単刀直入に言おう。
――アッシマーは墜落した。
原因は不明。ただ、一つ判っていることがある。パイロットの通信にて『変形できない!』と、悲痛な叫び声を上げていた事だ。
以前からアッシマーの変形機構に関して、かなりの苦情があったことは確かだ。
しかし、それを抜きにしても何故墜落したのか。
いや待てそれ以前に、だ。たとえ墜落しなかったとしても、アッシマーはあまりにも火力不足だ。
火器か、高出力とは言えビームライフル一本。ビームサーベルやその他の武装なんて無い。もしもビームライフルのエネルギーが尽きれば、それで終わりだ。
素手でどうにかしろと?無茶を言え。
相手はビームサーベルというちんちくりんで腕を両断。変形して撤退することも出来ずに、さようならだ。バイバーイ。
――じゃないだろ!!??
このままでは、アッシマーは……
その後、アッシマーは表舞台から姿を消した。原因不明の墜落事故を何度も起こしたせいで。
研究者の内一人は、失念のあまり自決。
――彼は、アッシマーに惚れ込んでいたのだ。
あの、まるっこくて、美味しそうな見た目の、
ア ッ シ マ ー に。
「おはよう!」
と、声が聞こえた気がした。
そこには、20mはあるであろう
緑と黄の
「ここは……」
と、男は見渡す。
360°どこを見渡しても、全天周囲モニターのコックピットの中にいたとしても、白しか映らない世界が、男の眼に映った。
察しの通り、ここは精神的な世界。
………いわば、"あの世"だ。
それを悟り始めた男は、生前を振り返る。
「そうだ、俺はアッシマーに人生を捧げ――」
ていたんだ――と叫ぼうとした瞬間。
目の前の巨体が、見覚えのあるシルエットだと気づいた。否、気づいてしまった。
「――アッシマーが…!!」
見た瞬間感じたこの感情は、
歓喜か。それとも絶望か。
なんにせよ男は、アッシマーを再び謁見できたことに、思考の喜びを感じるのであった。
その後、男は地獄に行った。
理由は、戦争の火種となるアッシマーの開発に携わり、あまつさえそれを愛してしまっていたことである。
が、男はそれを乗り越え、
地獄での罪の精算を終えた。
「して、お主はどうしたい?」
閻魔大王…と呼ばれる物々しい存在が、アッシマー教の男に尋ねる。
そして男は、迷わずこう言った。
「来世でも、アッシマーと共に過ごしたいです!!!!!!!!!!!」
「よろしい」
このやり取りは、地獄でしばらく話題になったという。なぜなら、閻魔大王の即答は極々稀であるからだ。
そして男は2003年に、かなりおかしな家族の次男として生を授かった。
そのおかしさ、というのが――
「あら?この子からアッシマーの匂いがするわ!」
「よし、この子はアッシマーに守ってもらおう!」
夫婦仲良く、大のガンダム馬鹿であることだ。
産まれてくる子にそれぞれその
男の名は、
前世をアッシマーに捧げた、天性の機械フェチのとんでもないド変態である。
西暦2019年、4月15日――
俺こと宇知山 阿子真は、今日から高校生だ。
え?入学式遅くね?だって?
正解。某なんとかウィルスが一昨年と去年と無駄に流行ったせいで、ロクな高校には受験できなかった。
だから面接と書類だけで通る私立だけを狙って受験し、見事合格。今、その学校にパンを咥えて走っている所だ。
「いっけなぁ〜い!遅刻遅刻ぅ〜!!」
別に遅刻ってわけじゃないけど、遅刻ってことにしとく。この台詞を言いたいがための、クソムーブ。
私服登校OKの最強の高校だけど、初日は制服でいきまーす!と、シャアの如くいつもの3倍速で走る。あれ、学校への道はここの分かれ道のどっちだっけ???
迷っててもしょうが無い、アッシマーのビームライフルを持つ手は右手!!!だから右にイクゾー!!
と、焦って道に出たのが運の尽きだった。
キキーッ!!!と、ゴムが焼けるような臭いとともに、俺は意識を失ってしまった。あれ?この展開って……
刹那、ダメージが!!と思っていると、目の前に黄色いポンチョのようなものを羽織った、少女にしては少し大きめの存在がいることに気付いた。
その少女は、物凄い勢いで左足を振り抜き、自動車という名のプリウスを吹っ飛ばした。足で。え???足で????????
