Metal Gear Solid/ Ark of ■■■■ 作:daaaper
本日で連日の投稿は一旦止まります。(絶賛実習中で、執筆活動そのものが止まっているため)
9月から執筆を再開するので、9月の第二週に投稿再開予定です。
気長に首を長〜くして待っていただけたら幸いです
では本編をどうぞ
2月3日 00:30 晴天
チェルノボーグから約300km
荒野が広がっていた大地は少しずつ砂漠地帯のような姿に変わり、植物は一切見られなくなった。それでも相変わらず鉱石は、移動都市周辺ほどではないものの、相変わらず見かけた。
未舗装の道をいく4WDは、力強く砂煙を上げながら目的地へと近づいていったが、やがて日もくれると星明かりだけが行手を照らす光となる。もちろん、車にはヘッドライトもついているが、鉱石や何らかの障害物は、起伏のある地形と強い光の影へと隠れてしまうため、日が暮れた時点で車を止めることとなった。
と、同時にスネークからフランカが解放される合図ともなった。
車が止まった瞬間、『ん、とりあえず野営の準備が必要か』とスネークが言った瞬間、フランカの魂、もとい身柄は解放された。何せ12時間近く、車内で移動している間ひたすら話をさせられていた(スネークとしては話していた)のだ。もちろん、食事や水分補給、車両の小休止など、休むタイミングはきちんとあった。が、それ以上にスネークからの問いかけがとにかく尽きないのだ。
最初は余裕綽綽のフランカだったが、正午を超え始めたあたりから疲労が見え隠れし始め、夕方頃には疲れを隠すことをやめて『そーです、そうなんですよ〜』『はいそうですその通りです』ともはや相槌を打つことすら止め始めた。それでもなお、質問を続けて会話が成立していたのも事実なのだが。
そんなこんなで、フランカは自分のテントを張ったら『もう私、今日は寝るわね……』と言い残し、さっさと自分のテントに入って寝てしまった。こうなると残りのBSWの2人でねずの番をする必要が出てきた……が
スネーク
「使えるものはなんでも使えばいいだろう、見張りは俺も慣れてる」
リスカム
「いや、あなたにそこまでしてもらう必要はない、これは私たちの仕事」
バニラ
「そ、そうです。色々ありましたけど、スネークさんがわざわざ疲れる必要はありません」
スネーク
「とは言ってもな、それこそ俺の感情も考慮してくれると助かるんだが。流石に女性に投げっぱなしで何もせずに寝るのは気が引ける」
リスカム
「大丈夫、それはフランカが先に寝たせいだから」
バニラ
「リスカムさん!?」
スネーク
「……俺が話しすぎたか」
バニラ
「じゃ、じゃあこうしましょう!」
という会話がありまして。
という会話があり、バニラの提案から2交代制で、21:00〜06:00までの9時間をペアを変えて見張りをすることとなった。
最初の3時間をリスカムとバニラ、残りの6時間はリスカムとスネークが受け持つことになった。
バニラが3時間ずつの交代と、リスカムが不寝番になることを指摘したが、『途中で交代すると見張りとしての質も、休息も疎かになる』というスネーク、『また明日運転してもらうことを考えれば、バニラは休むべき』というリスカムの言葉から、バニラは渋々了承し、スネークと交代してテントの中に入った。
そんなわけで
「……」
「……」
現在、キャンプファイヤーを囲みながら、リスカムとスネークが静かに見張りをこなしている。
リスカムとしては、もともとそんなに話すタイプではないこと、また先の交戦で口でも戦闘技術でも負かされた相手でもある男に、会話するのは気が引ける。そのためお互い無言になって、時折燃料を焚べるだけだった。
とはいえ、夜間に長時間の見張りをこなすには、何かしら眠気を紛らわせるものが必須になる。
もちろん、キャンプファイヤーの火を絶やさないことも、紛らわせる方法の一つではあるが、それだけではやがて眠気に襲われる。星を眺めるのも方法ではあるが、リスカムには星座に関してそれほど知識はない。
こんな時、相棒であれば勝手に話しかけてくれるためなんとでもなるが、その相棒は爆睡中。
ふと男の方を見ると、バックパックを地面に置き、何やら作業している。今はナイフとハンドガンを取り出している。その他にも双眼鏡やスモーク、フラッシュバンなど色々だ。
