう言ってスネークは先程の攻防戦でのフランカとの動きを思い出す。
突き立てられたレイピアにナイフの腹を走らせ、彼女の右側に身体を入れ込む
彼女は咄嗟に自分の膝でスネークの膝を打ち体勢を崩しにかかった
身体が崩されるのを利用して彼女の顔目掛けて左脚で回し蹴りを放った
フランカはタンッタンッとバックステップを取り、一度間合いを仕切り直した
「俺の勝手な感想だが、お前さんは接近戦が苦手だな?」
「……よくわかったわね」
「レイピアの間合いの使い方はなかなかだが、懐に入られた途端雑だったからな。まあそれを補うために移動が早いんだろうが、いかんせん雑だな。膝を使ったのは見事だったが、その後のバックステップも随分と大きかった」
最初にスネークが懐に入ってきた際、フランカはジェシカが教わった様にスネークの膝を狙い体勢を崩させた。だが、スネークの回し蹴りより早く追い打ちをかけてこなかった。それは詰まる所、相手の体勢を崩すだけしか考えていなかったということになる。
無論、崩したところを突き刺す選択肢はあったはずだ……が、彼女の得物は右手に持ったレイピアだった。自身のすぐそば、それも右側に倒れた人間突き刺すための十分な空間はそこには無かった。であれば左手の短剣を使えば良い話だが、実際には使えなかった。
そこから考えられるのは、レイピアの間合いより内側、スネークが得意とする素手の間合い、近距離・極近距離戦闘でのせめぎ合いに慣れていないことだろう。
「ホントあなた良い観察眼をお持ちですこと」
「何かと人を見る目はあるからな。リスカムとお前が組んでいる理由が改めてわかった、性格も含めて良いバディだ」
レイピアは近接武器ではあるが、攻撃レンジの観点では中・遠距離の武器だ。ナイフや拳の間合いでの接近戦が得意ではないフランカの場合、距離を詰められる前に敵を仕留めるだけの実力は兼ね備えているが、仕留め切れない可能性も十分にある。
その点、リスカムのように攻撃を引き付けフランカから距離を取らせる役回りがいれば安定した攻撃が可能になり、任務の遂行能力も上がる。慎重で堅実な守りを果たすリスカムと、突飛でトリッキーな攻撃を仕掛けるフランカ、この二人を組ませたBSWには人の扱いを心得ている奴が居るとスネークは納得した。
「それでインストラクターさん的にはっ、私はどうしたら良いでしょう?」
「もしお前があらゆる場面でも生き残る可能性を上げたいなら、左の短剣で敵を捌ける様になればいい」
「……
昼過ぎとなり、腹ごしらえにちょうど良い時刻になっているのを確認し、弾き飛ばしたゴム製のダガーを拾う。備品置き場でナイフを置いたと思ったが、どうやらすり替えていた様だ。
「お前さんは攻めは中々のもんだ、何より自分の得物の間合いを良く理解してる。だが、間合いが潰された時の手数が少ないのが今のお前だ」
「そうね、まあ近づかれる前に突き刺してやるけど」
「そうだな、お前にはそれだけの実力もあるだろう、だが、少なくとも技術だけでは俺には通用しなかったのも事実だ」
「……そうね」
「ああ、もっともお前がどんなアーツを使うか俺は知らん。それを使えば俺を負かすこともできるだろうがな」
「……………」
フランカは何も返さない、ただ強くレイピアを握りしめるだけだ。
「だがそれに満足する気が無いなら……あと1ヶ月くらい待てばいい」
「……どういう意味?」
そんな彼女にスネークはサムアップをしながらフランカに白い歯を見せて言い切る
「この1ヶ月でジェシカにみっちりCQCを叩き込んでやる。お前の良い練習相手になってくれるはずだ」
じゃあ午後も見守りよろしくな、そう言ってスネークは訓練室の重い扉を片手で押し開け、その場を後にする。
1人残されたフランカは・・・ふと手袋を外し自身の手掌を見る。自分で言うのもなんだが綺麗な手だ。対してあの男……いまだどこから来たかわからないものの実力は確かなスネークの掌は、少しゴツく、やや煤っぽく黒くなり、タコがある、年季の入った掌だった。
訓練場にある時計を見ると時刻は12:30を過ぎたところのようだ。
「……あんな大ベテランに1ヶ月も鍛えられたら、そりゃ強くもなるわね」
30分、たった30分彼の技術の錆落としと自分の退屈しのぎと称して相手をしただけ。それだけで自分の劣っている部分と、『アーツさえあれば』という考えを指摘された。どちらもフランカが自覚している弱点であり、他者から指摘されたくない脆い部分だ。
アーツのことをスネークに指摘されたときに一瞬沸き上がったのは、アーツさえ使えれば勝てたに違いないという淡い考えと、そんな甘い考えを持っていた自分と指摘してきたスネークに対するドス黒い感情だ。