「おはよう!」
と、まるで俺を知っているかのように振り返って笑いかけたその少女は、どこかで聞いたことのある声を漏らした。
「……お、おい…………」
俺は言葉を失っていた。
目の前に居るのは、確かに美少女だ。
――が、何かが可笑しい。
黄色いフードを被っている――が、フードの頂点からはアッシマーのアンテナのようなアホ毛が生えている。しかも、黄色いポンチョだと思っていたそれは、よくよく見ると洗練されたチタン合金のような輝きを放っている。
肩部や腕部の特徴的な丸っこい形といい、緑色のヒール型のブーツといい、黄色いランドセルといい、見覚えしかない。
「なーにー?」
「お………お前……まさか……………!!!
NRX-044、アッシマーか!!!!???」
いや、そんな筈はない。アッシマーは22mはある。こんな、たかだか165cmくらいしか無い美少女なんかじゃない。だがもし、アッシマーが人の姿を借りて化けて出たのであれば、俺はこの美少女に恋をせざるを得ない。
さあ……!君は…アッシマーなのk
「うん。お察しの通り、ボクはアッシマー。
NRX-044の、宇宙世紀初のTMS…だっけ?
まぁいいや。アッシマーだよ!」
あぁ…神様仏様アッシマー様………
これは、夢ですか……?
私は実は死んでいて、「これは幻覚でしたーwww」とかいうオチですよね……絶対?!!
「もしもーし?」
仮に幻覚じゃなかったとしても、確たる証拠を…!!!まず宇宙世紀にも入ってない時点で、アッシマーが実在することがおかしい!等身大プラモだとしても、この時代に喋ったりするとは思えん!!!
ましてや車まで蹴り飛ばすほどの火力だぞ?!?!?!プラスチックじゃ粉微塵だろ??!?!?!?!???!!!!
「ねーねー。さっきからブツブツ言ってさー、どうしたの?」
いやいやいや、アッシマーがこんな萌属性であってたまるか!!!!!!!!!!何?!!兄貴と姉貴の嫌がらせか?!?!?!もしかして俺の愛する妹か弟による高度な恐るべきアッシマー達計画か??!!!!どちらにせよ怖い!!やめて!!!上と下でのサンドイッチな次男をいぢめないでえええええええe
「他人が声かけてんだろ、ちゃんと返事しろ」
「はひ、すびばじぇん」
高出力ビームライフルの銃口を向けられた。待った、今黄色い光が見えたぞ。え?集束してた?もしかして集束射撃してた???
「で、ボクアッシマーだけど。
キミが宇知山阿子真くん、で合ってるかな?」
と、首を傾げて聞いてくるアッシマーたん。
最高かな??????????
「アッ、ハイ、ソウデス」
「ふーん。あっ、遅刻しそうだね。大丈夫?」
「ダイジョウブジャナイデス、イソギマス」
と言って走りだそうとすると、ちょっと待ってと言うように制止するアッシマーたん。え?何??まさか変形しちゃうの??!!!
瞬間、アッシマーたんはどうやって変形したのか、0.5秒で円盤型になってしまった。肌色の太ももが見える。
「さ、乗って乗って。学校の方向はわかってるから」
「えっ、えっ、えっ、アッハイ」
慣れない身のこなしでアッシマーたんに乗り込み、出撃。オークランド研究所驚異のメカニズムによってか知らないけど、空高く舞い上がるアッシマーたん。
何故人の姿を以ってして出てきたのか。
それは神のみぞ知る、と言って締めたいが……
俺は、このアッシマーたんを半分許せて、半分許せない。なぜなら、肉体を持ってしまえばそれはアッシマーではなく人間だからだ。巷にある、MS少女と呼ばれるものは大好きだが、実際に見てみるとよくわからない。
アッシマーはアッシマーなのがいいのであって、アッシマーがアッシマーちゃんになってしまえば、それはアッシマーでは無いのではないか??
まぁなんにせよ、このアッシマーたんと出会ったってことは、何らかの何かが始まるのだろう。MS少女バトルとか、MS少女バトルとか、MS少女バトルとかが始まるのだろう。それは自信を持って言える。
何故かって?
「そう言えばキミのガッコウ?だっけ。の名前ってなに?位置はわかるけど……日本語読めないから、名前がわかんなくって」
「あぁ……"私立頑駄無人研究学校高等部(しりつがんだむびとけんきゅうがっこうこうとうぶ)"だ」
なんか反応あったら続き書きます。