「……何をしている」
ただの好奇心だ。
そう自分に言い聞かせながら、リスカムは男が何をしているのかそれとなく尋ねた。
「ん、まあ時間があるからな、今持っている自分の装備の再確認だ。何があるかまだわからんからな」
「自分で持ってきたんじゃないの?」
「いや、気づいたら見覚えのない建物にいたからな。加えてお前たちの……なんだ、種族か、もそもそも知らん、どうやら俺は全く知らない世界に来たらしい。記憶喪失ではあるがな」
そう言いながら、ハンドガンを握り、誰もいない方向に構えながらナイフも握り始める。今まで見たことがない構え方だ。
「どうやら装備は俺のものらしいけどな」
「どうしてわかるの、シリアルナンバーを確認したわけでもないでしょう」
「ナイフと握りやすいからだ」
「ナイフと?」
「接近戦においてはハンドガンよりナイフによる白兵戦の方が効果的な場面もある、発砲はあくまで手段の1つに過ぎないからな。同時に構えることで、シューティングとナイフファイトを瞬時に切り替えることができる。そのためにグリップを削っているからな、こいつは手に馴染む」
そう言うと、スネークはハンドガンとナイフをそれぞれホルスターと鞘にしまい、地面におく。続けてバックパックから何かを取り出すと、それをリスカムの方へと投げた。突然投げつけられたものの、スネークの方を見ていたので、難なくそれをキャッチする。
見ると何やらスティック状のもので『Calorie Mate』とロゴが描かれている。
「詫び、と言うには安すぎるがな。カ○リーメイトだ」
「……クッキー?」
「まあショートブレッドに近いがな。5大栄養素をバランスよく含んだバランス栄養食だ。小腹も満たせる上にうまいからな、まずいレーションを食べるより、よっぽど体に良い。味はチョコレートだがな」
そう言うと、スネーク自身も同じロゴの包装を開け、食べ始める。
普通であれば、敵対した相手からもらった食物など、毒物の可能性がある以上絶対に口にしてはいけない。BSWの基礎教練でも習うことである、知らない相手からもらった食物など絶対に口にしないしそもそも抵抗がある……が、なぜかこの時は食べたくなった。
包みを破くと中からチョコレート色のクッキーのようなスティックが出てくる。やはりお菓子のようだ。匂いもレーションのようにひどい匂いはせず、ほのかに甘い良い香りがする。
念のため、を思いながら歯先でほんの少しだけ削り、口の中に入れ、舌の上で転がす。もし何か変なものが混ざっていれば痺れたり、不味いと感じるはず
と思ったのも束の間
すぐにチョコレートの甘味が口の中に広がり、風味が鼻の中を抜けて行った。そのまま包みから出ているスティックに食いつき、噛みながら残っている包みを破き、そのまま全て口に放り込む。BSWから支給された糧食は不味くはないが、うまいわけでもない。ましてや甘いものなど入っていなかった。
ロドスについたら食堂に行こうと考えていたリスカムに、カ○リーメイトは栄養食としての務めを完璧なまでに全うした。
「ふっ、相当美味かったようだな」
「・・・ぇ」
「随分と喜んで食べたようだが……もう一つ食べるか?」
そう言ってスネークはもう一つの包みを見せる
リスカムはそれを見て……無言で縦に頷き、片手を差し出す
そんな可愛らしい少女の反応を見て、スネークは笑いながら軽い放物線を描くようにリスカムにパスする。目当てのものを受け取ったリスカムは、すかさず包みを開け、中身にパクりつく。
「全く、俺の知っている世界も大概だが、お前たちの若さで兵士なんだものな。まあ、お前さんたちは警備会社と言っているが、実際PMCのようなもんだろう」
「……まあ、暴動の鎮圧や天災後の物流の確保や支援までやってる会社ではある」
「兵站まで担うか、まさにPMCだな」
あいつが言っていた理想はこんな会社か。
チョコレートを付けながら食べる彼女を見ながら、スネークは金髪サングラスの相棒を思い出す。彼の理想は成り上がり、そしてビジネスとして兵士という存在を成り立たせることだ。ビジネスにはあまり興味はないスネークだが、組織運営には金がかかることも十分に理解している。国家に属さない軍隊を維持・拡大するには経済力も同時に拡大しなければやがて何処かに取り込まれるか淘汰される。だがビジネスのために家族をただ戦地へ送り、消耗させるのはスネークの理想ではない。世界を一つにするためには、金ではダメなのだ。