だが、彼は続けてかわいい後輩を1ヶ月後にはいい練習相手になると言った。自分の弱いところを修正し、さらに高みを目指すことの辛さはフランカもよく知っている。そしてスネークは、ジェシカが目指す場所に連れて行くことができるだろうし、ジェシカ自身は目指すことの辛さ以上に、自分が強くなれることに希望を抱き・・・それを叶えつつある。
いつまでも自分が先輩面をしていられる余裕は、無い
「随分とコテンパンにやられていたようだが、何かあの男に気に障るようなことを言われたか」
「……私的には勝手に覗き見されてた挙句、わかりきったことを質問してくる方が気になるんだけど?」
そんな彼女の元に、鞭を携えたペッローの鬼教官が現れる。どうやらスネークとフランカのやり取りを遠くから見ていたらしい。相変わらず表情は鉄仮面みたい、と思いながらフランカは微笑みながら覗き見していたらしい彼女の方を見る。
「ロドスの新人さんたちの教育はいいんですかドーベルマン教官どの」
「午前の教練はおわった。今は昼の時間だ、休みも彼らにとって大事な仕事だからな」
「休みまで仕事って堅苦しくない?」
「なに、中には無理して訓練を続ける馬鹿もいるからな。私にとっては休ませるのも仕事のうちだ」
「なるほどね〜」
「それで、あの男に何か言われたのか?」
「気になるなら彼に直接聞けばいいと思うわよ?彼、聞かれれば普通に答えてくれるし。それともぉ、わざわざ私のことを心配してくれた感じ?」
レイピアを地面に突き刺すようにしながら膝を折り、柄の部分で頬杖をつき、ドーベルマンの顔を覗き込む。
「お前の心配などしておらんさ、私が心配しているのはジェシカの方だ」
「あらっ、私の可愛い後輩のこと?けど、今も定期的にあなたの下で訓練してるわよね?」
「ああ。新しいインストラクターから技術を学んでいると言ってからちょうど1ヶ月経つが、それほど変化は見られなかったのでな、一体どんな訓練をしているのか気になってな」
「なーるほどねぇ。まあ正直、私も訓練内容は詳しくは知らないのよ」
「だろうな。だから彼、スネークというのが一体どんなインストラクターなのか直接確かめようと思ったんだが……いらない杞憂だったらしい」
「なによ、私が倒されたから安心ってこと?それって酷くない?」
「実力は本物だろ。私も体術の心得はあるが模造刀を持った相手にお互い無傷で制圧できる術は持ち合わせていない」
ドーベルマンの考えとして、高いレベルを目指す訓練ほどケガをするリスクは跳ね上がる。怪我をすれば訓練は中断せざるをえなくなり、本人のモチベーションや技術力の低下、さらにはチーム全体にも何かしらの影響が生じる。だからこそ訓練生たちの心身の健康管理に気を配るのが教官たるべき、というのが彼女なりの考えだ。
そんな彼女からしてみれば、先ほどのスネークとフランカのやり取りは、いつ怪我をしてもおかしくない高いレベルの訓練だったが、かすり傷一つ付いていないことを考えれば、スネークが相応の実力者であることは十分にわかった。
フランカが倒されたということより、あれだけの攻防戦をしたにも関わらず軽い怪我一つすら生じさせていないことの方が、ドーベルマンとしては評価が高かったが。
「BSWが派遣してきたインストラクターである以上、実力は保証されているのは分かっていたつもりだったが、あれほどとは思わなかった」
「あっそ。じゃあ私の可愛い後輩がお世話になってるから一つだけ良いこと教えてあげる」
「なんだ?」
「スネークが言うには、1ヶ月後にジェシカは私の良い練習相手になるそうよ」
「・・・本気か?」
「さあどうかしらねぇ、それこそ彼に直接聞いてみたら?じゃあ私もお昼食ーべよっ。またねぇ〜ドーベルマン教官っ」
ニコっと笑いながらフランカは鉄仮面の鬼教官に手を振り、重い扉をゆっくりと開けて訓練室を去っていった。その足取りはいつもの彼女が纏う雰囲気のようにとても軽かったが、表情まではよく見えない。
「あのジェシカが格闘戦……な」
ドーベルマンもジェシカの性格についてはよく知っている。あの卑屈で弱気な性格さえ克服すれば、彼女は優秀なオペレーターになれる。逆に言えば、極度なまでの卑屈さが全ての足を引っ張っている。それを格闘を覚えさせることで克服させるのは理解できるが、それを1ヶ月で、それも前衛エリートオペレーターの"良い練習相手"にまで育て上げることが本当に可能なのか。
「……来月の訓練予定を調整するか」
ドーベルマンにとってジェシカはBSWから来たとはいえ、教え子は教え子だ。他の教官に鍛えられた結果は気になる。それが弱点を克服させるものであるならばなおさらだ。何より、ジェシカが成長したならば、それは他の隊員たちにも良い刺激になるだろう。
だがまずは今の自分が受け持つ新米たちの指導が先だ。そう考えながら鬼教官は、僅かに微笑みを浮かばせながら、訓練室の一角へと戻っていった。
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