とはいえ、今は世界を1つに、などと自分の理想を語る場ではない
というか、早く帰れる方法を探さなければならない。もっとも、ここからどこに行けばカリブ海へと帰ることができるのかもわからなければ、そもそも現在地すらも知らない状態である。今はとにかく生き残る方法を模索するしかないだろう。
「……質問がある」
「ん、なんだ」
そんなことをスネークはバックパックを整理しながら考えていると、リスカムから声がかかる。口についたチョコレートも見事に完食したらしい。
「あなたはアーツを使えるの?」
「アーツというと、なんか魔法みたいなやつのことか?いや、そもそもオリジニウムすらわからないからな、使えないと思うが……なぜそんなことを聞く?」
「普通の銃を使うにはアーツ制御が必要だから。記憶を失っているとは言ったけど、銃を使えるならこの世界にいた証拠だと思ったから」
「……銃を撃つのに魔法の要素があるのか」
「撃鉄を活性化させるのにアーツを使う、後は弾丸がチャンバーに装填されてるかを感じないと上手く撃てない」
「射手が引き金を引くことで撃鉄は起きるだろう?」
「弾丸を鉱石でより強力に飛ばす必要があるからアーツコントロールは必須」
「つまり、火薬を燃焼させて発生するガス圧だけでなく、射手が薬室内へ直接ブーストをかけられるというわけか」
「そう」
スネークの話はリスカムも助手席で聞いていたが、この男は頭がとても回る。持っている知識から自分なりの解釈を相手に投げかけ、齟齬があれば訂正する。これをひたすら12時間以上繰り返していた。銃に対する理解も、完全に理解することは難しいにも関わらず、今のやり取りだけで理解した。
「だとすれば、俺が知る銃とは異なる概念だ……俺の銃、というより俺の世界では引き金で撃鉄を起こすことで雷管を叩く、それで弾が出る。射手が行うのは照準と引き金を引くだけだが……となると、ここでは銃の使い手によって同じ銃、同じ弾丸でも威力が変わるのか?」
「威力、というより精度が変わる。発射された弾の威力は銃と弾頭の種類による。人によって命中精度は異なるから火力が落ちるという意味では同じかも」
「そこは同じか……アーツコントロールが乱れればどうなる?」
「射撃できない、最悪だと銃が爆発する」
「射撃できないというのは、不発という意味か?それともバレル内に弾が詰まるのか?」
「スクイブのこと?それもある、けど大体は発砲できない」
「射手は射撃センスだけではなく、銃や弾丸そのものとして銃をコントロールしなければならないということだな?」
「そう、弾薬は源石の加工技術で作られているから、ただ火薬を燃焼させるだけじゃなくてアーツを用いることで威力が跳ね上がる。その代わり、アーツが上手く使えないと——」
「干渉を起こして動作不良を起こすのか」
「そう考えられてる」
リスカムはスネークの言葉に頷く、だがスネークはリスカムの言葉に疑問を覚えた。
「考えられている?随分含みのある言い方だな」
「銃はラテラーノで発見されたけど、具体的な構造まではわかってない。だから発掘された銃はコピーされて生産されてる」
「ん?……だがお前は銃を持っているじゃないか」
「ハンドガンなら制御も簡単だから、それに比較的入手もしやすい。それでも高級品で、手入れとか操作が複雑だから、フランカに言わせれば沢山の兵士に持たせる意味が理解できないみたいだけど」
「まあレイピアみたく刺せば良いもんじゃないからな」
コピーして生産されているが、具体的な構造まではわかっていない。ということは0から銃を開発することはここでは行われていないということだろう。途上国ではよくあることだが、何か引っかかる。
だが、ここで新しく銃を仕入れることは難しそうなことに加えて、ここで生産された銃をスネーク自身が扱えるかわからないということがわかった。何せアーツがなんなのか未だよくわかっていない、アーツを扱えなければ発砲できないという特性上、彼が知っている“銃“とは名前は同じだがまた異なる武器であると考えた方がいいのだろう。
「しかしそうなると弾は無駄に使えんな、弾の補充は難しいか」
「けどアーツの扱い方を学べば普通に扱えるはず、その銃で撃てるかはわからないけど」
「アーツは俺でも使えると?」
「アーツは技術理論だからある程度のレベルなら学べば誰でも扱える。人によってアーツ特性は違うから、強力なアーツが使えるかはわからないけど、銃を撃つアーツなら学べば十分に扱える」
「アーツの扱い方は誰でも学べるのか?」
「基本的な扱い方なら色々な本が出てる、専門的になると指導や専門書が必要になるけど」
「まあそれは何でも同じだろうな、独学で学ぶ手段があるだけマシと考えるか」
「けど、お金ないでしょう」
「……まあ、稼ぐ手段は考える」
そう、今のスネークは職業住所不定無職のおじさんなのだ。それに記憶喪失も抱えている。
どう考えても雇ってくれるようなところは無いだろう。今はこの3人がどこかへ連れて行く予定らしいが、その先は未定だ。適当に物資だけくれてどっか行けと言われれば、そうするつもりだが、その時は街がある方角を聞くべきだろう。10日分の水と食料さえあればどうにでもなる。
「これだけ混沌とした世界だ、金を稼ぐ方法は転がっているだろう」
「……あまり褒められたものじゃないものもね」
「だろうな、その手の仕事は使い捨てか一回限りのものだ、大抵ろくなもんじゃない。情報があれば引き受けても利益につながるが、何もわからない中で受けるもんじゃない。まあ与える方は何も知らないやつを求めるがな」
その方が処分がしやすい。
内戦や紛争により治安が悪化した地域は、同時に大量の物資や人を欲する。その地域の生活や経済を元に戻す力が働くためだ。だからこそビジネスチャンスが生まれる、という面もあるが大抵、密売の温床になる。
密売だけで済めばそれで良いが、あらゆるところから人が集まり、人が溢れるため、犯罪も起きる。治安維持の組織でも機能すればいいが、内戦が起きたなら公的機関は機能しない。結果として力をつけた組織がその地域を牛耳ることになる。そのまま政党になることもあれば、地域に癒着した強力な犯罪組織にもなる。
他所から来た人間など、そんな“強い組織“に利用されるだけで終わる。
「経験が?」
「いや、まあそんなところだ。沢山みてきたからな」
まさか一文無しで異世界に放り投げられるとは思わなかったが。
これをカズが聞けば『本当のネイキッド・スネークだなぁ!』と笑い飛ばすだろう。その時はその時だ。
幸運にも装備は一式あるため、生き残ることはさほど難しくはないが。
「しかし、お前は随分と無警戒だな」
「……どういう意味?」
「いや、俺はお前と敵対したからな、加えて俺の印象もよくないはずだ。なのに俺が渡したものを食べて、今はこうして話しているからな、無警戒というより無用心といった印象だが」
「……フランカが信用しているなら、悪人ではないから」
「お前の相棒か」
「彼女は人から向けられる悪意には敏感、それでもいつもと同じ振る舞いをしてたから」
「よく彼女をみているんだな」
「彼女とコンビを組んで長いから」
「そうか」
そこで会話が途切れる。
思い出すようにリスカムは薪を焚べる。パチパチと音を立てながら火が再び勢いを取り戻す。
「相棒は必ず守れよ、大切なら尚更な」
突然、男がそんな言葉を投げかける
「……倒したあなたが言う?」
「まあな、俺に殺意があればあれも俺に気づいただろうが、生憎全くなかったんでな。何より殺すのは好きじゃない」
「銃を持っているのに?」
「こいつはもう手放せないからな」
そう笑いながら言う男の姿の後ろに、リスカムは黒く重い何かをみた……気がした。
それは、悲壮感や絶望といったものとは異なり、男に抱えられながらも支えているように感じた
パチパチと音が鳴る
男の後ろにはもう何も見えない
気のせいだったのか、けど確かに何かを感じた……気も彼女はしていた。
「ん、どうかしたか?」
「なんでもない」
「そうか?何か聞こえたか?」
「なんでもない」
「……そうか」
気づくと、眠気はどこかに飛んでいた、時刻を確認すると03:00を過ぎ
この調子なら見張りを続けることができそうだ、リスカムは静かになる
スネークも何も言わず、装備の確認をしている
そのままパチパチ火の音がたちながら、時折燃料を焚べる音だけが2人に流れた
そして日が昇る
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m(_ _)m。